小笠原敏晶記念財団 インキュベンチャー助成(2025年度)申請の要点と準備ガイド
インキュベンチャー助成は、公益財団法人 小笠原敏晶記念財団が、公益性の高い新製品・新技術の事業化に挑む起業家等を支援する助成制度です。1
結論から言うと、申請書づくりは公益性(社会への貢献)を軸に、独創性と事業化までの筋道を具体化できるかで差がつきます。12
本記事は、公式一次資料で内容が確認できる2025年度募集(募集は終了)を対象に、要件・手続き・準備の順番を整理します。次年度以降は公募内容が変わることがあるため、応募時は必ず当該年度の募集要項等をご確認ください。12
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名(正式名称) | 公益財団法人 小笠原敏晶記念財団 インキュベンチャー助成(IncuVenture Grant)1 |
| 対象年度/公募回 | 2025年度(募集終了)12 |
| 最終更新日 | 2026年1月26日 |
| 所管/実施機関/事務局 | 公益財団法人 小笠原敏晶記念財団(科学技術分野)事務局/問い合わせ窓口:contact-tech@ogasawarazaidan.or.jp(受付時間は平日9:00〜17:00)12 |
| 助成上限額 | インキュベーション助成:1件あたり上限500万円/ベンチャー企業助成:1件あたり上限2,000万円(いずれも予定、内容を審査・選考の上で決定)12 |
| 募集期間 | 2025年4月25日〜6月27日12:00(正午)12 |
| 公式一次資料(募集要項・手続き・Q&A等) | 募集要項(PDF)2/制度概要ページ(手続き・選考基準・スケジュール)1/FAQ(インキュベンチャー助成のQ&Aを含む)3/電子申請システム(申請入口)4/電子申請システムFAQ(操作面)5 |
| 免責 | 申請可否・提出資料・手続きの最終判断は、必ず当該年度の募集要項と事務局案内でご確認ください。12 |
この助成は起業前〜起業直後を想定した助成ですが、インキュベーション助成とベンチャー企業助成で見られ方が変わります。まずは自分がどちらの枠に該当するかを確定し、そこから逆算して提出資料と説明の粒度を整えるのが近道です。12
インキュベンチャー助成とは
財団の助成制度の中での位置づけ
インキュベンチャー助成は、公益財団法人 小笠原敏晶記念財団が行う科学技術分野の助成メニューの一つです。制度の狙いは、社会的課題を解決し、世界市場に打って出るような独創的プロジェクトを生み出す若い力を支援することにあります。12
一般に補助金という言い方が広く使われますが、本制度は財団の助成金です。国や自治体の公募型補助金と同じ感覚で申請すると、提出書類の作り方や資金計画の考え方がズレることがあります。とくに、助成金の使い道が広い一方で、申請者本人(共同者を含む)の給与報酬や、所属組織の間接費・一般管理費(オーバーヘッド)は対象外です。12
旧名称との関係(情報を探すときの注意)
財団は、2015年にインキュベンチャー助成事業を開始しています。3
また、2020年6月に財団名称が小笠原敏晶記念財団へ変更されており、過去資料や外部記事では旧名称(小笠原科学技術振興財団)が使われることがあります。検索時は、両方の名称を手がかりにすると一次資料へ到達しやすくなります。3
支援メニューと助成金額
インキュベーション助成とベンチャー企業助成の違い
2025年度のインキュベンチャー助成には、インキュベーション助成とベンチャー企業助成の2区分があります。12
両者は申請できる人と、選考で重視されやすい説明が違うため、申請書の組み立てを最初に分岐させる必要があります。12
| 区分 | 想定ステージ | 申請時点の主な条件 | 1件あたり上限(予定) | 選考で特に重視されやすい説明 |
|---|---|---|---|---|
| インキュベーション助成 | 起業前 | 申請日から3年以内に起業を目指す個人またはグループで、自ら事業化する強い意思があること12 | 500万円12 | アイデアの独創性(オリジナリティ)12 |
