65歳を超えて働く人が増える中、定年や雇用管理の見直しは多くの会社で課題になります。65歳超雇用推進助成金は、制度改定や雇用管理の整備、無期雇用転換といった取組を行う事業主に対して、国が費用の一部や定額を支給する助成金です。申請はコースにより、取組後に支給申請するものと、事前に計画認定を受けてから進めるものに分かれます。年度や改定で要件や様式が変わることがあるため、申請前に当該年度の資料で確認することが大切です。1
この記事では、令和7年度の一次資料にもとづき、3コースの支給額、要件、対象経費、申請の流れと注意点をまとめます。1
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名(正式名称) | 65歳超雇用推進助成金 |
| 対象年度/公募回 | 令和7年度 |
| 最終更新日 | 2026年2月10日 |
| 所管/実施機関/事務局 | 所管 厚生労働省 / 審査 支給 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 |
| 補助上限額/補助率 | 65歳超継続雇用促進コース 定額 15万円から160万円 他社による継続雇用制度は対象経費の2分の1で上限10万円または15万円 |
| 補助上限額/補助率 | 高年齢者評価制度等雇用管理改善コース 助成率60%または45% 支給対象経費上限50万円 初回は支給対象経費を50万円とみなす |
| 補助上限額/補助率 | 高年齢者無期雇用転換コース 対象労働者1人あたり30万円または23万円 1支給申請年度 1適用事業所あたり10人まで |
| 申請期間 | 65歳超継続雇用促進コース 制度実施月の翌月から起算して4か月以内 受付は制度実施月ごとに定められた月の月初から5開庁日 |
| 申請期間 | 高年齢者評価制度等雇用管理改善コース 計画開始日から起算して6か月前から3か月前までに計画申請 支給申請は計画終了日の翌日から起算して6か月後の翌日から2か月以内 |
| 申請期間 | 高年齢者無期雇用転換コース 計画申請は計画期間開始日から起算して3か月前の日まで 支給申請は転換後賃金6か月分を支給した日の翌日から2か月以内 |
| 公式一次資料(PDF/Word)のリンク集 | リーフレット 令和7年度 PDF / 支給要領 共通要領 令和7年7月1日改正 PDF / パンフレットと支給申請の手引き 2025年4月30日時点 ページ |
| 公式一次資料(PDF/Word)のリンク集 | 支給要領 継続雇用促進コース PDF / 支給要領 雇用管理改善コース PDF / 支給要領 無期雇用転換コース PDF |
| 免責 | 申請可否や経費判断は、当該年度の募集要領・交付要綱等と事務局の案内で最終確認してください。 |

制度の全体像
3つのコースと狙い
65歳超雇用推進助成金は、高年齢者が意欲と能力に応じて働き続けられる環境づくりを後押しする助成金です。次の3コースで構成されています。1
| 区分 | 支援の中心 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 65歳超継続雇用促進コース | 定年の引上げや廃止、継続雇用制度の拡充など制度改定 | 定年規程や継続雇用制度を見直したい |
| 高年齢者評価制度等雇用管理改善コース | 高年齢者向けの雇用管理制度の導入や見直しと、必要な機器等の導入 | 評価制度や賃金制度、健康管理などの仕組みを整えたい |
| 高年齢者無期雇用転換コース | 有期契約労働者を無期雇用へ転換 | 50歳以上の有期契約者を無期に転換したい |
どのコースも、雇用保険制度にもとづく雇用関係助成金として取り扱われ、共通要領のルールも適用されます。2
所管と窓口
所管は厚生労働省で、申請の受付や審査、支給決定の事務は独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構が担います。提出先は同機構の都道府県支部で、雇用関係助成金の多くで窓口になる労働局やハローワークではありません。1
申請方法と支給までの目安
申請は、持参や郵送に加えて、令和7年4月1日から電子申請にも対応しています。電子申請はe-Govを利用します。1
審査の結果、支給決定がされるまでの期間は、目安として3か月程度と案内されています。審査の過程で追加書類の提出や確認が行われることもあります。1
支給額と助成率の早見
65歳超継続雇用促進コースの支給額
