ユニクロを展開するファーストリテイリングの2026年2月中間決算は、売上も利益も過去最高となりました。数字だけを見ると好決算ですが、読みどころは単に売れたことではありません。
一番のポイントは、国内ユニクロだけでなく、海外ユニクロが売上と利益の中心になりつつあることです。さらに、冬物だけに頼らない通年商品(季節を問わず販売しやすい商品)の販売が、地域をまたいで伸びています。
この記事では、2026年8月期第2四半期、つまり2025年9月から2026年2月までの中間決算を、売上、利益、地域別業績の順に読み解きます。

まず押さえたい、中間決算の全体像
売上と営業利益の伸び
ファーストリテイリングの2026年8月期中間期は、2025年9月1日から2026年2月28日までの6か月です。この期間の売上収益(会計上の売上高に近い数字)は2兆552億円、前年同期比14.8%増でした。営業利益は4,006億円、同31.7%増です。親会社の所有者に帰属する中間利益も2,792億円、同19.6%増となりました。1
ここで大切なのは、売上の伸びより利益の伸びが大きいことです。売上が14.8%増えた一方で、営業利益は31.7%増えました。つまり、単に店舗を増やして売上を積み上げただけではなく、売上から利益を残す力も強くなったと読めます。
もう一つ、序盤で押さえたい数字があります。海外ユニクロ事業の売上収益は1兆2,413億円、国内ユニクロ事業は5,817億円でした。海外ユニクロの売上は、国内ユニクロの2倍を超えています。ユニクロは日本のブランドですが、今回の決算を見る限り、成長の主役はかなり海外側に移っています。1
事業利益と営業利益の見分け方
決算を見ると、事業利益と営業利益という似た言葉が出てきます。初心者が混乱しやすい部分なので、ここは分けて考えると読みやすくなります。事業利益は、売上収益から売上原価と販売費及び一般管理費を引いた利益です。商品を仕入れ、売場や人件費を使って販売した結果、どれだけ利益が残ったかを見る指標です。2
一方、営業利益は事業利益にその他収益やその他費用を加えた数字です。2026年8月期中間期は、為替差益などによりその他収益とその他費用が差し引きでプラスになり、営業利益が事業利益を上回りました。事業そのものの稼ぐ力を見るなら事業利益、会計上の営業成績全体を見るなら営業利益、という順番で読むと整理しやすくなります。3
今回の主役は海外ユニクロです。売上だけでなく、利益を残す力も強くなりました。
海外ユニクロが主役になった理由
国内の2倍を超える売上規模
ユニクロの地域別業績を見ると、海外の存在感がはっきりします。決算短信では、売上収益を顧客の所在地を基準に分類しています。つまり、どの地域の顧客に売ったかで分けている数字です。製造国や本社所在地で分けたものではありません。なお、グレーターチャイナは中国大陸、香港、台湾を指します。
2026年8月中間期のユニクロ事業の地域別売上収益を、前年同期と比べると次のようになります。金額は百万円単位の開示を億円に丸め、前年同期比は開示値をもとに計算しています。2
| 地域 | 売上収益 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 日本 | 約5,817億円 | 7.4%増 |
| グレーターチャイナ | 約3,878億円 | 7.2%増 |
| 韓国、東南アジア、インド、豪州 | 約4,091億円 | 27.6%増 |
| 北米 | 約1,776億円 | 29.3%増 |
| 欧州 | 約2,670億円 | 37.2%増 |
この表で注目したいのは、海外の中でも伸び方に差があることです。グレーターチャイナも増収ですが、伸び率では欧州、北米、韓国、東南アジア、インド、豪州の勢いが目立ちます。会社側も、韓国、東南アジア、インド、豪州、北米、欧州は2桁の増収増益が続いていると説明しています。1
北米と欧州が伸びる意味
北米と欧州の伸びは、単に店舗数が増えたというだけでは読めません。ファーストリテイリングは、海外で旗艦店や大型店を軸にユニクロの存在感を高めていると説明しています。旗艦店とは、ブランドを代表する大型店舗のことです。買い物の場であると同時に、ブランドを知ってもらう広告塔の役割も持ちます。
ここで重要なのは、北米と欧州が成長しても、利益率が悪化していないことです。海外ユニクロ事業の事業利益は2,330億円、前年同期比37.4%増でした。売上収益の伸びは22.4%なので、利益の伸びのほうが大きくなっています。海外で売上を増やしながら、利益率も改善している点が、今回の決算を強く見せています。1