| ベンチャー企業助成 | 起業後(初期) | 申請日時点で設立5年以内のベンチャー企業等12 | 2,000万円12 | 実現までの現実的なシナリオ(例:事業計画・資金計画)12 |
この違いを踏まえると、インキュベーション助成は何が新しいか・なぜ社会に必要かを強く、ベンチャー企業助成はそこに加えていつ・誰が・何を・いくらで・どう回すかを強く説明する構成が合います。12
助成総額と助成金額の決まり方
2025年度は助成金額の総額として13,500万円が予定されています。12
各案件の助成金額は、上限額が固定で一律に出るわけではなく、プロジェクト内容を審査・選考の上で決定されます。12
このため、申請書では、なぜその金額が必要か、支出が成果にどう結びつくかを、読み手が追える形で示すことが重要です。
助成金の使い道と対象外の費用
募集要項では、プロジェクトを有効に推進し成果を上げるための費用であれば、使い道に大きな制限は設けていません。12
一方で、次の費用は対象外です。12
| 区分 | 対象外となる費用(募集要項で示されたもの) | 実務上の読み替え |
|---|---|---|
| 申請者の報酬 | 申請者(本人、共同者)自身の給与報酬12 | 役員報酬・給与など、申請者自身へ直接支払う形は避ける設計が必要 |
| 間接費・一般管理費 | 申請者が所属する組織の間接費および一般管理費(オーバーヘッド)12 | 大学・研究機関等の間接経費として計上する形は合わない可能性が高い |
また、予算年度による制約やプロジェクト実施期間の制限はありません。12
助成金の支払いは、契約の締結後に行われ、2025年度は11月下旬が予定されています。12
資金計画を立てる際は、支払いが先になる点と、採択後に報告義務が続く点を同時に織り込む必要があります。12
資金繰りの観点では、募集期間から支払い時期までに数か月の間があります。12
この間に発生する費用をどう賄うかは、プロジェクトの進め方そのものに直結します。助成金が入る前提だけで工程を組まず、段階的に検証し、採択後に加速できる設計にしておくと、計画の現実味が上がります(実務上の注意点です)。
対象となるプロジェクトの考え方
公益性が高い新製品・新技術(医薬品開発を除く)
対象となるのは、社会経済の健全な発展と国民生活の向上に資すると認められる、公益性の高い優れたプロジェクトです(医薬品開発は対象外)。12
公式ページと募集要項では、例として次の領域が挙げられています。12
| 例示されている領域(抜粋) | どのように公益性へ接続しやすいか(書き方のヒント) |
|---|---|
| 大災害時の安全確保、早期復旧12 | 被害低減・復旧期間短縮・避難や救助の効率化など、社会コスト低減で示す |
| カーボンニュートラル12 | 排出削減量や資源循環、エネルギー効率の改善で示す |
| 農林水産業のスマート化12 | 人手不足対策、生産性向上、食料安全保障への貢献で示す |
| エイジテック、フェムテック12 | 健康課題の改善、QOL向上、ケア負担軽減で示す |
| AR/VR、AIを用いた社会支援12 | 安全・教育・医療・介護などの現場の課題解決として示す |
| 各種治療デバイス12 | 医薬品開発ではなく、デバイスとして医療・ケアの質向上で示す |
| 革命的な生産技術12 | 省人化・高品質化・省資源化など、産業基盤強化で示す |
ここで重要なのは、技術の新しさを主張するだけでは足りない点です。選考基準では社会への貢献度(公益性)が特に重視されます。12
したがって、申請書の冒頭で、誰のどんな困りごとをどう改善し、社会にどのような便益が残るかを一文で言える状態を目指してください。
実績から見える採択テーマの幅
インキュベンチャー助成の実績一覧を見ると、大学・高専等の研究機関に限らず、企業や医療機関も含めた多様な申請者が採択されています。45
テーマも、材料・デバイス・AI活用・一次産業の高度化など幅があります。45
自分の領域が例示にない場合でも、公益性の説明が立てられるなら、入口で諦める必要はありません。
