事業承継やM&Aは、引継ぎそのものだけでなく、専門家費用や統合作業、設備投資などにまとまった資金が必要になります。事業承継・M&A補助金は、こうした取り組みに必要な経費の一部を補助する制度です。結論としては、4つの枠のうちどれに当てはまるかを先に決め、採択と交付決定を混同しないことが申請の成否を分けます。
この記事では、14次公募の公募要領と交付規程をもとに、枠の違い、上限額と補助率、申請の流れ、注意点を整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名(正式名称) | 事業承継・M&A補助金 |
| 対象年度/公募回(次回予定がある場合は次回) | 令和7年度補正予算 14次公募 |
| 最終更新日 | 2026年2月10日 |
| 所管/実施機関/事務局 | 中小企業庁 / 事業承継・M&A補助金事務局(交付規程上の事務局はTOPPAN株式会社) |
| 補助上限額/補助率(類型差があれば併記) | 事業承継促進枠とPMI推進枠 事業統合投資類型は事業費800万円又は1,000万円上限で補助率1/2以内又は2/3以内(賃上げ等の条件で区分あり) 併用の廃業費は300万円上限 / 専門家活用枠は600万円上限で補助率2/3以内等(上乗せとしてDD費用200万円以内、併用の廃業費300万円以内) / 廃業・再チャレンジ枠は300万円上限で補助率2/3以内等 / PMI推進枠 PMI専門家活用類型は150万円上限で補助率1/2以内 |
| 申請期間(開始/締切) | 2026年2月27日から2026年4月3日17時まで(予定) |
| 公式一次資料(PDF/Word)のリンク集(募集要綱/手引き/FAQ/様式 等) | 14次公募 事業スケジュール 2026年1月 ページ / 交付規程 2026年1月30日改定 PDF / 事業承継促進枠 公募要領 2026年1月 PDF |
| 公式一次資料リンク集 続き | 専門家活用枠 公募要領 2026年1月 PDF / 専門家活用枠 100億企業特例 公募要領 2026年1月 PDF / 廃業・再チャレンジ枠 公募要領 2026年1月 PDF |
| 公式一次資料リンク集 続き2 | PMI推進枠 PMI専門家活用類型 公募要領 2026年1月 PDF / PMI推進枠 事業統合投資類型 公募要領 2026年1月 PDF / よくある質問 事業承継促進 14次公募 ページ |
| 免責 | 申請可否や経費判断は、当該年度の募集要領・交付要綱等と事務局の案内で最終確認してください。 |

制度の全体像
制度の狙いと支援対象
事業承継・M&A補助金は、中小企業等の事業承継やM&A、そして引継ぎ後の統合プロセスに必要となる経費を支援する制度です。14次公募では、事業承継の実行、M&Aの実務支援、廃業を伴う再チャレンジ、PMIの推進という4つの目的に沿って枠が分かれています。12
制度の使い分けを誤ると、提出書類や審査観点が噛み合わず、要件を満たしていても申請の組み立てが難しくなります。最初に「自社のやりたいこと」がどの枠に当てはまるかを整理してください。34567
4つの枠の違い
枠ごとの位置づけは、ざっくり言うと次のとおりです。ここでは制度の理解を優先し、詳細要件は各公募要領で確認してください。
| 枠 | 主な狙い | 取り組みの中心 | 向いている状況 | 一次資料 |
|---|---|---|---|---|
| 事業承継促進枠 | 承継に伴う投資を後押し | 事業の継続と発展に向けた取組 | 親族内承継や従業員承継、第三者承継後に投資が必要 | 公募要領3 |
| 専門家活用枠 | M&A実務の専門家費用を支援 | 仲介やFA等の外部専門家活用 | 買い手または売り手としてM&Aを進める | 公募要領4 |
| 廃業・再チャレンジ枠 | 廃業等を伴う再挑戦を支援 | 再チャレンジ申請 単独または他枠との併用 | 事業整理と次の挑戦を同時に進める | 公募要領5 |
