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憲法改正の手続きはどう進む? 発議から国民投票までの流れと誤解しやすい点

憲法改正のニュースで出る発議や国民投票は、どこで何が決まるのか。国会での原案審査から投票、公布までの流れを、誤解しやすい点にしぼって整理します。

補助金フラッシュ 士業編集部公開日: 2026年5月23日
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目次

  • 憲法改正の手続きの全体像
  • 発議までに国会で起きること
  • 国民投票で問われること
  • 発議後の広報と投票運動のルール
  • 誤解しやすい判断ポイント
  • まとめ
補助金フラッシュ 事業計画

憲法改正のニュースでは、衆参で3分の2、発議、国民投票の過半数といった言葉がよく出てきます。けれども、どの段階で何が決まり、どこから国民の判断に移るのかは、意外と混同されやすい部分です。
大事なのは、国会の3分の2は改正の決定ではなく、国民に提案するための条件だということです。国会で発議されても、その時点で憲法が変わるわけではありません。
この記事では、憲法改正の手続きを、発議前の国会内の流れから国民投票、公布までの順番に沿って整理します。ニュースを見るときに、いま議論されているのがどの段階なのかを確認できるようにするための記事です。

目次

  • ●憲法改正の手続きの全体像
  • 発議は改正の決定ではなく国民への提案
  • 国政選挙と同時とは限らない投票日
  • ●発議までに国会で起きること
  • 憲法改正原案の提出と憲法審査会の審査
  • 両院それぞれで必要な総議員の3分の2以上
  • ●国民投票で問われること
  • 案ごとに一人一票という仕組み
  • 過半数の分母に含まれる票
  • ●発議後の広報と投票運動のルール
  • 国民投票広報協議会の役割
  • 賛成と反対の運動で注意したい点
  • ●誤解しやすい判断ポイント
  • 議席数だけでは読めない発議の現実
  • 一括改正ではなく関連事項ごとの発議
  • ●まとめ
憲法改正の手続きはどう進む? 発議から国民投票までの流れと誤解しやすい点

憲法改正の手続きの全体像

発議は改正の決定ではなく国民への提案

憲法改正の手続きは、大きく見ると国会の段階と国民投票の段階に分かれます。日本国憲法96条は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で国会が発議し、国民に提案して承認を得ることを定めています。承認には、国民投票などで過半数の賛成が必要です。1

ここで誤解しやすいのは、衆議院と参議院で3分の2を取れば、それだけで憲法が変わるわけではないということです。国会でできるのは、あくまで国民に対して改正案を提示するところまでです。最終的に承認するかどうかは、投票する国民の判断に委ねられます。

段階何が起きるか読み取るポイント
憲法改正原案国会議員が原案を出し、審査が始まるまだ国民投票にかかる案ではない
憲法改正の発議衆参両院で総議員の3分の2以上が賛成国民への正式な提案になる
国民投票投票総数の2分の1を超える賛成が必要国民の承認がなければ改正されない
公布承認後、天皇が国民の名で公布憲法と一体のものとして扱われる

この表で特に見ておきたいのは、国会の段階と国民投票の段階が分かれていることです。国会の賛成は、国民に改正案を問うための入口です。国民投票は、その提案を受け入れるかどうかを決める出口にあたります。

国政選挙と同時とは限らない投票日

もう1つ押さえたいのは、国民投票の日程です。憲法96条には、特別の国民投票または国会の定める選挙の際に行われる投票という考え方が置かれています。ただし、現行の制度説明では、憲法改正の発議をした日から60日以後180日以内に、国会が議決した期日に国民投票が行われるとされています。2

つまり、国民投票が常に国政選挙と同じ日に行われると決まっているわけではありません。選挙と同じ日に行われる可能性を語ることはできますが、制度の基本は、発議後の一定期間内に国会が投票日を決める流れです。日程の見方を間違えると、選挙情勢だけで手続き全体を理解した気になってしまいます。

この章の要点

発議は国会が改正案を国民に示す段階です。国民投票で承認されるまで、憲法は改正されません。

発議までに国会で起きること

憲法改正原案の提出と憲法審査会の審査

憲法改正は、いきなり国民投票にかけられるわけではありません。まず、国会議員が憲法改正案の原案を提案します。政府広報オンラインの説明では、法律で定める一定数として、衆議院では100人以上、参議院では50人以上の国会議員の賛成により、憲法改正原案が発議されるとされています。2