申請できる人と要件
申請資格(2025年度募集)
募集要項では、申請資格として日本国籍を有し、インキュベーション助成またはベンチャー企業助成の対象に該当することを求めています。2
国籍要件については、2025年度募集要項では申請資格として日本国籍を求めています。2 その一方で、財団のFAQでは、インキュベーション助成は日本国籍が必須、ベンチャー助成は法務局に法人登録されていれば申請者が外国籍でも応募可能という回答があります。6 申請主体(個人・グループ・法人)や代表者の立場によって運用判断が分かれ得るため、国籍要件に該当する場合は応募前に事務局へ確認してください。1
対象者の範囲は、個人・グループ(大学・大学院・高専の教員や学生を含む)と、ベンチャー企業等です。12
| 申請主体 | 募集要項上の扱い | 申請書で意識したい点 |
|---|---|---|
| 個人・グループ(教員・学生を含む) | インキュベーション助成の対象になり得る12 | 起業までの意思決定者が誰か、役割分担、事業化の主導を説明する |
| ベンチャー企業等 | 設立5年以内が対象12 | 事業計画と資金計画、実行体制、外部連携の設計を具体化する |
国籍や申請主体の扱いで判断が分かれそうな場合は、募集要項の記載を前提に、応募前に事務局へ確認すると手戻りを減らせます。問い合わせ窓口は制度ページと募集要項に記載があります。12
共同での申請
共同で事業化を目指す場合も応募は可能で、共同の場合は共同で申請する形になります。6
グループ申請では、誰が中核となって意思決定し、成果に責任を持つかが見えにくくなりがちです。申請書では、役割と責任の所在を先に定義しておくと評価者が読みやすくなります(実務上の注意点です)。
申請の流れ(電子申請)
手続きの全体像
申請は電子申請システムで行います。制度ページと募集要項の双方が、申請システムへアクセスしてマイページを取得し、所定の手順で提出する流れを示しています。127
また、電子申請システムの操作に関する質問は、システム側のFAQに整理されています(ログイン、ID・パスワード、PDF表示など)。8
| 手続きのまとまり | 具体的な作業 | 公式資料で確認できる注意点 |
|---|---|---|
| マイページの取得 | 電子申請システムでマイページを取得する127 | 年度ごとにマイページ登録が必要で、前年度以前のID・パスワードは使えません。8 |
| 申請内容の入力と申請書の作成 | 申請者情報をシステムのフォームへ入力し、指定様式の申請書を作成する12 | 申請書の指定様式はマイページから入手して記入します。12 |
| 資料のアップロードと提出 | 申請書および必要資料をアップロードし、締切までに提出する12 | 締切直前は申請が集中する場合があります。提出資料のPDFは1ファイル5MB以内です。12 |
電子申請で詰まりやすい操作ポイント(操作面)
操作面のつまずきは、内容以前の失点になりかねません。システムFAQで確認できる代表例を整理します。8
| つまずきポイント | 何が起きるか | 対処の方向性(システムFAQの範囲) |
|---|---|---|
| ログインできない | ID・パスワードの形式違い等で入れない | 半角英数字で入力し、英字の大文字・小文字の違いにも注意する8 |
| ログインIDが不明 | メールアドレスと混同しやすい | マイページ取得時に届くログインID発行メールを確認する(IDはメールアドレスと異なる)8 |
| パスワードを忘れた | ログインできない | 画面の案内に従って再設定する8 |
| PDFが表示されない | 提出資料の確認ができない | PDF表示にはAdobe Reader等が必要になる場合がある8 |
| 入力完了後に修正したい | 自分で戻せない場合がある | マイページへログインし、ページ下部の問い合わせ先へ連絡する8 |
上の内容は操作面の一般的なFAQです。制度要件とは別なので、申請内容の相談は財団事務局(科学技術分野)へ、システム操作はシステムFAQの案内に沿って切り分けると解決が早くなります。128
