小規模事業者持続化補助金の一般型通常枠では、第20回公募の公募要領第7版が2026年5月27日に公開されました。申請受付は2026年11月5日開始、申請受付締切は2026年12月15日17時の予定です。今回の公募では、賃金引上げ特例、広報費、ウェブサイト関連費、再申請制限、相見積の基準など、申請前に確認したい変更点が複数あります。
本記事では、公式の公募要領と公募要領新旧対照表をもとに、第20回公募の対象者、補助額、対象経費、申請の流れ、変更点をまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名(正式名称) | 小規模事業者持続化補助金 一般型 通常枠 |
| 対象年度/公募回 | 令和6年度補正予算 第20回公募 |
| 最終更新日 | 2026年6月6日 |
| 所管/実施機関/事務局 | 小規模事業者持続化補助金事務局。商工会地区は株式会社ニューズベース、商工会議所地区は株式会社日本経営データ・センターが事務局として記載されています。 |
| 補助上限額/補助率 | 補助上限額は原則50万円。インボイス特例は50万円上乗せ、賃金引上げ特例は150万円上乗せ、両方を満たす場合は200万円上乗せ。補助率は2/3、賃金引上げ特例のうち赤字事業者は3/4です。 |
| 申請期間 | 申請受付開始は2026年11月5日、申請受付締切は2026年12月15日17時です。事業支援計画書の発行受付締切は2026年12月4日です。 |
| 公式一次資料(PDF/Word) | 公募要領 第7版 2026年5月27日 PDF / 公募要領新旧対照表 第6版から第7版 PDF / 申請について 2026年5月27日掲載 公式ページ |
| 免責 | 申請可否や経費判断は、当該年度の募集要領・交付要綱等と事務局の案内で最終確認してください。 |

制度の全体像
第20回は一般型通常枠の公募
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が自ら作成する経営計画に基づき、販路開拓や販路開拓とあわせて行う業務効率化の取組に必要な経費の一部を支援する制度です。一般型通常枠では、商工会または商工会議所の支援を受けながら経営計画を作成し、電子申請で応募します。第20回公募の事業実施期限は、交付決定日から2028年3月31日までです。12
第20回の大きな特徴は、受付開始が2026年11月である一方、申請前に準備すべき事項が多い点です。特に賃金引上げ特例を使う場合は、給与支給総額、対象従業員、賃金台帳、表明書、実績報告時の達成確認まで見通す必要があります。単に補助上限額が増える制度として見るのではなく、実績報告まで達成できるかを申請前に確認することが重要です。2
創業型とは別の公募です
今回扱うのは、一般型通常枠の第20回公募です。創業後間もない事業者向けには創業型が別に用意されており、創業型の第4回公募も2026年5月27日に公募要領が公開されています。創業型では、特定創業支援等事業による支援を受けた日と開業日など、一般型通常枠とは異なる要件が関係します。一般型通常枠で申請するのか、創業型で申請するのかを最初に分けて確認してください。34
両方の公募で受付開始日や締切日が同じでも、対象者の要件や必要書類は同じではありません。創業して間もない事業者は、一般型通常枠だけで判断せず、創業型の公募要領も確認したうえで、自社に合う申請区分を選ぶ必要があります。
第20回公募のスケジュール
申請受付は2026年11月5日開始です
第20回公募は、2026年5月27日に公募要領が公開され、申請受付は2026年11月5日に始まります。申請受付締切は2026年12月15日17時です。申請には商工会または商工会議所が発行する事業支援計画書が必要であり、その発行受付締切は2026年12月4日です。25
| 項目 | 日程 |
|---|---|
| 公募要領公開 | 2026年5月27日 |
| 申請受付開始 | 2026年11月5日 |
| 事業支援計画書の発行受付締切 | 2026年12月4日 |
| 申請受付締切 | 2026年12月15日17時 |
| 採択発表予定 | 2027年3月頃 |
| 見積書等の提出締切 | 2028年2月29日 |
| 補助事業実施期限 | 交付決定日から2028年3月31日まで |
| 実績報告書提出期限 | 2028年4月10日 |
申請受付締切だけを見ると準備期間が長く見えますが、事業支援計画書の発行受付締切は申請受付締切より前です。商工会または商工会議所での確認には時間がかかるため、経営計画、補助事業計画、見積書、必要書類を早めにそろえる必要があります。
電子申請とGビズIDの準備が必要です
