障害者自立支援機器等開発促進事業は、障害者等のニーズを踏まえた支援機器を実用化につなげるための開発費を補助する制度です。12
令和8年度の公募では、テーマ設定型事業と製品種目特定型事業の2つがあり、補助上限額や補助率が異なります。3
応募要件や対象経費は細部まで決まっており、提出書類の形式や提出方法にも指定があります。3
この記事では、令和8年度の公募要項と関連資料を根拠に、対象者、支援内容、対象経費、書類作成のポイント、採択後の留意点をまとめます。1342
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 障害者自立支援機器等開発促進事業 |
| 対象年度/公募回 | 令和8年度 |
| 最終更新日 | 2026年2月18日 |
| 所管/実施機関/事務局 | 厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 企画課 自立支援振興室 障害者支援機器係 |
| 補助上限額/補助率 | テーマ設定型 上限22,500千円 補助率 中小開発機関2/3 中小開発機関以外1/2 / 製品種目特定型 上限15,000千円 補助率 中小開発機関2/3 初年度のみ10/10 中小開発機関以外1/2 |
| 申請期間 | 提出期限 令和8年2月6日 17時 |
| 公式一次資料 | 公募開始ページ 令和8年度 HTML / 公募要項 令和8年度 PDF / Q&A 令和8年度 PDF |
| 公式一次資料 | 様式1 応募について 令和8年度 DOCX / 様式2 事業計画書 令和8年度 DOCX / 様式3 所要額内訳書 令和8年度 XLSX / 様式4 応募書類チェックリスト 令和8年度 XLSX |
| 公式一次資料 | 実施要綱 2025年3月31日通知 PDF / 調査事業等の公募ページ HTML |
| 免責 | 申請可否や経費判断は、当該年度の募集要領・交付要綱等と事務局の案内で最終確認してください。 |

制度の全体像
障害者自立支援機器等開発促進事業とは
本事業は、障害者の自立や社会参加の促進のために、企業等が障害当事者や医療福祉専門職等と連携して支援機器を開発する取組を補助し、ニーズを反映した実用的な機器の開発、製品化、普及を後押しする枠組みです。12
令和8年度の公募は厚生労働省が公募要項を示し、応募書類の提出先や問い合わせ先も厚生労働省内の担当部署として案内されています。13
ここでいう支援機器は、障害者等の生活やコミュニケーション、就労、スポーツなどを支える機器を想定します。いわゆる医療機器に該当するものは対象外で、アプリやソフトウェアも支援機器として扱い得ます。34
似た名称の事業との違い
同じく厚生労働省の施策として、支援機器の普及に関する情報発信やニーズと技術のマッチングの場づくりを目的とした「障害者自立支援機器開発・普及啓発促進事業」もあります。56
一方、本記事の中心である「障害者自立支援機器等開発促進事業」は、開発機関が行う支援機器の開発と製品化に向けた取組に対して補助を行う事業です。132
名称が近いため、検索結果や資料の読み違いで「別事業の公募要項」を参照してしまうケースが起きやすい点に注意してください。制度名だけでなく、対象年度、事業名の末尾、提出先や様式名が一致しているかを毎回確認すると、取り違えを防げます。13
支援内容と上限額
類型ごとの補助上限と補助率
令和8年度公募では、応募区分は「テーマ設定型事業」と「製品種目特定型事業」の2つです。補助対象経費の上限額と補助率は区分と法人類型で変わります。3
| 区分 | 補助対象経費の上限額 | 補助率 | 補足 |
|---|---|---|---|
| テーマ設定型事業 | 1件あたり22,500千円 | 中小開発機関 2/3 / 中小開発機関以外の会社・社会福祉法人等 1/2 | 補助金額は対象経費の実支出額を基準に算定 |
| 製品種目特定型事業 | 1件あたり15,000千円 | 中小開発機関 2/3(初年度のみ10/10) / 中小開発機関以外の会社・社会福祉法人等 1/2 | 応募内容によりテーマ設定型への変更を求める場合あり |
上限額は「当該年度の計画総事業費」として示されています。補助金額は、対象経費として認められる実支出額を基準に算定する扱いです。3
複数年計画の扱いと単年度上限