提出する資料の整理(必須・条件付き・任意)
募集要項では、提出する資料を、申請者情報・申請書・資料(条件により提出が必要なもの/任意の追加資料)として整理しています。12
ここを曖昧にすると、形式不備での失点が起きやすいため、先に必要資料の棚卸しを行ってください。
| 区分 | 提出物 | 形式・注意点 |
|---|---|---|
| 申請者情報 | システム上のフォーマットへ入力12 | 画面入力。入力内容が申請書と矛盾しないよう統一する |
| 申請書 | 指定様式(マイページから入手して記入)12 | 指定様式で作成し、システムへ提出する(提出形式の指定はシステム側の指示に従う) |
| 会社設立後の追加資料(該当者) | 登記簿謄本、直近期の営業報告書・決算書12 | PDFで提出。ウェブサイト上で無償閲覧できる場合はURL記載も可、有償の場合はPDF提出12 |
| 学校関係者の追加資料(該当者) | 所属部長・部局長または準ずる者の推薦状12 | 推薦状が必要になるため、学内の決裁リードタイムを見込む |
| 任意の追加資料 | 論文、特許公報、侵害調査報告書等、PR動画・写真・カタログ・広報資料など12 | URL記載またはPDF提出。URLは無償閲覧できる場合に限る12 |
提出資料の準備は、必須資料から逆算し、最後に任意資料を足す順番にすると事故が減ります。任意資料は強力ですが、数を増やすほど審査側の読み込みコストも上がります。主張を支える根拠として必要な最小限に絞る発想が合理的です(実務上の注意点です)。
2025年度のスケジュール(参考)
2025年度は、募集期間が4月25日から6月27日正午まででした。12
選考日程は、書類選考が9月中旬、最終選考(書類合格者のプレゼンテーション)が10月中旬〜下旬、選考決定・通知が11月中旬、助成金の支払いが11月下旬予定です。12
| 区分 | 2025年度の予定 | 申請者が準備しておきたいこと |
|---|---|---|
| 募集期間 | 4/25〜6/27 12:0012 | マイページ取得と資料アップロードの時間を確保(締切直前を避ける)12 |
| 書類選考 | 9月中旬12 | 書類だけで理解できるよう、前提・比較・根拠を文書に落とす |
| 最終選考 | 10月中旬〜下旬(プレゼン)12 | プレゼン用に、公益性と実行計画の要点を1枚で言える形へ圧縮 |
| 選考決定・通知 | 11月中旬12 | 採否理由の問い合わせには対応しないため、次回改善のために自己分析を残す12 |
| 助成金の支払い | 11月下旬(契約締結後)12 | 契約手続きと、採択後の報告義務を見越した体制づくり |
次年度以降は日程が同一とは限りませんが、準備の工程(課題整理→技術検証→事業計画→資料化)は大きく変わりにくい部分です。早めに書類で伝わる状態を作っておくと、公募が始まってから慌てにくくなります。
申請にかかる費用と時間の見積もり
募集要項は、申請に関わる費用は申請者が負担すること、電子申請システムの操作に時間がかかる場合があること、締切間近は申請が集中し得ることを示しています。2
要するに、提出そのものにもコストがかかる前提です。実務上は、次の2点を最初から計画に入れておくと、締切直前の事故を減らせます。
| 見積もるべきもの | 具体例 | 事故を減らす考え方 |
|---|---|---|
| 金銭的コスト | 登記簿謄本の取得、資料作成の外注、検証用資材、交通費など | 必須提出資料の取得から着手し、後工程の手戻りを防ぐ2 |
| 時間コスト | 申請書の作成、PDF化、システム入力、アップロード、差し戻し対応 | 早い段階でマイページを取得し、提出形式を一度通して確認する28 |
上の表は運用上の整理です。制度上の費目可否とは別の話なので、助成金の使途の判断と混同しないよう注意してください。2 締切が正午のため、前日までに送信完了を目標にするとトラブルを避けやすくなります(実務上の注意点です)。
選考基準から逆算する申請書の作り方
選考基準の全体像
