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子ども・子育て支援金制度で給与計算はどう変わる? 年末調整、規程見直しの実務

子ども・子育て支援金制度で、給与計算や年末調整は何を変えるべきか。5月給与の控除、明細表示、就業規則や育児介護休業規程の確認点を、中小企業の実務目線で整理します。

補助金フラッシュ 士業編集部公開日: 2026年5月3日更新日: 2026年5月21日
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目次

  • 5月給与でまず確認したい控除の仕組み
  • 年末調整で見落としやすい社会保険料の集計
  • 就業規則と給与明細の見直しどころ
  • 育児介護休業規程との整合確認
  • 実務で確認すべきこと
補助金フラッシュ 事業計画

2026年4月から、会社員の医療保険料に子ども・子育て支援金が加わりました。人事、経理、給与計算の担当者にとっての要点は、制度の理念よりも、毎月の控除額と従業員への説明を間違えないことです。
対応の中心は、給与計算の設定、年末調整で使う社会保険料データ、社内規程の表現の3つです。とくに5月給与で4月保険料分を控除する会社では、給与明細を配る前の確認が大切になります。
ここでは、初めてこの制度を扱う方にも分かるように、給与計算から就業規則、育児介護休業規程まで、実務で見直す順番に沿って整理します。

目次

  • ●5月給与でまず確認したい控除の仕組み
  • 本人負担だけではない0.23%
  • 標準報酬月額と賞与を基準にする計算
  • ●年末調整で見落としやすい社会保険料の集計
  • 新しい申告欄より毎月の控除データ
  • 源泉所得税までずれる可能性
  • ●就業規則と給与明細の見直しどころ
  • 法定控除と任意控除の違い
  • 説明に役立つ給与明細の内訳表示
  • ●育児介護休業規程との整合確認
  • 休業中の免除と届出の流れ
  • 2025年改正と合わせた規程確認
  • ●実務で確認すべきこと
  • Excelや手計算時の注意事項
  • 社内説明に入れるべき範囲
子ども・子育て支援金制度で給与計算はどう変わる? 年末調整、規程見直しの実務

5月給与でまず確認したい控除の仕組み

本人負担だけではない0.23%

最初に押さえたいのは、0.23%という数字の見方です。令和8年度の被用者保険では、支援金額は標準報酬月額に支援金率を掛けて計算し、支援金率は0.23%です。会社員の場合、基本的にその半分を本人が負担し、残り半分を会社が負担します。こども家庭庁は、令和8年4月保険料分から、5月に給与天引きすると案内しています。1

ここでいう標準報酬月額は、社会保険料の計算に使う給与の等級です。毎月の実支給額そのものではなく、資格取得時決定や定時決定などで決まる社会保険上の金額です。たとえば標準報酬月額が30万円なら、支援金全体は30万円×0.0023で690円、本人負担はその半分の345円になります。会社も同額を負担するため、給与控除だけでなく法定福利費の予算にも反映します。0.23%をそのまま本人負担率として扱わないことが、最初のミス防止になります。

標準報酬月額と賞与を基準にする計算

給与だけでなく、賞与も支援金の対象です。こども家庭庁のよくある質問では、企業の従業員について、ボーナスからも健康保険制度や厚生年金保険制度と同様に支援金を拠出すると示されています。2 そのため、夏季賞与や決算賞与がある会社では、月例給与の設定だけで終わらせると、賞与計算で漏れが出ます。

給与計算ソフトを使っている場合は、健康保険料率とは別項目で支援金率を登録するのか、健康保険料の内訳として扱うのかを確認します。Excelや手計算の場合は、標準報酬月額、支援金率、本人負担の折半処理、端数処理を同じ表にまとめておくと、担当者が変わっても確認しやすくなります。

もう一つの確認先は、会社が加入している保険者からの通知です。被用者保険では国が一律の支援金率を示す仕組みですが、実際の納付や保険料額表の確認は協会けんぽ、健康保険組合、共済組合などの案内に沿って進みます。給与締日ではなく、何月分の保険料をどの給与で控除しているかを社内の運用表で確認しておくと、4月分、5月支給という時期の混乱を避けやすくなります。ここまでで計算の土台が見えました。次に、年末調整と毎月の所得税計算にどう影響するかを見ます。

