高校無償化という言葉だけを聞くと、入学すれば自動的に授業料が差し引かれるように感じるかもしれません。実際には、高等学校等就学支援金は学校の案内に従って申請し、対象になるかを確認してから使える制度です。
令和8年度(2026年度)の新制度では所得制限がなくなりましたが、申請の必要がなくなったわけではありません。この記事では、いつ、どこで、何を提出するのかを、初めて手続きする人にも分かる順番で整理します。

高等学校等就学支援金の基本的な仕組み
授業料に充てるための支援金
高等学校等就学支援金は、高校などの授業料に充てるための支援金です。返済が必要な奨学金とは違い、対象になれば返す必要はありません。ただし、授業料を支える制度なので、入学金、制服代、教材費、通学費などまで自動的に支援されるわけではありません。1
令和8年度の新制度では、所得制限がなくなり、公立高校の支給上限額は年額11万8,800円、私立高校の支給上限額は年額45万7,200円とされています。私立高校の年額45万7,200円は、12か月で見ると月額38,100円に当たります。ただし、実際の授業料が上限額より低い場合は、授業料を超えて支給されるものではありません。2
所得制限なしでも申請が必要な理由
所得制限がなくなると、全員が何もしなくても自動的に対象になるように見えます。しかし、制度上は、生徒が対象校に在学しているか、日本国内に住所があるか、国籍や在留資格などの要件を満たすかを確認する必要があります。つまり、所得を見る手続きが軽くなっても、対象者を確認する手続きは残るということです。2
ここを誤解すると、支援金を受けられると思っていたのに、申請を出していなかったために学校から授業料の支払いを求められることがあります。
申請は学校からの案内を起点に確認
期限は全国一律ではなく学校ごとに確認
申請期限は全国で同じ日付というわけではありません。文部科学省も、申請手続きの流れは学校からの案内に従うよう示しています。たとえば学校案内に5月24日などの期限が書かれている場合、それは通っている学校が指定した期限として扱うのが基本です。3
令和8年度の申請期には、e-Shienの緊急メンテナンスで一時的にサービスが止まった期間もありました。文部科学省は、その影響で締切が変わる場合は都道府県または学校から案内されるとし、申請時期が5月以降になった場合でも4月分から受給できるよう弾力的に扱う方針を示しています。期限に不安があるときは、自己判断で諦めず、学校の事務室に確認することが大切です。3
最初に見るべき案内の順番
申請の入口は、学校から配られる書面、連絡アプリ、メール、保護者向けポータルなどです。高等学校等就学支援金は国の制度ですが、実際の申請方法や締切は、学校や都道府県の運用に左右されます。申請画面だけを先に探すより、学校から届いた案内を先に確認した方が、入力ミスや提出漏れを避けやすくなります。
| 確認するもの | 見る理由 | 迷ったときの対応 |
|---|---|---|
| 学校からの申請案内 | 申請期限、申請方法、対象者の説明があるため | 事務室に確認 |
| e-ShienのID、パスワード | オンライン申請に必要なため | 再発行や再通知の方法を学校に確認 |
| 提出書類の指定 | 国籍や申請方法で異なるため | 学校指定の様式を優先 |
| 送信完了や提出控え | 申請した証拠になるため | 画面保存や控えの保管 |
この表で分かる通り、最初の行動は制度名を検索することではなく、学校から届いた案内を手元に置くことです。案内が手元にあれば、e-Shienで進めるのか、紙で提出するのか、どの書類を準備するのかを順番に確認できます。
なお、文部科学省の新入生向け資料では、申請者は生徒とされています。実際の入力や書類の準備は保護者が手伝うことも多いですが、扱うのは生徒本人の在学情報や国籍、在留資格などの個人情報です。そのため、学校でその場で済ませるものというより、案内を持ち帰って家庭で確認する手続きとして考える方が自然です。1
高校無償化は、授業料が自動でゼロになるという意味ではありません。所得制限がなくなっても、学校種、在学状況、住所、国籍や在留資格などを確認する手続きがあります。授業料支援を受けるには、学校の案内に沿って申請することが前提です。
e-Shienで進める場合の手順
学校から配布されるIDとパスワード
オンライン申請で使うのが、e-Shienです。文部科学省は、高等学校等就学支援金はオンライン申請が可能で、ログインには学校から配布されるIDとパスワードが必要だと案内しています。ただし、学校によってはオンライン申請に対応していない場合もあるため、最終的には通っている学校の案内を確認します。4
e-Shienを使う場合は、学校から配布されたログイン情報で画面に入り、意向登録や受給資格認定申請を進めます。令和8年度の新入生向け資料では、日本国籍の生徒は、学校からIDとパスワードの案内があった場合にオンライン申請を行う流れが示されています。個人情報を扱うため、手続きは学校の教室や共有端末ではなく、自宅で行うよう案内されています。1
入力前に用意する情報