2025年度の選考基準は、社会への貢献度(公益性)、独創性、事業化の可能性、将来性の4点で、特に公益性を重視します。12
さらに、起業前(インキュベーション)ではアイデアの独創性、起業後(ベンチャー)では現実的なシナリオ(事業計画・資金計画等)を重視する旨が示されています。12
この構造は、申請書の書く順番そのものを決めます。技術説明から書き始めるよりも、公益性→独創性→実行計画→将来性の順に置くほうが、評価者の思考順に沿いやすくなります。
申請書の構成テンプレ(作成のたたき台)
募集要項は提出資料の中身の見出し構成までは示していません。そこで、選考基準をそのまま申請書の章立てに変換したテンプレを用意します。これは実務上の作成補助であり、公式の指定様式がある場合は様式を優先してください。12
| 章(例) | 評価軸との対応 | 書くべき内容(例) | 自己チェック |
|---|---|---|---|
| 1. 目的と公益性(要約) | 公益性 | 課題、対象者、得られる社会的便益を2〜5行で要約 | 一文で言えるか |
| 2. 解決策(新製品・新技術の概要) | 公益性・独創性 | 何を作るか、どう機能するか、従来と何が違うか | 既存との差が比較できるか |
| 3. 独創性の根拠 | 独創性 | 先行技術、代替案、強みの比較。論文・特許等の根拠の置き方 | 根拠が見つけやすいか |
| 4. 事業化計画(ロードマップ) | 事業化の可能性 | 直近の検証、試作、実証、供給の順番。未確定は検証計画で扱う | いつ何が完了するか |
| 5. 体制・協力先 | 事業化の可能性 | 役割分担、意思決定、外部協力の前提 | 責任者が明確か |
| 6. 資金計画(ベンチャー向け) | 事業化の可能性 | 助成金を何に使い、他資金をどう組み合わせるか | 支出と成果が結びつくか |
| 7. 将来性と拡張 | 将来性 | スケールの道筋、社会実装後の波及、長期の展望 | 風呂敷を広げ過ぎていないか |
| 8. リスクと対応 | 将来性 | 技術・規制・供給・競合などのリスクと対策 | リスクを隠していないか |
テンプレのポイントは、事実・推定・今後の検証を文章上で分離することです。募集要項には虚偽申請や虚偽の使途等があった場合の取り消し・返金の規定があります。2
読み手に誤解される表現を避けるだけで、申請の安全性が上がります。
公益性(社会への貢献度)を最初に固める
公益性は、次の3点が揃うと読み手が判断しやすくなります。
| 公益性の要素 | 書き方の型 | 例(表現例。制度要件ではありません) |
|---|---|---|
| 社会課題の明確さ | 誰が、どこで、何に困っているかを具体化 | 災害時に避難所の安全確保が難しい |
| 便益の筋道 | 技術がどう課題を改善するかを因果で説明 | 新しい検知方法で危険を早期に特定する |
| 社会的な広がり | 影響範囲や波及効果を定量・準定量で提示 | 対象地域、利用者数、コスト削減の見込み |
募集要項は公益性を特に重視します。12
したがって、申請書の冒頭にこの3点を置き、後半で技術の詳細へ入る構成を基本にしてください。
独創性(オリジナリティ)は比較で示す
独創性は、すごい技術です、だけでは伝わりません。比較軸を先に置くと伝わります。
| 比較軸 | 置きたい情報 | 追加資料の候補(任意) |
|---|---|---|
| 既存手段との違い | 性能・コスト・速度・安全性など、1〜2軸に絞る | 論文、特許、評価レポート等12 |
| 代替案との優位性 | なぜ自分の方式が筋が良いか | 実験データ、デモ資料、第三者評価 |
| 技術的ハードル | 何が難しく、どこまでできているか | 試作写真、プロトタイプ仕様 |
任意の追加資料は、URL記載またはPDF提出が可能ですが、無償で閲覧できるURLに限る点に注意してください。12
事業化の可能性はロードマップで示す
事業化の可能性は、インキュベーション助成とベンチャー企業助成で期待値が違います。12
ただし共通して、次の一手が具体的で、失敗リスクを把握していることが重要です。