第20回公募の申請は電子申請のみです。郵送による申請はできません。申請にはGビズIDプライムアカウントが必要です。GビズIDプライムは取得まで時間がかかる場合があるため、申請直前ではなく、早い段階で取得状況を確認してください。2
補助金は採択されればすぐ入金される制度ではありません。採択後に交付申請や交付決定があり、補助事業を実施し、実績報告と確定検査を経てから補助金が支払われます。公募要領でも、補助金は後払いであり、補助事業実施期間中は自己資金や融資などで必要資金を確保する必要があると案内されています。2
補助額と補助率
通常枠の基本上限は50万円です
一般型通常枠の補助上限額は50万円です。インボイス特例の要件を満たす場合は50万円が上乗せされ、賃金引上げ特例の要件を満たす場合は150万円が上乗せされます。両方の特例を満たす場合は、補助上限額が200万円上乗せされます。補助率は原則2/3で、賃金引上げ特例のうち赤字事業者は3/4です。2
| 申請内容 | 補助上限額 | 補助率 |
|---|---|---|
| 通常枠のみ | 50万円 | 2/3 |
| 通常枠とインボイス特例 | 100万円 | 2/3 |
| 通常枠と賃金引上げ特例 | 200万円 | 2/3 |
| 通常枠と賃金引上げ特例で赤字事業者 | 200万円 | 3/4 |
| 通常枠とインボイス特例と賃金引上げ特例 | 250万円 | 2/3 |
| 通常枠とインボイス特例と賃金引上げ特例で赤字事業者 | 250万円 | 3/4 |
上乗せを受ける場合は、申請時点の要件だけでなく、補助事業終了時や実績報告時に要件を満たせるかを確認してください。特にインボイス特例と賃金引上げ特例は、要件を満たさない場合に補助金が交付されない扱いになる点に注意が必要です。2
採択は補助金の支払いを保証するものではありません
補助金は、申請すれば必ず受け取れる制度ではありません。審査の結果、不採択になる場合があります。また、採択後であっても、交付決定前に発注や契約をした経費は原則として補助対象になりません。公募要領では、補助事業実施期間内に発注、契約、納品、支払いなどを完了し、必要な証拠書類で確認できる経費が対象になる仕組みです。2
採択発表後に交付決定を受けるまで1か月から2か月程度を要する可能性があります。補助事業を開始できる時期、支払いの時期、実績報告の締切を考えると、資金繰りと事務処理の両方を事前に準備しておく必要があります。2
対象者と従業員数の考え方
業種ごとに従業員数の上限が異なります
申請対象は、日本国内に所在する小規模事業者などです。従業員数の上限は業種によって異なります。第20回公募では、常時使用する従業員の考え方として、労働基準法第20条に基づく解雇の予告を必要とする者を指す扱いが公募要領に記載されています。2
| 業種区分 | 常時使用する従業員数 |
|---|---|
| 商業・サービス業。ただし宿泊業・娯楽業を除く | 5人以下 |
| サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
| 製造業その他 | 20人以下 |
常時使用する従業員には、労働基準法上、解雇予告が必要な者が含まれます。一方で、日々雇い入れられる者、2か月以内の期間を定めて使用される者、季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者、試用期間中の者など、一定の者は含まれません。会社役員や個人事業主本人、同居の親族従業員も対象外として扱われます。2
申請できる主体と申請できない主体があります
申請できる主体は、会社、個人事業主、一定の要件を満たす特定非営利活動法人などです。一方で、医師、歯科医師、助産師、系統出荷による収入のみである個人農業者、協同組合等の組合、一般社団法人、公益社団法人、一般財団法人、公益財団法人、医療法人、宗教法人、学校法人、農事組合法人、社会福祉法人、任意団体などは対象外です。2
| 区分 | 確認内容 |
|---|---|
| 会社 | 小規模事業者の従業員数要件を満たす会社が対象です。 |
| 個人事業主 | 開業している個人事業主が対象です。 |
| 特定非営利活動法人 | 法人税法上の収益事業を行っていること、認定特定非営利活動法人でないことなどが必要です。 |
| 創業予定者 | 申請時点で開業していない場合、一般型通常枠では対象になりません。 |
| 任意団体 | 法人格のない任意団体は対象外です。 |
また、資本金または出資金が5億円以上の法人に100%株式を保有されている事業者ではないこと、直近過去3年分の各年または各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超えていないことも確認が必要です。形式的に小規模事業者に見えても、資本関係や所得要件によって対象外になる場合があります。2