令和8年度の事業実施期間は、原則として令和8年4月1日から令和9年3月31日です。内示日が4月1日を超える場合は内示日が事業開始日になります。3
また、令和8年度の応募にあたり、最長で3年間の開発期間を提案できます。ただし複数年提案で採択された場合でも、年度ごとの応募書類提出が必要で、審査結果によっては継続が認められない場合があります。3
上限額は単年度ごとです。複数年計画の総額上限として一括で示されているものではありません。4
そのため、複数年の計画を立てる場合は、年度ごとに「その年度の開発の到達点」「モニター評価の実施」「次年度へ持ち越す課題」を区切って説明できる形にしておくと、書類の整合が取りやすくなります。37
補助金の支払いと交付の考え方
公募要項では、補助金の支払いは原則として概算払いです。補助金の管理と経理事務は開発機関が責任を持って行う形が前提になります。3
Q&Aでは、概算払いの回数は案件によって異なり得ること、内示通知後に交付申請手続きが完了した後に交付されることが示されています。4
資金繰り面の不安がある場合は、応募段階で「どの時点で支出が発生するか」「支出に対して社内の立替余力があるか」「外注や設備の支払条件」を整理し、必要に応じて事務局へ確認するのが安全です。134
応募できる開発機関の要件
応募主体の基本条件
本事業の対象となる開発機関は、日本に登記されている法人格を有する団体で、国と地方公共団体は除かれます。さらに、開発を行う施設や設備を使用できる状態の拠点を日本国内に有していることが求められます。3
加えて、開発を的確に遂行するための組織、人員、設備、技術的能力、資金調達に必要な経営基盤等を備え、当該開発を主として行う役割を担えることが条件です。3
経理事務を適切に行う管理体制・経理体制も要件に含まれます。応募書類の中では、賃金、謝金、旅費などの算出根拠として法人の内規が求められ、内規がない場合は合理的理由を記した理由書の添付が必要になります。3
連携体制とモニター評価の条件
支援機器の仕様や機能に応じた適切な知見を有する医療福祉専門職等から、事業実施期間を通じて指導と助言を受ける体制が必要です。3
さらに、モニター評価に関して、概ね15人以上の想定ユーザーである障害者等に試作機を実際に使用させ、医療福祉専門職と障害者等から評価を受けることが求められます。モニター評価のため、医療機関、障害福祉施設、障害当事者団体などとの連携体制を事業実施期間を通じて構築している必要があります。3
事業計画書の様式でも、医療福祉専門職等を開発組織に含めることが求められており、必要な時に助言を受ける程度の関係では足りない点が明示されています。7
応募前に、協力先との役割分担、評価の観点、実施場所、同意取得の手順、倫理面の確認を詰めておくことが重要です。32
中小開発機関の定義と証明方法
補助率の区分で重要になるのが「中小開発機関」です。中小開発機関は、別表1のアとイの双方に該当する会社と定義されています。3
まず別表1アでは、業種ごとに資本金(または出資総額)と従業員数の基準が示されています。3
| 業種 | 資本金の額または出資総額 | 常時使用する従業員数 |
|---|---|---|
| 製造業、建設業、運輸業その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
| ゴム製品製造業 | 3億円以下 | 900人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業 | 5千万円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5千万円以下 | 50人以下 |
| ソフトウェア業又は情報処理サービス業 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 旅館業 | 5千万円以下 | 200人以下 |
別表1イでは、いわゆる「大企業に実質支配されていないこと」に関する条件が置かれています。例えば、発行済株式の全部を大企業が所有している場合や、一定割合以上を所有している場合、役員構成が大企業によって左右される場合などが該当し得ます。3
証明書類は定型が決まっているわけではなく、Q&Aでは、業種、資本金、従業員数に加えて、別表1イの各要件に当てはまらないことを示す資料の提出を求めています。4
また、応募資格の段階で、資本金が10億円以上かつ売上高が1千億円以上である会社は対象外とされています。これは中小開発機関かどうかとは別に置かれている条件です。3