| 期間の区切り(例) | 示したいこと | 証拠として使える情報(例) |
|---|---|---|
| 直近3〜6か月 | 技術検証と仮説の絞り込み | 実験計画、評価項目、協力先の見込み |
| 6〜12か月 | 試作・実証とユーザー検証 | 試作品、実証計画、PoC設計 |
| 12か月以降 | 量産・販売・提供体制 | 供給体制、価格設計、販売チャネル |
上の表は書き方の例であり、募集要項の必須フォーマットではありません。評価者が現実を見ていると判断できる情報の粒度を揃える目的で活用してください。
将来性は拡張性とリスク対応の両輪で示す
将来性は夢だけでなく、伸びる理由と、阻害要因をどう管理するかがセットです。
| 将来性の観点 | 書き方の焦点 | 注意点 |
|---|---|---|
| 拡張性 | どの市場へ横展開できるか | 何でもできる話に広げ過ぎない |
| 競争優位 | 知財・データ・供給網など | 侵害調査等は必須ではないが、重要項目の一つとして提出を促すQ&Aがあります6 |
| 実装上の障壁 | 法規制、品質保証、サプライチェーン | ボトルネックを先に認め、対策の仮説を置く |
採択後に求められること(報告・公表・返金)
報告義務(成果報告・活動報告など)
採択後は、助成金支払い後に成果報告書(中間報告を含む)をウェブシステムへアップロードし、必要に応じて報告します。時期の詳細は助成対象者へ別途連絡されます。12
加えて、使途の明細を報告し、毎年9月末までに活動報告書を3年間提出する必要があります。12
| 種類 | 何をするか | タイミングの扱い |
|---|---|---|
| 成果報告 | 成果報告書(中間報告含む)をシステムへアップロード12 | 所定時期(詳細は別途連絡)12 |
| 公表時の記載 | 論文・刊行物等で発表する場合、財団の助成を受けた旨を明記し、写しを送付12 | 外部発表の都度 |
| 使途報告 | 助成金支払い後、使途の明細を書面で報告12 | 助成金支払い後 |
| 活動報告 | 毎年9月末までに活動報告書を3年間提出12 | 年1回×3年 |
助成金は受け取って終わりではなく、その後に提出物が続きます。採択後の運用まで含めて人手と時間を確保できるかが、現実的な申請判断になります。
証憑・記録の残し方(実務上の注意点)
募集要項は、使途の明細報告を求めています。12
具体の様式や提出方法は年度・案件で案内が変わり得るため、採択後は事務局の指示を最優先にしてください。12
その上で、後から説明できる状態を作るための実務上の型を示します。
| 残すべきもの(例) | 目的 | よくある落とし穴(例) |
|---|---|---|
| 見積書・発注書・契約書 | 支出の妥当性説明 | 口頭発注で記録が残らない |
| 納品書・検収記録 | 実際に受け取った証明 | 納品日が不明確 |
| 請求書・領収書 | 支出の証明 | 支払者名義が一致しない |
| 振込控え等 | 支払の証明 | 立替が混ざり説明が難しくなる |
| 研究ノート・実験ログ | 成果報告の根拠 | 途中経過が残っていない |
上表は一般的な管理の型であり、財団が求める提出物の確定版ではありません。実際の提出物は、採択後の案内に従ってください。12
資格の取り消し・返金のリスク
募集要項では、虚偽の申請内容が確認された場合の申請資格取り消し、助成金受給後に申請内容や使途について虚偽が判明した場合の返金、活動報告書の未提出時の返金を求める場合があることを示しています。2
また、申請者は反社会的勢力と関係しないことを確約する必要があります。2
制度は挑戦を支援する一方で、申請書に書いたことと実態がズレると重いペナルティになり得ます。提出前に、言い切ってよい事実と、まだ仮説の部分を切り分け、仮説は検証計画とセットで書く運用が安全です(実務上の注意点です)。
個人情報と著作権
募集要項は、個人情報の利用目的、公表範囲(助成対象者名、所属、職位、テーマ、助成金額の公表)、成果報告書の公表、提出資料の著作権・著作者人格権の不行使のお願い等を示しています。2