| PMI推進枠 | 引継ぎ後の統合を推進 | PMI専門家活用または事業統合投資 | M&A後の統合を進め、成果を出す必要がある | 公募要領67 |
似た名称の制度との取り違えに注意
過年度には類似の名称で運用されていた経緯があり、ネット上の解説が「別の公募回」や「別の枠」を混在させているケースがあります。14次公募の要件や金額は、14次公募の公募要領と交付規程に合わせて確認してください。2345678
対象年度と公募スケジュール
14次公募の申請期間
14次公募の申請期間は、2026年2月27日から2026年4月3日17時まで(予定)です。開始日や締切時刻は、事務局が公開している事業スケジュールと、中小企業庁の公表情報で確認してください。12
受付開始前後は、jGrants側の申請画面公開のタイミングや、FAQ更新が入ることがあります。申請フォームに着手する前に、対象枠の公募要領PDFを一度通読し、必要な入力項目と添付の方向性を固める方が手戻りを減らせます。34567
採択と交付決定は別手続き
この補助金は、公募申請が採択されても、そのまま補助事業を開始する形ではありません。図解された「事業の流れ」では、採択通知を受けた後に、見積等を揃えて交付申請を行い、交付決定通知を受けてから補助事業に着手する流れになっています。457
ここでの重要ポイントは、採択イコール支給確定ではないことです。交付決定前に発注や契約を進めると補助対象外になるリスクがあります。申請時点のスケジュールは、必ず交付決定までの時間も見込んで組んでください。457
補助金の支払いは精算後
補助金の交付は、補助対象事業の完了後に精算を行い、その後に支払われる形です。公募要領の該当箇所では、実費弁済の考え方が示されています。4956
資金繰りの観点では、いったん自社で支払いを行い、後から補助金が入る流れになります。借入や自己資金の手当てを含め、事業実施期間中のキャッシュフローを先に作っておくことが大切です。8
補助上限額と補助率
このセクションでは、14次公募の公募要領に記載された上限額と補助率を枠ごとに整理します。上限額には、条件により上がるもの、特定費用に限って上乗せされるもの、併用申請で追加されるものがあります。349567
事業承継促進枠の上限額と補助率
事業承継促進枠は、事業費の上限が800万円または1,000万円で、補助率が1/2以内または2/3以内という構造です。賃上げ要件や小規模企業者かどうか等により、上限と補助率が区分されます。3
以下は、公募要領の整理表に沿って区分をまとめたものです。
| 区分 | 要件の組合せの例 | 補助上限額 | 補助率の考え方 |
|---|---|---|---|
| 事業費 | 小規模企業者に該当し賃上げを実施 | 1,000万円 | 補助額のうち800万円相当部分は2/3以内 800万円超から1,000万円相当部分は1/2以内 |
| 事業費 | 小規模企業者に該当し賃上げを実施しない | 800万円 | 2/3以内 |
| 事業費 | 小規模企業者に該当しないが賃上げを実施 | 1,000万円 | 800万円相当部分も含めて1/2以内 800万円超から1,000万円相当部分も1/2以内 |
| 事業費 | 小規模企業者に該当せず賃上げを実施しない | 800万円 | 1/2以内 |
| 廃業費(併用時) | 廃業費を併用する場合 | 300万円 | 事業費に従う(1/2以内又は2/3以内) |
上限額や補助率の区分は、賃上げの実施有無だけでなく、申請者の区分にも依存します。該当する区分を公募要領の条件表で照合し、申請書内の前提条件と矛盾しないようにしてください。38
専門家活用枠の上限額と補助率
専門家活用枠は、買い手支援類型(I型)と売り手支援類型(II型)に分かれます。上限額は600万円以内で、一定の条件下でデュー・ディリジェンス費用の上乗せや、廃業費の併用が用意されています。4
| 類型 | 補助率 | 補助下限額 | 補助上限額 | 上乗せと併用 |
|---|---|---|---|---|
