大きな地震が立て続けに伝えられると、どの情報を信じ、何から備えるべきか迷います。長野県北部の地震と三陸沖の地震は、同じ震度5クラスでも、見ておくべきリスクが違います。
大事なのは、内陸の揺れ、沿岸の津波、後発地震への注意を分けて、今日できる備えに落とし込むことです。数字の読み方から、家庭や職場で確認したいことまで、順番に見ていきましょう。

まず確認したい長野と三陸沖の概要
長野は津波ではなく斜面と住宅被害
ニュースでは、マグニチュードと震度が並んで表示されます。マグニチュードは地震そのものの規模、震度は各地で実際にどれだけ揺れたかを示す数字です。今回のように、長野はマグニチュード5.0でも震度5強、三陸沖はマグニチュード7.7で震度5強というように、同じ震度でも地震の性質は大きく違います。
長野県北部では、2026年4月18日13時20分にマグニチュード5.0の地震が発生し、大町市で最大震度5強を観測しました。気象庁は、この地震について津波の心配はない一方、揺れの強かった地域では落石や崖崩れに注意するよう呼びかけています。約1時間半後の14時54分ごろにも最大震度5弱の地震があり、長野市と大町市で強い揺れが観測されました。12
ここで押さえたいのは、海から離れた地域の地震でも、被害の中心は建物と地盤に出やすいということです。海辺の津波避難とは違い、山あいでは、揺れた後の斜面、石垣、道路のり面、古い建物の損傷を見ます。自宅や職場が無事に見えても、雨が降ったときに斜面の危険が高まることがあります。
三陸沖は揺れと津波が同時に問題化
三陸沖では、2026年4月20日16時52分にマグニチュード7.7の地震が発生しました。震源は宮古の東およそ100km付近、深さ19kmの暫定値で、青森県階上町で最大震度5強を観測しています。気象庁の資料では、プレート境界で起きた逆断層型の地震とされています。3
この地震では、北海道太平洋沿岸中部、青森県太平洋沿岸、岩手県に津波警報が出されました。その後、発表されていた注意報は同日23時45分に全て解除されています。消防庁の速報では、人的被害は重傷2人、軽傷8人の計10人で、火災や重要施設の被害報告はありませんでした。4 ここまでで、長野は斜面と住宅、三陸沖は津波と広域避難を重ねて見る必要があることが分かります。次に、今回とくに注目された後発地震注意情報を確認します。
後発地震注意情報はどこまで重く受け止めるべきか?
予知ではなく備えを前倒しする合図
三陸沖の地震を受け、気象庁は同日19時30分に北海道・三陸沖後発地震注意情報を発表しました。後発地震とは、先に起きた地震の後に続いて起こる地震のことです。この情報は、根室沖から三陸沖にかけての巨大地震の想定震源域や、その周辺に影響を与える場所でモーメントマグニチュード7.0以上の地震が起きたときに発表されます。今回の地震は、通常のマグニチュードでは7.7、断層のずれの規模を精査したモーメントマグニチュードでは7.4とされ、基準を満たしました。56
この情報を、巨大地震が必ず来るという知らせとして読むと、受け止め方を誤ります。気象庁と内閣府が伝えている趣旨は、発生可能性が平常時より相対的に高まったため、備えを前倒しするというものです。つまり、通常の生活をすべて止める情報ではなく、避難場所、連絡手段、家具の固定、非常持出品をすぐ確認するための合図です。
約1%でも無視しにくい理由
意外に見落とされやすいのが、確率の低さと意味の大きさが同時に存在することです。内閣府と気象庁の資料では、世界の事例として、1904年から2021年までのモーメントマグニチュード7.0以上の地震1,529事例のうち、500km以内で7日以内にモーメントマグニチュード7.8以上の後発地震が起きたのは19事例、つまり約1%と示されています。同時に、平常時の十倍程度の頻度とも説明されています。6
約1%は高い数字ではありません。ただし、起きた場合の被害が大きいため、低確率だから何もしないではなく、低確率でも備えを薄くしないと考える方が現実的です。政府としての特別な注意の呼び掛けは4月27日17時で終了しましたが、終了は安全宣言ではありません。内閣府と気象庁も、期間が終わっても大規模地震発生の可能性がなくなったわけではないと説明しています。7
もう一つ大切なのは、注意情報が出ていない時期でも大きな地震は起こり得るということです。注意情報は、危険がある時期を完全に囲い込むものではありません。普段の備えを底上げしておき、情報が出たときだけ少し早く点検する、という使い方が現実的です。
ここまでで注意情報の位置づけが見えました。次は、実際の被害状況から見える違いを見ます。
被害状況から見える2つの違い
長野は一部破損104棟と土砂への注意
消防庁の第8報では、長野県北部の地震について、住家被害として一部破損104棟が計上されています。人的被害欄には人数が計上されておらず、長野県の警戒対策本部や消防庁の災害対策本部は4月27日に廃止されています。2 数字だけを見ると大規模な人的被害ではありませんが、一部破損の家が多数あることは、生活の安全確認がしばらく必要だったことを示します。
