新技術開発助成とは?市村清新技術財団の中小企業向け助成金を募集要項ベースで申請まで解説

新技術の試作開発は、設備投資や外注費が先に出ていく一方で、売上が立つまで時間がかかりがちです。市村清新技術財団の新技術開発助成は、実用化を見据えた開発試作を助成金で支援する制度です。結論としては、特許の出願(または特許権)・開発段階(研究段階ではない)・試作費の内訳の3点を早い段階で点検し、募集要項の提出物を揃えることが近道になります。この記事は、公式の募集要項と申請書類(第116回)に基づき、要件・対象経費・手続き・つまずきやすい点を整理します。

項目内容
制度名(正式名称)新技術開発助成(公益財団法人 市村清新技術財団)
対象年度/公募回第116回(令和7年度 第2次)1
最終更新日2026年1月26日
所管/実施機関/事務局公益財団法人 市村清新技術財団(新技術開発助成担当)1
助成上限額2,400万円(試作費合計額の範囲で上限)1
助成率試作費合計額の4/5以下1
開発予定期間原則1年以内1
申請期間2025年10月1日〜10月20日(郵送物は締切日消印有効)1
公式一次資料:募集要項第116回 新技術開発助成募集のご案内(募集要項・記入要領・チェックシート・申請書)
公式一次資料:申請書(基本情報)第116回 新技術開発助成申請書〈基本情報〉(PDF)
公式一次資料:申請書(本編)第116回 新技術開発助成申請書〈本編〉(PDF)
公式一次資料:申請書記入要領第116回 新技術開発助成申請書 記入要領(PDF)
問い合わせ先〒143-0021 東京都大田区北馬込1-26-10 / TEL 03-3775-2021 / FAX 03-3775-2020 / E-mail zaidan-mado@sgkz.or.jp1
免責申請可否・経費の可否は公募回ごとの募集要項と申請書類で最終確認し、不明点は事務局へ確認してください。

同名・類似名の制度が複数あるため、本文は市村清新技術財団の新技術開発助成(第116回)に限定して説明します。

制度の概要

新技術開発助成が狙う開発段階

この助成の中心は、研究そのものではなく実用化を目的にした開発試作です。募集要項では、基本原理の確認が終わった後の実用化に向けた開発試作を対象にし、原理確認のための試作や商品設計段階の試作は対象外としています1

入口条件を募集要項の言い回しに沿って分解すると、次の2点です。

観点募集要項の考え方自社テーマでの言い換えのヒント
到達点基本原理の確認が終了している(研究段階終了)実験結果、試験成績、評価データなど、原理が成立する根拠がある
今回の範囲実用化を目標にした開発試作試作して性能・仕様・再現性を固める。商品設計や量産準備を主目的にしない

この整理ができると、申請書本編に書く内容(現状、技術課題、達成方法、試作費内訳)を一貫させやすくなります。

一般分野と環境分野

申請書の基本情報には、申請分野として一般または環境を選択する欄があります2。募集要項では、経済的効果に加えて地球温暖化防止の効果が大きく期待できる技術開発を助成対象として挙げています1

環境分野を選ぶ場合は、温暖化防止効果を説明しないと説得力が落ちます。例えば、既存手法とのエネルギー消費比較、製造工程のCO2削減見込み、材料使用量の削減など、比較の軸を先に決めておくと、申請書の組み立てが安定します。比較の示し方は、記入要領の例が検討材料になります3

支援内容

助成率と上限額の基本

助成金額は、試作費合計額の4/5以下で、上限は2,400万円です1。ここでの試作費は、後述する助成対象経費に該当し、かつ助成期間中に発注・支払いが完了する費用に限られます1

計算イメージを、助成対象経費のみで構成した場合の例として整理します。

試作費合計(助成対象経費)4/5相当額助成金のイメージ
1,000万円800万円800万円
3,000万円2,400万円2,400万円(上限と一致)
4,000万円3,200万円2,400万円(上限適用)

この表は助成対象経費のみで組んだ場合の例です。実際には対象外費目が混ざると試作費合計が変わり、助成額の見込みも動きます。まずは費目の線引きを固めることが出発点になります。