このコースは、就業規則や労働協約で制度を整備した内容と、60歳以上の雇用保険被保険者数などに応じて定額が決まります。支給額は、定年の引上げ、定年廃止、継続雇用制度の導入、他社による継続雇用制度の導入で異なります。13
定年の引上げ
| 60歳以上の雇用保険被保険者数 | 定年を65歳へ引上げ | 定年を66歳から69歳へ引上げ 引上げ年数5年未満 | 定年を66歳から69歳へ引上げ 引上げ年数5年以上 | 定年を70歳以上へ引上げ |
|---|---|---|---|---|
| 1人から3人 | 15万円 | 20万円 | 30万円 | 30万円 |
| 4人から6人 | 20万円 | 25万円 | 50万円 | 50万円 |
| 7人から9人 | 25万円 | 30万円 | 85万円 | 85万円 |
| 10人以上 | 30万円 | 35万円 | 105万円 | 105万円 |
上の表でいう60歳以上の雇用保険被保険者数は、支給申請日前日時点で1年以上継続して雇用されている60歳以上の雇用保険被保険者など、支給要領に定義がある人数です。短期雇用特例被保険者や日雇労働被保険者は含めません。3
定年の定めの廃止
| 60歳以上の雇用保険被保険者数 | 支給額 |
|---|---|
| 1人から3人 | 40万円 |
| 4人から6人 | 80万円 |
| 7人から9人 | 120万円 |
| 10人以上 | 160万円 |
定年の定めの廃止は、支給要領の要件とあわせて確認が必要です。制度改定の施行日や改定前の定年年齢により扱いが変わるため、支給申請前に支給要領で確認してください。3
希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用制度
| 60歳以上の雇用保険被保険者数 | 継続雇用年齢を66歳から69歳 | 継続雇用年齢を70歳以上 |
|---|---|---|
| 1人から3人 | 15万円 | 30万円 |
| 4人から6人 | 25万円 | 50万円 |
| 7人から9人 | 40万円 | 80万円 |
| 10人以上 | 60万円 | 100万円 |
継続雇用制度の対象は希望者全員が前提です。対象範囲の定義や、改定前制度との関係は支給要領の要件に沿って確認してください。3
他社による継続雇用制度
| 継続雇用年齢 | 上限額 |
|---|---|
| 66歳から69歳 | 10万円 |
| 70歳以上 | 15万円 |
他社による継続雇用制度は、上限額と、他社の就業規則作成や労働協約締結のための相談等に要した対象経費の2分の1のうち、低い方が支給額になります。13
高年齢者評価制度等雇用管理改善コースの支給額
このコースは、支給対象経費に助成率を乗じて算出します。助成率は中小企業事業主が60%、中小企業事業主以外が45%です。算出した額は100円未満を切り捨てます。14
支給対象経費は、雇用管理制度の導入や見直しに必要な専門家等への委託費や相談費に加え、計画に位置付けた措置の実施に必要な機器、システム、ソフトウェア等の導入費です。支給対象経費の上限は50万円です。4
また、1事業主につき最初の支給に限り、措置の実施に50万円の経費を要したものとみなす取扱いがあります。過去に高年齢者雇用安定助成金や、65歳超雇用推進助成金の高年齢者雇用環境整備支援コースで雇用管理制度の整備等により支給を受けた場合は、この取扱いを既に受けたものとして扱います。4
| 区分 | 支給対象経費の扱い | 支給額の計算 |
|---|---|---|
| 最初の支給 | 支給対象経費を50万円とみなす | 50万円×60%または45% |
| 2回目以降 | 実際に要した支給対象経費 上限50万円 | 支給対象経費×60%または45% |
上の表は算定の骨子です。実際は、支給対象経費に含められる範囲や、対象外となる経費の定義も支給要領で確認してください。4
高年齢者無期雇用転換コースの支給額
このコースは、対象労働者1人につき定額が支給されます。中小企業事業主は30万円、中小企業事業主以外は23万円です。支給申請は、1支給申請年度の1適用事業所あたり10人までです。15
支給額が定額でも、対象者要件と手続き要件を満たさないと支給されません。特に転換日と賃金支給の期間は、後から調整が難しいため事前に確認してください。15
対象となる事業主の共通要件
雇用関係助成金の共通要領で確認するポイント
65歳超雇用推進助成金は、コース別の支給要領に加えて、雇用関係助成金支給要領の共通要領が適用されます。申請の前提として、少なくとも次の要件を満たす必要があります。2
| 共通の支給対象事業主要件 | 内容 |