自社が該当するか判断しづらい場合は、決算書、登記簿、株主構成、役員構成など、事実関係を整理した上で事務局へ相談してください。13
開発機器に求められる要件
支援機器の範囲
開発対象となる支援機器は、障害者等の自立と社会参加に資する機器であることが前提です。テーマ設定型では8つのテーマのいずれかに該当する機器、製品種目特定型では4つの種目のいずれかに該当する機器が対象になります。3
ソフトウェアやアプリについても、支援機器に該当し得ることがQ&Aで示されています。4
医療機器と量産資金は対象外
開発機器の要件の一つとして「医療機器に該当しないこと」が置かれています。将来的に医療機器として承認申請することを目的にしている場合は対象外になり得る点も、Q&Aで明確に示されています。34
また、本事業は実用的製品化のための開発を対象としており、量産のための材料費の確保や生産体制の構築といった費用は対象外の考え方になります。4
要件を満たすための確認表
公募要項では、開発機器が満たすべき要件が7点に整理されています。応募書類では、これらを満たしていることを説明できる材料をそろえる必要があります。3
| 要件 | 確認の観点 | 書類で示す材料の例 |
|---|---|---|
| 同一仕様や機能の製品が存在しない | 既存製品との差異が説明できる | 比較表、公開情報調査、代替手段の限界 |
| ニーズが調査結果等から明らか | 対象者の困りごとが定量定性で示せる | アンケート、ヒアリング、現場観察の記録 |
| ニーズを反映し自立と社会参加に資する | 課題と機能が対応している | ユースケース、改善前後の想定 |
| 市場が見込め経済的に優れる | 導入可能性と価格妥当性がある | 想定価格、コスト構造、販路計画 |
| 基礎研究完了と試作機の設計完了 | 開発段階が製品化寄り | 仕様書、試作計画、技術課題整理 |
| 他の補助金等の交付を受けていない | 二重補助がない | 資金計画、他制度の採択状況整理 |
| 医療機器に該当しない | 医療機器該当性の確認 | 用途、表示、機能の整理、関連法規確認 |
上の表は、制度要件を噛み砕いて整理したものです。実際の表現や提出資料は、公募要項と様式に合わせて整えてください。37
テーマ設定型と製品種目特定型の選び方
テーマ設定型の対象テーマ
テーマ設定型は、次の8テーマのいずれかに該当する支援機器を開発する事業です。3
| テーマ番号 | テーマ |
|---|---|
| 1 | 日常生活を支援する機器 |
| 2 | コミュニケーションを支援する機器 |
| 3 | レクリエーション活動を支援する機器 |
| 4 | 就労を支援する機器 |
| 5 | 障害者等の支援をより行いやすくする支援機器 |
| 6 | ロボット技術を活用した支援機器 |
| 7 | 脳科学の成果を応用した支援機器 |
| 8 | その他、障害者等の自立と社会参加を支援する機器 |
テーマは広く設定されているため、応募書類では「どの障害特性」「どの生活場面」「どの支援者との関係」で価値が出るのかまで具体化しておくほど、要件②③の説明がしやすくなります。37
製品種目特定型の対象種目
製品種目特定型は、テーマ設定型とは別に、ニーズが高いものとして定められた4種目のいずれかに該当する支援機器を開発する事業です。3
| 種目番号 | 製品種目 |
|---|---|
| 1 | 盲ろう者が在宅で日常生活関連活動を円滑に行えるよう支援する機器 |
| 2 | 障害児・者のスポーツ活動への参加を支援する機器 |
| 3 | 発達障害児・者の日常生活を支援する自助具 |
| 4 | 知的障害者や精神障害者が自ら管理しつつ、支援者にも必要な情報を共有できる機器 |
製品種目特定型として応募した場合でも、申請内容を踏まえてテーマ設定型への変更を求められる場合があります。応募区分を決める段階で、テーマ設定型としても成立する説明を用意しておくと、調整が必要になったときに慌てずに済みます。3
テーマ番号の決め方
応募時に選ぶテーマ番号は1つです。複数のテーマに該当する場合でも、主たるテーマを選び、他テーマにまたがる要素は本文で補足する形が適します。4
事業計画書の様式でも、テーマ番号を一つ選ぶ扱いになっています。7