その後、衆議院と参議院のそれぞれで、憲法審査会が審査します。憲法審査会は、日本国憲法や憲法に関係する基本法制を調査し、憲法改正原案などを審査する場です。ここで議論、修正、合意形成が進まなければ、本会議での可決にはつながりません。

なお、発議という言葉は、場面によって少し意味が変わります。議員が原案を出す段階では憲法改正原案の発議と呼ばれ、両院で可決して国民に提案する段階では憲法改正の発議と呼ばれます。ニュースを読むときは、どちらの発議を指しているのかを確認すると、議論がどこまで進んでいるかをつかみやすくなります。

両院それぞれで必要な総議員の3分の2以上

本会議では、衆議院と参議院の両方で、それぞれ総議員の3分の2以上の賛成が必要です。ここでいう総議員は、出席した議員だけを分母にする考え方ではありません。単にその場にいる議員の多数で足りる通常の採決よりも、かなり高いハードルになります。1

このため、賛成派が出席者の多さだけを頼りに発議へ進めるわけではありません。欠席や棄権が多い場合でも、総議員を基準に3分の2以上の賛成が必要です。ここが、通常の多数決と憲法改正手続きの大きな違いです。

この仕組みは、憲法を通常の法律よりも変えにくくするためのものです。法律は社会の変化に応じて比較的柔軟に改正されますが、憲法は国の基本ルールです。そのため、発議の段階でも、与党だけでなく広い範囲の議員の合意が求められる設計になっています。

この章の要点

発議前には、原案の提出、憲法審査会の審査、本会議の可決が必要です。衆参それぞれで総議員の3分の2以上を満たす必要があります。

国民投票で問われること

案ごとに一人一票という仕組み

国民投票では、憲法改正案ごとに一人一票を投じます。政府広報オンラインは、投票用紙には賛成と反対の文字が印刷され、どちらかを丸で囲んで投票すると説明しています。期日前投票、不在者投票、在外投票も認められています。2

この案ごとという点は重要です。国会法では、憲法改正原案は、内容において関連する事項ごとに区分して個別に発議するものとされています。3 そのため、全く別のテーマを何でも一つにまとめ、まとめて賛否を迫る設計ではありません。ただし、どこまでを関連する事項と見るかは、実際の案の作り方によって論点になり得ます。

たとえば、ある改正案に賛成でも、別の改正案には反対という人は当然います。だからこそ、国民投票では、どの条文をどう変える案なのかを一つずつ見る必要があります。憲法改正という大きな言葉だけで賛否を決めると、実際に投票で問われる内容を見落としやすくなります。

過半数の分母に含まれる票

国民投票で承認されるには、賛成の投票数が投票総数の2分の1を超える必要があります。政府広報オンラインは、この投票総数を、賛成の投票数と反対の投票数を合計した数として説明しています。2 つまり、有権者全体の過半数ではなく、賛成票と反対票の合計を分母にした過半数です。

この違いは、ニュースを読むときにかなり大事です。たとえば、投票率が低い場合でも、制度上は賛成票が反対票との合計の過半数を超えれば承認の方向に進みます。一方で、政治的な納得感や正統性については、投票率や投票運動のあり方も議論の対象になります。

制度上の承認要件と、社会的な納得感は分けて考える必要があります。投票結果を見るときは、賛成票の数だけでなく、投票率や反対票の規模もあわせて確認すると、社会的な受け止め方を考えやすくなります。

この章の要点

国民投票では、改正案ごとに賛成か反対かを投票します。賛成票が賛成票と反対票の合計の過半数を超えると承認されます。

発議後の広報と投票運動のルール

国民投票広報協議会の役割

国会が憲法改正を発議すると、投票日までの間に、国民が案の内容を知るための広報が行われます。政府広報オンラインは、国民投票広報協議会が設置され、憲法改正案の内容、賛成と反対の意見、参考情報を掲載した国民投票公報の原稿作成などを行うと説明しています。2

この仕組みがあるのは、国民投票が単なる人気投票ではないからです。投票する人は、どの条文がどのように変わるのか、その結果として国や暮らしのルールがどう変わり得るのかを見て判断します。投票日だけでなく、発議後の情報提供の期間も手続きの一部と考えると、ニュースの見方が少し変わります。

発議後の期間に見るべきなのは、賛成派と反対派の勢いだけではありません。改正案の文章そのもの、国民投票公報で示される賛否の意見、複数の専門家や報道機関の説明を見比べることが大切です。制度の中身を理解するには、賛成側の主張だけでも、反対側の主張だけでも足りません。