過去採択者の再申請制限
報告書提出後さらに1年が必要です
過去に小規模事業者持続化補助金で採択を受けた事業者は、第20回公募の再申請制限を確認する必要があります。第20回公募では、過去の補助事業で事業効果および賃金引上げ等状況報告書の提出を完了した後、さらに1年が経過していることが申請条件として扱われます。公募要領新旧対照表でも、この点が第19回からの変更点として示されています。26
| 確認項目 | 第20回での考え方 |
|---|---|
| 過去採択の有無 | 一般型通常枠、コロナ特別対応型、低感染リスク型ビジネス枠、創業型などの採択歴を確認します。 |
| 報告書の提出状況 | 事業効果および賃金引上げ等状況報告書の提出が完了している必要があります。 |
| 追加の経過期間 | 報告書提出後、さらに1年が経過している必要があります。 |
| 不備の有無 | 必要な報告に不備がある場合は、申請できない可能性があります。 |
過去に採択されたことがある場合は、今回の申請準備に入る前に、前回の補助事業終了日、報告書提出日、不備対応の完了状況を確認してください。採択歴のある事業者ほど、申請書の内容だけでなく、過去補助事業の事後手続きが申請可否に影響します。
補助対象事業に求められる内容
販路開拓や業務効率化が対象です
補助対象事業は、経営計画に基づく販路開拓等の取組、または販路開拓等とあわせて行う業務効率化の取組です。第20回公募では、単に設備や広告を導入するだけでなく、売上高や売上総利益の増加につながる内容として説明できるかが重要になります。26
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 経営計画に基づく取組 | 自社の経営課題、顧客ニーズ、市場動向を踏まえた販路開拓等の取組であることが必要です。 |
| 支援機関の確認 | 商工会または商工会議所が発行する事業支援計画書が必要です。 |
| 期間内の完了 | 交付決定日から2028年3月31日までに補助事業を完了する必要があります。 |
| 売上高と売上総利益の増加 | 補助事業終了から1年後の事業効果等状況報告で、補助事業実施後の売上高と売上総利益が補助事業終了時点と比較して増加している必要があります。 |
第20回では、市場や顧客ニーズを踏まえ、補助事業実施後の売上高と売上総利益が増加する根拠を補助事業計画に記載する必要があります。客観的な市場データ、想定顧客、販売単価、販売数量、売上原価、粗利の見込みをつなげて説明できるようにしてください。26
数字の根拠が弱い計画は見直しが必要です
新しい機械を導入する、チラシを作る、ウェブサイトを改修するという説明だけでは、補助事業の効果を十分に説明できません。審査では、自社の経営状況分析、今後の方針、補助事業計画の有効性、積算の透明性などが見られます。第20回公募要領では、売上高や売上総利益の定量的な目標についても審査項目に入っています。2
これは制度要件ではありませんが、実務上は、売上高だけでなく売上総利益まで計算しておくと、計画の妥当性を説明しやすくなります。広告費を使う場合は問い合わせ数、成約率、平均単価、原価率を置き、設備投資を行う場合は生産能力、販売数量、外注費削減額、粗利改善額を置くと、計画と数字の関係が見えやすくなります。
対象経費と費目別の注意点
対象経費は8区分です
第20回公募の対象経費は、機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、新商品開発費、借料、委託・外注費の8区分です。補助対象にするためには、補助事業の遂行に必要な経費であること、交付決定後に発生し補助事業実施期間中に支払いまで完了すること、証拠書類で支払い内容を確認できることが必要です。2
| 経費区分 | 主な内容 | 第20回で確認したい点 |
|---|---|---|
| 機械装置等費 | 補助事業に必要な製造装置や機械設備の購入など | 発注総額1件50万円を超える場合は2者以上の見積が必要です。中古品は金額にかかわらず2者以上の見積が必要です。 |
| 広報費 | パンフレット、チラシ、インターネット広告、SNS広告など | 広報費のみの申請はできません。補助金交付申請額は30万円までです。 |
| ウェブサイト関連費 | ウェブサイト、ECサイト、システムの開発、構築、更新、改修、運用など | ウェブサイト関連費のみの申請はできません。補助金交付申請額は30万円までです。 |
| 展示会等出展費 | 展示会、商談会、オンライン展示会などへの出展 | 出展内容が販路開拓に関係することを説明できるようにします。 |