海外は売上規模だけでなく伸び率も高く、北米と欧州の成長が全体を押し上げています。
通年商品が利益を押し上げた仕組み
冬物依存を下げる商品構成
アパレル企業の業績は、気温に左右されやすい面があります。冬が暖かければダウンやヒートテックの販売が伸びにくく、寒くなれば一気に需要が出ます。今回の国内ユニクロでも、12月は気温が高く推移し、冬物商品の需要が高まりにくかったと説明されています。3
ただし、2026年8月中間決算で見逃せないのは、冬物だけでなく通年商品が売上を支えたことです。ここでいう通年商品とは、特定の季節だけでなく、年間を通じて売りやすい商品のことです。ファーストリテイリングは、スウェットやボトムスなどの通年商品が売上をけん引したと説明しています。海外でも、冬物商品に加え、通年商品の訴求を強化したことで販売が好調だったとしています。1
この意味は大きいです。冬物に頼りすぎると、暖冬や販売時期のずれで売上がぶれます。通年商品が強くなると、気温の影響を受けにくい売上の土台ができます。例えば、スウェットやパンツが複数の地域で安定して売れれば、季節商品の当たり外れだけで業績が大きく動きにくくなります。
粗利益率と販管費率の改善
利益率の改善を見るときは、粗利益率と販管費率を分けると理解しやすくなります。粗利益率は、売上から商品の原価を引いた利益の割合です。販管費率は、人件費、家賃、広告宣伝費、物流費など、販売や運営にかかる費用が売上に対してどれくらいかを示す割合です。
海外ユニクロ事業では、売上総利益率が56.3%と前年同期比1.1ポイント改善し、販管費比率は37.5%と1.0ポイント改善しました。その結果、事業利益率は18.8%となり、2.1ポイント改善しています。国内ユニクロ事業の事業利益率は19.0%なので、海外ユニクロは規模だけでなく、利益率でも国内に近い水準になっています。3
この数字は、海外展開の見方を変えます。海外事業は成長投資の段階では、店舗を増やしても利益が残りにくいことがあります。しかし今回の海外ユニクロは、売上を増やしながら費用比率も下げています。成長のために費用を使っているだけでなく、販売効率が上がっていると読めます。
通年商品が強くなると、気温に左右されにくくなり、利益率の改善を後押しします。
まとめ
売上だけでなく利益の質
2026年8月中間決算から読み取れる結論は、ユニクロの成長が国内中心から海外中心へ進み、しかも利益率を伴った成長になっていることです。連結では売上収益2兆552億円、営業利益4,006億円と過去最高でしたが、重要なのはその中身です。海外ユニクロの売上は国内ユニクロの2倍を超え、事業利益率も国内に近い水準まで高まっています。
通期業績予想も上方修正されました。会社は2026年8月期通期で、売上収益3兆9,000億円、事業利益6,900億円、営業利益7,000億円、親会社の所有者に帰属する当期利益4,800億円を見込んでいます。中間決算の強さが、一時的な上振れではなく、通期見通しにも反映された形です。1
次に確認したい指標
今回のような決算を見るときは、売上の大きさだけで判断しないことが大切です。特にユニクロのように世界で展開する企業では、売上がどの地域で伸びたのか、利益率が改善しているのか、商品構成が安定しているのかを順番に確認すると、決算の意味が見えやすくなります。
次に同社の決算を読むときは、次の順番で確認すると判断しやすくなります。
- 連結の売上収益と営業利益が、前年同期比でどれだけ伸びたか
- 国内ユニクロと海外ユニクロの売上規模、利益率の差がどう変わったか
- 北米、欧州、アジア各地域の売上構成比がどう動いたか
- 通年商品が売上を支え、粗利益率と販管費率が改善しているか
ユニクロの2026年8月中間決算は、好調な数字が並んだ決算でした。ただし、読みどころは数字の大きさそのものではありません。海外で売れ、通年商品が支え、利益率が改善した。この3つを押さえると、今回の決算がなぜ強いのかが見えてきます。
出典・参考資料
執筆者:補助金フラッシュ 士業編集部
補助金・助成金の活用法からAI導入、業務の生産性向上まで、中小企業の経営に役立つ情報を士業の専門家チームがわかりやすく解説します。
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