業務のデジタル化を進めたいが、ITツールの導入コストがネックになっている中小企業の経営者は少なくありません。社内にIT人材がいない場合、何から手を付ければよいか分からないという声もよく聞かれます。
この記事では、全国の中小企業が申請できるDX・IT導入向けの返済不要の補助金7件を紹介します。対象者・補助率・金額を制度ごとに整理しているので、自社に合う制度をすぐに確認できます(補助金検索フラッシュ掲載データ、2026年4月時点)。
全国の中小企業が使えるDX・IT導入の返済不要の補助金7選
以下で紹介する各制度の細かい要件については、それぞれの募集要項でご確認ください。公募は定期的に更新されるため、最新の募集状況は公式ページで確認することをおすすめします。
通常枠 | デジタル化・AI導入補助金2026 1
中小企業・小規模事業者が自社の課題に合ったITツールを導入するための補助金です。業務ソフトウェアやクラウドサービスの購入費に加え、導入時のコンサルティングや研修費用も対象になります。
この制度の特徴は、導入するソフトウェアに共通プロセスまたは業種特化型プロセスを有することが求められる点です。汎用プロセスのみのソフトウェアは対象外となるため、自社の業務改善に直結するツールを選ぶ必要があります。補助率は2/3、上限は450万円です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 自社の業務課題をITツールで改善したい中小企業・小規模事業者 |
| 補助率・金額の上限 | 2/3、上限450万円 |
| 補助金詳細ページ | 通常枠 | デジタル化・AI導入補助金2026 |
複数者連携デジタル化・AI導入枠 2
サプライチェーンや商業集積地に属する複数の中小企業・小規模事業者が連携してITツールやAIを導入する取り組みを支援する制度です。単独では難しいデジタル化も、取引先や地域の事業者と一緒に取り組むことで面的なDXを実現できます。
ここが他の制度と大きく違う点は、複数社連携が前提となっていることです。小規模事業者は補助率4/5と手厚く、上限も3,000万円と大きい制度です。POSデータや来街者データを活用したデジタルマーケティングなど、幅広い用途に対応しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | サプライチェーンや商店街など、複数の中小企業・小規模事業者・個人事業主が連携する取り組み |
| 補助率・金額の上限 | 小規模事業者4/5、その他は条件により3/4〜1/2、上限3,000万円 |
| 補助金詳細ページ | 複数者連携デジタル化・AI導入枠 |
インボイス枠(インボイス対応類型) 3
インボイス制度に対応するため、会計・受発注・決済の機能を持つソフトウェアや、導入に必要なPC・タブレット・POSレジ等のハードウェアの経費を補助する制度です。DX化の第一歩としてバックオフィス業務のデジタル化に取り組みたい事業者に向いています。
意外と知られていないのが、ソフトウェアだけでなく導入コンサルティングや研修、保守サポートまで対象に含まれる点です。小規模事業者は補助率4/5以内と手厚い設定になっています。ただしハードウェア単体のみの申請はできません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | インボイス制度対応のための会計・受発注・決済機能を導入する中小企業・小規模事業者・個人事業主 |
| 補助率・金額の上限 | 小規模事業者4/5以内、中小企業3/4以内(ソフト50万円超部分は2/3以内、ハードは1/2以内)、上限350万円 |
| 補助金詳細ページ | インボイス枠(インボイス対応類型) |
インボイス枠(電子取引類型) 4
インボイス制度に対応した受発注機能を持つクラウド型ソフトウェアの導入費を補助する制度です。発注者がツールを導入し、取引先の中小企業・小規模事業者にアカウントを無償で提供する仕組みが特徴的です。
この制度の面白いところは、取引全体の電子化を促進する設計になっている点です。自社だけでなく取引先のDX化も同時に進められるため、受発注業務の効率化を一気に実現できます。補助率は中小企業・小規模事業者で2/3以内、上限は350万円です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 受発注機能を備えたクラウド型ソフトウェアを導入し、取引先に無償でアカウントを提供する事業者(個人事業主・法人) |
| 補助率・金額の上限 | 中小企業・小規模事業者2/3以内、その他1/2以内、上限350万円 |
| 補助金詳細ページ | インボイス枠(電子取引類型) |
セキュリティ対策推進枠 5
中小企業・小規模事業者がサイバーセキュリティ対策のためのサービスを導入する費用を補助する制度です。DX化を進める際にはセキュリティ対策も同時に検討する必要があり、IT導入と合わせて活用したい制度といえます。