| 旅費 | 販路開拓や展示会出展などに必要な旅費 | 目的、行程、金額の妥当性を確認できる資料が必要です。 |
| 新商品開発費 | 新商品の試作品開発など | 販売用商品の通常仕入れと混同しないようにします。 |
| 借料 | 機器や設備のリース、レンタル料 | 所有権移転を伴わないものが対象です。 |
| 委託・外注費 | 店舗改装など、自社では実施困難な業務の第三者依頼 | 契約内容、成果物、支払い内容を証拠書類で確認できる必要があります。 |
対象経費に見える支出でも、補助事業との関係が弱いもの、通常の営業費用に近いもの、事業期間外の支出、証拠書類が不足する支出は補助対象外になる可能性があります。発注前に、どの費目に該当するか、証拠書類をどのように残すかを確認してください。
広報費は上限30万円で単独申請できません
第20回では、広報費に補助金交付申請額30万円までの上限が設定されています。さらに、広報費のみでの申請はできません。インターネット広告やSNS広告は、広報費の対象として扱われます。26
| 項目 | 第20回の扱い |
|---|---|
| 広報費のみの申請 | できません。 |
| 広報費の上限 | 補助金交付申請額30万円までです。 |
| インターネット広告 | 広報費の対象です。 |
| SNS広告 | 広報費の対象です。 |
| 単なる会社紹介 | 商品やサービスの販路開拓ではない単なる会社PRは対象外になる可能性があります。 |
広告費を使う場合は、広告媒体、対象顧客、訴求する商品やサービス、広告からの導線、想定成果を計画に入れる必要があります。広報費の上限があるため、広告だけで補助事業を組むのではなく、販路開拓全体の中で広告がどの役割を持つのかを説明してください。
ウェブサイト関連費も上限30万円で単独申請できません
ウェブサイト関連費も、補助金交付申請額30万円までです。ウェブサイト関連費のみでの申請はできません。第19回までの扱いと比べると、ウェブサイト関連費の上限に関する考え方が変わっており、公募要領新旧対照表でも変更点として示されています。26
| 項目 | 第20回の扱い |
|---|---|
| ウェブサイト関連費のみの申請 | できません。 |
| ウェブサイト関連費の上限 | 補助金交付申請額30万円までです。 |
| 対象例 | ウェブサイト、ECサイト、システムの開発、構築、更新、改修、運用などです。 |
| 対象外例 | ウェブサイトやシステムに関するコンサルティング、助言、一般事務用ソフトウェア、事業期間中に公開へ至らないページなどは対象外例に含まれます。 |
ウェブサイト関連費を使う場合は、単にサイトを作るだけではなく、補助事業の販路開拓や業務効率化にどうつながるのかを説明してください。ECサイトであれば、販売する商品、決済や受注の流れ、想定販売数、粗利への影響を計画に入れると、補助事業との関係が伝わりやすくなります。
第20回公募の主な変更点
変更点は申請可否と実績報告に影響します
第20回公募では、第19回公募と比べて複数の変更があります。特に、賃金引上げ特例、広報費、ウェブサイト関連費、再申請制限、機械装置等費の相見積基準は、申請準備と実績報告の両方に影響します。6
| 変更点 | 第20回での確認内容 |
|---|---|
| 賃金引上げ特例 | 事業場内最低賃金の引上げではなく、従業員1人あたり給与支給総額の年平均3.0%以上増加を確認します。 |
| 売上高と売上総利益 | 補助事業終了後に売上高と売上総利益が増加する計画であることを、客観的な根拠と定量目標で説明する必要があります。 |
| 広報費 | 広報費のみの申請は不可となり、補助金交付申請額30万円までの上限が設けられています。 |
| ウェブサイト関連費 | ウェブサイト関連費のみの申請は不可となり、補助金交付申請額30万円までの上限が設けられています。 |
| 機械装置等費の相見積 | 発注総額1件50万円を超える場合は2者以上の見積が必要です。 |
| 過去採択者の再申請制限 | 事業効果および賃金引上げ等状況報告書の提出後、さらに1年が経過している必要があります。 |
| 政策加点 | 健康経営優良法人加点と地域別最低賃金引上げ加点が追加されています。 |
変更点の多くは、申請書の書き方だけでは解決しません。賃上げ、見積、経費区分、過去採択後の報告状況など、社内の実態や過去の手続きに関係します。申請書を作り始める前に、要件を満たせるかを確認してください。
賃金引上げ特例の注意点
給与支給総額の3.0%以上増加が条件です
賃金引上げ特例では、2027年4月1日から補助事業実施期限である2028年3月31日までの期間と、その前年同月の12か月を比較し、従業員1人あたり給与支給総額が年平均3.0%以上増加していることが必要です。給与支給総額には、給料、賃金、残業代、賞与などが含まれます。一方で、福利厚生費、法定福利費、退職金は含まれません。2