| 買い手支援類型(I型) | 補助対象経費の2/3以内 | 50万円 | 600万円以内 | DD費用 上乗せ200万円以内 / 廃業費 併用300万円以内 |
| 売り手支援類型(II型) | 補助対象経費の1/2以内又は2/3以内 | 50万円 | 600万円以内 | DD費用 上乗せ200万円以内 / 廃業費 併用300万円以内 |
売り手支援類型で補助率が2/3以内となるかどうかは、売り手側の状況に応じた要件で分かれます。公募要領では、次のいずれかを満たす場合に補助率2/3以内となり、それ以外は1/2以内となります。4
| 判定の区分 | 要件 |
|---|---|
| 補助率2/3以内となる要件 その1 | 物価高騰等の影響で営業利益率が低下していること。比較は、直近の確定した決算期と過去の決算期、または直近の確定した決算期と申請時点の当期(任意の連続する3か月で平均を算出し前年同期と比較)など、公募要領の指定する方法で行います。 |
| 補助率2/3以内となる要件 その2 | 直近の決算期において営業利益又は経常利益が赤字であること。 |
| 上記に該当しない場合 | 補助率は1/2以内。 |
また、専門家活用枠では、補助事業期間内にクロージングが成立しない場合の扱いが重要です。公募要領では、経営資源の引継ぎが実現しなかった場合に補助上限額の変更が行われることや、原則としてDD費用のみを補助対象経費として認めることが示されています。廃業費も、関連する経営資源の引継ぎが補助事業期間内に実現しなかった場合は補助対象外になります。4
専門家活用枠の100億企業特例
専門家活用枠には、買い手支援類型の100億企業特例が用意されています。上限額が2,000万円以内となり、補助率は補助額の層によって1/2以内と1/3以内に分かれます。9
| 区分 | 補助率 | 補助下限額 | 補助上限額 | 併用申請(廃業費) |
|---|---|---|---|---|
| 買い手支援類型(I型)100億企業特例 | 補助対象経費の1/2以内又は1/3以内 | 50万円 | 2,000万円以内 | 300万円以内 |
この特例では、1,000万円以下の部分は補助率1/2以内、1,000万円を超えて2,000万円までの部分は補助率1/3以内という区分があります。加えて、クロージングが成立しない場合は上限額の変更やDD費用中心の扱いになる点も明確です。9
廃業・再チャレンジ枠の上限額と補助率
廃業・再チャレンジ枠は、再チャレンジ申請(単独申請)と、他枠と併用する申請に分かれます。上限額は300万円以内で、単独申請の場合の補助率は2/3以内です。併用申請では、補助率は併用する他枠の補助率に従います。5
| 支援類型 | 補助率 | 補助下限額 | 補助上限額 |
|---|---|---|---|
| 再チャレンジ申請(単独申請) | 補助対象経費の2/3以内 | 50万円 | 300万円以内 |
| 併用申請 | 他補助事業枠の補助率に従う | 50万円 | 300万円以内 |
補助下限額を下回る申請は受け付けない条件があり、単独申請の場合は補助対象経費が75万円未満となる申請が該当します。入力時点で下限に届かない場合は、事業計画と経費構成を先に見直してください。5
PMI推進枠の上限額と補助率
PMI推進枠には、PMI専門家活用類型と、事業統合投資類型があります。まずPMI専門家活用類型は、上限額150万円以内で補助率1/2以内です。単独申請と同時申請で注意点が異なります。6
| 類型 | 補助率 | 補助下限額 | 補助上限額 | 廃業費の取扱い |
|---|---|---|---|---|
| PMI専門家活用類型(単独申請) | 補助対象経費の1/2以内 | 50万円 | 150万円以内 | 併用申請で300万円以内 |
| PMI専門家活用類型(同時申請) | 補助対象経費の1/2以内 | 50万円 | 150万円以内 | 同時申請側では廃業費の欄を設けない |
