育児や介護、不妊治療、月経や更年期など、家庭や健康の事情で働き続けにくくなる場面は誰にでも起こります。両立支援等助成金は、こうした事情を抱える従業員が離職せずに働けるよう、制度整備や利用実績のある中小企業事業主へ支給される助成金です。支給額はコースごとに定額や実績連動で決まり、就業規則の整備時期や申請期限の起算点を外すと支給対象にならないことがあります。2026年2月10日時点で厚生労働省が公開している2025(令和7)年度版の一次資料に基づき、6コースの要点と申請の流れを整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 両立支援等助成金 |
| 対象年度/公募回 | 2025(令和7)年度 申請は随時 |
| 最終更新日 | 2026年2月10日 |
| 所管/実施機関/事務局 | 厚生労働省 / 申請窓口は本社所在地を管轄する都道府県労働局123456 |
| 補助上限額/補助率 | コース別に定額支給または手当額の一定割合で算定。例として、出生時両立支援コースは10万〜75万円、介護離職防止支援コースは3万〜60万円、育休中等業務代替支援コースは最大82万5千円など7124 |
| 申請期間 | 随時(コース別に、制度利用開始日や終了日から起算して2か月以内等の申請期限)23456 |
| 公式一次資料 | 支給申請の手引き 2025年度版 2025年5月差替 PDF / Q&A 共通事項 2025年4月版 PDF / 出生時両立支援コース 2025年10月1日版 PDF / 介護離職防止支援コース 2025年10月1日版 PDF / 育児休業等支援コース 2025年10月1日版 PDF / 育休中等業務代替支援コース 2025年10月1日版 PDF / 柔軟な働き方選択制度等支援コース 2025年10月1日版 PDF / 不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース 2025年4月1日版 PDF / 柔軟な働き方選択制度等支援コースQ&A 2025年10月8日版 PDF / 公式ページ HTML |
| 免責 | 申請可否や経費判断は、当該年度の募集要領・交付要綱等と事務局の案内で最終確認してください。 |

制度の全体像
両立支援等助成金は事業主が申請して受け取る
両立支援等助成金の申請主体は事業主です。従業員本人が直接受け取る給付ではなく、会社が就業規則や社内制度を整え、実際に休業や制度利用が行われた後に、要件に合う形で支給申請を行います1。
同じ育児休業でも、雇用保険の育児休業給付金は従業員側の手続きが中心である一方、両立支援等助成金は会社側の環境整備や業務体制の見直し、制度の利用実績が焦点になります。社内手続きと証拠書類の整備が結果に直結するため、最初にどのコースで申請するかを確定させることが重要です1。
コース
2025(令和7)年度版の手引きに掲載されているコースは、出生時両立支援、介護離職防止支援、育児休業等支援、育休中等業務代替支援、柔軟な働き方選択制度等支援、不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援の6つです12。
過年度の解説記事では、コース数や特例の有無が異なる記載が残っていることがあります。支給額や申請期限のような数字は、当該年度版の支給要領と手引きで確認してください1。
細かな運用の確認には、厚生労働省が公開しているQ&Aも役立ちます。共通事項のQ&Aはコース横断の質問がまとまっています3。
似た名称の制度との取り違えを避ける
両立支援等助成金は、いくつかのコースに分かれています。制度名が似ている別の助成金と混同すると、要件や提出先がずれて申請ミスにつながります。
取り違えを防ぐためには、まずコース名、改正日、支給要領のファイル名を揃えたうえで社内に共有し、申請書類も同じコースの様式で統一するのが確実です1456789。
支援内容をコース別に把握する
コース別の支給額を一覧で確認する
支給額は、定額で決まるメニューと、支給した手当の一定割合で算定するメニューが混在します。まずは全体像として、主要メニューと支給額の範囲を一覧で把握しておくと、社内での検討が進みやすくなります。
| コース | 支給メニュー | 支給額 | 上限など |
|---|---|---|---|
| 出生時両立支援 | 第1種 | 第1子の最初の対象者 20万円または30万円 第2子と第3子 各10万円 | 1事業主あたり3人まで4 |
| 出生時両立支援 | 第2種 | 60万円または75万円 | 1事業主あたり1回4 |
| 介護離職防止支援 | 介護休業 | 40万円または60万円 | 1事業主あたり5人まで5 |