|---|---|
| (イ) | 日本国内に雇用保険の適用事業所があり、雇用保険被保険者を雇用している |
| (ロ) | 労働者名簿、賃金台帳、出勤簿等の法定帳簿を整備している |
| (ハ) | 労働保険料を滞納していない |
| (ニ) | 支給要件の審査に協力する |
この助成金は後払いです。申請時点で帳簿や証拠書類が整っていないと審査が止まる可能性があるため、まずは基礎書類の整備状況から点検してください。2
中小企業事業主の判定
助成率や支給額が中小企業事業主かどうかで変わるコースがあります。共通要領では、資本金または常時雇用する労働者数のいずれかで中小企業事業主を判定します。業種ごとの基準は次のとおりです。2
| 業種の区分 | 資本金の額または出資総額 | 常時雇用する労働者数 |
|---|---|---|
| 小売業 飲食店を含む | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
資本金と労働者数のどちらで判定するかは、事業の実態に即して確認する必要があります。複数事業を行う場合の扱いなど、細部は共通要領で確認してください。2
不支給要件の全体像
共通要領には、不支給要件がイからワまで列挙されています。申請者の状況によっては該当すると支給されないため、申請準備の早い段階で確認することが重要です。2
| 不支給要件 | 要点 |
|---|---|
| イ | 過去に不正受給があり、一定期間が経過していない |
| ロ | 申請日において労働保険料を納付していない |
| ハ | 過去1年以内に労働関係法令違反があり、書類送検等の対応があった |
| ニ | 風俗営業等関係事業主等に該当する |
| ホ | 暴力団関係事業主等に該当する |
| ヘ | 関係者が暴力主義的破壊活動団体の構成員に該当する |
| ト | 支給申請時や支給決定時点で倒産している |
| チ | 調査協力や資料提出の求めに応じない |
| リ | 役員一覧など必要書類を提出しない |
| ヌ | 共通要領などに沿った事務処理に同意しない |
| ル | 代理人等が資格停止等の措置中である |
| ヲ | 訓練等の実施機関が不正関係者に該当する |
| ワ | 申請書等の記載内容が事実と異なる |
不支給要件は、対象期間や判断基準が定められています。表は全体像をつかむための要約であり、必ず共通要領の該当箇所で確認してください。2
併給調整と重複受給
同じ事由で他の国や地方公共団体等の補助金等の支給を受けた場合は、支給されないことがあります。過去に高年齢者雇用安定助成金で定年引上げ等に関する支給を受けた事業主は、このコースの支給対象外になる取り扱いがあります。3
申請前に、同じ取組に別の助成制度を充てていないかを確認してください。判断に迷う場合は、実施前に都道府県支部に相談しておくと安心です。これは制度要件ではありませんが、重複の誤解を減らせます。
コース別の要件と対象経費
65歳超継続雇用促進コースの要件
このコースは、制度を実施したあとに支給申請します。支給要領では、支給対象事業主の要件がイからヘまで、他社による継続雇用制度の場合の追加要件としてトが示されています。3
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| イ | 就業規則または労働協約で、次のいずれかの制度を実施する (1)65歳以上への定年引上げ (2)定年の定めの廃止 (3)希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用制度の導入 (4)他社による継続雇用制度の導入 |
| ロ | 制度を規定する際に経費を要する 人件費は除く 他社による継続雇用制度の場合は相手先の制度導入のための経費を申請事業主が全額負担 |
| ハ | 制度を規定した就業規則または労働協約を整備している 他社による継続雇用制度の場合は相手先も必要な制度を定める |
| ニ | 制度実施日の6か月前から支給申請日前日までの間に高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の規定と異なる定めをしていない 勧告を受けた場合は支給申請日前日までに是正 |
| ホ | 支給申請日前日において1年以上継続雇用されている60歳以上の雇用保険被保険者が1人以上いる 短期雇用特例被保険者と日雇労働被保険者は除く |
| ヘ | 高年齢者雇用等推進者を選任し、高年齢者雇用管理に関する措置を次の(イ)から(ト)のうち1つ以上実施している 他社による継続雇用制度の場合は相手先も同様 |