申請書の助成希望額と端数処理

申請書(基本情報)には助成希望額を記載しますが、募集要項では千円単位を切り捨てて記載するよう求めています1。申請書作成の流れでも、基本情報と本編の内容一致を確認し、とくに試作費の総計に注意するよう促しています13

端数処理は小さな論点に見えて、整合性チェックで最初に引っかかりやすいポイントです。実務上は、見積更新が落ち着いたタイミングで集計→端数処理→基本情報の助成希望額に転記という手順を固定するとミスが減ります。

助成金の受け取りタイミングと専用口座

募集要項は、この助成が融資ではないことを示した上で、助成金は助成開始時に行う助成金贈呈式で贈呈するとしています1。採択後は、助成金の受取り・管理のための専用口座を開設します1

資金が入るタイミングが早い一方で、助成金専用口座を使った管理、経費実績の報告、証憑の保存が求められます。技術開発の担当者だけで回し切れないケースが多いため、申請段階から経理・総務の関与を決めておくと、採択後に滞りにくくなります。

助成期間と発注・支払い条件

募集要項は、助成対象となる試作費について、助成期間中に発注し、助成期間中に支払いが終了するものに限るとしています1。また、助成期間は助成金贈呈日から完了報告書提出日までの期間として定義されています1

経費の扱いを誤ると、想定していた助成対象額が縮む可能性があります。運用上は、次の点を早めに整理しておくと安全です。

観点確認すること実務上の注意点(制度要件ではなく準備のコツ)
発注日見積取得→社内決裁→発注のタイミング助成開始後に発注できるよう、仕様と見積は事前に固める
支払日請求・検収・支払いの締め日外注は支払条件(前金・検収後等)を確認しておく
対象経費の線引き見積の中に対象外費目が混じっていないか設備購入や汎用ソフト等が混入しやすい。項目分解が重要
納品・検収納期が助成期間に収まるか納品遅延が起きると支払いも遅れやすい。予備日を置く

上の表は制度の追加要件ではなく、制度要件を守るための段取りの話です。募集要項が求める期間内の発注・支払いを満たせる運用に落とし込みます。

対象者と要件

企業の要件

募集要項が示す企業要件は大きく2点です1

区分要件確認のポイント
規模・属性資本金3億円以下または従業員300名以下の非上場企業で、自ら技術開発する会社資本金・従業員数・上場有無を社内資料で確認する
関係会社関係会社に上場企業や大企業(資本金3億円超かつ従業員300名超)がないこと親会社・主要株主・グループ会社の状況を整理する

募集要項は、会社法第2条第1項の会社類型(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社)を示し、会社法制定以前の有限会社も会社として扱うとしています1。申請書(基本情報)では、主要株主(上位3者)や上場の有無など、企業属性を記載する欄があります2

開発技術の要件

募集要項は、開発技術の要件として8項目を挙げています1。申請書本編は、これらを読み手が追える形に整えるための書式と考えると迷いにくくなります。

No.要件申請書で示すための材料(例)
1独創的な国産技術で、基本技術の知的財産権を特許の出願または特許権の取得で主張している出願書類(特許庁受理書面)または公報等を添付し、申請書本編の知財欄に整理する13
2開発段階が実用化を目的にした開発試作である(原理確認のための試作や商品設計段階の試作は対象外)現状の到達点(確認済み事項)と、今回の試作で何を確かめるかを切り分ける14
3実用化の見込みがある技術である商品化までのステップ(ロードマップ)と、今回の範囲を明確にする43
4開発予定期間が原則1年以内工程表・体制・外注範囲が1年で収まる合理性を示す14
5実用化で経済的効果、または地球温暖化防止が大きく期待できる市場規模・コスト低減・CO2削減など、効果の置き方を決める13
6自社のみの利益に止まらず、産業の発展や公共の利益に寄与する産業用途の広がり、他社・社会への波及(安全性、環境負荷低減等)の説明を用意する1
7同じ技術開発内容で、同時期に他機関から助成を受けていない他の補助金・助成金の採択状況、申請状況を社内で棚卸しする1
8過去に新技術開発助成を受けた場合、完了後1年以上経過している過去採択の有無と完了日を確認する1