賛成と反対の運動で注意したい点

国民投票では、賛成または反対の投票をするよう勧誘する国民投票運動も行われます。現行法では、憲法改正国民投票の具体的な投票手続、投票運動、結果の告示などが定められています。4 政党や団体だけでなく、個人も一定のルールのもとで意思表示や呼びかけを行うことが想定されています。

ただし、情報が多いほど、判断が簡単になるとは限りません。賛成側も反対側も、自分たちに有利な点を強く打ち出すため、改正案の全文、政府や国会が示す広報、複数の立場からの説明を照らし合わせる必要があります。読者にとって重要なのは、賛否の結論を急ぐことではなく、まず改正案の中身と投票で問われる単位を確認することです。

この章の要点

発議後は、案の内容と賛否両方の意見が広報されます。投票前には、条文の変更点と反対意見も見比べることが大切です。

誤解しやすい判断ポイント

議席数だけでは読めない発議の現実

憲法改正をめぐる報道では、どの政党を足すと3分の2に届くかが注目されます。もちろん、議席数は発議の前提です。けれども、議席数だけで発議が実現すると見るのは早すぎます。

理由は、改正案の中身について合意が必要になるからです。同じように改正に前向きとされる政党や議員でも、緊急事態、参議院の合区解消、自衛隊の位置づけ、教育、統治機構など、重視するテーマは異なります。3分の2に近い議席があることと、同じ改正案に3分の2が賛成することは別問題です。

この違いを見落とすと、改憲勢力が3分の2に届くかどうかだけで、憲法改正の成否を判断してしまいます。実際には、どの条文をどう変えるのか、どの政党がどこまで同じ案に合意できるのか、国民投票で説明し切れる内容になっているのかまで見なければなりません。

一括改正ではなく関連事項ごとの発議

もう1つの誤解は、国会で多数派ができれば、憲法全体を一気に変えられるという見方です。制度上は、憲法改正原案を内容において関連する事項ごとに区分して個別に発議することが前提とされています。3 そのため、国民投票でも、どの案に賛成し、どの案に反対するかを分けて考える余地があります。

ただし、ここで安心し切るのも適切ではありません。関連する事項というくくり方が広ければ、複数の内容が1つの改正案の中に入る可能性はあります。だからこそ、賛否を考える前に、改正案がどの条文をどう変え、複数の論点をどの範囲でまとめているのかを確認することが大切です。

ニュースを見るときは、憲法改正という大きなラベルだけで判断せず、投票で問われる具体的な改正案まで降りて確認する必要があります。抽象的な賛成反対よりも、実際の条文変更と投票単位を見るほうが、判断材料としては役立ちます。

この章の要点

議席数だけで発議や成立は決まりません。政党間で同じ改正案に合意できるか、案がどう区分されるかも確認が必要です。

まとめ

憲法改正の手続きは、国会だけでも国民投票だけでも完結しません。衆参両院で総議員の3分の2以上の賛成を得て発議し、国民投票で投票総数の2分の1を超える賛成を得て、初めて承認に進みます。国会の多数派は重要ですが、そこで終わりではありません。

ニュースを見るときは、次の順番で確認すると、議論の位置づけを見誤りにくくなります。

  • いま話題になっているのは、原案の段階か、発議後の段階か
  • 衆議院と参議院の両方で、総議員の3分の2以上に届く見込みがあるか
  • 改正案は、関連する事項ごとにどう区分されているか
  • 国民投票では、賛成票と反対票の合計を分母にした過半数を超えるか

憲法改正への賛否は、立場によって大きく分かれます。ただ、手続きを正確に見るだけでも、過度な楽観や過度な不安から距離を置けます。まずは、発議は国民への提案であり、国民投票は案ごとに最終判断を下す場だと押さえることが、ニュースを読むための出発点になります。

出典・参考資料

  1. 「日本国憲法」e-Gov法令検索 ↩

  2. 「国民投票法って何だろう?」政府広報オンライン ↩

  3. 「国会法:関係法規等:参議院」参議院 ↩

  4. 「日本国憲法の改正手続に関する法律 抄」e-Gov法令検索 ↩

執筆者:補助金フラッシュ 士業編集部

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執筆者
補助金フラッシュ 士業編集部
公開日: 2026年5月23日

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