| ト | 他社による継続雇用制度の場合、相手先の事業主が原則として雇用保険適用事業主である |
高年齢者雇用管理に関する措置は、職業能力開発、作業施設や方法の改善、健康管理と安全衛生、職域の拡大、配置処遇の推進、賃金体系の見直し、勤務時間制度の弾力化の7区分で示されています。3
次の表は、支給要領にある7区分を読みやすく言い換えたものです。意味合いは同じですが、詳細は原文で確認してください。3
| 区分 | 内容の例 |
|---|---|
| 職業能力開発 | 教育訓練や受講機会の確保 |
| 作業施設や方法の改善 | 作業補助具の導入、作業の平易化、作業環境の改善 |
| 健康管理と安全衛生 | 健康状態を踏まえた配置、事故防止への配慮 |
| 職域の拡大 | 高齢化に対応した職務の見直しや職域の広げ方の工夫 |
| 配置処遇の推進 | 能力評価の仕組み、資格制度、専門職制度の整備 |
| 賃金体系の見直し | 能力や職務の要素を重視する賃金制度 |
| 勤務時間制度の弾力化 | 短時間勤務、隔日勤務、フレックスタイムなど |
上の表は、措置の考え方をつかむための補助です。自社の取組がどの区分に該当するかは、支給要領の定義と自社規程を突き合わせて確認してください。3
対象経費
支給対象経費は、就業規則作成や相談指導の委託費、労働協約締結のための相談費など、支給要領でイからニまでに掲げる経費です。3
| 区分 | 支給対象経費の範囲 |
|---|---|
| イ | 就業規則の作成または相談指導を専門家等へ委託した場合の委託費 |
| ロ | 労働協約で定年引上げ等を締結するためコンサルタントに相談した費用 |
| ハ | 他社による継続雇用制度に関連し、相手先の就業規則作成や相談指導を専門家等へ委託した委託費 |
| ニ | 他社による継続雇用制度に関連し、相手先が労働協約で制度を締結するための相談費 |
対象外となる経費として、申請事業主と一定の関係がある者との取引に要した経費は除外されます。配偶者、1親等以内の親族、従業員、役員などとの関係が定義されているため、支給要領で範囲を確認してください。3
支給申請期間
支給申請期間は、制度の実施日が属する月の翌月から起算して4か月以内です。実施月に応じて、受付月と締切が表で定められています。各月の受付は月初から5開庁日です。3
| 制度実施月 | 申請できる月 | 各月の受付期間 |
|---|---|---|
| 4月 | 5月から8月 | 各月月初から5開庁日 |
| 5月 | 6月から9月 | 各月月初から5開庁日 |
| 6月 | 7月から10月 | 各月月初から5開庁日 |
| 7月 | 8月から11月 | 各月月初から5開庁日 |
| 8月 | 9月から12月 | 各月月初から5開庁日 |
| 9月 | 10月から1月 | 各月月初から5開庁日 |
| 10月 | 11月から2月 | 各月月初から5開庁日 |
| 11月 | 12月から3月 | 各月月初から5開庁日 |
| 12月 | 1月から4月 | 各月月初から5開庁日 |
| 1月 | 2月から5月 | 各月月初から5開庁日 |
| 2月 | 3月から6月 | 各月月初から5開庁日 |
| 3月 | 4月から7月 | 各月月初から5開庁日 |
制度実施日を決める段階で、申請できる月を逆算し、締切に間に合うよう社内の決裁と外部委託のスケジュールを組むことが重要です。これは制度要件ではありませんが、申請漏れの予防になります。3
高年齢者評価制度等雇用管理改善コースの要件
このコースは、取組の前に雇用管理整備計画書を提出して認定を受け、計画に沿って措置を実施したあとに支給申請します。64
厚生労働省の公式ページでは、主な受給条件として次の4点が示されています。6
| 主な受給条件 | 内容 |
|---|---|
| 計画認定 | 雇用管理整備計画書を提出し、計画内容の認定を受ける |
| 措置の実施と運用 | 計画に沿って措置を実施し、計画終了後6か月間の運用状況が分かる書類を整備する |
| 対象労働者 | 支給申請日前日に1年以上継続雇用されている60歳以上の雇用保険被保険者が1人以上いる かつ措置により計画終了日の翌日から6か月以上継続雇用される |
| 法令順守 | 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の規定と異なる定めをしていない |
対象となる措置は、55歳以上の高年齢者を対象とした雇用管理整備の措置で、次の(1)から(7)のいずれかです。6