表の右列は制度要件ではなく、申請書で要件を示すための材料の例です。テーマの性質によって説明の置き方は変わるため、要件を機械的に並べるより、申請書全体で整合が取れているかを重視します。

助成対象外になりやすいテーマ

募集要項は、助成対象外の例として次を挙げています1

区分対象外として挙げられているもの注意点
分野医薬品およびソフトウエア製品の実用化開発テーマが複合の場合、どこが製品の実用化開発に当たるかの線引きが必要
段階国の承認審査のために必要な臨床試験段階の開発(ただし医療機器・器具は助成対象)医療機器は対象になり得る一方で、臨床試験段階は対象外として例示されている
開発フェーズ研究段階、商品設計段階、量産化段階の技術開発申請書では、今はどこで、今回どこまで進めるかを工程で示す

対象外に該当しないかは、申請書を書く前に判定しておくと工数の無駄を減らせます。とくに研究段階と開発試作の境界は、社内の常識だけで判断しないことが重要です。

助成対象経費

助成対象となる費目

募集要項は、助成金の対象を本開発試作に直接必要な費用とし、具体例として次の費目を挙げています1

費目内容(募集要項の整理)よくある紐づけ例(申請書での説明材料)
部品・材料費開発に必要な部品・原材料購入費試作機の部材、試験用素材、専用治具の材料
消耗品費試作・評価に関わる消耗品費用試験片、薬品・洗浄剤、測定に使う消耗品
外部委託費開発活動の一部を外部(第三者)に委託する費用委託設計、部品製作委託、外部評価試験
レンタル費用本開発に直接関連する期間のみの計測器等レンタル費用計測器の短期レンタル、評価装置の期間貸与

この4区分に収まるように試作費の内訳を作ると、助成対象外費目の混入を防ぎやすくなります。申請書本編側の試作費予定額と、基本情報の助成希望額を整合させる観点でも有効です13

試作費の対象外になりやすい費目

募集要項の別表では、試作費対象とならない費目例も整理されています1。申請書の試作費予定額を作る段階で、ここに当たるものが混入していないかを点検します。

区分対象外になりやすい例なぜ注意が必要か
設備・備品費汎用の工作機械・測定装置、開発ツールなどの設備、パソコン、汎用ソフト、プリンタ、3Dプリンタの購入費等試作に必要でも汎用性が高い購入は線引きが厳しくなりやすい
金型・LSI制作費量産用の金型制作費、量産用LSI制作費量産段階に近い費用は対象外に寄りやすい
社内人件費社内人件費は原則不可(ソフト開発費等は一部のみ対象の可能性あり)対象範囲の判断が難しいため、事前確認が重要
旅費交通費・宿泊費社員・アルバイトの旅費、交通費、調査費、日当等試作に直接必要な費用として認められにくい
会議費会場借料、備品借料、開発業務のための飲食費間接費として扱われやすい
印刷費版下作成費や印刷代、内部コピー等申請や会議運営の費用は対象外に寄りやすい
その他謝礼金、技術導入費、特許出願費用、報告書作成費用、許可申請費用、顧問料、家賃、光熱費など開発試作そのものに直接対応しない費用が多い

この表は対象外になりやすい例を並べたものです。個別の費目は見積の書き方や用途説明で判断が変わる場合もあるため、グレーに感じたら早めに事務局へ確認するのが安全です。

外注見積の分解が鍵になるケース

外注見積は、設計・加工・組立・調整・評価がセットで提示されることが多く、助成対象外費目が混ざりやすい領域です。募集要項は外部委託費を助成対象に含める一方で、社内人件費を原則不可とし、ソフトウエア製品の実用化開発を対象外として挙げています1

実務上は、次のような分解を意識すると、申請時点でも採択後の経費報告でも説明が通りやすくなります。

分解の観点狙い
成果物ベース試作機の部品製作、評価試験、解析レポート試作に直接必要かどうかを説明しやすい
期間ベース助成期間内に完了する作業に限定発注・支払い条件との整合を取りやすい
用途ベース汎用ツールの導入と、試作専用作業を切り分け設備・備品費に該当しそうな項目を除外しやすい