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 比較期間 | 2027年4月1日から2028年3月31日までの12か月と、その前年同月の12か月を比較します。 |
| 増加率 | 従業員1人あたり給与支給総額が年平均3.0%以上増加している必要があります。 |
| 給与支給総額に含むもの | 給料、賃金、残業代、賞与などです。 |
| 給与支給総額に含めないもの | 福利厚生費、法定福利費、退職金です。 |
| 対象従業員 | 役員、専従者を除き、非正規雇用を含みます。 |
| パートタイム労働者 | 正社員の就業時間に換算します。 |
| 対象者がゼロの月 | いずれかの月で算定対象者がゼロの場合、特例の対象外です。 |
第20回の賃金引上げ特例は、単に最低賃金を上げるだけではありません。全体の給与支給総額を対象従業員数で割り、前年同月の12か月と比較します。従業員の入退社、パートタイム労働者の換算、賞与の支給時期などが計算結果に影響するため、申請前に賃金台帳で試算してください。
未達の場合は補助金全体に影響します
賃金引上げ特例の要件を満たさない場合、上乗せ分だけでなく補助金全体が交付されません。公募要領では、賃金引上げ特例に申請して要件を満たさない場合の扱いとして、補助金が交付されないことが記載されています。2
| タイミング | 必要な対応 |
|---|---|
| 申請時 | 賃金引上げ特例を選択し、要件を確認します。 |
| 採択後から交付決定まで | 全従業員、または従業員代表者、役員に賃金引上げ計画を表明します。 |
| 交付決定前 | 給与支給総額、対象従業員数、目標額などを入力します。 |
| 申請時の提出資料 | 採択発表月を終点とする連続12か月分の賃金台帳などが必要です。 |
| 実績報告時 | 補助事業実施期限日を終点とする連続12か月分の賃金台帳などを提出します。 |
賃金引上げ特例を選ぶ場合は、補助上限額だけで判断しないでください。事業計画、採用計画、賞与方針、残業時間、労働時間の変動を含め、2028年3月31日までの給与支給総額を見通す必要があります。達成に不安がある場合は、通常枠またはインボイス特例だけで申請する選択肢も検討してください。
赤字事業者は補助率が3/4になります
賃金引上げ特例を利用する事業者のうち、赤字事業者に該当する場合は補助率が3/4になります。赤字事業者の判定は、法人では直近1期または直近1年間の課税所得金額、個人事業主では直近1期または直近1年間の所得金額によって確認します。法人は税務申告書類、個人事業主は確定申告書類の提出が関係します。2
赤字事業者として補助率3/4を使う場合でも、賃金引上げ特例の達成義務は変わりません。補助率が上がるメリットだけでなく、賃上げ計画を実行できるか、実績報告時に証明できるかを確認してください。
インボイス特例の注意点
適格請求書発行事業者の登録が必要です
インボイス特例は、一定期間に免税事業者であった事業者、または2023年10月1日以降に創業した事業者のうち、適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者に対し、補助上限額を50万円上乗せする特例です。公募要領では、補助事業終了時点で適格請求書発行事業者の登録を受けていることが必要です。2
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 免税事業者であった期間 | 2021年9月30日から2023年9月30日の属する課税期間で一度でも免税事業者であった場合が対象に含まれます。 |
| 創業時期 | 2023年10月1日以降に創業した事業者も対象に含まれます。 |
| 登録要件 | 補助事業終了時点で適格請求書発行事業者の登録を受けている必要があります。 |
| 上乗せ額 | 補助上限額が50万円上乗せされます。 |
| 未達の場合 | 要件を満たさない場合、補助金は交付されません。 |
インボイス特例を利用する場合は、登録通知書やe-Taxでの登録通知など、登録を確認できる資料を準備します。登録申請の時期や登録日が補助事業の終了時点に間に合うかも確認してください。
政策加点の確認
加点は選択数にも注意が必要です
第20回公募では、重点政策加点と政策加点があります。公募要領では、重点政策加点から1種類、政策加点から1種類の合計2種類まで選択可能であり、同一カテゴリから2種類以上を選択した場合は、そのカテゴリの加点審査が行われない扱いです。2