| 措置の区分 | 内容 |
|---|---|
| (1)賃金制度 | 高年齢者に適用する賃金制度の導入や改善 |
| (2)健康管理制度 | 健康診断、治療と仕事の両立支援などの導入や改善 |
| (3)業務負担軽減 | 作業負担を軽くする機器の導入など |
| (4)業務改善提案制度 | 高年齢者による業務改善提案制度の導入や改善 |
| (5)研修制度 | 高年齢者向け研修制度の導入や改善 |
| (6)専門職制度 | 高年齢者が担当する専門職制度の導入や改善 |
| (7)その他 | 上記以外で高年齢者の雇用管理改善につながる措置 |
計画申請の提出期限は、計画開始日から起算して3か月前の日までで、提出できる期間の始まりは6か月前の日からです。休日に当たる場合の扱いも含め、支給要領に定義があります。4
支給申請期間は、計画期間終了日の翌日から起算して6か月後の日の翌日から、その2か月後の日までです。4
計画段階では、対象経費に含める範囲も合わせて確認してください。支給対象経費の上限や対象外となる経費は支給要領に定義があります。4
高年齢者無期雇用転換コースの要件
このコースも、取組の前に計画書を提出して認定を受け、無期雇用転換を行ったあとに支給申請します。対象は、50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者です。派遣労働者は対象外です。15
| 主な要件 | 内容 |
|---|---|
| 計画認定 | 無期雇用転換計画書を提出し認定を受ける |
| 制度規定 | 無期雇用転換制度を労働協約または就業規則等で定める 実施時期が明示され、有期契約の通算期間が5年以内の者を対象とする |
| 対象者 | 規定にもとづき50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用労働者に転換する 転換日に64歳以上の者は対象外 |
| 雇用継続と賃金支給 | 転換後に6か月以上継続雇用し、転換後6か月分の賃金を支給する 勤務日数が11日未満の月は除く |
定年年齢の扱いは支給要領で定義があり、同種の業務に従事する無期雇用労働者に適用される定年年齢が65歳以上の場合は65歳として扱います。5
支給申請は、転換後に支給する賃金6か月分を支給した日の翌日から2か月以内です。計画申請は計画開始の3か月前の日までと案内されています。15
対象経費と証拠書類の考え方
経費型のコースで確認されやすいポイント
継続雇用促進コースと雇用管理改善コースは、支給対象経費があることが前提です。支給要領では、人件費を除くことや、支給申請日までに支払いが完了していることなど、支給対象経費の条件が定義されています。34
制度要件ではありませんが、審査で説明しやすい形にするため、次の3点を一組にして保管しておくと有効です。契約書や仕様書、請求書、領収書、振込記録が揃っていると、支出の目的と実態、支払いの事実を説明しやすくなります。4
取引先の関係の確認
支給要領では、助成金を申請する事業主と一定の関係がある者との間の取引に要した経費を支給対象経費から除外しています。個人事業主の場合と法人の場合で、配偶者、1親等以内の親族、従業員、役員などの範囲が示されています。34
制度要件ではありませんが、委託先が関連当事者に該当しないかを、契約前に確認しておくと安全です。疑義がある場合は、都道府県支部に相談してください。
書類の保存期間
リーフレットでは、助成金支給後も5年間の書類保管が必要と案内しています。支給決定後の調査や確認に備えて、案件単位で保管場所と保存期限を決めておくと対応しやすくなります。1
申請の流れ
3コースの流れを比べる
3コースを並べて見ると、手続きの入り口が異なります。継続雇用促進コースは取組後に申請し、残り2コースは事前の計画認定が必要です。1
| コース | 手続きの起点 | 大まかな手順 |
|---|---|---|
| 継続雇用促進 | 制度改定を実施した後 | 制度実施 → 支給申請 → 審査 → 支給決定 |
| 雇用管理改善 | 計画認定が先 | 計画申請 → 認定 → 措置実施と運用 → 支給申請 |
| 無期雇用転換 | 計画認定が先 | 計画申請 → 認定 → 無期転換 → 6か月雇用と賃金支給 → 支給申請 |
この表は全体像の確認用です。提出様式や添付書類はコース別に異なるため、実際の準備は支給要領と支給申請の手引きで確認してください。3457
継続雇用促進コースの実務タイムライン