同時申請では、補助事業期間内にM&Aが成立しない場合、PMI専門家活用類型の経費が補助対象外となる扱いがあります。廃業費を絡めたい場合は、同時申請の枠ではなく、専門家活用枠(買い手支援類型)の申請書で併用申請として扱う旨が示されています。64
次に、事業統合投資類型は、事業承継促進枠と同様に、事業費800万円又は1,000万円の区分と補助率の区分を持ちます。賃上げ要件や小規模企業者の該当有無により、補助率が2/3以内となる部分と1/2以内となる部分が分かれます。7
| 区分 | 要件の組合せの例 | 補助上限額 | 補助率の考え方 |
|---|---|---|---|
| 事業費 | 小規模企業者に該当し賃上げを実施 | 1,000万円 | 補助額のうち800万円相当部分は2/3以内 800万円超から1,000万円相当部分は1/2以内 |
| 事業費 | 小規模企業者に該当し賃上げを実施しない | 800万円 | 2/3以内 |
| 事業費 | 小規模企業者に該当しないが賃上げを実施 | 1,000万円 | 800万円相当部分も含めて1/2以内 800万円超から1,000万円相当部分も1/2以内 |
| 事業費 | 小規模企業者に該当せず賃上げを実施しない | 800万円 | 1/2以内 |
| 廃業費(併用時) | 廃業費を併用する場合 | 300万円 | 事業費に従う(1/2以内又は2/3以内) |
対象者と対象外の考え方
申請主体は交付規程の定義で確認する
申請できる事業者は「中小企業者等」を前提に組み立てられています。交付規程では、中小企業者の定義や、小規模事業者の定義を別紙で示す形になっています。枠ごとの公募要領でも対象者要件が記載されるため、最終的には交付規程と当該枠の公募要領の両方で照合してください。834567
対象外になりやすい代表的なパターン
交付規程では、いわゆる大企業支配の有無などにより、補助対象外となる条件を定めています。ここは誤解が起きやすいので、条文の表現に沿って整理します。8
まず、次のいずれかに該当すると補助対象外となります。8
| 区分 | 補助対象外となる条件 |
|---|---|
| 100%支配の排除 | 資本金又は出資金が5億円以上の法人に、直接又は間接に100%の株式を保有される中小企業者等。 |
| 課税所得の上限 | 申請時点で確認できる直近3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える者。 |
| みなし大企業 | 交付規程が定めるアからオに該当する中小企業者等。 |
この「みなし大企業」は、交付規程で次のアからオとして定義されています。8
| 記号 | みなし大企業に該当する条件 |
|---|---|
| ア | 発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している中小企業者等。 |
| イ | 発行済株式の総数又は出資価格の総額の3分の2以上を大企業が所有している中小企業者等。 |
| ウ | 大企業の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の2分の1以上を占めている中小企業者。 |
| エ | 発行済株式の総数又は出資価格の総額をアからウに該当する中小企業者等が所有している中小企業者。 |
| オ | 上記アからウに該当する中小企業者等の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の全てを占めている中小企業者。 |
次に「みなし同一法人」という考え方もあり、一定の場合は同一法人として扱われます。交付規程では、次のアからエが挙げられています。8
| 記号 | みなし同一法人に関する条件 |
|---|---|
| ア | 親会社が議決権の50%超を有する子会社。 |
| イ | 個人が複数の会社それぞれの議決権を50%超保有する場合。 |
| ウ | 親会社が議決権の50%超を有する子会社が議決権の50%超を有する孫会社、さらにその孫会社が議決権の50%超を有するひ孫会社等。 |