| 加点項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 健康経営優良法人加点 | 健康経営優良法人に認定されている事業者が対象です。認定情報とGビズIDの登録情報をもとに確認されます。 |
| 地域別最低賃金引上げ加点 | 直近の地域別最低賃金改定により、改定後の地域別最低賃金以下で従業員を雇用していた期間が連続3か月以上ある事業者が対象です。 |
| 選択数 | 重点政策加点から1種類、政策加点から1種類まで選択できます。 |
加点は採択を保証するものではありません。自社が該当するかを確認し、必要な資料を準備したうえで申請してください。地域別最低賃金引上げ加点では、賃金台帳や雇用条件が確認できる書類が関係します。健康経営優良法人加点では、認定情報とGビズIDの登録情報の一致にも注意が必要です。2
申請の流れと必要書類
事業支援計画書の発行を早めに進めます
申請では、電子申請システムへの入力に加え、商工会または商工会議所が発行する事業支援計画書が必要です。商工会地区では、電子申請システムで入力した経営計画や補助事業計画について、商工会窓口で内容確認を受けたうえで発行を受けます。商工会議所地区では、事業支援計画書のPDFを入手し、電子申請時に添付します。25
| 手順 | 対応内容 |
|---|---|
| GビズIDの準備 | GビズIDプライムアカウントを取得し、ログインできる状態にします。 |
| 申請区分の確認 | 一般型通常枠、インボイス特例、賃金引上げ特例、加点の利用有無を決めます。 |
| 経営計画の作成 | 自社の経営状況、課題、顧客、市場、今後の方針を整理します。 |
| 補助事業計画の作成 | 販路開拓や業務効率化の取組、対象経費、売上高と売上総利益の見込みを作ります。 |
| 商工会または商工会議所への相談 | 事業支援計画書の発行を受けます。発行受付締切は2026年12月4日です。 |
| 電子申請 | 申請受付締切である2026年12月15日17時までに電子申請を完了します。 |
| 採択発表後 | 交付申請、見積書等の提出、交付決定を経て補助事業を始めます。 |
事業支援計画書は、申請受付締切日ではなく発行受付締切日を基準に動く必要があります。締切直前に商工会や商工会議所へ相談しても、発行が間に合わない可能性があります。計画書を一度作って終わりにせず、支援機関からの確認を受けて修正する時間を確保してください。
主体別の必要書類を確認します
必要書類は、法人、個人事業主、特定非営利活動法人、特例の利用有無によって異なります。電子申請システムで作成する様式に加え、決算書、確定申告書、登記事項証明書、賃金台帳、雇用条件が分かる書類などが必要になる場合があります。2
| 区分 | 主な必要書類 |
|---|---|
| 共通 | 電子申請システムで作成する申請情報、経営計画、補助事業計画、宣誓・同意関連の様式などです。 |
| 事業支援計画書 | 商工会または商工会議所が発行する様式4が必要です。 |
| 法人 | 貸借対照表、損益計算書、必要に応じて税務申告書などが関係します。 |
| 個人事業主 | 確定申告書第一表、第二表、所得税青色申告決算書または収支内訳書などが関係します。 |
| 開業後決算期未到来の事業者 | 開業届、売上台帳などが関係します。 |
| 特定非営利活動法人 | 登記事項証明書、貸借対照表、活動計算書、法人税確定申告書などが関係します。 |
| インボイス特例 | インボイス特例の同意、登録通知書やe-Taxの登録通知などが関係します。 |
| 賃金引上げ特例 | 賃金引上げ特例の同意、賃金台帳、雇用条件が分かる書類、賃金引上げ計画の表明に関する情報などが関係します。 |
マイナンバーが記載された書類を提出する場合は、番号部分を黒塗りするなど、提出方法に注意してください。公募要領では、必要書類の不足や不備がある場合、審査に進めない可能性があります。2
計画作成で見られるポイント
審査は書面で行われます
審査は提出資料に基づく書面審査です。ヒアリングは行われません。公募要領では、基礎審査、計画審査、加点審査などの観点が示されています。申請内容が補助対象者や補助対象事業の要件を満たしているか、必要書類がそろっているか、補助事業計画が具体的で実現可能かが確認されます。2
| 審査の観点 | 計画で示したい内容 |
|---|---|
| 自社の経営状況分析 | 売上、利益、商品やサービス、顧客、競合、自社の強みと課題を具体的に書きます。 |
| 経営方針と目標 | 補助事業が今後の経営方針にどう関係するかを示します。 |
| 市場や顧客ニーズ | 客観的な市場データ、顧客の課題、需要の変化を示します。 |
| 補助事業の有効性 | 補助事業によって売上高や売上総利益がどう増えるかを説明します。 |
