A-STEP実装支援(返済型)2025年度公募とは?JSTの返済型支援を要件・経費・手続きで整理

大学等の研究成果をもとに、スタートアップが製品・サービスの社会実装まで進めるための開発費を、JSTが返済型(貸付)で支援する制度がA-STEP実装支援(返済型)です。1
2025年度公募は通年で応募相談・選考を随時進める仕組みのため、締切に合わせた準備には早めの着手が欠かせません。1
本記事では、2025年度公募要領とe-Rad手順書を根拠に、対象要件、資金条件、対象経費、応募相談から申請までの流れを、申請前チェック表付きで整理します。12
あわせて、過去資料で見かけやすいNexTEP-A(旧称)との混同を避けるポイントもまとめます。3

項目内容
制度名(正式名称)研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)実装支援(返済型)
対象年度/公募回2025年度(令和7年度)公募(公募要領は2025年9月第二版)1
最終更新日2026年1月26日
所管/実施機関/事務局国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) スタートアップ・技術移転推進部 実装支援グループ1
支援の上限・条件開発費:開発期間累計で上限5億円(間接経費・再委託費含む)/開発期間:最長3年1
返済の考え方終了時の事後評価がS・A・B:JST支出開発費の全額返済/C:10%返済/開発中止:全額返済/返済期間:開発終了後10年以内1
申請期間(応募期間)2025年4月1日〜2026年3月31日 正午(通年で応募相談・選考を随時実施)1
公式一次資料(PDF/公式ページ)公募要領(PDF)1/募集概要(公式ページ)4/e-Rad手順(PDF)2/府省共通経費取扱区分表(PDF)5/間接経費の共通指針(PDF)6
免責要件・提出物・手続きは改定される場合があります。最終判断は公募要領とJSTの案内に従ってください。

ここから先は、2025年度公募の一次資料に沿って、申請判断と準備の順番が分かるように解説します。12

制度の位置づけと特徴

A-STEPと実装支援(返済型)の狙い

A-STEPは、大学・公的研究機関等で生まれた研究成果の実用化を通じて、研究成果の社会還元を目指す技術移転支援プログラムです。1
そのうち実装支援(返済型)は、大学等の研究成果(技術シーズ)の社会実装を目指すスタートアップ等を対象に、革新的な製品・サービス創出に向けた実用化開発を、開発費の貸付で支援します。1

分野は特定せず広く対象に入りますが、医療分野は対象外です。1
検討中のテーマが医療に該当するか判定が難しい場合は、応募相談の段階で論点を整理しておくと、手戻りを減らせます。1

補助金との違い(返済型の設計を理解する)

この制度は、交付型の補助金ではなく、開発費の貸付(返済型)です。1
開発終了後の事後評価によって返済額が変わり、S・A・B評価は全額返済、C評価は10%返済になります。1
一方で、開発中止の場合は全額返済になります。1

資金繰り面で重要なのは次の3点です。
(1) 開発開始時に、開発費総額の10%に相当する担保または保証の設定が必要です。1
(2) 返済期間は開発終了後10年以内で、返済額・返済期間はJSTと事前相談のうえ調整します。1
(3) 利息は発生しません。返済猶予も一定範囲で認められます。1

したがって、技術面だけでなく、担保・保証の用意、返済計画、資金繰り計画まで含めて、応募相談の時点から準備することが前提になります。1

支援内容(上限・期間・返済条件)

開発費の上限と開発期間

開発期間は最長3年間、開発費は開発期間累計で上限5億円(間接経費・再委託費を含む)です。1
また、応募相談・選考の過程で、開発実施計画の見直しに合わせて減額調整される場合があります。1

採択予定課題数は数件〜10件以内が目安です。1
通年で応募相談・選考を随時実施し、採否を判定する運用です。1

返済の考え方(終了・中止・返済期間)

終了時の返済は、事後評価の結果により変わります。評価はS・A・B・Cの4段階です。1
S・A・B評価は全額返済、C評価は10%返済です。1
開発中止は全額返済になります。1

返済期間は開発終了後10年以内です。1
利息は発生しません。返済猶予は最長3年の範囲で認められ、返済猶予期間は返済期間に含まれます。1
C評価の場合、支出した開発費の90%は返済不要となります。1