| エ | 上記に該当しない場合でも、代表者が同じ法人について同一法人とみなすもの。 |
なお、投資育成会社や投資事業有限責任組合等が株式を保有する場合の例外も交付規程で定めています。自社の株主構成が複雑な場合は、申請前に交付規程の該当条文を確認したうえで、事務局へ照会してください。8
反社会的勢力の排除
交付規程では、反社会的勢力排除に関する誓約事項(別紙)に該当する者が行う補助事業については、補助金の交付対象としない旨が定められています。申請書作成時点で問題がないか、役員や実質的支配者の確認も含めて整理しておく必要があります。8
対象経費の判断で外しやすいポイント
経費は枠ごとの公募要領で判断する
補助対象経費は、枠ごとに公募要領で定義されます。対象経費の区分名が同じでも、要件や上限の考え方が異なる場合があります。必ず自分が申請する枠の公募要領で、補助対象経費と補助対象外の両方を確認してください。34567
また、専門家活用枠やPMI推進枠では、M&Aの成立有無により補助対象経費の扱いが変わります。クロージングが成立しない場合に、原則としてDD費用のみを補助対象経費として認めるなどの条件があるため、契約条件とスケジュールに無理がないかを最初に点検してください。496
消費税の扱い
交付規程では、消費税および地方消費税の仕入控除税額の扱いが定められており、一定の場合はそれを減額して交付申請を行う必要があります。申請時点で仕入控除税額が明らかでない場合の取扱いも条文にあります。消費税を含む見積で申請する場合でも、最終的な補助額の確定段階で調整が入り得るため、制度上の処理を前提に資金計画を組んでください。8
証憑管理は最初から準備する
これは制度要件ではありませんが、実務上は、証憑が揃わずに精算が遅れると入金が遅れるリスクがあります。契約書、発注書、請求書、検収記録、支払い記録などを「案件ごと」「費目ごと」に整理し、提出用にすぐ出せる形にしておくと安心です。採択後に交付申請や実績報告が続く流れになっているため、最初から管理ルールを決めておくことが有効です。457
申請の流れ
申請前に必ず押さえる2つのID
申請手続きはオンライン申請システムのjGrantsを利用します。ログインにはgBizIDプライムが必要です。受付開始直前に取得しようとして間に合わないケースが起きやすいので、申請を検討した時点で先に取得手続きを進めてください。71011
公募申請から交付までの全体フロー
公募要領の図解に基づく流れを、文章に落とすと次の順番です。枠ごとの違いはありますが、採択と交付決定が分かれている点は共通です。457
| フェーズ | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 準備 | gBizID取得 事業内容の整理 申請枠の確定 | ID取得は時間がかかる場合がある |
| 公募申請 | 申請書作成とjGrants提出 | 枠により要件と添付の考え方が異なる |
| 採択後 | 見積等の入手 交付申請 | 採択後に交付申請が必要 |
| 交付決定後 | 補助事業に着手 | 交付決定通知書受領後に開始する流れ |
| 事業実施 | 進捗管理 状況報告 | 事務局からの依頼に対応 |
| 完了後 | 実績報告 確定検査 補助額確定 | 精算のため証憑が必要 |
| 受領後 | 補助金請求と受領 事業化状況報告 | 事後の報告が続く場合がある |
廃業・再チャレンジ枠の確認書に注意
廃業・再チャレンジ枠では、認定経営革新等支援機関からの確認書の発行を受ける流れが示されています。単独申請で進める場合も、併用申請で進める場合も、必要な手続きが枠の要件として位置づけられているため、準備段階で対応先を確保してください。5
併用申請と同時申請の考え方
併用申請は何を意味するか
14次公募では、事業費の枠に廃業費を併用する、または廃業・再チャレンジ枠を他枠と併用するなど、複数枠が関係する申請パターンがあります。併用の上限額は枠ごとに定められており、廃業費は300万円以内という共通の上限が設定されています。34567