上記は制度要件ではなく、制度要件を守るための整理の仕方です。最終的な費目判断は募集要項と事務局確認が基準になります。

申請の流れ

Web登録と郵送提出の二段構え

募集要項は、申請書類のWeb登録と、添付資料を含む申請書類一式の提出(郵送)の両方が必要だとしています1。Web登録のみ、または郵送のみでは受け付けない点が重要です1

区分やることポイント
Web登録マイページ取得→基本情報入力→本編(PDF)アップロード→登録受付期間外は登録できない。登録後の修正は原則できない1
郵送申請書と添付資料を2セット作成し、チェックシートと併せて送付A4統一、クリップ留め、ホチキス不可。提出書類は返却されない1

二段構えに慣れていないと、Web登録で終わった気になりがちです。社内では登録担当と郵送担当を分け、チェックシートで突合する体制にすると抜け漏れが減ります。

マイページ取得期間と受付期間(第116回)

第116回は、マイページ取得期間が2025年8月1日〜10月20日、受付期間が2025年10月1日〜10月20日です1。マイページ取得開始から受付開始までの間は、マイページの取得や申請書の作成・保存は可能ですが、登録は受付期間に行う必要があります1

この仕組みを前提に、受付開始日までに本編PDFの完成、押印できる基本情報の印刷、添付資料の入手が揃うと、締切直前の混乱を避けやすくなります。

必要書類(郵送物)の一覧と注意点

募集要項は、郵送で提出する申請書類を〈1〉〜〈13〉として整理し、申請書類一式を2セット提出するよう求めています1。以下は、その一覧を読みやすく並べ替えたものです(名称は募集要項の表記に合わせています)。

No.書類準備の要点提出形態
〈1〉申請書類チェックシートマイページから印刷し、郵送物を確認する1枚(郵送)
〈2〉申請書(基本情報+本編)基本情報は社印・代表者印が必要。本編は所定書式で作成しPDF化してアップロード1242セット(郵送)+Web登録
〈3〉申請書の補足説明資料必要に応じて添付(図面や追加説明など)2セット(郵送)
〈4〉出願書類(特許庁受理書面)または公報等特許の出願/取得を示す資料。権利譲渡・実施許諾なら契約書も添付132セット(郵送)
〈5〉参考資料(参考文献、新聞記事、カタログ等)必要に応じて添付2セット(郵送)
〈6〉見積書(合計50万円以上のもの等)市販品は価格表示のあるカタログでも可12セット(郵送)
〈7〉会社概要、会社経歴書会社案内で代用可12セット(郵送)
〈8〉登記簿謄本(履歴事項全部証明書)取得日・記載内容の確認2セット(郵送)
〈9〉直近3期の決算報告書貸借対照表・損益計算書は必須。無い場合は事業計画書で代用可12セット(郵送)
〈10〉金融機関の残高証明書直近決算期末のもの12セット(郵送)
〈11〉税務申告書直近の税務申告書(別表1(1)のみで可)12セット(郵送)
〈12〉履歴書申請者(代表者)と開発責任者の履歴書(最終学歴と職務履歴)12セット(郵送)
〈13〉説明場所案内図実地調査が行われる場合に備える12セット(郵送)

募集要項は、資料が多い場合は両面印刷等で厚みをできるだけ2cm程度にすること、書類サイズはA4に統一すること、クリップ留めとしホチキスは使わないことも示しています1。形式不備は取り返しがつかないため、締切前に体裁点検の時間を確保することが重要です。

申請書(本編)の構成を先に理解する

申請書本編は、技術開発の概要、技術の内容、技術開発計画などの項目で構成されています4。記入要領では、各項目で何を書くか、分量の目安(所定ページ以内)や、従来技術との比較の示し方が示されています3

記入要領の骨格に沿って、申請書作成を次の5ブロックに分けると、社内レビューがしやすくなります。

ブロック主に書く内容読み手に伝わること
技術開発の概要何の分野で、どの新技術で、どんな商品像にするか3テーマの全体像と新規性の入口
技術の内容従来技術との比較、知財、外部発表など3独創性・裏付け・優位性の根拠
開発計画商品化までのステップ、今回の試作範囲、課題と達成方法31年以内で実行可能か、実用化の見込み
体制・リスク開発責任者、外注先、代替策(補足説明資料)進め切れる体制か、ボトルネックは何か
試作費内訳費目、金額、見積根拠、支払計画助成対象経費として妥当か、計画と整合するか