開発終了後には、開発実施報告書の提出と、評価委員会による事後評価が行われます(開発終了後3か月以内が目安)。1
さらに、開発終了後は年次報告の提出が求められ、提出期間は原則として開発終了年度の翌年度から10年経過するまで、または返済が完了するまでのいずれか遅い時点までです。1

開発開始時の担保または保証

開発開始時に、開発費総額の10%に相当する担保または保証を設定できることが応募要件の一部に入ります。1
担保は、預金、不動産、有価証券(国債、公共債、スタンダード・プライム市場の上場株式)です。保証は、親会社、銀行等の第三者(個人を除く)による保証です。1

担保・保証は、技術・事業計画の完成後に用意しようとすると間に合わないことがあります。応募相談の準備と並行して、社内外で設定可能性を確認するのが現実的です。1

対象者・応募要件(誰が、どんなテーマで応募できるか)

課題提案の要件(プロジェクトの前提条件)

課題提案は、次の要件をすべて満たす必要があります。1
要点は、(1) 大学等の技術シーズの社会実装を目指すこと、(2) 具体的な開発実施計画と明確な開発目標があること、(3) 開発開始時に担保または保証を設定できること、(4) 応募前に応募相談を行い、事業計画・返済計画・開発実施計画の妥当性についてJSTから確認を得ることです。1

応募相談の段階で、開発実施計画の見直しに合わせて開発費が減額調整される場合もあります。1

技術シーズの要件(大学等の知財が中核)

技術シーズは、大学等に所属する(または創出時に所属していた)研究者の発明等に基づく知的財産権で、大学等の職務発明と認定されたものが対象になります。1
権利者が企業か大学等かは問いません。特許は登録済だけでなく出願中でも該当します。1

また、応募時点で実用性が検証されている一方、まだ実用化(製品化・サービス化)されていない新技術であることが求められます。1
そして、開発実施企業がその技術シーズを利用する権利を有し、契約締結までに書面で示す必要があります。1

なお、採択した開発課題について、JSTは研究者名および所属機関名等を公表します。公表にあたっては、開発実施企業の責任で関係者の了承を得る必要があります。1

開発実施企業(課題提案者)の要件(スタートアップ等)

開発実施企業は、日本国内に法人格を有する民間企業で、中小企業基本法等に定める資本金基準または従業員基準のいずれかを満たす中小企業者に該当する必要があります。1
業種ごとの基準が定められているため、自社の主たる業種で確認します。1

加えて、原則として次の状態に該当しないことが求められます。直近3期の決算期で債務超過がある、直近3期の計算書類がない、破産・再生手続開始等の申立てを受けている(またはしている)などです。1
また、未上場であること、または新興市場のみに上場していることが必要です。1

さらに、課題提案が属する技術分野に関する研究開発の基盤を有することが要件に入ります。1

開発管理責任者の要件(代表権・居住・研究倫理教育)

開発管理責任者は、計画書作成、各種申請・報告、開発遂行のマネジメントなど、開発推進全般の責任を負います。1
所属は課題提案者(開発実施企業)で、開発期間中は日本国内に居住することが必要です。さらに、開発実施企業の代表権を持つ者であることが求められます。1

研究倫理教育に関するプログラムの修了も応募要件の一つです。未修了の場合の受講は、応募相談で妥当性確認ができた後でも構いませんが、応募申請時点で修了が確認できないと要件不備になります。1

応募相談が必須である理由

応募(e-Rad申請を含む)前にJSTへの応募相談が必須です。1
応募相談からJSTが確認を行い、応募可能となるまで2〜3か月程度かかることが想定されています。1
さらに、応募後に選考を経て採択・契約・開発開始まで3か月程度かかる想定です。1

応募相談では、企業から提供された情報・書類と打合せ内容を踏まえ、調査の過程で外部有識者ヒアリングやリファレンスも実施し、事業計画・返済計画・開発実施計画の妥当性を確認します。1
この確認が完了するまで、応募(e-Rad申請等)はできません。2

対象経費と経理の注意点(使える経費・使えない経費)

経費区分の全体像(直接経費・間接経費・再委託)

開発費は、大きく直接経費、間接経費、再委託費で構成します。1
経費の具体例や取扱は、府省共通経費取扱区分表が整理の起点になります。3

区分主な内容2025年度公募で押さえるポイント
直接経費開発に直接必要な費用(設備備品費、消耗品費、旅費、人件費・謝金、その他)1人件費・謝金は合算で直接経費総額の50%以内を目安とし、超過は事前にJST承認が必要です。1
間接経費直接経費に対して一定比率で手当される管理等の経費4上限は直接経費の30%です。共通指針に沿った運用が前提になります。14
再委託費大学等に作業を再委託する費用必要性が認められ、JST承認を得た場合に限ります。実用化開発の中核は再委託できません。1