| 介護離職防止支援 | 介護両立支援制度 | 20万円から40万円 | 1事業主あたり5人まで5 |
| 介護離職防止支援 | 業務代替支援 | 新規雇用 20万円または30万円 手当支給 5万円または10万円 短時間勤務 3万円 | メニューごとに要件あり5 |
| 介護離職防止支援 | 雇用環境整備加算 | 10万円 | 1事業主あたり1回5 |
| 育児休業等支援 | 育休取得時 | 30万円 | 1事業主あたり2人まで6 |
| 育児休業等支援 | 職場復帰時 | 30万円 | 上記と同じ6 |
| 育休中等業務代替支援 | 手当支給等 育児休業 | 業務体制整備経費 2万円から6万円または20万円 手当支給経費 3分の4または4分の5 上限10万円など | 1年度10人までなど7 |
| 育休中等業務代替支援 | 手当支給等 短時間勤務 | 業務体制整備経費 3万円または20万円 手当支給経費 3分の4または4分の5 上限3万円など | 1年度10人までなど7 |
| 育休中等業務代替支援 | 新規雇用 | 9万円から82万5千円 | 1年度10人までなど7 |
| 柔軟な働き方選択制度等支援 | 柔軟な働き方選択制度 | 制度利用者1人あたり20万円または25万円 | 1事業主あたり5人まで8 |
| 柔軟な働き方選択制度等支援 | 子の看護等休暇制度有給化 | 30万円 | 1事業主あたり1回8 |
| 柔軟な働き方選択制度等支援 | 制度利用期間延長加算 | 20万円 | 1事業主あたり1回8 |
| 不妊治療及び女性の健康課題対応 | 不妊治療 | 30万円 | 1事業主あたり1回9 |
| 不妊治療及び女性の健康課題対応 | 女性の健康課題対応 月経 | 30万円 | 1事業主あたり1回9 |
| 不妊治療及び女性の健康課題対応 | 女性の健康課題対応 更年期 | 30万円 | 1事業主あたり1回9 |
| 複数コース共通 | 育児休業等に関する情報公表加算 | 2万円 | 同一事業主いずれか1回限り78 |
この表は支給額の全てを網羅するものではありません。実際の申請では、支給要領にある支給対象となる期間の数え方と申請期限が最重要です。次の各コースの解説では、申請判断に直結しやすい数字と起算点を中心に説明します。
出生時両立支援コース
出生時両立支援コースは、男性労働者が出産後に育児休業を取りやすい職場環境を整え、実際に育児休業が取得された場合に支給されます4。
第1種の支給額と要件のポイント
第1種は、対象となる男性労働者が子の出生後8週間以内に開始する連続した育児休業を取得し、事業主側が職場環境と業務体制の整備を行うことが条件です4。支給額は次のとおりです。
| 区分 | 支給額 | 対象人数の考え方 |
|---|---|---|
| 第1子の最初の対象者 | 20万円 | 雇用環境整備の措置を1つ以上実施した場合4 |
| 第1子の最初の対象者 | 30万円 | 雇用環境整備の措置を4つ以上実施した場合4 |
| 第2子の対象者 | 10万円 | 同一事業主で2人目としてカウントされる場合4 |
| 第3子の対象者 | 10万円 | 同一事業主で3人目としてカウントされる場合4 |
雇用環境整備の措置は、次の5つの中から選びます。第1子の最初の対象者であっても、申出期限を法定より長く設定している場合は、実施すべき措置数が増える点に注意が必要です4。
| 雇用環境整備の措置 | 内容 |
|---|---|
| 育児休業に関する研修 | 育児休業に関する研修を実施する4 |
| 相談体制 | 育児休業に関する相談体制を整備し、労働者に周知する4 |
| 取得事例の提供 | 自社の労働者の育児休業取得事例を収集し、労働者に提供する4 |
| 方針の周知 | 育児休業制度と育児休業の取得促進に関する方針を労働者に周知する4 |
| 業務の整理と引継ぎを支援する措置 | 育児休業の取得と職場復帰を支援するため、業務の整理や引継ぎの実施に資する措置を行う4 |
業務体制の整備は、次の2点を実施します4。
対象となる育児休業日数は、同一事業主内での対象者の順番により要件が変わります。第1子の最初の対象者は連続5日以上、第2子は連続10日以上、第3子は連続14日以上で、いずれも子の出生後8週間以内に開始する必要があります4。また、申出に係る日数のうち4日以上が所定労働日に対する休業であることも条件です4。
第2種の支給額と要件のポイント
第2種は、第1種の要件を満たしたうえで、男性労働者の育児休業取得率を30パーセント以上上昇させた場合に支給されます4。支給額は1事業主あたり60万円で、プラチナくるみん認定事業主は75万円です4。
育児休業等に関する情報公表加算
出生時両立支援コースには、育児休業等に関する情報公表加算があります。一般事業主行動計画サイトで所定の情報を公表している場合、1事業主あたり2万円が加算されます4。