年末調整で見落としやすい社会保険料の集計

新しい申告欄より毎月の控除データ

年末調整で大切なのは、子ども・子育て支援金という名前の新しい控除欄を探すことではありません。実務上の確認点は、給与から差し引いた本人負担分が、社会保険料として正しく集計されるかです。国税庁は、社会保険料控除の対象として健康保険、国民年金、厚生年金保険などの保険料を挙げ、控除できる金額は実際に支払った金額または給与等から差し引かれた金額の全額と説明しています。3

厚生労働省の社会保険適用拡大の資料でも、健康保険料には子ども・子育て支援金が含まれると説明されています。4 つまり、給与計算で支援金を控除しているのに、年末調整用の社会保険料集計に反映されていないと、源泉徴収票や年末調整結果にズレが出るおそれがあります。年末に慌てないためには、5月給与の時点で社会保険料集計への連動を確認することが重要です。

源泉所得税までずれる可能性

支援金は金額だけを見ると、1人あたり月数百円規模から始まるケースが多いです。それでも、給与計算では小さな金額を軽く扱えません。毎月の源泉所得税は、給与等の金額から社会保険料等を控除した後の金額をもとに税額表で求める仕組みだからです。国税庁の令和8年分の源泉徴収税額表でも、まず給与等から社会保険料等を控除した金額を求める手順が示されています。5

そのため、支援金を控除項目として登録していても、社会保険料等控除後の給与に反映されない設定になっていると、毎月の源泉所得税が意図せず変わる可能性があります。給与ソフトでは、控除項目名だけでなく、税計算上の分類まで見る必要があります。たとえば、表示名は子ども・子育て支援金でも、内部設定が任意控除になっていれば、源泉所得税計算や年末調整の集計から外れることがあります。

就業規則と給与明細の見直しどころ

法定控除と任意控除の違い

就業規則や賃金規程で悩みやすいのは、支援金を新しく給与から差し引くために、賃金控除に関する労使協定を作り直す必要があるのかという点です。賃金は全額払いが原則ですが、労働局の資料では、所得税、住民税、社会保険料の本人負担分など法令に別段の定めがある場合や、賃金控除に関する協定がある場合には控除できると説明されています。6

子ども・子育て支援金は、医療保険料とあわせて徴収される法定の負担です。したがって、社宅費や親睦会費のような任意控除とは性質が違います。ただし、賃金規程に控除項目を細かく列挙している会社では、文言が古いままだと従業員から見て分かりにくくなります。規程を直す目的は、控除の根拠を新しく作ることではなく、説明のずれをなくすことです。

説明に役立つ給与明細の内訳表示

給与明細では、支援金を健康保険料に含めて表示する方法と、健康保険料とは別に内訳として表示する方法があります。こども家庭庁の事業主向けリーフレットでは、給与明細で支援金額を内訳として示すことは法令上の義務ではないとしつつ、制度の趣旨を踏まえて、給与明細に内訳を記載する取り組みへの理解と協力を求めています。7

実務では、内訳表示をしたほうが問い合わせは減りやすくなります。たとえば、従業員から手取りが少し減った理由を聞かれたとき、健康保険料が上がっただけに見える明細より、支援金が新設されたことが分かる明細のほうが説明しやすいです。一方で、表示項目を増やすと、給与ソフトの帳票設定、明細の幅、Web明細(画面で確認する給与明細)のレイアウトも変わります。明細表示は義務かどうかだけで決めず、問い合わせ対応まで含めて判断すると実務に合います。

育児介護休業規程との整合確認

休業中の免除と届出の流れ

育児介護休業規程は、支援金制度だけで全面改定するものではありません。ただし、休業中の保険料免除と給与計算の流れは一緒に確認しておく価値があります。こども家庭庁のよくある質問では、企業の従業員について、育児休業中は医療保険料や厚生年金保険料と同様に支援金も免除されると示されています。2