この表は制度理解のための整理です。実際の計上可否は、公募要領・JST承認・契約条件に沿って判断します。1

直接経費のポイント(比率制限・消費税・人件費の扱い)

直接経費は、設備備品費、消耗品費、旅費、人件費・謝金、その他で構成します。1
人件費・謝金は、開発管理責任者および役員報酬の対象者は除外されます。1
また、人件費・謝金は合算で直接経費総額の50%以内が運用上の基準になり、超える場合は事前にJST承認が必要です。1

消費税については、開発費として計上できない扱いがあります。計上時点で誤ると、後から修正が難しくなるため、見積り段階から経理と開発側で突合しておくのが安全です。1

間接経費(上限30%)の考え方

間接経費は、直接経費の30%に当たる額が上限です。14
間接経費の目的・定義・使途・執行方法は、関係府省連絡会の共通指針が基準になります。4

企業が対象になる場合でも、間接経費は研究開発環境の改善や管理等に必要な経費として位置づけられています。直接経費として充当すべきものを間接経費に回す運用は避ける必要があります。4

再委託・外注(50%上限と中核業務の制限)

再委託は、必要性が認められ、JST承認を得た場合に限り実施できます。1
また、実用化開発の中核となる部分は再委託できません。再委託先が行う作業に関する責任は開発実施企業が負います。1

さらに、その他(外注等)と再委託費の合算が一定割合を超える場合は、事前にJST承認が必要です(基準は公募要領に明記)。1
計画段階で外注比率が高い場合は、社内実施体制の再構成や工程分割の見直しが必要になることがあります。1

採択後を見据えた実務上の注意点(証憑・内部統制)

採択後は、国費を財源とすることから、経済性・効率性・有効性・合規性・正確性に留意した適切な処理が求められます。年度末の予算消化を目的とした調達がないよう注意喚起もあります。1
応募時点から、経費の根拠(見積、契約、請求、支払、稼働実績)を一貫して説明できるよう、開発・経理・購買の役割分担を決めておくと、採択後の立ち上がりが速くなります。

応募から採択までの流れ(準備の順番が重要)

全体の時間感(締切より先に逆算する)

公募期間は2026年3月31日正午までですが、応募前の応募相談が必須で、相談から応募可能となるまで2〜3か月程度が見込まれます。1
応募後も採択・契約・開発開始まで3か月程度が見込まれます。1
このため、締切日だけを見て動くと間に合わないケースが出ます。提出したい時期から逆算し、まず応募相談の準備に着手します。1

応募相談で提出する主な書類(最初の関門)

応募相談時点で、企業概要、応募要件チェックリスト、開発実施計画の概要、事業計画、返済計画、直近3期分の計算書類等の提出が求められます(ヒアリング内容により追加・省略あり)。1
相談段階で計画の妥当性を確認するため、事業計画と返済計画は様式自由でも、数字の整合(売上計画・投資計画・返済原資)まで詰めておくことが重要です。1

提出物(応募相談)目的つまずきポイント先に用意する担当
企業概要(JST指定様式)1企業の実態・体制の確認最新の資本政策・株主構成が反映されていない経営・管理部門
応募要件チェックリスト(JST指定様式)1要件不備の事前排除業種区分と中小企業判定の取り違え管理部門・顧問
開発実施計画の概要(JST指定様式)1技術計画の入口確認技術課題が抽象的で検証方法がない開発責任者
事業計画(様式自由)1市場・競合・事業化戦略市場の定義が曖昧で売上根拠が弱い経営・事業
返済計画(様式自由)1返済可能性の確認返済原資の前提が実現困難経営・財務
直近3期分の計算書類等1財務基盤の確認債務超過・資料不足で要件を満たせない経理・財務

応募相談では、JSTが調査を行い、外部有識者ヒアリングやリファレンスも実施します。1
この調査に耐えられるよう、技術の再現性データ、権利関係の整理、取引先候補(評価・PoC先)の見込みなど、裏付け資料を揃えておくと説明が安定します。

e-Rad申請の要点(登録・容量・差替不可)