併用申請では、補助率が「事業費側の補助率に従う」などのルールがあるため、どの枠のどの区分に紐づく費用なのかを整理してから入力する必要があります。357
同時申請はPMI推進と専門家活用の組合せ
PMI推進枠のPMI専門家活用類型では、同時申請という申請パターンが示されています。同時申請には、補助事業期間内にM&Aが成立しない場合に補助対象外となる扱いがあるため、PMI開始の前提条件を慎重に確認してください。64
実務に役立つチェック表
申請枠を決めるためのセルフチェック
これは制度要件ではありませんが、枠選びの初動で迷いを減らすために、次の観点で整理すると進めやすくなります。
| チェック観点 | はいの場合に優先検討 | いいえの場合に優先検討 |
|---|---|---|
| M&Aの仲介やFAなど外部専門家費用が中心 | 専門家活用枠 | 事業承継促進枠 または PMI推進枠 |
| 引継ぎ後の統合が課題でPMIの外部支援が必要 | PMI推進枠 PMI専門家活用類型 | 専門家活用枠 または 事業統合投資類型 |
| 廃業や事業整理を伴い次の事業に移る | 廃業・再チャレンジ枠(単独または併用) | 事業承継促進枠 または 専門家活用枠 |
| 賃上げ要件を満たして上限引上げを狙う | 事業承継促進枠 または 事業統合投資類型で区分を確認 | 800万円上限での計画に寄せる |
事前に作っておくと迷いにくいメモ
これは制度要件ではありませんが、jGrants入力や見積取得の前に次の項目をA4一枚でまとめておくと、社内外のコミュニケーションが速くなります。
| 項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 目的 | 何を引継ぎ 何を強化するかを1文で |
| 対象となる経営資源 | 製品 サービス 顧客 仕入先 人材 許認可など |
| 実施スケジュール | 採択後から交付決定 事業完了までの概略 |
| 外部支援の範囲 | 仲介 FA DD PMI支援など 何を依頼するか |
| 費用の見込み | 費目ごとに概算 見積取得の予定先 |
| 成立条件 | クロージングの前提条件と代替案 |
証憑チェックの最小セット
これは制度要件ではありませんが、精算段階で慌てないために、支払い前から次を揃える運用が有効です。
| タイミング | 残すもの | 目的 |
|---|---|---|
| 発注前 | 見積 比較検討メモ | 金額妥当性の説明に使う |
| 契約時 | 契約書 発注書 仕様書 | 対象業務の範囲を示す |
| 納品時 | 検収記録 成果物 | 事業実施の証拠になる |
| 支払時 | 請求書 振込記録 | 実費支払いの証拠になる |
よくある質問
Q1. 4つの枠のうちどれを選べばよいですか
A. 取り組みの中心で決まります。M&Aの実務で仲介やFA等の外部費用が中心なら専門家活用枠、引継ぎ後の統合支援が中心ならPMI推進枠、承継後の投資が中心なら事業承継促進枠、廃業と次の挑戦を同時に進めるなら廃業・再チャレンジ枠が候補です。最終的には各枠の公募要領で対象事業と対象経費を照合してください。34567
Q2. 14次公募の申請期間はいつですか
A. 2026年2月27日から2026年4月3日17時まで(予定)です。受付の開始や締切は変更される場合があるため、事務局の事業スケジュールと公表情報で最終確認してください。12
Q3. 採択されたらすぐに発注してよいですか
A. 採択通知の後に交付申請と交付決定があり、交付決定通知書を受領してから補助事業に着手する流れが示されています。契約や発注のタイミングは、枠ごとの公募要領の流れに合わせてください。457
Q4. 補助金はいつ入金されますか
A. 補助対象事業の完了後に精算を行い、その後に支払われる流れです。資金繰りは、立替期間がある前提で計画してください。4956