継続雇用促進コースは、制度実施月の翌月から4か月以内という時間制約があり、月単位で締切が決まります。制度改定が決まったら、制度実施日と申請スケジュールを先に確定させることが重要です。3
| 段階 | やること | 確認する資料 |
|---|---|---|
| 準備 | 制度改定の内容を決め、就業規則や労働協約を整備する | 支給要領 継続雇用促進コース |
| 実施 | 施行日を迎えて制度を実施する | 就業規則 改定履歴 |
| 申請 | 実施月の翌月から起算して4か月以内の受付月に支給申請する | 支給要領 申請期間表 |
| 審査 | 必要に応じ追加資料提出や確認に対応する | 共通要領 審査協力 |
| 支給 | 支給決定後に指定口座へ振込 | 支給決定通知 |
制度改定を年度末や年度初めに予定している場合、月初から5開庁日という受付期間が短くなることがあります。社内決裁の期限と、外部委託の納品時期を合わせて管理してください。3
雇用管理改善コースの実務タイムライン
雇用管理改善コースは、計画開始日の3か月前までに計画申請が必要です。計画開始日の設定が遅れると、提出期限に間に合わない可能性が出ます。4
| 段階 | やること | 確認する資料 |
|---|---|---|
| 準備 | 対象とする措置を選び、必要経費と導入手順を見積もる | 公式ページ 措置の区分 |
| 計画申請 | 計画開始日の6か月前から3か月前までに計画書を提出する | 支給要領 計画書提出期限 |
| 実施 | 計画期間内に措置を実施し、計画終了後6か月の運用状況を記録する | 公式ページ 受給条件 |
| 支給申請 | 計画終了日の翌日から起算して6か月後の翌日から2か月以内に申請する | 支給要領 支給申請期間 |
| 支給 | 審査後に支給決定 | リーフレット 審査期間目安 |
支給申請は計画終了後に一定期間が空きます。運用状況を示す書類の整備が要件に入っているため、計画終了後も記録を残す運用を続けてください。64
無期雇用転換コースの実務タイムライン
無期雇用転換コースは、対象者の年齢、定年年齢、契約の通算期間、転換日など、個別要件が多くなります。計画申請の前に、対象者の要件を一人ずつ確認してください。15
| 段階 | やること | 確認する資料 |
|---|---|---|
| 準備 | 転換制度を就業規則等に規定し、対象者要件を確認する | リーフレット 要件 / 支給要領 定義 |
| 計画申請 | 計画開始の3か月前までに計画書を提出し認定を受ける | リーフレット 計画申請 |
| 転換 | 規定にもとづき無期雇用へ転換する | 雇用契約書 労働条件通知 |
| 雇用継続 | 転換後6か月以上雇用し、6か月分賃金を支給する | 賃金台帳 出勤簿 |
| 支給申請 | 賃金6か月分を支給した翌日から2か月以内に申請する | 支給要領 支給申請期間 |
勤務日数が11日未満の月は6か月分から除くため、シフト制や短時間勤務の対象者では、支給申請の時期が想定より後ろ倒しになる場合があります。転換日を決める前に勤務実態を確認してください。15
似た制度との取り違えに注意
目的が違う制度が混ざりやすい
65歳超雇用推進助成金は、雇用の仕組みを整える取組を支援する助成金です。一方で、雇用関係助成金には、採用や雇入れを支援する制度、教育訓練を支援する制度など、目的が異なる制度も含まれます。名称だけで判断すると取り違えが起きやすいため、目的から確認してください。8
| 観点 | 65歳超雇用推進助成金 | 他の雇用関係助成金の例 |
|---|---|---|
| 支援の中心 | 定年引上げ、雇用管理改善、無期雇用転換 | 雇入れ支援、能力開発支援、両立支援など |
| 手続きの特徴 | コースにより取組後申請と事前認定が分かれる | 制度ごとに要件と手続きが異なる |
| 確認すべき資料 | コース別支給要領と共通要領、JEEDの手引き | 制度ごとの案内と支給要領 |
どの制度にも共通するのは、要件と様式が年度ごとに改定され得る点です。申請前に、対象年度の資料に絞って確認してください。18
申請前セルフチェック
次の表は、申請前に確認しておきたい項目をまとめたものです。コース共通とコース別に分けて、抜け漏れがないかを確認してください。2
| 区分 | チェック項目 | 確認の目安 |
|---|---|---|
| 共通 | 雇用保険適用事業所が日本国内にある | 共通要領 支給対象事業主 |
| 共通 | 法定帳簿が整備されている | 共通要領 支給対象事業主 |
