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ブログ|業務改善・効率化

5Sの取り組みで生産性を向上させる鍵は「整理」にある

5Sで探し物と手戻りを減らし、生産性向上を進める手順を解説。整理の判断基準、整頓の見える化、清潔の標準化、しつけを仕組みにするコツまで、業種を問わずそのまま使えます。

補助金フラッシュ 士業編集部公開日: 2026年2月2日
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目次

  • 5Sが製造業以外にも広がった理由は何か?
  • 5つのSをどう解釈すれば混乱しないか?
  • 始める前に決めたい基準
  • 整頓と清潔で、探す手間と手戻りを減らす
  • しつけを根性にしない、続ける運用設計
補助金フラッシュ 事業計画

職場のあちこちで探し物が起き、同じミスの手戻りが何度も出ると、ムダが静かに利益を削ります。5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)は、仕事が流れる環境を整えて生産性向上を続けるための方法です。
この記事では、製造業や建設業に限らず、事務、サービス、医療などでも応用できる形に噛み砕いて説明します。

目次

  • ●5Sが製造業以外にも広がった理由は何か?
  • 経産省の事例では段取り時間が約40%減った
  • 紙とデータでも、探すムダは再現される
  • ●5つのSをどう解釈すれば混乱しないか?
  • 日本語の清潔は見た目ではなく、標準化に近い
  • 掃除で終わる5Sと、仕事の流れを変える5Sは違う
  • ●始める前に決めたい基準
  • 赤札方式は、判断を止めないための道具
  • 残す基準は用途、頻度、期限の3つで足りる
  • ●整頓と清潔で、探す手間と手戻りを減らす
  • 定位置と見える化で、探す手間をなくす
  • 清潔は、良い状態を維持するための標準を作る
  • ●しつけを根性にしない、続ける運用設計
  • 続けるコツは短い点検と役割分担、写真による記録
  • 5Sが逆効果になる例と、避けるための考え方
5Sの取り組みで生産性を向上させる鍵は「整理」にある

5Sが製造業以外にも広がった理由は何か?

5Sは現場改善で語られがちですが、実はオフィスやサービス業でも同じように役立ちます。理由は、探す、歩く、戻す、やり直すといったムダが、工場だけでなくどんな職場にも同じ構造で存在するからです。例えば事務なら書類やデータの所在確認、サービス業なら備品の補充漏れ、医療なら物品の取り違えなど、形は違っても根っこは似ています。置き場とルールが曖昧なほど探し物が増え、結果として待ち時間や手戻りが増え、数字に出にくい損失になります。

経産省の事例では段取り時間が約40%減った

5Sは小さな行動に見えても、数字として成果が表れやすいことがあります。経済産業省の2018年版ものづくり白書には、工具や部品の置き方を見直すなどの5Sで、工具や部品の段取り時間が約40%削減されたという事例が載っています1。もちろん、これは万能な平均値ではなく、1社のケーススタディです。それでも、探す作業の削減が大きな改善余地になり得ることは、業種を問わず参考になりますし、まずは探し物が起きる場所を3つ挙げるだけでも着手できます。

紙とデータでも、探すムダは再現される

介護分野の生産性向上を扱う厚生労働省のポータルでも、業務改善の最初のステップとして5Sが示されています2。介護は製造ラインではありません。

それでも、必要な物品や書類がすぐ出ない、片付けが属人化している、といった問題は起きます。5Sは、困りごとを個人の頑張りで埋めるのではなく、誰でも同じように仕事が進む状態を作るための共通言語です。5Sが特定の業界だけの手法ではないことが見えてきたところで、次は言葉の解釈違いをほどきます。

5つのSをどう解釈すれば混乱しないか?

5Sはローマ字表記のSが5つ並ぶことから5Sと呼ばれます。英語圏では、Sort、Set in Order、Shine、Standardize、Sustainのように訳されるのが一般的です34。ただし、訳語のニュアンスが少し違うだけで、現場で起きる誤解も変わります。言葉を覚えることより、各Sが何を止め、何を増やすのかを押さえる方が実務的で、打ち手の優先順位も決めやすくなります。

日本語の清潔は見た目ではなく、標準化に近い

特に誤解が出やすいのが清潔です。日本語だと身だしなみや清潔感の話になりがちですが、英語の5SではStandardizeとされ、やり方をそろえる段階を指します4。つまり清潔は、きれいにすることより、きれいが続く条件を作ることです。なお、5Sに安全を加えて6Sと呼ぶこともありますが、安全も整理、整頓、清掃でリスクを見つけやすくするという意味で、5Sと相性がよい考え方です3。