上の表は制度要件ではなく、申請書を読みやすくするための整理です。公式の書式そのものは申請書本編と記入要領で確認し、そこに沿って作成してください43

役割分担の例(実務上の注意点)

提出物は技術資料だけでなく、登記・税務・残高証明など管理部門の資料も含みます1。申請直前に集め始めると遅れやすいため、社内の担当を先に決めておくと安全です。

役割主担当になりやすい部署主なタスク
技術の骨子開発部門本編の技術説明、比較、開発計画の作成43
知財知財担当または外部弁理士特許出願資料の準備、権利関係(譲渡・実施許諾)の整理13
経費・見積経理または購買試作費内訳の作成、50万円以上の見積取得、支払条件の確認1
会社資料総務登記簿謄本、会社概要、案内図などの準備1
最終責任代表者押印、申請内容の最終確認、問い合わせの意思決定12

この表は制度要件ではありませんが、制度要件に沿って抜け漏れなく提出するための体制づくりとして有効です。

補足説明資料を付ける場合の組み立て(任意)

募集要項では、必要に応じて申請書の補足説明資料を添付できる扱いになっています1。提出が必須ではありませんが、申請書本編の所定欄に収まらない図面や評価データがある場合に有効です。補足説明資料は、枚数を増やすことよりも、申請書本編のどこを補うかを明確にするのがポイントです。

ページ入れる内容の例本編のどこを補うか
11枚サマリー(技術課題、解決手段、期待効果、試作で確認する指標)技術開発の概要、期待効果
2比較表の根拠(測定条件、前提、参照データ)従来技術との比較
3試作構成図・工程図、外注範囲の図解技術開発計画、体制

補足説明資料も、書類サイズはA4に統一し、申請書類一式として2セット提出します1

準備に時間がかかりやすい提出物(実務上の注意点)

募集要項が求める提出物の中には、外部機関での発行が必要なものがあります1。申請作業を滞らせないため、優先して着手する順番を決めておくと安全です。

優先度書類入手先・作り方詰まりやすい理由(実務上)
登記簿謄本(履歴事項全部証明書)法務局・オンライン申請取得手続きが必要で、直前だと間に合わないことがある
金融機関の残高証明書取引金融機関発行までに日数がかかる場合がある
税務申告書(別表1(1))社内保管または税理士保管場所が分散しやすい
特許庁受理書面・公報等社内または弁理士権利関係の整理(譲渡・実施許諾)があると確認項目が増える1
見積書(合計50万円以上のもの等)外注先・ベンダー仕様が固まらないと見積が確定しにくい1
会社案内、案内図社内最新版かどうか、記載の整合に注意する

上の表は制度要件ではありませんが、締切までに揃えるための段取りとして有効です。特に外部発行の書類は入手の着手日自体がリスクになるため、早めに動くのが安全です。

複数申請の扱い

募集要項では、マイページは申請の種類・募集回ごとに取得が必要であり、同一回に複数申請する場合は申請ごとに取得するよう求めています1。複数テーマを検討する場合は、郵送物2セット×テーマ数になるため、社内の作業量と締切までの余裕を見て判断します。

審査・結果通知・採択後の流れ

審査と結果通知の考え方

助成テーマは、財団の審査委員会で審査し、理事会で決定するとされています1。審査の経過や内容に関する問い合わせには応じない点も示されています1

また、募集要項は実地調査を行う場合がある旨を示し、提出書類に説明場所案内図を含めています1。申請書の内容と現場(設備、試作体制、実施場所)が一致していることは、説明に一貫性を持たせる上で重要です。

第116回の審査結果通知時期は令和8年1月下旬とされています1。採択の場合は決定した助成金額が通知され、申請額より減額される可能性がある点も図の補足で示されています1

採択後に必要になること

募集要項は、採択後に助成対象者と財団で助成契約書を締結すること、助成金専用口座を開設すること、中間報告書と完了報告書を提出すること、開発成果物(知財を含む)は助成対象者に帰属することを示しています1