出生時両立支援コースは、就業規則の整備と措置の実施時期が結果に直結します。育児休業の開始後に研修を実施した場合など、順序が逆転すると支給対象外になり得るため、支給要領の実施時期に関する記載を事前に確認してください4。
介護離職防止支援コース
介護離職防止支援コースは、介護休業の取得と復帰、または介護と両立できる働き方制度の利用を支援し、介護離職を防ぐ取組を行った中小企業事業主を対象とします5。
支給メニューは介護休業、介護両立支援制度、業務代替支援、雇用環境整備加算に分かれ、支給額と申請期限の起算点がそれぞれ異なります5。
介護休業の支給額と申請期限
介護休業の支給額は、対象労働者が合計5日以上の介護休業を取得し、復帰した場合に40万円です。さらに介護休業を連続15日以上取得し、復帰した場合は60万円になります5。対象人数は1事業主あたり5人までです5。
支給申請は、対象労働者の介護休業終了日の翌日から3か月を経過する日の翌日から2か月以内です5。介護休業が複数回に分かれる場合は、合計日数のカウント方法と申請タイミングが変わるため、支給要領の取り扱いに沿って期限を確認してください5。
介護両立支援制度の支給額と申請期限
介護両立支援制度の支給額は、導入した制度の数と利用日数により変わります。1つの制度を導入して利用させた場合は20万円で、利用日数が60日以上の場合は30万円です。2つ以上の制度を導入して利用させた場合は25万円で、利用日数が60日以上の場合は40万円です5。対象人数は1事業主あたり5人までです5。
申請期限は、対象制度利用者の制度利用開始日から1年を経過する日の翌日から2か月以内が基本です。制度利用期間が1年未満の場合など、別の起算点が定められているケースもあるため、制度利用開始日と終了日の管理が重要です5。
業務代替支援と雇用環境整備加算
業務代替支援は、介護休業の取得や短時間勤務等の利用にあたって代替要員を確保したり、代替者へ手当を支給したりする場合を支援します。支給額は、新規雇用が20万円で、介護休業を連続15日以上取得した場合は30万円です。手当支給は5万円で、連続15日以上の場合は10万円です。短時間勤務は3万円です5。
雇用環境整備加算は、次の4つの取組のいずれかを実施し、介護休業または介護両立支援制度または業務代替支援の支給対象労働者が生じた場合に、1事業主あたり10万円が加算されます5。
| 雇用環境整備の取組 | 内容 |
|---|---|
| 研修 | 介護休業に関する研修を実施する5 |
| 相談体制 | 介護休業に関する相談体制を整備し、労働者に周知する5 |
| 取得事例の提供 | 自社の労働者の介護休業取得事例を収集し、労働者に提供する5 |
| 方針の周知 | 介護休業制度と介護休業の取得促進に関する方針を周知する5 |
介護離職防止支援コースでは、休業日数の数え方と連続15日の判定が支給額に影響します。社内の勤怠データと休業申出書で、連続日数と合計日数が一致するかを早めに確認しておくと、申請時の手戻りを減らせます。
育児休業等支援コース
育児休業等支援コースは、従業員の育児休業の取得と円滑な職場復帰を支援する取組を行った事業主を対象とします6。支給メニューは育休取得時と職場復帰時です。
育休取得時の支給額と申請期限
育休取得時の支給額は、対象育児休業取得者1人あたり30万円です。支給対象者は1事業主あたり2人までで、無期雇用者と有期雇用者の区分は取組実施計画書の作成段階で確定します6。
申請期限は、対象育児休業取得者の育児休業開始日の翌日から起算して3か月を経過する日の翌日から2か月以内です6。
育休取得時の申請で求められる書類は、支給要領で次のとおり示されています6。
| 区分 | 提出書類 |
|---|---|
| 申請書 | 両立支援等助成金(育児休業等支援コース)支給申請書(【育休】様式第1号)6 |
| 計画書 | 育児休業等支援コース 育休取得時 取組実施計画書(【育休】様式第1号の内訳)6 |
| 規程 | 就業規則及び関連する労使協定の写し6 |
| 引継ぎ | 育児休業取得者の業務の整理、引継ぎに関する書類6 |
| 申出 | 対象育児休業取得者の育児休業申出書の写し(申出日が明記されているもの)6 |
| 勤怠と賃金 | 育児休業開始前1か月分及び育児休業期間中の就労実績が確認できる書類(出勤簿、賃金台帳等)の写し6 |
| 契約 | 労働条件通知書又は雇用契約書の写し6 |
| 出生確認 | 母子健康手帳の子の出生を証明する該当部分などの写し6 |
| 取組の証拠 | 育休取得時の取組について、取り組んだことが分かる書類(面談記録、研修資料等)6 |