応募はe-Radを通じて行います。2
e-Rad申請に必要な事前登録として、所属機関の研究機関登録、開発管理責任者の研究者登録、研究インテグリティに係る情報登録が必要です。2
研究機関登録は日数を要する場合があるため、2週間以上の余裕を持つよう案内があります。2

申請時の実務上の注意点は次のとおりです。課題提案書はPDF形式のみで、1ファイル最大30MBです。2
申請内容に不備がある場合は選考対象になりません。課題提案書を含めた応募書類の差替えは認められません。2
提出はe-Rad申請(Web入力と課題提案書添付)に加えて、JST指定のオンラインストレージで提出する書類があります。2

選考の観点(審査で見られるポイントを先に組み込む)

選考の観点には、技術と事業の両面が入ります。以下は公募要領に記載された観点を、申請書の構成に落とし込むための整理です。1

観点申請書での示し方の例弱くなりやすい箇所
研究開発計画の実行可能性技術課題、解決策、検証データ、マイルストーン課題が抽象的、検証設計がない
知的財産・抵触リスク必要な権利の確保状況、他者権利への抵触可能性の低さ利用権限が未整理、FTOが未検討
ELSI等の対応必要な場合の対応方針を計画に組み込むリスク想定が抜ける
研究開発の基盤実施体制、設備の利用可能性、外注・再委託の統制体制が薄い、外注依存が高い
事業化の可能性ターゲット市場分析、優位性、リスクと対策、社会実装計画市場が広すぎる、販売戦略がない
過去実績既存プロジェクトの成果と、未達の場合の要因分析反映失敗の学びが書けない
財務・返済計画開発継続の財務基盤、返済可能性返済原資の説明が弱い

この制度は返済型であり、財務等の状況と返済計画が選考観点に含まれます。1
技術が強くても、返済可能性の説明が崩れると評価が落ちやすくなるため、財務計画と開発計画を別々に作らず、同じ前提で整合させることが重要です。1

採択後に始まる手続きの全体像(契約・評価・報告)

採択候補課題として選定された後は、開発実施計画書の作成などの調整を行い、契約手続きへ進みます。1
開発終了後は開発実施報告書を提出し、評価委員会による事後評価を経て、返済額が確定します。1
開発終了後の年次報告も一定期間続きます。1

採択後の経理・手続きの資料は、事務処理書類として別途整備されています。過去資料で企業主導フェーズ(NexTEP-Aタイプ)と呼ばれていた枠の書類は、企業主体(返済型)のページにまとめられています。5

過去資料で見かけるNexTEP-Aと混同しないために

名称の違いを整理する

過去の資料では、A-STEPの企業主導フェーズ(NexTEP-Aタイプ)という呼称が使われていました。現在、JSTの事務処理書類ページでは企業主体(返済型)の欄に、旧企業主導フェーズ(NexTEP-Aタイプ)と明記されています。5
一方、本記事で扱うのは、2025年度公募として公募要領が公開されているA-STEP実装支援(返済型)です。16

同じA-STEPの返済型でも、年度・メニューで対象者、上限、期間、提出物が変わることがあります。古い解説記事や書籍の数字を、そのまま現在の要件として扱うことは避け、対象年度の公募要領に立ち返るのが安全です。1

新旧で変わりやすいポイント

混同が起きやすいのは、(1) 対象(誰が応募できるか)、(2) 上限・期間、(3) 申請フロー(応募相談の有無や提出方法)、(4) 経費区分と承認要否、(5) 返済条件です。
2025年度公募では、スタートアップ等(中小企業者で未上場または新興市場のみ等)を対象に、応募相談を必須とし、e-Radで申請します。12

申請前のセルフチェック(準備の抜け漏れを防ぐ)