テーマ選定で迷う場合は、機器が主に価値を出す場面を基準にすると整理しやすくなります。例えば、同じ機器でも「就労場面での活用」が中心なら就労支援、「家庭内の身辺自立」が中心なら日常生活支援という考え方で統一します。これは制度要件ではありませんが、書類の筋が通りやすくなります。37
補助対象経費と対象外経費
補助対象経費の全体像
対象経費は、支援機器の開発に必要な経費として、賃金、謝金、旅費、需用費、通信運搬費、雑役務費、借料及び損料、備品購入費、委託費が示されています。3
賃金、謝金、旅費の算出は法人の内規等に基づくことが求められ、内規がない場合は国の基準等を参考にした上で合理的理由を示す理由書を添付する扱いです。3
所要額内訳書(Excel)で、区分ごとに金額と算出根拠を整理する形式になっています。提出時にPDFへ変換しない点も明記されています。38
経費区分ごとのポイント
別表2では、各経費区分の対象範囲と対象外が具体的に示されています。特に誤解が出やすい点を中心に整理します。34
| 経費区分 | 認められる範囲の例 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 賃金 | 補助事業に直接従事する補助員の賃金、法定福利費等 | 既存の職員・役員の給与は対象外になり得る。賞与・退職金等は対象外。34 |
| 謝金 | 専門家への指導助言、モニター評価協力等への謝礼 | 算出は内規等に基づく。内規がない場合は理由書で合理性を説明。3 |
| 旅費 | 開発・モニター評価等に必要な国内出張 | 算出は内規等に基づく。海外渡航は原則対象外だが、必要性を示す資料がある場合の扱いがQ&Aで示される。34 |
| 需用費 | 消耗品費、会議費、印刷製本費、光熱水費 | 量産のための材料確保は対象外。光熱水費等は事業分の按分が必要。34 |
| 通信運搬費 | 試作機の送付、評価機材の搬送等 | 事業に直接関係するものに限る。3 |
| 雑役務費 | 各種手数料、特許申請料等 | 事業に直接必要な費用に限る。特許申請関連はQ&Aで整理あり。4 |
| 借料及び損料 | 機器・設備等の賃借、会場・機材のレンタル等 | 30万円以上の備品は原則賃借。リースでも所有権移転を伴うものは対象外。3 |
| 備品購入費 | 試作機の開発に必要な備品購入 | 原則として30万円以上は賃借。OA機器の購入は対象外。例外的に購入が必要な場合は根拠説明が必要。3 |
| 委託費 | 安全性評価試験、部材加工等の外部委託 | 委託費は直接経費の1/5以内の考え方がQ&Aで示される。共同研究費の概念は本事業にない旨もQ&Aで示される。4 |
経費のルールに加えて、公募要項では「開発経費の大部分が備品費である場合」など、計画内容によっては原則採択しない考え方も示されています。予算を組むときは、開発に直接必要な支出のバランスと、妥当な算出根拠が一体で説明できる形にしておくことが大切です。3
対象外になりやすい経費
別表2やQ&Aでは、対象外となる支出の例も具体的に示されています。制度の誤解が起きやすい代表例をまとめます。34
| 対象外になりやすい支出 | 扱いの考え方 |
|---|---|
| 既存の職員・役員の人件費、賞与、退職金等 | 賃金の対象範囲から外れる。補助事業に直接従事する補助員の賃金等が中心。34 |
| 事務所の家賃や設備の整備、施設の改修等 | 開発に直接必要な経費としては認められない範囲がある。3 |
| OA機器の購入 | 備品購入費の対象外として明示されている。3 |
| 量産のための原材料確保や生産体制構築 | 本事業は開発と製品化に向けた取組が中心で、量産目的は対象外の考え方。4 |
| 広告費やキャンペーン費 | Q&Aで対象外の例として挙げられている。4 |
| 所有権移転を伴うリース | 借料及び損料の対象外として示されている。3 |
対象外になり得る経費をどうしても計上したい場合は、「対象外経費を申請する場合の必要性・有効性を説明できる資料」を提出する扱いが公募要項にあります。3
ただし、どの範囲が認められるかは個別性が高く、ここで一般化はできません。資料を作る前に、計上理由と代替案を整理し、事務局へ相談するのが安全です。13
申請書類の準備と書き方
提出物の一覧とファイル形式
公募要項は提出物を①から⑫まで列挙し、様式とファイル形式、留意事項を示しています。特に、事業計画書(様式2)と所要額内訳書(様式3)は提出時にPDFにしない点が明記されています。3