対象となるのはサイバーセキュリティお助け隊サービスリストに掲載されたサービスに限定されます。サービス利用料を最大2年分まで補助してもらえるため、導入後の運用コストを抑えながらセキュリティ体制を整備できます。補助率は2/3、上限は150万円です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 事務局に登録されたIT導入支援事業者が提供するセキュリティサービスを利用する中小企業・小規模事業者(法人) |
| 補助率・金額の上限 | 2/3、上限150万円 |
| 補助金詳細ページ | セキュリティ対策推進枠 |
DX化にはIT導入だけでなく、省エネルギーの観点からの取り組みも含まれます。
【令和7年度補正予算】DX型CO2削減対策実行支援事業 6
工場・事業場の脱炭素化を目的に、DXシステムを活用した運用改善や省CO2型システムへの改修を支援する環境省の事業です。電化・燃料転換・熱回収等の設備改修に加え、DXによる運用最適化も対象に含まれます。
この制度は環境対策とDXを組み合わせた取り組みに特化しています。製造現場でエネルギー管理のデジタル化を進めたい事業者にとって、CO2削減とDX推進を同時に実現できる制度です。補助率は3/4、上限は200万円となっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 工場・事業場の省CO2化やDXによる運用改善に取り組む中小企業(法人)。独立行政法人、社会福祉法人、医療法人等も対象 |
| 補助率・金額の上限 | 3/4、上限200万円 |
| 補助金詳細ページ | 【令和7年度補正予算】DX型CO2削減対策実行支援事業 |
ウラノス・エコシステムの実現のためのデータ連携システム構築・実証事業 7
NEDOが実施するデータスペース基盤の整備・普及促進事業です。産業分野でのデータ連携システムの開発・実証を支援し、蓄電池や化学物質情報の分野における相互接続を推進します。
この制度は大規模なデータ連携基盤の構築に関わるため、対象はデータ連携システムの設計・開発を行う企業や研究機関です。中小・ベンチャー企業の補助率は2/3で、上限は2億円と非常に大きい制度です。ただし高度なシステム開発が前提のため、一般的な中小企業の業務DXとは性質が異なります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | データ連携基盤の設計・開発・実証を行う企業、研究機関、NPO、教育機関等(大企業・中堅企業・中小企業) |
| 補助率・金額の上限 | 中堅・中小・ベンチャー企業2/3、大企業1/2、上限2億円(区分により異なる) |
| 補助金詳細ページ | ウラノス・エコシステムの実現のためのデータ連携システム構築・実証事業 |
申請前に確認しておきたいポイント
対象要件を確認する
まず、自社が対象者の要件を満たしているかを確認しましょう。たとえばデジタル化・AI導入補助金の通常枠は中小企業・小規模事業者が対象ですが、複数者連携枠は複数社の連携が前提条件です。セキュリティ対策推進枠は法人のみが対象で個人事業主は申請できません。補助金検索フラッシュなら業種・事業規模で絞り込み、自社に合った制度を確認できます。
書類を準備する
多くの制度で事業計画書の提出が求められます。IT導入補助金では導入するITツールの選定と、そのツールによる生産性向上の見通しを具体的に記載する必要があります。作成に不安がある場合は、補助金の無料サポートをご利用ください。専門家が補助金の申請をサポートします。
スケジュールを確認する
デジタル化・AI導入補助金の通常枠やインボイス枠は2026年5月12日が締切、複数者連携枠は2026年6月15日が締切です。電子申請にはGビズIDプライムアカウントが必要で、発行まで数週間かかります。早めに準備しておきましょう。GビズIDの取得方法は補助金申請が忙しい時期に慌てないためのGビズIDの先回り準備をご覧ください。
まとめ
この記事では、全国の中小企業が申請できるDX・IT導入向けの返済不要の補助金7件を紹介しました。
- 通常枠 | デジタル化・AI導入補助金2026: ITツール導入による生産性向上、上限450万円
- 複数者連携デジタル化・AI導入枠: 複数社連携でのIT導入・DX推進、上限3,000万円
- インボイス枠(インボイス対応類型): インボイス対応の会計・受発注ソフト導入、上限350万円
- インボイス枠(電子取引類型): 受発注クラウドソフトと取引先への無償提供、上限350万円
- セキュリティ対策推進枠: サイバーセキュリティサービスの利用料補助、上限150万円
- DX型CO2削減対策実行支援事業: DXと省CO2型システムの導入、上限200万円
- ウラノス・エコシステム データ連携システム構築・実証事業: データ連携基盤の開発・実証、上限2億円
制度ごとに対象条件や補助額が大きく異なるため、自社の事業規模やDXの目的に合った制度を選ぶことが重要です。気になる制度があれば、各制度の公式ページから最新の公募情報を確認してみてください。
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