入力作業でつまずきやすいのは、制度の内容そのものよりも、手元に必要な情報がそろっていない場面です。申請画面を開く前に、次のものを確認しておくと手続きが進めやすくなります。
- 学校から配布された申請案内、ログインID、パスワード
- 生徒の氏名、生年月日、在籍校などの基本情報
- 申請画面で求められる保護者等の情報
- 申請期限、送信完了後の確認方法、学校への連絡先
入力が終わったら、送信完了画面や受付完了の表示を確認します。完了したつもりでも、途中保存のまま送信できていないことがあります。申請後の控えを残すことは、期限内に手続きをしたかを確認するうえで役立ちます。
また、e-Shienでは、支援を希望するかどうかの確認と、受給資格を確認するための申請が分かれて案内される場合があります。画面上の名称が少し難しく見えても、要するに、授業料支援を受けたい意思を示し、対象者として認められるための情報を入力する流れです。途中で分からなくなった場合は、何となく進めず、画面名やエラー表示を控えて学校に確認しましょう。
紙で提出する場合と必要書類
日本国籍の生徒で書類申請をする場合
オンライン申請が基本でも、学校や都道府県の事情によって紙での申請になる場合があります。文部科学省の提出書類例では、日本国籍の生徒について、令和8年度は原則として国籍確認書類の提出は不要としつつ、書類申請の場合の確認書類例として個人番号カードの写しや住民票の写しが示されています。5
ここで注意したいのは、必要書類が全国で完全に同じとは限らないことです。文部科学省の資料にも、都道府県によって提出書類が異なる場合があると記されています。学校から受給資格認定申請書などの様式が配られた場合は、学校指定の書類名と提出方法を優先してください。
紙で提出する場合は、原本とコピーの違いにも注意が必要です。住民票の写しは原本を求められる一方、個人番号カードや在留カードなどは写しを求められる場合があります。スマートフォンで撮った画像を印刷したものが使えるかなどは学校の運用で変わるため、案内文にある表現をそのまま確認してください。
日本国籍以外の生徒で確認される書類
日本国籍以外の生徒は、国籍や在留資格などの確認が必要になります。文部科学省の新入生向け資料では、特別永住者、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者のうち一定の要件を満たす人、家族滞在のうち日本の小学校と中学校を卒業し、卒業後に日本で就労して定着する意思があると認められる人などが対象例として示されています。1
書類の例としては、住民票の写し、特別永住者証明書の写し、在留カードの写しなどがあります。家族滞在の場合は、日本の小学校と中学校の卒業証書の写し、または卒業証明書が必要になる場合もあります。国籍や在留資格に関する確認は家庭ごとに事情が違うため、案内を読んでも判断しにくいときは、早めに学校へ相談するのが現実的です。5
申請後に起こりやすい誤解
支援金は保護者の口座に直接入る制度ではない
高等学校等就学支援金は、原則として生徒や保護者の口座に直接振り込まれる制度ではありません。文部科学省の資料では、設置者が代理受領する仕組みが示されています。つまり、学校側が支援金を受け取り、授業料に充てる形です。2
ただし、支給決定までの間にいったん授業料を徴収し、あとから就学支援金相当額を還付する学校もあります。学校案内に後日還付や授業料へ充当と書かれている場合は、入金の有無だけで判断せず、どの時期に授業料へ反映されるのかを確認しましょう。支援の受け方は、学校の請求方法とセットで見る必要があります。1
授業料以外の費用は別に確認
高等学校等就学支援金は授業料の支援なので、学校生活でかかるすべての費用をカバーする制度ではありません。たとえば、教材費、教科書費、制服代、修学旅行積立金、部活動費、通学費などは、別途自己負担になることがあります。
授業料以外の支援としては、高校生等奨学給付金のように、教科書費や教材費などを支援する制度が別に案内される場合があります。高等学校等就学支援金の申請が終わっても、家計への影響を正確に見たい場合は、授業料以外の費用と自治体独自の支援も合わせて確認すると安心です。1
まとめ
迷ったときの確認手順
高校無償化の申請で大切なのは、制度名だけを見て判断せず、学校からの案内に沿って手続きを完了させることです。令和8年度の新制度では所得制限がなくなりましたが、申請、対象確認、支給決定という流れは残っています。
確認する順番は、学校からの案内、e-Shienのログイン情報、必要書類、送信完了や提出控えです。期限が近いとき、入力画面で止まったとき、必要書類が分からないときは、学校の事務室へ早めに相談してください。高校無償化で失敗しないための第一歩は、申請を後回しにしないことです。
出典・参考資料
執筆者:補助金フラッシュ 士業編集部
補助金・助成金の活用法からAI導入、業務の生産性向上まで、中小企業の経営に役立つ情報を士業の専門家チームがわかりやすく解説します。
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