| No | 提出物 | 様式 | ファイル形式 | ポイント |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 応募について | 様式1 | Word | 基本情報と提出物の確認 |
| 2 | 事業計画書 | 様式2 | Word | 図表の説明の注釈が必要、提出時PDF不可 |
| 3 | 所要額内訳書 | 様式3 | Excel | 提出時PDF不可 |
| 4 | 賃金、謝金、旅費等の支給基準 | 任意様式 | - | 法人の内規を提出 |
| 5 | 経費算出理由書 | - | 該当する場合のみ | 内規がない場合などに合理性を説明 |
| 6 | 対象外経費の必要性を説明できる資料 | - | Word | 該当する場合のみ |
| 7 | 定款または寄附行為(写) | - | - | 法人確認 |
| 8 | 直近3年分の決算書(写) | - | - | 無い場合は類する書類を提出 |
| 9 | 中小開発機関の証明書類 | - | - | 該当する場合のみ |
| 10 | チェックリスト | 様式4 | Excel | 添付漏れ防止 |
| 11 | プレゼンテーション動画 | 任意様式 | PowerPoint | 5分以内、容量上限16MB、提出先は別途指示 |
| 12 | 開発機器に関するPR動画 | 指定なし | - | 任意提出、3分以内、容量上限16MB、提出先は別途指示 |
動画(⑪⑫)は、①から⑩の書類提出後に事務局から提出先の指示があります。提出順序も含め、要項の指示に合わせて準備してください。3
事業計画書で求められる内容
事業計画書(様式2)は、背景、目的、開発する支援機器の概要、ニーズと有効性、新規性、開発方法、事業実施計画、開発組織体制、製品化後の事業計画などを順に記載する構成です。7
字数の目安や図表の扱いも様式内で示されているため、執筆前に全体を通読し、必要な素材をそろえる順番を決めると効率が上がります。7
| 項目 | 様式上の指示例 | 準備しておくと書きやすい材料 |
|---|---|---|
| 開発の背景 | 800字以内、図表なし | 対象者の困りごと、現行手段の限界、現場での観察結果 |
| 開発の目的と意義 | 300字程度、図表なし | 誰の何をどう改善するか、社会参加へのつながり |
| 開発する支援機器の概要 | 1000字程度、図表は5枚以内 | 機器の構成、使用場面、既存品との差異、試作の前提 |
| 想定対象者と有効性 | 600字以内、図表なし | 対象者像、利用前後の変化、評価指標の案 |
| 新規性と独創性 | 600字以内、図表なし | 技術の核、独自性、特許や先行技術との差 |
| 開発方法と実施計画 | 600字以内、図表なし | 試作、改良、評価のサイクル、役割分担 |
| 製品化後の事業計画 | 600字以内、図表は1枚以内 | 販売・導入先、価格帯、保守、普及の段取り |
上の表は、様式に書かれている指示を要約したものです。実際の字数や図表枚数の扱いは、必ず様式2の指示を優先してください。7
なお、実施計画表には、倫理審査の申請、特許申請、医療福祉専門職等と連携したモニター評価、安全性評価などを含めるよう求められています。モニター評価の要件は公募要項の応募条件にも直結するため、実施時期と実施体制が計画上で整合していることが重要です。37
所要額内訳書を作る手順
所要額内訳書(様式3)は、経費区分ごとに金額と内訳を整理するExcelです。提出時にPDFへ変換しない点が公募要項で指定されています。38
賃金、謝金、旅費の算出は内規に基づく必要があり、内規がない場合は理由書で合理性を示す必要があります。ここで理由が曖昧だと、審査段階だけでなく採択後の経理でも負担が増えやすくなります。3
これは制度要件ではありませんが、実務上は、各行の算出根拠(単価、回数、人数、作業時間)と証憑の種類(雇用契約、勤務記録、請求書、領収書、出張申請)をセットでメモしておくと、後工程が楽になります。4
プレゼンテーション動画の要点
提出物⑪のプレゼンテーション動画は、事業計画の説明として5分以内、容量上限16MB、音声等で図表の説明を行うことが求められています。ファイル形式は公募要項の表ではPowerPointです。3
また、開発機器に関するPR動画は任意提出で、3分以内、容量上限16MB、音声等で動作を説明することが求められています。3