申請書類はコースとタイミングで変わりますが、この表にある規程、申出、勤怠と賃金は多くの申請で基礎になります。先に箱を作って保管ルールを統一すると、後工程が楽になります。
職場復帰時の支給額と申請期限
職場復帰時の支給額も、対象育児休業取得者1人あたり30万円です6。申請期限は、対象育児休業取得者の育児休業期間の最終日の翌日から起算して6か月を経過する日の翌日から2か月以内です6。
職場復帰の確認は、復帰後の雇用継続や就労実績が根拠になります。復職後の勤怠データと賃金台帳が揃っていないと追加提出が発生しやすいため、復職直後から記録の保管方法を統一しておくと安心です。
育児休業等に関する情報公表加算
育児休業等支援コースでも、育児休業等に関する情報公表加算があり、1事業主あたり2万円です6。加算は同一事業主についていずれか1回限りで、ほかのコースで同種の加算を受給している場合でも1回に限り支給されます8。柔軟な働き方選択制度等支援コースは個別のQ&Aも用意されているため、迷いやすい点は併せて確認してください10。
育休中等業務代替支援コース
育休中等業務代替支援コースは、育児休業中や短時間勤務中の業務を、社内の代替者や新規雇用者でカバーする取組を支援するコースです7。支給メニューは手当支給等(育児休業)、手当支給等(短時間勤務)、新規雇用(育児休業)に分かれます7。
このコースは、支給額の算定に手当支給額、制度利用期間、上限額が絡むため、計算の前提となる勤怠と支給実績の管理が重要です。
手当支給等 育児休業の支給額
対象育児休業取得者の育児休業期間が1か月以上の場合、業務体制整備経費は6万円です。育児休業期間が7日以上1か月未満の場合は2万円です7。また、社会保険労務士等へ委託して業務体制整備を行った場合は、1事業主あたり20万円になります7。
手当支給に要する経費は、育児休業期間が1か月以上の場合、代替者へ支給した手当等の総額の3分の4です。プラチナくるみん認定事業主は4分の5で算定します。上限は10万円です7。育児休業期間が7日以上1か月未満の場合は、3分の4または4分の5で算定し、上限は2万円です7。
有期雇用労働者加算として、一定の要件を満たす場合に対象育児休業取得者1人当たり10万円が加算されます。育児休業期間が1か月以上であることなどが条件です7。
手当支給等 短時間勤務の支給額
短時間勤務制度利用期間についても、業務体制整備経費と手当支給に要する経費が支給されます。業務体制整備経費は3万円で、社会保険労務士等へ委託した場合は20万円です7。
手当支給に要する経費は、代替者へ支給した手当等の総額の3分の4で、プラチナくるみん認定事業主は4分の5です。上限は月3万円で、子が3歳に達する月までの各月について支給対象となります7。制度利用期間が1年を超える場合、1年ごとに対象期間を区切って申請する取扱いがあります7。
有期雇用労働者加算として、一定の要件を満たす場合に子1人当たり10万円が加算されます7。
新規雇用 育児休業の支給額
新規雇用は、育児休業取得者の業務を代替する要員を新規に雇い入れた場合等に支給されます。支給額は、業務代替期間により次のとおりです7。
| 業務代替期間 | 支給額 | プラチナくるみん認定の場合 |
|---|---|---|
| 7日以上1か月未満 | 9万円 | 11万円7 |
| 1か月以上3か月未満 | 13万5千円 | 16万5千円7 |
| 3か月以上6か月未満 | 27万円 | 33万円7 |
| 6か月以上12か月未満 | 45万円 | 55万円7 |
| 12か月以上 | 67万5千円 | 82万5千円7 |
この表は新規雇用の支給額の骨格です。実際には、対象期間の定義や代替の実態確認があるため、勤怠と雇用契約の整合を取っておく必要があります。
有期雇用労働者加算として、一定の要件を満たす場合に対象育児休業取得者1人当たり10万円が加算されます7。
支給人数の上限と申請期限の考え方
このコースでは、1年度に支給対象となる労働者の人数は、1事業主当たり10人までです。最初の支給対象労働者が生じた日の属する年度から起算して5年を経過するまでの年度に適用されます7。
申請期限はメニューとタイミングにより異なります。例として、手当支給等(育児休業)で育児休業期間が1か月以上の場合、休業取得時は育児休業期間の初日から1か月を経過する日の翌日から2か月以内で、職場復帰時は育児休業期間の最終日の翌日から3か月を経過する日の翌日から2か月以内です7。短時間勤務も開始時と終了時で期限が分かれます7。
育児休業等に関する情報公表加算
このコースでも、育児休業等に関する情報公表加算として1事業主当たり2万円が加算されます7。公表する情報は、男性労働者の育児休業等の取得割合、女性労働者の育児休業の取得割合、男女別の育児休業の平均取得日数です7。