掃除で終わる5Sと、仕事の流れを変える5Sは違う

5Sが続かない職場では、清掃がイベントになりがちです。床を磨いた日に達成感が出ても、翌週には物が戻り、探し物が再発します。成果を出す5Sは、掃除より前に整理で残す物を減らし、整頓で戻す場所を固定します。清掃は異常を見つける点検として扱い、次は整理の進め方に移ります5。

始める前に決めたい基準

整理は要る物と要らない物を分け、要らない物を職場から出すことです。ここで迷うのは、何が要るのか、誰が決めるのか、いつ決めるのかです。判断を先送りにすると整理は終わりませんが、厳しすぎる基準で捨て始めると反発が起きます。整理は捨てる作業ではなく残す理由を言語化する作業で、棚の中身だけでなく重複した帳票や使われないチェック項目の棚卸しにも応用できます。

赤札方式は、判断を止めないための道具

整理を進める現実的なやり方として、赤札方式があります。米国環境保護庁は、Sortの実施方法としてred taggingを紹介し、不要な物や数量が不適切な物に札を付けて、いったん保管場所へ移す流れを説明しています5。札を付けた瞬間に捨てるのではなく、判断をいったん分離するのがポイントです。現場で迷う時間を減らし、期限を決めて処分、移管、再配置の結論を出せます。

赤札がうまくいかない原因は、保管場所があふれることです。保管場所の容量、保管期限、最終判断者を先に決めると、赤札が機能します。週1回15分のように短い時間でよいので、赤札の最終判断だけを集中的に行う枠を作ると、滞留しにくく、結論も出しやすくなります。捨てるかどうかで揉める場合は、代替手段の有無や再入手の難しさを判断基準に加えると、合意が取りやすくなります。

残す基準は用途、頻度、期限の3つで足りる

基準がない整理は、声の大きい人の好みで決まりやすくなります。先に判断軸を3つに絞ると、議論が短くなり、合意もしやすくなります。決めた基準は、紙1枚でよいので見える場所に置き、迷ったときに立ち返れる状態にし、更新したら必ず周知します。

  • 用途が説明できるか。誰の何の作業で使うかが言えない物は要注意です。
  • 使用頻度はどれくらいか。毎日、週1回、年に数回で置き方を変えます。
  • 期限があるか。法定保存、保証期間、消費期限のある物はルールを明文化します。

頻度が低い物は捨てるしかない、と決めつける必要はありません。頻度に応じて置き場を遠ざける、共有化する、代替品を用意する、といった選択肢もあります。データなら、作業フォルダとアーカイブを分けるだけでも、探し物は減らせます。整理の基準が決まると、次は整頓で探すを作業から外せます。

整頓と清潔で、探す手間と手戻りを減らす

整頓は、必要な物を必要なときに必要な量だけ取り出せる状態を作ることです。整理の後に整頓を入れるのは、物が多い状態で場所を決めても、結局は置けなくなるからです。整頓まで進むと、探すムダだけでなく、間違った物を使うミスや、戻し忘れによる欠品も減らせます。ここでの改善は作業時間を縮めるだけでなく品質も安定させ、失敗を減らす改善を進めやすくします。

定位置と見える化で、探す手間をなくす

整頓の基本は定位置です。どこに置くかを決め、誰が見ても同じ場所に戻せるようにします。労働局の資料でも、置く場所、置く物、置ける量を決める3定管理に触れ、異常がすぐ分かるようになると説明しています6。現場なら棚のラベルや輪郭線、オフィスなら共有フォルダの階層と命名規則、サービス業なら備品カートの中身の固定など、道具は違っても考え方は同じです。

見える化は装飾ではありません。戻し忘れ、過剰在庫、欠品といった問題を、発生した瞬間に気づけるようにする仕掛けです。さらに、定位置が決まると新人教育が短くなり、応援に来た人でも作業に入りやすくなります。結果として、繁忙期の引き継ぎやシフト交代の負担も下がります。

清潔は、良い状態を維持するための標準を作る

清潔は、整理、整頓、清掃を日常の手順として固定する段階です4。サービス産業向けに経済産業省が監修した5Sの改善マニュアルでは、5Sでムダやミスを減らす取り組みとして、手順やツールをまとめています7。ポイントは、誰かの気合いで続けるのではなく、チェックの頻度と責任を仕事の一部に組み込むことです。標準の更新担当を決めておくと、形骸化しにくくなります。