提出方法は事務局から別途指示される扱いのため、応募書類の提出後に案内を確認し、指示に従って提出してください。3
提出方法と連絡先
提出期限と提出方法
提出期限は、令和8年2月6日17時です。13
提出方法は原則として電子メールで、やむを得ず郵送する場合は事前に事務局へ電話連絡することが求められています。3
公募要項には、メール送付先として syougaikiki@mhlw.go.jp が示されています。3
公募開始ページでは迷惑メール対策としてメールアドレスの一部を置換して表示しているため、参照する資料によって表記が違う点に注意してください。1
メール件名とファイル名のルール
メール件名には「(開発機関名)障害者自立支援機器等開発促進事業応募について」を入れることが求められています。ファイル名も「令和8年度応募書類(開発機関名)(書類名)」とするルールが示されています。3
提出物が多いため、件名とファイル名のルールに従っておくと、事務局側の受領確認が円滑になり、差し戻しのリスクを下げられます。3
問い合わせ前に揃える情報
問い合わせの品質を上げるために、事前に整理しておきたい情報をまとめます。これは制度要件ではありませんが、相談が短時間で済みやすくなります。1
| 相談テーマ | 事前に整理しておく情報 |
|---|---|
| 応募資格 | 法人種別、国内拠点、体制図、医療福祉専門職等との連携内容、中小開発機関の該当性 |
| 開発機器の要件 | 対象者像、ニーズ調査の概要、既存製品との差、医療機器該当性の確認メモ |
| モニター評価 | 評価予定人数、協力先(医療機関・施設・団体等)、実施場所、倫理面の対応 |
| 対象経費 | 計上したい費目、対象外に該当しそうな支出の有無、内規の有無、理由書が必要か |
| 提出方法 | 提出予定ファイルの形式、容量、動画提出の準備状況 |
問い合わせ先の電話番号は公募開始ページに記載があります。連絡先の最新表記は公募開始ページと公募要項で確認してください。13
審査と採択後の手続き
審査の流れ
公募要項では、開発評価委員会における審査(書面審査の上、必要に応じてヒアリング)を踏まえて、予算の範囲内で決定するとしています。3
提出物にプレゼンテーション動画が含まれていることから、書面だけでなく、計画の説明の分かりやすさや実現可能性の伝え方も重要になります。3
採択されにくいケース
公募要項には、原則として採択しないケースが例示されています。具体的には、主たる目的である開発を開発者が実質的に行わず第三者に外注・委託する場合、第三者への資金の交付が大部分を占める場合、開発経費の大部分が備品費である場合、事業実施期間中に営利目的の行為を行う可能性があると認められる場合などです。3
この「原則採択しない」に該当しないようにするには、開発機関が主体的に開発を担う体制と、経費配分の妥当性を、事業計画書と予算内訳で一貫して示すことが必要になります。378
採択後に守るべきこと
公募要項では、採択後の関連事項は実施要綱や交付要綱によるとしています。3
実施要綱では、開発機関に求められる対応として、ニーズ・シーズマッチング交流会等への年1回以上の参加、事務局が求める開発状況の報告、モニター評価結果等の報告、倫理指針に基づく対応、遅延が一定以上生じた場合の報告などが示されています。2
またQ&Aでは、証憑書類(領収書等)の提出自体は求められない一方で、補助金適正化法に基づく関係書類の保管が必要で、補助事業の完了日の属する年度の終了後5年間の保管が必要であることが示されています。4
採択後に慌てないためにも、応募段階から「どの支出がどの費目で、どの証憑が必要か」を意識しておくと、経理負担を抑えやすくなります。34
実務上の準備の進め方
ニーズ調査のまとめ方
制度要件の中に「製品化に対する障害者等のニーズが調査結果等から明らかであること」が含まれます。ニーズの示し方は採択後の開発の方向性にも直結します。3
この要件に対応するためには、単に「困っている人がいる」だけでなく、対象者、場面、頻度、現行手段の限界、導入の障壁(費用、設置、操作)まで整理すると説得力が増します。これは制度要件の追加条件ではありませんが、事業計画書の記述が具体化しやすくなります。37
モニター評価の準備
モニター評価は、概ね15人以上の想定ユーザーに試作機を使用させ、医療福祉専門職と障害者等から評価を受けることが応募条件に入っています。3