| 共通 | 労働保険料の滞納がない | 共通要領 支給対象事業主 不支給要件 |
| 共通 | 不支給要件に該当しない | 共通要領 不支給要件 |
| 継続雇用促進 | 制度改定が就業規則または労働協約に反映されている | 支給要領 0201 |
| 継続雇用促進 | 専門家等への委託費や相談費が発生している | 支給要領 0301 |
| 継続雇用促進 | 60歳以上被保険者が1人以上いる | 支給要領 0201 |
| 雇用管理改善 | 計画書の認定を受けている | 公式ページ 受給条件 |
| 雇用管理改善 | 計画終了後6か月の運用記録が整う | 公式ページ 受給条件 |
| 無期雇用転換 | 対象者が50歳以上で定年年齢未満 | リーフレット 要件 |
| 無期雇用転換 | 転換日が64歳以上になっていない | リーフレット 要件 |
| 無期雇用転換 | 転換後6か月雇用と賃金支給が完了している | リーフレット 要件 |
セルフチェックの各項目は、申請可否を決める最終判断ではありません。個別事案によって確認資料が増えるため、該当コースの支給要領と事務局の案内に沿って最終確認してください。345
事前相談の準備
相談前にまとめておくと伝わりやすい情報
都道府県支部に相談する際は、情報が揃っているほど回答が具体的になります。次の表は、制度要件ではありませんが、相談前に整理しておくと説明しやすい項目の例です。1
| 項目 | 整理する内容の例 |
|---|---|
| 事業所情報 | 適用事業所番号、所在地、主たる事務所 |
| 希望コース | どのコースを検討しているか、複数なら優先順位 |
| 取組の内容 | 定年引上げの年齢、継続雇用制度の対象範囲、導入する雇用管理制度の内容、無期転換の対象者 |
| スケジュール | 制度実施日、計画開始日と計画期間、無期転換日、賃金6か月分の支給見込み |
| 対象者の情報 | 年齢、雇用保険の被保険者区分、雇用形態、契約期間の通算、勤務日数の見込み |
| 外部委託の有無 | 委託先、委託内容、関連当事者に該当しないか |
| 想定する支給額 | 該当する区分と根拠、対象経費の見積額 |
制度上の義務ではありませんが、相談のメモを残しておくと、社内の意思決定や提出書類の準備に役立ちます。1
必要書類の準備のしかた
公式様式と提出方法
提出書類は、コースごとに指定様式と添付書類が定められています。様式は年度ごとに更新されるため、申請前にJEED公式サイトで当該年度の資料を確認してください。支給申請の手引きも併せて確認します。7
申請方法は持参や郵送に加えて、電子申請にも対応しています。電子申請を利用する場合の手順や注意点は、リーフレットの案内に沿って確認してください。1
雇用管理改善コースの支給申請で求められる添付書類
雇用管理改善コースの支給申請では、支給要領で添付書類が(イ)から(チ)まで列挙されています。次の表は、列挙項目をそのまま並べ替えたものです。4
| 添付書類 | 内容 |
|---|---|
| (イ) | 措置の導入または見直しの内容が分かる資料 |
| (ロ) | 措置の実施に係る支給対象経費の支払いに係る領収書等 |
| (ハ) | 措置の実施に係る資格免許等を有することが分かる書類 対象となる措置が該当する場合 |
| (ニ) | 整備した制度の内容や機器等の導入状況が分かる書類と、計画終了後6か月の運用状況が分かる書類 |
| (ホ) | 教育訓練修了証の写しと支給申請に関する同意書 対象となる措置が該当する場合 |
| (ヘ) | 対象となる雇用保険被保険者の雇用保険被保険者資格取得等確認通知書の写し |
| (ト) | 高年齢者雇用確保措置を定めた就業規則または労働協約の写しなど |
| (チ) | 振込先金融機関口座を確認できる書類 |
計画申請時の提出物や、書類の具体的な書き方は、JEEDが公開する支給申請の手引きも確認してください。7
無期雇用転換コースの支給申請で求められる添付書類
無期雇用転換コースの支給申請時の添付書類は、支給要領で(イ)から(リ)まで列挙されています。5
| 添付書類 | 内容 |
|---|---|
| (イ) | 無期雇用転換後の就業規則や労働協約等の写し |
| (ロ) | 無期雇用転換制度を規定した就業規則や労働協約等の写し |
| (ハ) | 対象労働者の労働条件通知書または雇用契約書の写し |
| (ニ) | 対象労働者の就業状況が分かる書類 |
| (ホ) | 賃金台帳など賃金支払いが分かる書類 |
| (ヘ) | 出勤簿など勤務実態が分かる書類 |