採択後の流れを、募集要項の図の趣旨に沿って整理すると次のとおりです。

段階主なイベント準備しておくと良いこと(実務上の注意点)
採択〜助成開始採否決定通知→専用口座→助成契約→助成金贈呈口座開設に必要な社内手続き、契約書の稟議フローを確認する
助成期間中中間報告(経費実績明細を含む)発注〜支払い〜納品の証憑を時系列で保管する
完了時完了報告(経費実績明細を含む)→完了認定調査→完了認定書仕様達成の証拠(評価結果、試験成績、写真等)を整理する

募集要項は、契約どおり実施されなかった場合や助成金が余った場合は返還が必要になることも示しています1。計画変更の可能性がある場合は、後回しにせず早めに相談する前提で、開発計画を組むことが重要です。

証憑(しょうひょう)管理の実務ポイント

募集要項は、完了時の経費報告の際に、証憑類(発注書、納品書、請求書、領収書、勤務記録簿等)のコピー提出が必要としています1。採択後に慌てないよう、申請段階から証憑管理の型を決めておくと安全です。

証憑の種類最低限そろえたいもの実務上の注意点
購入(部材・消耗品)発注書、納品書、請求書、領収書(または振込記録)品名と用途が試作に紐づくよう、発注時の備考欄を工夫する
外部委託見積書、発注書、契約書(必要に応じて)、成果物、請求書、支払記録成果物の仕様・検収条件を曖昧にしない
レンタル契約書(または申込書)、利用期間の証跡、請求書、支払記録助成期間内の利用に限定されるよう、期間を確認する
開発の進捗中間報告・完了報告に対応する試験記録、評価結果結果だけでなく、条件(温度、回数、測定機器等)も残す

この表はこうしておくと困りにくいという実務の話です。制度上の提出物や提出時期は、募集要項と採択後の案内を基準にしてください1

申請書作成でつまずきやすいポイント

基本情報と本編の不一致

記入要領は、基本情報と本編の内容が一致しているか確認し、とくに試作費の総計に注意するよう求めています3。最終助成金額は基本情報の助成希望額を元に決定されるため、整合が崩れると説明が難しくなります3

実務上は、次の一致を最終チェックに入れると安全です。

一致させるものズレが起きやすい理由対策例(実務上の注意点)
助成希望額と試作費合計対象外費目の混入、見積更新、端数処理費目ごとに対象/対象外を区別して集計し、千円単位の切り捨てを最後に行う
開発計画と見積項目計画変更に見積が追従していない工程表のマイルストーンと見積項目を対応づける
特許の説明と添付資料出願番号・権利者の表記揺れ申請書本編の知財欄を起点に、添付資料の該当ページを明確にする

チェックの型を決めておくと、社内レビューの回数が増えても崩れにくくなります。

従来技術との比較が抽象的

申請書本編と記入要領は、従来技術や競合技術との比較を表で示す例を提示しています43。比較が抽象的だと、独創性や実用化の見込みの説明が弱くなりがちです。

比較表は全部を数値にする必要はありませんが、少なくとも何が良くなるのかが一目で分かる軸を用意します。例としては、出力、損失、精度、コスト、重量、CO2削減量などが記入要領の例に登場します3。自社の技術分野に合う指標に置き換え、測定条件や前提も補足説明資料で補うと説得力が上がります。

50万円以上の見積書の準備漏れ

募集要項は、項目の合計が50万円以上のものについて見積書を求め、市販品は価格表示のあるカタログでも良いとしています1。試作費の山になりやすい外注・装置レンタル・専用部材は、この条件に引っかかりやすいので注意が必要です。

見積は、単に添付資料を揃える作業ではなく、試作費内訳の妥当性を担保する材料でもあります。締切直前に仕様変更が入ると、見積の取り直しで全体が崩れるため、仕様の確定点(どこからは変えないか)も社内で決めておくと安全です。

問い合わせ前に揃えておくと話が早い情報(実務上の注意点)

募集要項の要件に関わる論点は、文章だけだと伝わりづらい場合があります。事務局に確認する場合は、次の情報を揃えておくと相談が具体化しやすくなります。

相談テーマ揃えておきたい情報理由
開発段階の判断現状の検証結果、今回の試作で確認する事項、工程表研究段階か開発試作かの説明が具体化する
知財要件出願番号、出願日、出願人・権利者、関連特許の範囲添付資料と申請書記載の整合を取るため
経費の可否見積の内訳(項目名・用途・数量)、対象外費目との切り分け案対象経費の線引きがスムーズになる
複数申請テーマの切り分け、共通費の扱い案マイページ取得や郵送セット数の見通しが立つ