また実施要綱では、倫理指針に基づき、必要に応じて倫理審査委員会等の審査を受けることが示されています。2
これは制度要件ではありませんが、実務上は、評価の同意取得、事故時対応、データの扱い、匿名化の方針などを事前に文書化し、協力先と共有しておくと、現場での混乱を減らせます。倫理審査が必要かどうかの判断は、協力先のルールや研究の性質によって変わり得るため、早めに確認してください。72
証憑管理と記録の残し方
Q&Aでは、証憑書類の提出は求められないが、関係書類の保管は必要だとしています。4
そのため、採択後は、少なくとも「契約」「発注」「納品」「検収」「支払」「領収」の流れが追えるよう、支出ごとにファイルを整理することが有効です。これは制度要件の追加ではなく、後日の確認に備えた実務上の工夫です。4
また、賃金を計上する場合は、従事実績が分かる勤務記録や作業記録が求められることが多いため、開発補助員ごとに作業内容と時間の記録を残す運用を早めに決めておくと安心です。38
よくある質問
Q1. 個人事業主でも応募できますか
A. 応募資格は日本に登記されている法人格を有する団体で、国と地方公共団体は除かれます。個人名義での応募は想定されていません。3
Q2. 大学や研究機関が単独で応募できますか
A. 応募主体は法人格を有する団体ですが、国と地方公共団体は除かれます。個別の適否は法人形態や体制によって変わるため、事務局に確認してください。なお、Q&Aでは共同研究費の概念は本事業にないことや、開発機関が主体的に実施する前提が示されています。34
Q3. 海外拠点で開発している場合でも応募できますか
A. 開発の拠点を日本国内に有していることが応募条件です。海外のみで開発する形は条件に合いません。3
Q4. アプリやソフトウェアだけでも対象になりますか
A. 支援機器に該当し得ることがQ&Aで示されており、アプリやソフトウェアも対象になり得ます。要件(ニーズ、既存品との差、医療機器該当性など)を満たす必要があります。43
Q5. 将来的に医療機器として申請する予定でも応募できますか
A. 開発機器は医療機器に該当しないことが要件です。Q&Aでも、医療機器として承認申請することを目的にしている場合は対象外になり得る旨が示されています。34
Q6. すでに製品が完成しており量産資金が欲しいのですが対象になりますか
A. Q&Aでは量産のための材料確保や生産体制構築の費用は対象外の考え方が示されています。本事業は実用的製品化に向けた開発が中心です。4
Q7. 3年計画の場合、上限額は3年分合算で決まりますか
A. 上限額は当該年度の計画総事業費として示され、Q&Aでも上限額は年度ごとであることが示されています。複数年提案でも年度ごとの応募書類提出が必要で、継続が認められない場合があります。34
Q8. 既存社員の給与を賃金として計上できますか
A. 別表2の賃金の対象範囲は限定されています。Q&Aでも既存の職員の賃金は対象外と整理されており、計上可否は慎重に確認が必要です。34
Q9. 30万円以上の機材は必ずレンタルにしないといけませんか
A. 別表2では、30万円以上の備品は原則賃借とされています。購入が必要な場合は、購入理由や費用対効果の説明が求められます。3
Q10. OA機器の購入はできますか
A. 別表2で、パソコン等のOA機器の購入は補助対象外とされています。3
Q11. 委託費はどこまで認められますか
A. 委託費は対象経費に含まれますが、Q&Aでは委託費は直接経費の1/5以内の扱いが示されています。安全性評価試験など外部委託が必要な場合でも、上限の考え方と役割分担を踏まえて計画する必要があります。4
Q12. 大学への支払いを共同研究費として計上できますか
A. Q&Aでは共同研究費の概念は本事業にないことが示されています。支払いの形を検討する場合は、事務局へ事前に確認してください。4
Q13. ガソリン代や高速道路料金は対象になりますか
A. Q&Aでは、ガソリン代や有料道路通行料の扱いが示されています。どの費目で計上するかは利用目的と内規等に基づいて整理する必要があります。43
Q14. 海外出張は計上できますか
A. 海外出張は原則対象外ですが、Q&Aでは一定の条件下での扱いについて触れています。必要性がある場合は、事務局へ事前に相談してください。4
Q15. 領収書などの証憑は提出が必要ですか
A. Q&Aでは証憑書類の提出は求められない一方、関係書類の保管は必要で、補助事業完了日の属する年度の終了後5年間の保管が必要と示されています。4