さらに国土交通省は、長野県で最大震度5強を観測した地域について、地震で地盤が弱くなっている可能性を考慮し、大町市で土砂災害警戒情報の発表基準を通常より低い8割に下げて運用すると発表しました。8 揺れが収まった後に、雨が次の危険を引き出すことがあります。屋根や壁のひびだけでなく、裏山、石積み、通勤路の斜面も確認対象になります。
三陸沖は人的被害10人と避難解除後の課題
三陸沖の地震では、消防庁第13報で人的被害10人が計上されました。内訳は重傷2人、軽傷8人です。住家被害の欄は計上がなく、火災や重要施設の被害報告もありませんでした。4 ただし、津波警報が出た地震では、被害の大きさを死傷者や建物数だけで判断しない方がよいです。避難指示、港湾や漁業施設の確認、海沿いの移動制限など、見えにくい影響が重なります。
三陸沖で重要なのは、津波警報や注意報が解除された後も、すぐに平時の感覚へ戻らないことです。海辺の事業者なら、従業員の安否確認だけでなく、出入口、避難経路、夜間や早朝の避難手順を見直す必要があります。家庭でも、海岸や川沿いにいるときの動きは、家にいるときの地震対応とは別に考える必要があります。被害状況の違いが分かったところで、余震と津波リスクの見方を整理します。
余震と津波リスクの見方
内陸では揺れた後の雨もリスク
余震という言葉を聞くと、次の揺れだけを想像しがちです。しかし内陸の地震では、次の揺れに加えて、すでに傷んだ建物や地盤が問題になります。気象庁は、大きな地震で強い揺れとなった地域では、続く地震活動による家屋の倒壊、落石、崖崩れなどが起きやすくなると説明しています。9
長野のような内陸地震では、家の中の落下物と、家の外の斜面を両方見ることが大切です。例えば、棚が倒れていなくても、固定具がゆるんでいれば次の揺れで倒れる可能性があります。外では、普段使っている道路の近くに崖や石垣がある場合、雨の後に通る道を変える判断も必要です。
沿岸では解除まで戻らない判断
三陸沖のような海域の地震では、津波リスクを切り離せません。気象庁は、津波警報や注意報を見聞きしたり、海辺で強い揺れや長くゆっくりした揺れを感じたりしたら、海辺から離れて、より高い安全な場所へ避難するよう呼びかけています。また、津波は繰り返し襲ってくるため、警報や注意報が解除されるまで避難を続ける必要があります。10
ここでの判断基準は、海の様子を見に行かないことです。避難の遅れを生む確認行動を減らすことが、津波では特に重要です。職場であれば、誰が最後に戸締まりをするかより、誰も海側へ戻らない仕組みを先に決めます。家庭であれば、子どもや高齢の家族がどこへ避難するかを、平時に地図と徒歩ルートで確認しておきます。では、今日何を確認すればよいのでしょうか。
今日確認したい家庭と職場の備え
避難より先に通路をふさがない準備
地震対策というと、非常食や水を思い浮かべる人が多いかもしれません。もちろん備蓄は大切ですが、強い揺れの直後に最初に問題になるのは、倒れた家具、割れたガラス、ふさがれた通路です。気象庁も、突然襲ってくる地震に備えるには、情報の理解、迅速な安全確保、日頃からの備えが重要だと説明しています。9
家庭や小規模な職場では、まず次の5項目を確認します。
- 寝室と出入口近くに倒れそうな家具を置いていないか
- 棚、冷蔵庫、コピー機などを固定しているか
- 懐中電灯、靴、薬、充電手段をすぐ取れる場所に置いているか
- 家族や従業員との連絡方法を1つに絞りすぎていないか
- 海岸や川沿いに行く予定がある場合、避難場所と避難経路を確認しているか
事業者にとっても、被害が小さく見える段階での確認が重要です。店舗ならガラス面、出入口、バックヤードの棚を点検し、事務所ならサーバーや書類棚の転倒防止を見直します。営業を続けるか一時的に止めるかの判断は、建物そのものだけでなく、通勤路や納品ルートの安全にも左右されます。
この確認は、特別な道具を買う前にもできます。倒れない、ふさがない、戻らないという3つに絞ると、家庭でも職場でも動きやすくなります。
1週間の注意を普段の習慣へ
今回の地震で学ぶべきことは、警報や注意情報が出た期間だけ身構えるのではなく、普段の備えを少し前倒しすることです。後発地震注意情報の特別な注意期間は終わっても、地震そのものは予定表どおりには起きません。沿岸では津波避難のルート、内陸では家具固定と斜面、職場では安否確認と出入口の安全を、それぞれ別の項目として点検します。
長野と三陸沖の地震は、どちらも震度5クラスとして一括りにされがちです。しかし、実際の備えは同じではありません。長野は揺れた後の建物と斜面、三陸沖は津波と後発地震への注意を分けて考える。そのうえで、今日の帰宅前、出張前、週末の外出前に、通路、連絡手段、避難先の3つを確認しておくことが、次の揺れへの現実的な備えになります。沿岸部へ出張する人、山沿いを車で通る人、古い建物で仕事をする人は、いつもの予定に避難先と迂回路の確認を一つ足すだけでも、判断の迷いを減らせます。
出典・参考資料
執筆者:補助金フラッシュ 士業編集部
補助金・助成金の活用法からAI導入、業務の生産性向上まで、中小企業の経営に役立つ情報を士業の専門家チームがわかりやすく解説します。
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