日本年金機構も、育児休業等期間中の健康保険、厚生年金保険の保険料について、事業主が年金事務所に申し出ることで、被保険者と事業主の両方の負担が免除されると説明しています。8 支援金も同じ流れで扱うなら、給与計算では休業開始月、終了月、賞与支給月の設定確認が重要になります。規程本文、社内申請書、給与計算チェックリストの3つが別々の表現になっていないかを見ておくと、休業者の処理で迷いにくくなります。

2025年改正と合わせた規程確認

育児介護休業規程を確認するなら、支援金制度だけでなく、すでに始まっている育児、介護関連の改正も合わせて見たほうが効率的です。厚生労働省は、育児休業等給付として、出生時育児休業給付金、育児休業給付金に加え、出生後休業支援給付金、育児時短就業給付金が支給されると案内しています。出生後休業支援給付金と育児時短就業給付金には、子ども・子育て支援金が充てられることも示されています。9

また、育児・介護休業法は2025年4月から段階的に改正され、子の看護休暇の見直し、所定外労働の制限の対象拡大、介護離職防止のための個別周知や意向確認、2025年10月施行の柔軟な働き方を実現するための措置などが案内されています。厚生労働省の資料では、複数の項目で就業規則等の見直しが示されています。10 支援金の控除だけを別作業にせず、給与計算、給付案内、休業規程を一つの法改正対応として管理するほうが、従業員への説明もそろいます。

実務で確認すべきこと

Excelや手計算時の注意事項

ここまでを実務に落とすと、確認すべきことは多く見えますが、優先順位ははっきりしています。まずは毎月の給与計算ミスを防ぎ、次に年末調整用の集計、最後に規程と説明文を整えます。Excelや手計算が残っている会社では、特に次の項目を見てください。

  • 支援金率0.23%を本人負担率として二重に扱っていないか
  • 標準報酬月額ではなく実支給額に掛けていないか
  • 賞与の支援金を月例給与だけの設定に置き忘れていないか
  • 社会保険料集計、源泉所得税、年末調整データに連動しているか
  • 育休中や産休中の免除対象者に控除が残っていないか

この確認は、担当者だけで完結させないほうが安全です。給与計算担当者、人事労務担当者、経理担当者が同じテスト給与を見て、控除額、会社負担、明細表示、会計仕訳まで確認します。金額が小さい制度ほど、最初の設定を見落とすと、全員分の差額修正という手間に変わります。

社内説明に入れるべき範囲

従業員向けの説明では、制度論を長く書くより、給与明細で何が変わるかを先に伝えるほうが伝わります。具体的には、令和8年4月保険料分から始まること、5月給与から控除されること、本人と会社が基本的に折半すること、賞与にもかかること、育児休業中などは医療保険料等と同様に免除されることを短く示します。子どもの有無で対象を分ける制度ではないことも、問い合わせが多そうなら加えておくとよいです。

最後に残るのは、規程の思想です。控除できるかどうかだけを追うと、条文はつぎはぎになりがちです。賃金規程では、法令に基づく社会保険料等を控除できるという広い表現にするのか、支援金を個別に列挙するのかを決めます。育児介護休業規程では、休業、短時間勤務、給付、保険料免除の説明が従業員にとってつながって見えるかを確認します。今回の対応で本当に整えるべきなのは、支援金という新項目ではなく、給与と休業に関する社内ルール全体の分かりやすさです。

出典・参考資料

  1. 「子ども・子育て支援金制度について」こども家庭庁 ↩

  2. 「子ども・子育て支援金制度のQ&A」こども家庭庁 ↩

  3. 「No.1130 社会保険料控除」国税庁 ↩

  4. 「手取り額の変化について|社会保険適用拡大特設サイト」厚生労働省 ↩

  5. 「給与所得の源泉徴収税額表(令和 8 年分) (一)」国税庁 ↩

  6. 「賃金支払いに関する事項のあらまし」群馬労働局 ↩

  7. 「リーフレット(事業主)」こども家庭庁 ↩

  8. 「厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)」日本年金機構 ↩

  9. 「育児休業等給付について」厚生労働省 ↩

  10. 「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」厚生労働省 ↩

執筆者:補助金フラッシュ 士業編集部

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更新日:2026年5月12日
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執筆者
補助金フラッシュ 士業編集部
公開日: 2026年5月3日
更新日: 2026年5月21日

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