まとめ
障害者自立支援機器等開発促進事業の令和8年度公募は、支援機器の開発と製品化を狙う制度で、テーマ設定型と製品種目特定型の2区分があります。補助上限額、補助率、対象経費、提出書類の形式、提出方法まで、要項と様式に基づいて準備することが申請ミスを減らす近道です。378
特に、医療福祉専門職等との連携体制、15人以上を目安とするモニター評価、ニーズ調査の根拠、内規に基づく経費算出は、要件と書類の両面で重要になります。32
最後に、年度や個別案件によって運用が変わることがあります。応募前に、必ず当該年度の公募要項、実施要綱、Q&A、様式を読み合わせ、疑問点は事務局に確認してください。1342
出典・参考資料
執筆者:補助金フラッシュ 士業編集部
補助金・助成金の活用法からAI導入、業務の生産性向上まで、中小企業の経営に役立つ情報を士業の専門家チームがわかりやすく解説します。
こちらもおすすめ

融資準備で法人口座と会計管理が見られる理由とは?経理体制の整え方について解説
会社を作り、店舗や仕入れの準備が進むと、次に気になるのが法人口座と融資です。ここで大切なのは、口座開設を単なる手続きとして見るのではなく、事業のお金の流れを説明できる状態にすることです。 法人口座はゴールではなく、会計管理と融資準備を同じ数字で扱う入口です。売上、仕入れ、家賃、立替金、借入返済の流れを早い段階で分けておくと、融資相談で聞かれる数字にも落ち着いて答えやすくなります。

税金滞納があると融資審査はどうなる? 納税証明書で見られる確認ポイント
融資を申し込むとき、決算書や事業計画書に目が行きがちですが、納税証明書も早い段階で確認されることがあります。税金滞納があると、金融機関は単なる税金の未払いではなく、資金管理と返済能力の問題として受け止めます。つまり、滞納を隠すのではなく、完納できるか、いつまでに解消するかを説明できる状態にすることが大切です。 この記事では、納税証明書で何を見られるのか、税金滞納が融資審査にどう影響するのか、申込前に何を確認すべきかを中小企業向けに整理します。

中小企業融資の相談先はどこがいい? 日本政策金融公庫・金融機関・商工会議所・認定支援機関の使い分け
中小企業が融資を考え始めたとき、最初に迷いやすいのが相談先です。銀行に行くべきか、日本政策金融公庫に聞くべきか、商工会議所や認定支援機関に先に相談すべきかで、準備する資料も変わります。 大事なのは、相談先を一つに決めることではなく、お金を借りる相手と計画を整える相手を分けて考えることです。この記事では、創業、運転資金、制度融資、事業計画の場面ごとに、最初に相談しやすい窓口を整理します。

融資は困ってからでよいのか? 借入額・返済期間・資金使途の判断ポイント
融資を受けるか迷う場面で、最初に見たくなるのは金利や限度額です。ただ、実際に大きな差が出るのは、借りるタイミング、何に使うお金か、返済できる月額かという順番です。 融資は資金が足りなくなってから慌てて申し込むものではなく、事業を続けられる前提を数字で整えて選ぶものです。本記事では、創業前後のタイミング、借入額、返済期間、資金使途を、初めて融資を考える人にも分かるように整理します。

融資申込前の資金繰り表はどう作る? 月次資金計画で銀行に伝える基本
融資を相談するとき、決算書や試算表は用意していても、資金繰り表までは作っていない会社があります。ところが銀行が知りたいのは、過去に利益が出たかだけではありません。 大切なのは、借りた後に支払いが続き、返済も続けられるかを月ごとの現金の動きで説明できることです。資金繰り表は、融資を通すための特別な資料ではなく、経営者が自社のお金の流れを説明するための地図になります。 融資申込前に作っておきたい資金繰り表と、6カ月先を見た月次資金計画の基本を、まず一枚作るつもりで読み進めてください。

融資の返済シミュレーションは毎月の返済額だけで足りるのか?
融資を受けるとき、多くの人が最初に気にするのは毎月の返済額です。月にいくら返すのかが分からなければ、借入の判断ができないからです。 ただ、融資の返済シミュレーションで本当に見るべきなのは、返済額そのものだけではありません。返済後にも事業を続けられるだけの現金が残るかまで確認して、初めて資金繰りの判断材料になります。この記事では、毎月の返済額を試算し、その数字を資金繰りに落とし込む考え方を整理します。融資前の確認に使ってください。