相談に入る前にこの表を使って整理すると、問い合わせが単純な可否確認から、修正案の検討に進みやすくなります。

似た名称の制度との取り違えに注意

新技術の開発支援は各地にありますが、名称が近い制度があり、所管や申請方法が異なります。ここでは、混同しやすい例として東京都の制度を挙げ、違いを明確にします。

東京都の新製品・新技術開発助成事業との違い(例)

東京都の新製品・新技術開発助成事業は、都内中小企業者等を対象に研究開発費の一部を助成し、申請はJグランツで受け付ける制度です5。一方、市村清新技術財団の新技術開発助成は、全国の企業を対象に、Web登録と郵送提出を組み合わせて申請する枠組みです1

比較項目市村清新技術財団 新技術開発助成(第116回)東京都 新製品・新技術開発助成事業(令和7年度)
実施主体公益財団法人 市村清新技術財団1公益財団法人東京都中小企業振興公社(事務局)5
対象地域全国(募集要項上、地域限定の記載なし)1東京都内での事業実施が前提(募集要項で要件を規定)5
助成率・上限4/5以下、上限2,400万円1原則1/2以内、上限2,500万円(賃金引上げで特例あり)5
助成対象期間原則1年以内(開発予定期間)1最長1年9か月(募集要項に記載)5
申請方法Web登録+郵送(両方必須)1Jグランツによる電子申請5

同じような言葉が入っていても、対象者・経費・期間・申請方法が異なります。制度名だけで判断せず、募集要項の実施主体と対象要件を確認してください。

申請前セルフチェック

次の表は、募集要項と申請書類(第116回)に基づき、申請準備の前に確認しておきたい項目を並べたものです。社内での一次判定に使い、判定が難しい項目は事務局相談に回すと効率的です。

カテゴリ確認項目自社で確認する資料例確認の目安
企業要件非上場である会社情報、登記情報上場していない1
企業要件資本金3億円以下または従業員300名以下直近期末の資料いずれかを満たす1
企業要件関係会社に上場企業・大企業がない株主構成、グループ図募集要項の要件を満たす1
技術要件特許出願または特許権がある出願受理書面、公報添付資料として提出できる1
技術要件開発段階が実用化を目的にした開発試作開発計画、試験結果研究段階・商品設計段階の説明になっていない1
技術要件1年以内で完了する計画工程表、体制図外注先の納期を含めて1年以内1
費用試作費が助成対象経費で組めている見積、内訳表設備・備品購入等が混ざっていない1
手続きWeb登録と郵送の両方が準備できる担当割り当て登録→印刷→押印→2セット郵送まで逆算できる1

この表で怪しいと感じた項目がある場合、申請書を書き始める前に論点を潰す方が効率的です。特に特許と開発段階は、後からの修正が難しいため優先度が高くなります。

スケジュール例(第116回の公募回)

第116回では、マイページ取得期間と受付期間、結果通知時期、贈呈式時期が募集要項に示されています1。申請準備の段取りは、この枠に合わせて組みます。

時期制度上のイベント申請者側の作業例(実務上の注意点)
2025年8月1日〜10月20日マイページ取得期間1マイページ取得、基本情報の下書き、本編の作成・社内レビュー
2025年10月1日〜10月20日受付期間(Web登録+郵送、消印有効)1受付開始後に登録、印刷、押印、2セット郵送、控えの保管
令和8年1月下旬審査結果通知(文書)1採択時に備えて専用口座開設の準備、稟議の前倒し
令和8年2月初旬助成金贈呈式1助成開始に合わせて発注・外注契約を開始できる状態にする

上表は第116回の例です。次回以降は公募回が変わると日程も変わり得るため、対象回の募集要項で確認してください。

よくある質問

Q1. 研究段階のアイデアだけでも申請できますか。
A. 募集要項は、基本原理の確認が終了した後の実用化を目的にした開発試作を対象にし、原理確認のための試作や商品設計段階の試作は対象外としています1。アイデア段階の場合は、まず原理確認や効果検証を進め、開発試作として説明できる状態にしてから検討することになります。