| 事業の具体性と実現可能性 | 実施内容、スケジュール、取引先、費用、成果物を具体化します。 |
| 費用の透明性 | 見積内容、数量、単価、経費区分の妥当性を示します。 |
これは制度要件ではありませんが、実務上は、計画を作る前に既存事業の数字を整理しておくと有効です。直近の売上、粗利、主要顧客、販売単価、リピート率、問い合わせ数などを確認し、補助事業によってどの指標を改善するのかを決めてから申請書を作成してください。
売上総利益まで確認します
第20回公募では、売上高だけでなく売上総利益の増加も重要です。売上高が増えても、原価や外注費が増えすぎると粗利が増えない場合があります。補助事業計画では、売上増加の見込みに加え、原価や粗利の見込みを説明できるようにしてください。26
| 取組例 | 売上高の説明 | 売上総利益の説明 |
|---|---|---|
| 新商品開発 | 販売予定数と販売単価を示します。 | 原材料費、製造原価、粗利率を示します。 |
| 展示会出展 | 商談数、見込み顧客数、成約率を示します。 | 受注単価と粗利率を示します。 |
| 広告出稿 | クリック数、問い合わせ数、成約率を示します。 | 広告費を除いた販売粗利の見込みを示します。 |
| 設備導入 | 生産量、納期短縮、受注増加を示します。 | 内製化、歩留まり改善、外注費削減による粗利改善を示します。 |
計画の数字は、根拠のない希望値ではなく、既存実績や市場データとつながっている必要があります。過去の販売実績、見積、業界統計、顧客ヒアリング、テスト販売の結果などを使い、なぜその数字になるのかを説明してください。
資金繰りと証拠書類の準備
補助金は後払いです
小規模事業者持続化補助金は、補助事業を実施し、実績報告を行い、補助金額が確定した後に支払われます。そのため、採択された段階で補助金が入金されるわけではありません。補助対象経費の支払いを先に行う必要があるため、自己資金や金融機関からの借入など、入金までの資金計画を確認してください。2
| 確認項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 支払時期 | 補助事業実施期間内に支払いまで完了する必要があります。 |
| 支払方法 | 支払いの事実を客観的に確認できる方法を選びます。 |
| 自己資金 | 補助金入金前に必要な支払資金を確保します。 |
| 借入の必要性 | 資金不足が見込まれる場合は、金融機関への相談時期を決めます。 |
| 実績報告 | 見積、発注、契約、納品、請求、支払い、成果物を確認できる書類を残します。 |
資金繰りを誤ると、採択後に補助事業を進められない場合があります。補助金額ではなく、支払総額、消費税、自己負担額、入金時期をもとに資金計画を作成してください。
証拠書類は事業の流れで残します
補助金の実績報告では、支出の事実だけでなく、補助事業のために必要な支出であることを確認できる資料が求められます。見積書、発注書、契約書、納品書、請求書、支払証憑、成果物、写真、画面キャプチャなど、経費の種類に応じた資料を残す必要があります。2
これは制度要件ではありませんが、実務上は、経費ごとに証拠書類のフォルダを作り、見積から支払いまで時系列で保存しておくと確認がしやすくなります。ファイル名には、日付、取引先名、経費区分、書類名を入れておくと、実績報告時に探す手間を減らせます。
申請前セルフチェック
申請可否を先に確認します
申請書を書き始める前に、対象者、申請区分、過去採択歴、特例、対象経費、資金繰りを確認してください。申請内容が良くても、対象者要件や必要書類を満たさない場合は審査に進めない可能性があります。
| 確認項目 | チェック内容 |
|---|---|
| 申請区分 | 一般型通常枠で申請するのか、創業型も検討するのかを確認しましたか。 |
| 従業員数 | 業種ごとの小規模事業者要件を満たしていますか。 |
| 対象外主体 | 医療法人、一般社団法人、任意団体など対象外に該当していませんか。 |
| 資本関係 | 資本金5億円以上の法人に100%保有されていませんか。 |
| 課税所得 | 直近過去3年分の課税所得の年平均額が15億円を超えていませんか。 |
| 過去採択歴 | 過去補助事業の報告書提出と経過期間を確認しましたか。 |
| GビズID | GビズIDプライムを取得済みですか。 |
| 事業支援計画書 | 2026年12月4日までに発行依頼できる準備がありますか。 |
| 賃金引上げ特例 | 2028年3月31日までの賃上げ達成と賃金台帳提出を見通せますか。 |
| インボイス特例 | 補助事業終了時点で適格請求書発行事業者の登録を受ける見込みがありますか。 |