平均取得日数の算出方法は、支給要領でaからdのいずれかの方法が示され、事業年度の範囲も指定されています7。公表内容は支給申請日から支給決定日までの間は公表を継続し、支給決定後も少なくとも申請事業年度の終了までは継続することに同意する必要があります7。
柔軟な働き方選択制度等支援コース
柔軟な働き方選択制度等支援コースは、子が3歳以降小学校就学前までの労働者が柔軟に働ける制度を3つ以上導入し、制度利用者を支援した中小企業事業主や、有給の子の看護等休暇制度を導入した中小企業事業主を対象に支給されます8。
柔軟な働き方選択制度の支給額と申請期限
柔軟な働き方選択制度の支給額は、制度利用者1人当たり20万円です。制度利用開始日の前日までに、支給要領が掲げる5つのうち4つ以上の制度を導入している事業主は、1人当たり25万円になります8。対象は1事業主あたり5人までです8。
申請期限は、対象制度利用者の制度利用開始日から起算して6か月を経過する日の翌日から2か月以内です8。
子の看護等休暇制度有給化支援の支給額
子の看護等休暇制度有給化支援は、年次有給休暇とは別に、年次有給休暇と同等の賃金が支払われる有給の子の看護等休暇制度を導入した場合に支給されます8。制度の条件は、年度10労働日以上の付与、時間単位での取得が可能、1日の所定労働時間を変更せず利用できることの4点です8。支給額は1事業主あたり30万円で、1回限りです8。
制度利用期間延長加算と情報公表加算
制度利用期間延長加算は、柔軟な働き方選択制度を3歳以上中学校修了前の子を養育する労働者まで利用できる措置とした場合などに、20万円を加算して支給します。子の看護等休暇制度有給化支援でも、中学校修了前の子を養育する労働者まで利用できる措置とした場合に加算対象になります8。
育児休業等に関する情報公表加算は1事業主当たり2万円で、ほかのコースで同種の加算を受給している場合でも、1回に限り支給されます8。
不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース
不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コースは、不妊治療のための休暇や勤務調整、月経に起因する症状への対応、更年期における心身の不調への対応を行う労働者が制度を利用できるよう、制度整備と利用実績がある事業主を対象に支給されます9。
支給メニューは不妊治療、女性の健康課題対応 月経、女性の健康課題対応 更年期に分かれ、いずれも支給額は30万円です9。
不妊治療の支給額と申請期限
不妊治療の支給額は30万円で、1中小企業事業主当たり1回限りです。過去に両立支援等助成金の不妊治療両立支援コースを受給した事業主は受給できません9。
申請期限は、対象労働者の不妊治療のための両立支援制度の利用期間が合計して5日を経過する日の翌日から2か月以内です9。
女性の健康課題対応 月経と更年期の支給額と実務上の注意
月経に起因する症状への対応、更年期における心身の不調への対応も、支給額は各30万円で、各メニューごとに1回限りです9。各メニューは同一年度内でも要件を満たせば受給が可能です9。
制度利用実績のカウントは合計して5日以上で、時間単位の利用も可能ですが、5日間に分けて利用する必要があることが示されています。利用期間は制度利用開始日から1年以内です9。
短時間勤務制度では、制度利用期間の時間当たりの基本給等の水準が制度利用前より下回っていないこと、正規雇用労働者であった者がそれ以外の雇用形態に変更されていないことが要件として示されています9。また、時差出勤や在宅勤務等の制度では、出退勤時間がタイムカードや出退勤記録簿等の書面で確認できない場合は支給対象にならない取扱いがあります9。
申請書類を郵送で提出する場合、消印の日付が申請期間内であっても、管轄労働局への到達日が申請期限を過ぎていると申請期間内に申請されたとは認められません9。郵送提出を想定する場合は、余裕を持って発送し、到達日ベースで管理してください。
対象となる事業主の要件
中小企業の判定基準
両立支援等助成金は、中小企業事業主が対象です。手引きではこのパンフレットに掲載されている助成金の中小企業の範囲として、資本金の額または出資の総額と、常時雇用する労働者の数で判定する表が示されています1。
特に注意したいのは、育休中等業務代替支援コースのうち手当支給等は、中小企業の範囲がほかのコースと異なる点です。手引きでは手当支給等を除くコースと手当支給等で別表が示されています1。
| 区分 | 小売業 | サービス業 | 卸売業 | その他の業種 |
|---|---|---|---|---|
| 手当支給等を除くコース | 資本金等5,000万円以下 または常時雇用50人以下 | 資本金等5,000万円以下 または常時雇用100人以下 | 資本金等1億円以下 または常時雇用100人以下 | 資本金等3億円以下 または常時雇用300人以下 |