Q2. 特許は取得済みでないと申請できませんか。
A. 要件は特許の出願または特許権の取得です1。提出書類として、特許庁の受理書面や公報等の添付が求められます1。出願書類の準備状況は、申請スケジュールに直結します。

Q3. 申請書はWebで登録するだけで完了しますか。
A. 募集要項は、申請書類のWeb登録と、添付資料を含む申請書類一式の郵送提出の両方が必要としています1。どちらか片方だけでは受理されません。

Q4. 申請書(本編)はどの形式で提出しますか。
A. 本編は所定書式で作成し、PDF形式でマイページにアップロードする流れが示されています1。本編の様式と記入要領はPDFで確認できます43

Q5. 助成対象になる経費は何ですか。
A. 募集要項は、部品・材料費、消耗品費、外部委託費、レンタル費用を助成対象の試作費として挙げています1。一方で、設備・備品費、量産用金型、旅費等は対象外になりやすい費目として例示されています1

Q6. 社内人件費は計上できますか。
A. 募集要項の別表では、社内人件費は原則不可としつつ、ソフト開発費等について一部のみ対象となり得る旨の注記があります1。テーマによって判断が難しくなるため、記入要領の該当箇所と併せて確認し、必要なら事務局に相談するのが安全です。

Q7. 助成金は後払いですか。
A. 募集要項は、この助成が融資ではないことを示した上で、助成金は助成開始時の助成金贈呈式で贈呈するとしています1。採択後は専用口座の開設も必要です1

Q8. 郵送書類は何部必要ですか。
A. 募集要項は、申請書〈2〉と添付資料〈3〉〜〈13〉を1セットとして2セット提出し、チェックシート〈1〉を添えて送付するよう求めています1

Q9. 見積書は必ず必要ですか。
A. 募集要項は、項目の合計が50万円以上のものについて見積書の提出を求めています1。市販品の場合は価格表示のあるカタログでも良いとされています1

Q10. 審査結果はいつ分かりますか。
A. 第116回では、審査結果を令和8年1月下旬に文書で通知するとしています1。審査の経過や内容に関する問い合わせには応じない点も示されています1

Q11. 採択後に必要な報告はありますか。
A. 募集要項は、中間報告書と完了報告書(いずれも経費実績明細を含む)の提出を求めています1。完了時の経費報告では、証憑類のコピー提出が必要です1

Q12. 助成金の返還が発生することはありますか。
A. 募集要項は、契約どおり実施されなかった場合や助成金が余った場合は返還が必要になることを示しています1。開発計画や見積は、実現可能性と対象経費の線引きを踏まえて組むことが重要です。

Q13. 提出した申請書類は返却されますか。
A. 募集要項は、提出書類は返却しない旨を示しています1。社内の控え(提出した一式のコピー)を残し、後日の確認に備えます。

Q14. 郵送は普通郵便でもよいですか。
A. 募集要項は、速達扱いの郵便または宅配便で送付するよう求めています1。締切日消印有効でも、投函日や追跡の確認ができる方法を選ぶと、提出管理がしやすくなります。

Q15. Web登録後に申請書を修正できますか。
A. 募集要項は、申請書類の登録後は内容を変更できない旨を示しています1。登録前に、基本情報と本編、添付資料の整合を点検してから確定させます。

  1. 公益財団法人 市村清新技術財団 第116回(令和7年度第2次)新技術開発助成募集のご案内(募集要項・記入要領・チェックシート・申請書)

  2. 公益財団法人 市村清新技術財団 第116回(令和7年度第2次)新技術開発助成申請書〈基本情報〉(PDF)

  3. 公益財団法人 市村清新技術財団 第116回(令和7年度第2次)新技術開発助成 申請書記入要領(PDF)

  4. 公益財団法人 市村清新技術財団 第116回(令和7年度第2次)新技術開発助成申請書〈本編〉(PDF)

  5. 公益財団法人東京都中小企業振興公社 令和7年度 新製品・新技術開発助成事業 募集要項(PDF)

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