チェック項目一次資料での確認ポイント実務上の確認方法先にやること
対象分野医療分野は対象外1予定する製品・用途が医療に該当しないか整理応募相談で論点提示
公募期間2026年3月31日正午まで1相談→応募可能まで2〜3か月を織り込む1締切から逆算して相談着手
応募相談応募前に必須12相談用の資料を揃え、打合せ日程を確保事業計画・返済計画の叩き台作成
企業要件(中小企業)資本金・従業員基準1主たる業種で該当を確認顧問・管理部門で判定
財務要件直近3期で債務超過なし等13期分の計算書類を準備早期に不足資料を洗い出す
上場区分未上場または新興市場のみ1上場区分・市場名を確認例外があり得る場合は事前相談
技術シーズ大学等研究者の職務発明等の知財1権利者・出願状況・実用性検証の証跡知財整理表を作る
利用権限利用する権利を有し、契約までに書面提示1ライセンス、譲渡、共同出願等の方針確定大学TLO等と交渉開始
担保/保証開発費総額10%相当を設定可能1担保資産や保証提供者の当たりを付ける財務と並走で検討開始
開発管理責任者代表権・国内居住・研究倫理教育修了1体制図と役職、修了状況を確認未修了なら受講計画を立てる
e-Rad事前登録研究機関登録・研究者登録等2研究機関事務代表者を決める2週間以上の余裕で登録2
申請ファイル課題提案書はPDFのみ、30MB、差替不可2画像圧縮・版管理を徹底提出前の最終レビュー体制を作る

この表で該当しない項目がある場合は、応募相談に進む前に是正方針を固めるのが安全です。1

提出物・証憑の整え方(応募相談から採択後まで見据える)

必要書類(応募相談)を担当別に割り付ける

応募相談の提出物は、技術資料だけでは足りません。事業計画・返済計画・財務資料がセットです。1
担当が曖昧だと準備が遅れるため、役割で割り付けます。

役割主に用意するものいつ必要か注意点
経営・事業事業計画(様式自由)1応募相談市場定義、競合比較、事業化戦略まで一貫させる
財務・経理返済計画(様式自由)、直近3期の計算書類等1応募相談返済原資と資金繰りの前提を明確化する
開発開発実施計画の概要(JST指定様式)1応募相談技術課題と検証方法、マイルストーンを具体化する
知財利用権限の整理、契約方針1応募相談〜契約前契約までに書面提示が必要になる1
管理部門企業概要、要件チェックリスト(JST指定様式)1応募相談中小企業判定・上場区分の取り違えを防ぐ

必要書類(応募 e-Rad)で詰まりやすい点

応募(e-Rad申請等)は、応募相談でJSTが確認を行い応募可能となった後に進みます。2
提出は、e-RadのWeb入力と課題提案書(PDF)添付に加え、JST指定オンラインストレージでの提出が必要です。2
課題提案書の差替えはできません。提出直前の修正が連鎖すると事故につながるため、版管理とレビュー手順を事前に決めておくことが重要です。2

証憑チェック(実務上の注意点)

採択後を見据え、経費の証憑をどう残すかも早めに設計しておくと、監査対応が安定します。以下は一般的な実務上の整理であり、最終的な取扱は契約条件やJSTの手続きに従います。13

費目証憑の例実務上の注意点
設備備品費見積書、発注書、検収、請求書、支払記録仕様変更の履歴と必要性の説明を残す
消耗品費発注・納品・請求・支払私的流用の疑義が出ないよう用途と数量の記録を残す
旅費出張申請、行程、領収書、報告書開発との直接性が説明できるようにする
人件費稼働実績(工数表等)、給与台帳対象外者(開発管理責任者等)への計上を避ける1
外注・再委託契約書、仕様書、成果物、検収中核業務の外出し禁止や比率制限に注意1

応募相談の連絡テンプレ(実務用)

応募相談は必須です。最初の連絡で、相談の目的と状況を簡潔に伝えると、やり取りが早くなります。1

項目記載例(編集して使用)
件名A-STEP実装支援(返済型)2025年度公募 応募相談希望(企業名)
相談の主旨大学等の技術シーズを用いた社会実装に向け、応募相談を希望します。
技術シーズ発明の概要、権利者、出願状況、実用性検証の有無(資料添付)1
開発計画目標、主要課題、検証方法、期間(最長3年の範囲)1
事業計画/返済計画ターゲット市場、競合、売上計画、返済原資の前提(資料添付)1
担保/保証開発費総額の10%相当の担保または保証の当て(検討状況)1
希望日程候補日を複数提示(オンライン可否も記載)
連絡先担当者名、役職、電話、メール

よくある質問

Q1. A-STEP実装支援(返済型)は補助金ですか
A. 交付型の補助金ではなく、開発費の貸付(返済型)です。開発終了後の事後評価により返済額が変わります。1

Q2. 10%返済になるのはどんな場合ですか
A. 開発終了時の事後評価がC評価の場合、JSTが支出した開発費の10%を返済します。S・A・B評価の場合は全額返済です。1