| 育休中等業務代替支援コース 手当支給等 | 資本金等5,000万円以下 または常時雇用300人以下 | 資本金等5,000万円以下 または常時雇用300人以下 | 資本金等1億円以下 または常時雇用300人以下 | 資本金等3億円以下 または常時雇用300人以下 |
資本金等のない事業主は、常時雇用する労働者の数で判定します。医療法人など資本金や出資金を有する事業主も、表の基準で判定する取扱いです1。
支給対象外になりやすい実務ポイント
制度要件ではありませんが、実務上は制度の規定整備がいつ完了したかを証明できないケースが不支給につながりやすい傾向があります。就業規則の改定日、周知の方法、研修の実施日などは、社内の証拠が残る形で管理してください4569。
また、勤怠の記録が整っていない場合、制度利用の実績が確認できず支給対象外になることがあります。特に女性の健康課題対応では、出退勤時間が書面で確認できない場合は支給対象にならない取扱いがあるため、制度導入と同時に勤怠管理の運用も点検してください9。
申請前に整える社内ルールと記録
就業規則と労使協定の整備
多くのコースで、就業規則や関連する労使協定の写しが申請書類として求められます6。制度を作ったつもりでも、規程に落ちていないと支給対象になりません。
制度の新設や改定を行う場合は、少なくとも次の3点が社内で確認できる状態にしておくと、申請書類の作成がスムーズです。
| 確認項目 | 社内で残すもの | これは制度要件ではありませんが |
|---|---|---|
| 改定内容 | 新旧対照表と改定後の条文 | 改定の意図を社内説明しやすくなります |
| 周知 | 周知メール、掲示、配布資料 | 周知日を特定しやすくなります |
| 運用手順 | 申請フロー、様式、承認ルート | 担当者交代でも運用が崩れにくくなります |
上の3点が揃うと、就業規則の整備日や周知日を時系列で説明しやすくなり、申請書類の整合確認も進みます。
制度利用実績の証拠を揃える
助成金は制度があるだけでは足りず、制度が利用されたことを確認できる資料が必要になります。育児休業等支援コースでは、申出書の写し、就労実績が確認できる書類、母子健康手帳の写しなどが例示されています6。
女性の健康課題対応では、制度の利用が確認できない日数は算定しない取扱いがあり、さらに出退勤時間が書面で確認できない場合は支給対象にならない取扱いがあります9。誰が見ても判断できる形で、制度利用日と勤怠を紐付けて保管してください。
社外専門家を活用する場合の考え方
育休中等業務代替支援コースでは、社会保険労務士等へ委託して業務体制整備を行った場合に、業務体制整備経費が20万円となる取扱いがあります7。委託の有無で支給額が変わるため、委託契約書や請求書、業務内容が分かる資料の整理が重要です。
これは制度要件ではありませんが、委託を検討する場合は、どの業務を委託し、社内の代替体制をどう整えたかを1枚で説明できるメモを残しておくと、申請書類の整合が取りやすくなります。
申請手続きの流れ
申請窓口と提出方法
各コースの支給要領では、支給申請書類は本社等の所在地を管轄する労働局長へ提出する取扱いです789。事業所が複数ある場合でも、本社等が申請主体になります7。
提出方法はコースや労働局の運用により異なるため、提出前に管轄労働局の案内を確認してください。郵送の場合は到達日が期限判断になることがあり、消印では救済されません9。
申請期限の起算点を管理する
両立支援等助成金で最も事故が起きやすいのが、申請期限の管理です。支給要領では、同じコース内でも休業開始から起算、休業終了から起算、復職後一定期間経過後から起算など、起算点が分かれています56789。
社内では、次の3つの日付を漏れなく記録し、申請期限の算定に使える形で残してください。
| 日付 | 例 | どのコースでも重要な理由 |
|---|---|---|
| 制度利用開始日 | 育児休業の初日、短時間勤務の開始日 | 開始日起算の申請期限がある678 |
| 制度利用終了日 | 育児休業の最終日、介護休業の終了日 | 終了日起算の申請期限がある579 |
| 復職後の基準日 | 復職から3か月、6か月経過など | 復職後一定期間の経過が要件になる567 |
日付の記録は、申請期限の管理だけでなく、支給額の判定や対象期間の切り分けにも使います。
申請後の流れと追加提出への備え
申請後は、労働局で審査が行われ、必要に応じて追加資料の提出を求められます。追加提出が発生しやすいのは、制度利用の実績が勤怠データや賃金台帳と一致しない場合です69。
これは制度要件ではありませんが、申請書類一式は提出版と社内保存版を分け、提出版はPDF化して保管しておくと、追加照会に迅速に対応できます。