申請前に、共同研究者や所属先と公開範囲の認識を合わせておくと、採択後の摩擦を抑えられます。
事務局へ問い合わせる前に揃える情報(実務上の注意点)
公式ページには問い合わせ窓口(E-mail)と受付時間が記載されています。12
問い合わせは早いほど良い一方、情報が揃っていないと往復回数が増えます。次のセットを用意してから連絡すると、回答が早くなる傾向があります。
| 事前に用意する情報 | なぜ必要か | 書き方の例 |
|---|---|---|
| 申請区分 | 回答が変わるため | インキュベーション助成/ベンチャー企業助成12 |
| 申請主体 | 資格・提出資料が変わるため | 個人、グループ、法人(設立年月日)12 |
| プロジェクト概要 | 前提が共有されるため | 目的、解決したい課題、技術の概要(200〜400字程度) |
| 確認したい論点 | 回答が具体化するため | 支出の扱い、提出資料の扱い、表現の可否など |
| 参照箇所 | すれ違い防止 | 募集要項の何章か、FAQのどの項目か26 |
申請準備のセルフチェック(次回公募に備える)
募集が始まってから慌てないために、次のチェックを先に終わらせておくと進行が安定します。ここに挙げるのは実務上の作業分解であり、募集要項の必須手順ではありません。
| チェック項目 | できている状態の目安 | 関連する公式ポイント |
|---|---|---|
| 区分の確定 | 起業前(3年以内)か、設立5年以内のベンチャーかが決まっている12 | 区分により重視点が変わる12 |
| 公益性の一文 | 誰の何をどう改善し、社会に何が残るかを1〜2文で説明できる | 公益性を特に重視12 |
| 独創性の比較軸 | 既存手段との差を1〜2軸で説明できる | 独創性を評価12 |
| 事業化ロードマップ | 次の検証・試作・実証の順番が決まっている | 事業化の可能性を評価12 |
| 資金計画の骨子(ベンチャー向け) | いつ、いくら、何に使うかが説明できる | 起業後は現実的なシナリオを重視12 |
| 追加資料の棚卸し | 必要資料(登記・決算、推薦状等)を揃える段取りがある12 | 該当者は提出が必要12 |
| 電子申請の操作確認 | マイページ取得〜PDF表示まで一度試せる | システムFAQに整理8 |
最終選考(プレゼン)に向けた準備(実務上の注意点)
2025年度は、書類選考を通過した場合にプレゼンテーションを行う最終選考があります。12
書類とプレゼンで求められるものは同じですが、プレゼンでは聞き手の理解速度に合わせて、要点を削ぎ落とす必要があります。ここでは、公式の審査方式を前提に、準備の進め方を実務面から整理します。12
| プレゼンで最初に伝える要点 | 目的 | 伝え方の型(例) |
|---|---|---|
| 公益性 | 何のためのプロジェクトかを瞬時に理解してもらう | 課題→対象者→便益を1分で言い切る12 |
| 独創性 | 既存の延長ではないことを示す | 比較軸を1つ決め、違いを図で示す12 |
| 事業化の可能性 | 実行できることを示す | いつ・誰が・何をするかをロードマップで示す12 |
| 将来性 | 助成後の広がりを示す | 波及先と拡張条件を2点に絞る12 |
プレゼン資料の分量は、短いほど良いという話ではありません。審査側が確認したい論点(公益性、独創性、事業化の可能性、将来性)に対して、裏付けとなる根拠がどこにあるかを迷わせないことが大切です。12
任意の追加資料を提出している場合は、プレゼンでは全てを紹介せず、質問が来たら提示できる形で整理しておくと、審査時間を有効に使えます。12
提出直前の最終チェック(形式不備を避ける)
募集要項では、締切直前の申請集中への注意や、PDFファイルのサイズ上限(5MB以内)、無償閲覧できるURLのみ記載可能など、提出時の注意点を示しています。12
提出直前は内容の推敲よりも、形式不備を潰すほうが採否に直結しやすい局面です。次の表で最後に点検してください。
| チェック観点 | 具体的な確認項目 | 根拠(公式) |