Q3. 開発中止になった場合の扱いはどうなりますか
A. 公募要領では、開発中止の場合はJSTが支出した開発費の全額返済になります。中止のリスク管理も含めて計画を立てます。1

Q4. 返済期間と利息はどうなりますか
A. 返済期間は開発終了後10年以内です。利息は発生しません。返済猶予は最長3年の範囲で認められ、猶予期間は返済期間に含まれます。1

Q5. 担保または保証は何を用意すればよいですか
A. 応募要件として、開発開始時に開発費総額の10%相当の担保または保証の設定が必要です。担保は預金、不動産、有価証券(国債、公共債、スタンダード・プライム市場の上場株式)です。保証は親会社、銀行等の第三者(個人を除く)の保証です。1

Q6. 大学との共同申請が必要ですか
A. 申請主体は開発実施企業で、技術シーズは大学等の研究者の職務発明等に基づく知的財産権が対象です。利用権限の確保や、研究者・所属機関名の公表に関する了承が実務上のポイントになります。1

Q7. 特許が出願中でも応募できますか
A. 特許は登録済だけでなく出願中でも該当します。ただし、開発実施企業が利用する権利を有し、契約締結までに書面で示す必要があります。1

Q8. 応募相談にはどれくらい時間がかかりますか
A. 応募相談からJSTが確認を行い応募可能となるまで2〜3か月程度が想定されています。応募後も採択・契約・開発開始まで3か月程度が想定されます。1

Q9. e-Radの登録が間に合うか不安です
A. e-Rad申請には研究機関登録、研究者登録などの事前登録が必要です。研究機関登録は日数を要する場合があるため、2週間以上の余裕を持つよう案内があります。2

Q10. 課題提案書は提出後に差替できますか
A. e-Rad手順書では、課題提案書を含めた応募書類の差替えは認められません。提出前の最終レビューと版管理が重要です。2

Q11. 再委託はできますか
A. 必要性が認められ、JST承認を得た場合に限り可能です。実用化開発の中核となる部分は再委託できません。責任は開発実施企業が負います。1

Q12. 間接経費はどのように計上しますか
A. 間接経費は直接経費の30%が上限です。運用は関係府省連絡会の共通指針に沿って行います。14

Q13. 応募書類作成で生成AIを使ってもよいですか
A. 公募要領では、応募書類作成で生成AIを利用する場合、著作権侵害や個人情報・機密情報漏えいなどのリスクがあることを理解したうえで、利用の可否は作成者の責任で判断するよう注意喚起があります。1

Q14. NexTEP-Aと同じ制度ですか
A. 過去資料では企業主導フェーズ(NexTEP-Aタイプ)という名称が使われ、JSTの事務処理書類ページでは企業主体(返済型)の欄に旧企業主導フェーズ(NexTEP-Aタイプ)と記載があります。5 一方、本記事は2025年度公募として公募要領が公開されているA-STEP実装支援(返済型)を対象に整理しています。16

まとめ(最初に着手する順番)

通年公募でも、応募相談に時間がかかる前提があるため、最初の一手が重要です。1

今週中にやること目的できていない場合の影響
技術シーズの権利関係を整理する利用権限の要件を満たすため1契約までに書面提示が間に合わない1
返済計画の前提を固める選考観点に財務・返済が含まれるため1応募相談で妥当性確認が進まない1
担保/保証の設定可能性を確認する応募要件の中核であるため1相談後に頓挫しやすい
e-Radの事前登録を開始する申請作業がボトルネックになりやすい2締切に間に合わない

疑義がある場合は、応募相談の場で論点を明確にし、対象年度の公募要領に沿って進めてください。1


  1. 研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)実装支援(返済型)2025年度(令和7年度)公募要領(2025年9月第二版)(PDF)

  2. 公募要領別紙 e-Radによる申請方法等について(A-STEP実装支援(返済型))(PDF)

  3. 別添12 府省共通経費取扱区分表(PDF)

  4. 競争的研究費の間接経費の執行に係る共通指針(関係府省連絡会申し合わせ、令和5年5月31日改正)(PDF)

  5. JST A-STEP 事務処理書類のダウンロード 企業主体(返済型)(旧 企業主導フェーズ NexTEP-Aタイプ)(公式ページ)

  6. JST 2025年度A-STEP実装支援(返済型)の募集概要(公式ページ)

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