実務上の注意点
申請ミスにつながりやすいポイント
制度要件として特に注意したいポイントは次の3つです。
| ポイント | なぜ重要か | 根拠資料の当たり方 |
|---|---|---|
| 措置の実施時期 | 制度利用の前日までに実施が必要な要件がある | 出生時両立支援や女性の健康課題対応で確認49 |
| 勤怠と賃金の証拠 | 制度利用の実績が確認できないと算定できない | 育児休業等支援と女性の健康課題対応で確認69 |
| 申請期限の起算点 | 同じコースでも起算点が複数ある | 介護、育児、柔軟な働き方で確認5678 |
3つのうちどれか1つでも曖昧だと、追加提出や不支給の原因になりやすいので、申請前に社内でチェックしてください。
準備の順番
これは制度要件ではありませんが、準備を前倒しにするほど手戻りが減ります。社内の進め方としては、最初に対象となる従業員の予定、どの制度を使うか、就業規則の改定が必要かをまとめ、次に勤怠と賃金の取得方法を決め、その後に申請期限をカレンダー管理する流れが有効です。
事前相談で揃えておくと話が早い情報
労働局へ相談する前に、次の情報を1枚にまとめておくと、コースの切り分けと要件確認が進みやすくなります。
| 項目 | 記載例 |
|---|---|
| 会社情報 | 業種、資本金等、常時雇用労働者数、事業所数 |
| 対象従業員情報 | 雇用形態、雇用保険の加入状況、休業や制度利用の予定 |
| 制度情報 | 就業規則の該当条文、導入日、周知方法、研修実施日 |
| スケジュール | 制度利用開始日、終了日、復職日、申請期限の見込み |
| 支給額の見込み | 定額メニューか、手当割合メニューか |
この一覧があると、相談時にコースの切り分けが早くなり、必要書類の見通しも立てやすくなります。
セルフチェックと提出書類の整理
申請可否セルフチェック
自社が申請できそうかを判断するためのセルフチェックです。詳細要件は各支給要領で確認してください456789。
| チェック項目 | 確認の目安 | 確認できない場合の対応 |
|---|---|---|
| 中小企業の範囲に入る | 資本金等または常時雇用労働者数で判定1 | 数値が曖昧なら先に労働局へ相談 |
| 就業規則に制度が規定されている | 申請時に規程の写しが必要69 | 改定と周知を先に行う |
| 制度利用の実績を証明できる | 申出書、勤怠、賃金台帳等69 | 証拠が揃う運用へ切り替える |
| 申請期限を満たす | 起算点はコース別56789 | 期限が近ければ優先して整理 |
セルフチェックで曖昧な項目が残る場合は、その項目を優先して支給要領の該当箇所を確認してください。
書類の揃え方の基本
申請書類はコースごとに異なりますが、共通して出やすいのは申請書、就業規則等、申出書、勤怠と賃金、制度利用の証拠です69。まずはこれらの箱を作り、そこへコース別の追加書類を足していくと、漏れが減ります。
証憑チェック
育休中等業務代替支援コースのように、手当支給額が算定に関わる場合は、証憑の整合が重要です7。これは制度要件ではありませんが、申請前に次の対応関係を確認しておくと安心です。
| 確認したい対応 | 突合する資料の例 |
|---|---|
| 制度利用日と勤怠が一致する | 出勤簿と制度利用申請の記録 |
| 手当支給額と賃金台帳が一致する | 賃金台帳と支給明細 |
| 代替者の配置が説明できる | 業務整理と引継ぎ資料、担当表 |
| 委託の実態が説明できる | 委託契約書、請求書、成果物 |
証拠資料の突合ができていると、支給額の算定や対象期間の確認がスムーズになります。
タイムライン例
育児休業等支援コースの例
育児休業等支援コースは、育休取得時の申請期限が育休開始後3か月経過の翌日から2か月以内です6。制度利用開始日が起算点になるため、開始日が確定した時点で申請準備を始めると余裕が出ます。
| 時期 | やること | 根拠の見どころ |
|---|---|---|
| 育休開始前 | 就業規則と運用手順の確認 取組内容の実施 | 申請書類で規程と取組の証拠が必要6 |
| 育休開始 | 申出書と勤怠の記録を保管 | 申出書と就労実績が必要6 |
| 育休開始から3か月 | 申請書類の最終整理 | 申請期限の起算点6 |
| 期限内 | 労働局へ提出 | 提出先は管轄労働局6 |
育休取得時は、期限の起算点が育休開始日側にあるため、開始日が確定したら早めに書類の箱を作っておくと進めやすくなります。
介護離職防止支援コースの例
介護休業の申請期限は介護休業終了日の翌日から3か月経過の翌日から2か月以内です5。復職後の一定期間が関係するため、復職後も勤怠と在籍の記録が必要です。