|---|---|---|
| 締切 | 送信完了が締切時刻(正午)前になっているか | 募集期間と締切時刻12 |
| 混雑 | 締切直前を避け、余裕を持って提出できているか | 締切近くは申請が集中し得る12 |
| PDFサイズ | 提出する各PDFが1ファイル5MB以内か | 5MB以内の指定12 |
| URLの扱い | URL記載は無償閲覧できるものだけになっているか | 無償閲覧の条件12 |
| 提出資料の一致 | 申請者情報(画面入力)と申請書の記載が矛盾していないか | 申請者情報と申請書の双方提出12 |
| 操作面 | ログインやPDF表示が不安定な場合、FAQの手順で事前確認できたか | システムFAQ8 |
この最終チェックは制度要件そのものではなく、提出事故を減らすための実務手順です。ただし、締切・サイズ・URL条件は募集要項に明確に示されているため、ここだけは必ず一次資料どおりに合わせてください。12
よくある質問
Q1. インキュベンチャー助成は国の補助金ですか。
A. 国や自治体の補助金ではなく、公益財団法人 小笠原敏晶記念財団の助成制度です。制度の概要と募集要項は財団の公式ページで確認できます。12
Q2. インキュベーション助成とベンチャー企業助成は何が違いますか。
A. 起業前(申請日から3年以内に起業を目指す個人・グループ)がインキュベーション助成、起業後(申請日時点で設立5年以内のベンチャー企業等)がベンチャー企業助成です。上限額も異なります。12
Q3. 学生でも申請できますか。
A. 申請主体として、個人・グループの範囲に大学・大学院・高専の教員や学生を含めています。12
Q4. 共同で事業化を目指す場合も応募できますか。
A. 応募できます。共同の場合は共同で申請する扱いです。6
Q5. 申請は郵送や持ち込みでもできますか。
A. 申請は電子申請システムで行います。制度ページと募集要項が、システムでマイページを取得して提出する流れを示しています。127
Q6. 申請書はどこで入手しますか。
A. 申請書は指定様式で、マイページから入手して記入します。申請自体もウェブ経由です。126
Q7. 会社設立前で、資本金や役員などの欄が書けません。どうすればよいですか。
A. 会社設立前の場合、該当欄の記入は不要です。6
Q8. まだ決算期を迎えておらず、決算書類が提出できません。
A. 会社設立前または決算期前の会社は、決算書類等の提出は不要です。6
Q9. 助成金は人件費に使えますか。
A. 申請者本人または共同者自身の給与報酬は対象外です。26 それ以外の支出の扱いは、プロジェクト内容と説明に依存し得るため、判断が難しい場合は事務局へ確認してください。12
Q10. いわゆるオーバーヘッドは計上できますか。
A. 申請者が所属する組織の間接費および一般管理費(オーバーヘッド)は対象外です。26
Q11. 審査はどのように行われますか。
A. 書類選考の後、書類選考合格者によるプレゼンテーションを行う最終選考があります。2025年度の予定時期も募集要項に記載があります。12
Q12. 採否の理由は教えてもらえますか。
A. 選考結果は理事会承認後に文書で通知されますが、採否の理由に関する問い合わせには対応しない旨が示されています。12
Q13. 助成金の返金はありますか。
A. 募集要項では、虚偽申請や虚偽の使途、活動報告書の未提出などの場合に返金を求める場合があることを示しています。2 FAQでは原則返金はない一方で、不正等が後日判明した場合は全額返金を求める場合がある旨を示しています。6
Q14. 前年度のID・パスワードは今年度も使えますか。
A. 電子申請システムのFAQでは、前年度以前のID・パスワードは利用できず、年度ごとにマイページ登録が必要と案内しています。8
Q15. PDFが表示されず、提出資料の確認ができません。
A. システムFAQでは、PDF表示にAdobe Readerが必要になる場合がある旨を案内しています。環境依存の問題が残る場合は、FAQの手順に沿って確認してください。8