標準は分厚いマニュアルである必要はありません。写真1枚と、やること3行のような短い標準の方が、現場では守られます。例えば、終業前の戻し方、清掃の順番、ラベルの貼り方を揃えるだけでも、ズレが見え、改善がしやすくなります。小さな標準が増えるほど、PDCA(計画、実行、確認、改善)の確認もしやすくなり、仕組みが整ってきたら次はしつけで維持する番です。

しつけを根性にしない、続ける運用設計

しつけは、決めたルールを守り続ける段階です。忙しい時期にルールが崩れて放置されるのが、5Sが止まる典型です。続けるには完璧を目指すより、戻りにくい仕組みにします。現場はズレをすぐ直し、管理者はズレが起きる理由を減らす決定をする、と役割を切り分けると運用が安定します。

続けるコツは短い点検と役割分担、写真による記録

続けるために有効なのは、短く、頻度高く、同じやり方で確認することです。実務では、次のような形にすると運用しやすくなります。点検は、忙しさに負けない時間帯へ固定すると定着します。

  • 毎日5分だけ、決めた場所を見て戻し忘れを戻す
  • 週1回、整頓した状態を写真に残し、ズレを見つけやすくする
  • 月1回、赤札を付ける日を作り、不要物が増えないようにする
  • 点検担当を固定しすぎず、交代制にして属人化を防ぐ

介護分野の資料でも、改善項目を洗い出してリスト化し、誰がいつまでに何をするかを決める重要性が述べられています2。5Sは、続ける運用を最初から作り込むほど失敗が減ります。写真は、配置を変えたらその日のうちに更新する、と決めておくと記録が役立ちます。逆に、点検の頻度が決まっていない5Sは、忙しくなった瞬間に消えてしまいます。

5Sが逆効果になる例と、避けるための考え方

5Sが逆効果になる典型は、監査のための活動になることです。点検表を埋めることが目的になると、仕事が増えた感覚だけが残ります。もう一つは、標準が現場の実情と合わず、例外処理が増えることです。標準化は固定ではなく、うまくいかない部分を小さく直していく前提で作ると、押し付け感が減ります。

安全面でも注意があります。設備の点検や清掃は非定常作業になりやすく、リスクを考慮して行う必要がある、といった指摘があります6。清掃を急いで進めるより、手順と保護具を確認してから実施する方が、長い目では効率的です。忙しいほど5Sを止めたくなりますが、忙しいときほど探し物と手戻りの損失が増えるため、点検だけは残す、と決めておくと戻りやすくなります。

最後に持ち帰るなら3つです。まず、5Sは掃除ではなく整理で仕事の前提を軽くする手法で、迷いと探し物を減らすところから始めます。次に、整頓と清潔で探すと手戻りを減らし、誰でも同じように作業できる状態を作ります。最後に、しつけは根性ではなく、点検の頻度と役割を決めて続ける仕組みにします。

出典・参考資料

  1. 5Sで工具や部品の段取り時間が約40%削減された事例が掲載。経済産業省、2018年版ものづくり白書 第1部第2章第1節(2018年) ↩

  2. 介護分野の業務改善の入口として5Sを提示し、改善項目の洗い出しや担当と期限設定を勧める。厚生労働省、介護分野における生産性向上、取組のステップとポイント(最終閲覧 2026年2月2日) ↩

  3. 5Sの英語訳(Sortなど)や、Safetyを加えて6Sとする考え方に言及。Lean Enterprise Institute、Lexicon Five S(最終閲覧 2026年2月2日) ↩

  4. 5Sの定義と各Sの説明、Seiketsuを標準化と捉える整理。American Society for Quality、Five S Tutorial(最終閲覧 2026年2月2日) ↩

  5. 5Sをムダ削減と生産性最適化の方法として説明し、red taggingの手順を紹介。US EPA、Lean Thinking and Methods、5S(最終更新 2025年9月23日) ↩

  6. 5Sを転倒災害防止の観点から説明し、整理の優先や3定管理、清掃時のリスクへの注意を示す。神奈川労働局 川崎北労働基準監督署、5S活動で転倒災害を防止しよう(最終閲覧 2026年2月2日) ↩

  7. 経産省監修のサービス産業向け改善マニュアルとして、5Sでムダとミスを減らす手順やツールを整理。日本能率協会コンサルティング、改善マニュアル No.1 5Sによる作業のムダ・ミス削減(最終閲覧 2026年2月2日) ↩

執筆者:補助金フラッシュ 士業編集部

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執筆者
補助金フラッシュ 士業編集部
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