| 時期 | やること | 根拠の見どころ |
|---|---|---|
| 介護休業の申出時 | 制度利用の手続きと社内記録のルールを確認 | 休業日数と連続日数が支給額に影響5 |
| 介護休業中 | 休業日数のカウントを管理 | 合計5日と連続15日で支給額が変わる5 |
| 職場復帰後 | 復職の証拠を保管 | 申請期限が復職後に到来5 |
| 期限内 | 労働局へ提出 | 提出先は管轄労働局5 |
介護休業は、終了日後に一定期間が経過してから申請期限が到来します。復職後の在籍と就労の記録が欠かせません。
不妊治療や健康課題対応の例
不妊治療や月経、更年期は制度利用が合計5日を経過した翌日から2か月以内が申請期限です9。制度利用開始日から1年以内に5日以上利用させる必要もあるため、利用日を早期に把握する運用が重要です9。
| 時期 | やること | 根拠の見どころ |
|---|---|---|
| 制度導入前 | 就業規則へ制度と手続を規定し周知 | 制度利用開始の前日までに整備が必要9 |
| 制度利用開始 | 利用日の記録と勤怠の紐付け | 確認できない日数は算定できない9 |
| 合計5日到達 | 申請期限を確定し書類作成 | 申請期限の起算点9 |
| 郵送提出の場合 | 到達日を期限内にする | 消印では救済されない9 |
このメニューは、制度利用日数のカウントと申請期限が近接しやすいので、合計日数が5日に近づいた時点で申請準備に入ると安全です。
よくある質問
Q1. 従業員が自分で申請して受け取れますか。
A. 申請主体は事業主です。会社が制度整備と利用実績を整え、支給申請を行います1。
Q2. 申請はいつでもできますか。
A. 申請は随時ですが、コースごとに申請期限があります。制度利用開始日や終了日、復職後の経過期間など、起算点がコースで異なります56789。
Q3. 中小企業かどうかはどの基準で判断しますか。
A. 手引きの表にある資本金等と常時雇用労働者数で判定します。育休中等業務代替支援コースの手当支給等は、ほかのコースと従業員数の基準が異なるため、表を分けて確認してください1。
Q4. 出生時両立支援コースの連続5日とは暦日ですか。
A. 支給要領では連続した育児休業を要件として示し、申出に係る日数のうち所定労働日に対する休業が4日以上であることも条件です。日数の数え方は支給要領の定義に沿って確認してください4。
Q5. 出生時両立支援コースの雇用環境整備は何をすればよいですか。
A. 支給要領では、研修、相談体制、取得事例の提供、方針の周知、業務の整理と引継ぎを支援する措置の5つが示されています4。
Q6. 介護離職防止支援コースで連続15日が必要なのはどの場面ですか。
A. 介護休業の支給額は基本40万円で、介護休業を連続15日以上取得して復帰した場合は60万円になります。業務代替支援でも連続15日以上で支給額が上がるメニューがあります5。
Q7. 育児休業等支援コースの育休取得時はいつ申請しますか。
A. 申請期限は、育児休業開始日の翌日から起算して3か月を経過する日の翌日から2か月以内です6。
Q8. 育児休業等支援コースの職場復帰時はいつ申請しますか。
A. 申請期限は、育児休業期間の最終日の翌日から起算して6か月を経過する日の翌日から2か月以内です6。
Q9. 育休中等業務代替支援コースの手当支給はどのくらい支給されますか。
A. 代替者へ支給した手当等の総額の3分の4を基本に算定し、プラチナくるみん認定事業主は4分の5で算定します。上限額はメニューとタイミングで異なり、育児休業の1か月以上では上限10万円、1か月未満では上限2万円などが示されています7。
Q10. 柔軟な働き方選択制度等支援コースの子の看護等休暇はどんな制度でも対象ですか。
A. 有給であること、年度10労働日以上の付与、時間単位での取得が可能であること、1日の所定労働時間を変更せず利用できることが条件です8。
Q11. 不妊治療や女性の健康課題対応では勤怠管理が重要と聞きました。
A. 支給要領では、時差出勤や在宅勤務等の制度で出退勤時間が書面で確認できない場合は支給対象にならない取扱いがあります。制度利用日と勤怠の紐付けを早めに整えてください9。
Q12. 郵送で提出する場合、消印が期限内なら間に合いますか。
A. 消印が期限内でも、労働局への到達日が申請期限を過ぎていると期限内提出と認められない取扱いがあります。到達日ベースで管理してください9。
出典・参考資料
執筆者:補助金フラッシュ 士業編集部
補助金・助成金の活用法からAI導入、業務の生産性向上まで、中小企業の経営に役立つ情報を士業の専門家チームがわかりやすく解説します。
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