| 広報費 | 広報費のみの申請になっていませんか。30万円上限を確認しましたか。 |
| ウェブサイト関連費 | ウェブサイト関連費のみの申請になっていませんか。30万円上限を確認しましたか。 |
| 機械装置等費 | 発注総額1件50万円を超える場合の相見積を準備できますか。 |
| 資金繰り | 補助金入金前の支払い資金を確保できますか。 |
| 売上総利益 | 補助事業後の売上高と売上総利益の増加を数字で説明できますか。 |
このチェックで不明点が多い場合は、先に商工会または商工会議所、税理士、金融機関、補助金実務に詳しい専門家へ相談してください。特に賃金引上げ特例、インボイス特例、過去採択歴、対象経費の判断は、申請後に修正しにくい項目です。
よくある質問
Q1. 第20回公募はいつから申請できますか。
A. 申請受付開始は2026年11月5日です。申請受付締切は2026年12月15日17時です。事業支援計画書の発行受付締切は2026年12月4日なので、申請締切より前に商工会または商工会議所への相談を進める必要があります。25
Q2. 補助上限額はいくらですか。
A. 通常枠のみの場合は50万円です。インボイス特例で50万円、賃金引上げ特例で150万円が上乗せされ、両方を満たす場合は補助上限額が250万円になります。補助率は原則2/3で、賃金引上げ特例のうち赤字事業者は3/4です。2
Q3. 賃金引上げ特例は最低賃金を上げれば使えますか。
A. 第20回では、従業員1人あたり給与支給総額の年平均3.0%以上増加が条件です。事業場内最低賃金を一定額上げるだけでは要件を満たしたことになりません。対象期間、対象従業員、給与支給総額の範囲を賃金台帳で確認してください。26
Q4. 賃金引上げ特例を達成できなかった場合はどうなりますか。
A. 要件を満たさない場合、補助金は交付されません。上乗せ分だけが減額される扱いではないため、申請前に達成可能性を慎重に確認してください。2
Q5. 広報費だけで申請できますか。
A. できません。第20回では、広報費のみでの申請は不可です。広報費の補助金交付申請額は30万円までです。インターネット広告やSNS広告は広報費の対象として扱われます。26
Q6. ウェブサイト制作だけで申請できますか。
A. できません。ウェブサイト関連費のみでの申請は不可です。ウェブサイト関連費の補助金交付申請額は30万円までです。ウェブサイトやECサイトを使う場合は、販路開拓や業務効率化との関係を補助事業計画で説明する必要があります。26
Q7. 相見積はどのような場合に必要ですか。
A. 機械装置等費では、発注総額1件50万円を超える場合に2者以上の見積が必要です。中古品は金額にかかわらず2者以上の見積が必要です。見積条件や仕様が異なると比較資料として不十分になる可能性があるため、同じ仕様で見積を取得してください。26
Q8. 過去に持続化補助金で採択されていますが再申請できますか。
A. 過去採択者は、前回補助事業の報告書提出状況と経過期間を確認する必要があります。第20回では、事業効果および賃金引上げ等状況報告書の提出後、さらに1年が経過していることが条件です。不備が残っている場合も申請できない可能性があります。26
Q9. 創業したばかりの場合は一般型通常枠で申請すべきですか。
A. 創業後間もない事業者は、一般型通常枠だけでなく創業型も確認してください。創業型は別の公募で、特定創業支援等事業による支援や開業日に関する要件があります。第20回の一般型通常枠とは対象者要件が異なります。34
Q10. 採択されたらすぐに発注できますか。
A. 採択だけでは補助事業を開始できません。採択後に交付申請や交付決定があり、原則として交付決定後に発注、契約、支払いなどを行う必要があります。交付決定前に発注した経費は補助対象外になる可能性があります。2
Q11. 補助金はいつ入金されますか。
A. 補助金は後払いです。補助事業を実施し、実績報告を行い、検査を経て補助金額が確定した後に支払われます。採択時点で入金されるわけではないため、補助事業期間中の支払い資金を準備してください。2
Q12. 計画書ではどの数字を重視すべきですか。
A. 第20回では、売上高と売上総利益の増加を定量的に説明することが重要です。販売数量、販売単価、原価、粗利率、成約率などを使い、補助事業がどのように売上高と売上総利益につながるのかを示してください。26
出典・参考資料
執筆者:補助金フラッシュ 士業編集部
補助金・助成金の活用法からAI導入、業務の生産性向上まで、中小企業の経営に役立つ情報を士業の専門家チームがわかりやすく解説します。
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