| (ト) | 雇用保険被保険者資格取得等を確認できる書類 |
| (チ) | 支給申請年度の適用事業所の一覧等 |
| (リ) | 振込先口座を確認できる書類 |
このほか、個別に追加資料の提出が求められる場合があります。準備段階で、対象者ごとの契約期間や年齢の根拠資料を整理しておくと対応しやすくなります。これは制度要件ではありませんが、審査の説明がしやすくなります。5
よくある質問
Q1. 65歳超雇用推進助成金は新しく高齢者を採用したときに使えますか
A. この助成金は、定年や継続雇用制度の見直し、雇用管理の整備、無期雇用転換など、既存の雇用の仕組みを整える取組が中心です。高年齢者の雇入れを支援する別の助成制度もあるため、目的に合う制度を雇用関係助成金の一覧で確認してください。8
Q2. 申請先は労働局やハローワークですか
A. 申請の受付や審査、支給決定の事務は独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構が行い、提出先は都道府県支部です。1
Q3. 3コースのうちどれを選べばよいか分かりません
A. 目的で考えると選びやすくなります。定年引上げなど制度改定を行うなら継続雇用促進コース、評価制度や健康管理など雇用管理の仕組みを整えるなら雇用管理改善コース、有期から無期へ転換するなら無期雇用転換コースです。支給額の算定方法が異なるため、支給額の早見表と要件をコース別に確認してください。1
Q4. 継続雇用促進コースはいつまでに申請が必要ですか
A. 支給要領では、制度の実施日が属する月の翌月から起算して4か月以内で、実施月ごとに申請できる月と受付期間が表で定められています。各月の受付は月初から5開庁日です。3
Q5. 雇用管理改善コースの計画申請はいつまでですか
A. 支給要領では、計画開始日から起算して3か月前の日までに提出します。提出できる期間の始まりは6か月前の日からで、休日に当たる場合の扱いも支給要領で確認します。4
Q6. 雇用管理改善コースの支給申請はいつからいつまでですか
A. 計画期間終了日の翌日から起算して6か月後の日の翌日から2か月以内です。運用状況を示す書類の整備も要件に入るため、計画終了後の6か月は記録を残してください。64
Q7. 雇用管理改善コースで対象になる措置は何ですか
A. 55歳以上を対象とした賃金制度、健康管理制度、業務負担軽減、業務改善提案制度、研修制度、専門職制度、その他の7区分です。計画に位置付けた措置以外の機器等の導入費は対象外になるため、計画段階で範囲を明確にしてください。64
Q8. 無期雇用転換コースで派遣社員は対象になりますか
A. 支給要領では、有期契約労働者の定義から派遣労働者を除外しており、派遣労働者は対象外です。5
Q9. 無期雇用転換コースで64歳の従業員を無期に転換した場合は対象になりますか
A. リーフレットでは、無期雇用転換日に64歳以上の者は対象労働者に該当しないと案内しています。転換日を設定する前に年齢要件を確認してください。1
Q10. 無期雇用転換コースの申請はいつまでですか
A. 転換後に支給する賃金6か月分を支給した日の翌日から2か月以内です。勤務日数が11日未満の月は6か月分から除きます。15
Q11. 電子申請は必須ですか
A. 電子申請は選択肢の一つで、持参や郵送とあわせて利用できます。電子申請の利用方法や注意点はe-Govを利用する案内で確認してください。1
Q12. 支給決定後に書類を捨ててもよいですか
A. リーフレットでは、助成金支給後も5年間の書類保管が必要と案内しています。支給決定後に備えて、案件ごとに保存ルールを決めておくと安全です。1
Q13. 外部委託の費用はすべて対象になりますか
A. 継続雇用促進コースと雇用管理改善コースでは、支給対象経費の範囲が支給要領で定義されています。また、申請事業主と一定の関係がある者との取引に要した経費は対象外となる取扱いがあります。契約前に支給要領で確認してください。34
Q14. 雇用管理改善コースは初回の支給額が一律になりますか
A. 支給要領では、最初の支給に限り支給対象経費を50万円とみなす取扱いがあり、助成率を掛けて支給額を算定します。過去に同様の取扱いを受けた事業主の扱いも支給要領で確認してください。4
出典・参考資料
執筆者:補助金フラッシュ 士業編集部
補助金・助成金の活用法からAI導入、業務の生産性向上まで、中小企業の経営に役立つ情報を士業の専門家チームがわかりやすく解説します。
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