Q5. 専門家活用枠でM&Aが成立しなかった場合はどうなりますか
A. 補助事業期間内に経営資源の引継ぎが実現しなかった場合は、補助上限額の変更が行われ、原則としてDD費用のみを補助対象経費として認める扱いがあります。廃業費も、関連する引継ぎが実現しない場合は補助対象外です。4
Q6. 売り手支援類型の補助率が2/3になる条件は何ですか
A. 公募要領が示す2つの要件のいずれかを満たす場合に2/3以内となり、それ以外は1/2以内です。営業利益率の低下の判定方法や赤字判定は、公募要領の記載に沿って確認してください。4
Q7. デュー・ディリジェンス費用の上乗せはどのくらいですか
A. 専門家活用枠では、DD費用として200万円以内の上乗せがあります。上限の適用条件や対象経費の範囲は公募要領で確認してください。4
Q8. 100億企業特例は補助率がどう変わりますか
A. 1,000万円以下の部分は補助率1/2以内、1,000万円を超えて2,000万円までの部分は1/3以内という区分です。上限額は2,000万円以内です。9
Q9. 廃業・再チャレンジ枠の上限と補助率はどうなりますか
A. 再チャレンジ申請(単独申請)は補助率2/3以内で上限300万円以内、併用申請は補助率が併用する他枠に従い上限300万円以内です。補助下限額は50万円で、下限未満の申請は受け付けない条件があります。5
Q10. PMI推進枠の同時申請で注意すべき点はありますか
A. 同時申請では、補助事業期間内にM&Aが成立しない場合にPMI専門家活用類型の経費が補助対象外となる扱いがあります。また、廃業費を絡める場合の取扱いも示されているため、該当する申請パターンを公募要領で確認してください。64
Q11. 事業承継促進枠や事業統合投資類型で上限が1,000万円になる条件は何ですか
A. 小規模企業者の該当有無と賃上げ要件などの組合せにより、事業費の上限が800万円または1,000万円に分かれます。さらに、補助率も800万円相当部分と800万円超部分で分かれる区分があります。自社がどの区分に当てはまるかは、公募要領の条件表に沿って照合してください。37
Q12. 消費税は補助対象に含めてよいですか
A. 交付規程では、仕入控除税額の扱いが定められており、一定の場合は減額して交付申請する必要があります。最終的な補助額に影響する可能性があるため、交付規程の該当条文を確認してください。8
Q13. 申請はどこから行いますか
A. jGrantsを利用します。ログインにはgBizIDプライムが必要です。71011
Q14. 問い合わせ先はどこですか
A. 枠ごとにFAQページにコールセンター情報が掲載されています。申請枠に対応するFAQページを開き、受付時間も含めて確認してください。12131415
Q15. 公式資料はどこで確認できますか
A. 14次公募の公募要領PDFと交付規程PDFは、事務局の公表ページから入手できます。枠ごとにPDFが分かれているため、申請する枠と一致する資料を参照してください。2345678
出典・参考資料
執筆者:補助金フラッシュ 士業編集部
補助金・助成金の活用法からAI導入、業務の生産性向上まで、中小企業の経営に役立つ情報を士業の専門家チームがわかりやすく解説します。
こちらもおすすめ

融資準備で法人口座と会計管理が見られる理由とは?経理体制の整え方について解説
会社を作り、店舗や仕入れの準備が進むと、次に気になるのが法人口座と融資です。ここで大切なのは、口座開設を単なる手続きとして見るのではなく、事業のお金の流れを説明できる状態にすることです。 法人口座はゴールではなく、会計管理と融資準備を同じ数字で扱う入口です。売上、仕入れ、家賃、立替金、借入返済の流れを早い段階で分けておくと、融資相談で聞かれる数字にも落ち着いて答えやすくなります。

税金滞納があると融資審査はどうなる? 納税証明書で見られる確認ポイント
融資を申し込むとき、決算書や事業計画書に目が行きがちですが、納税証明書も早い段階で確認されることがあります。税金滞納があると、金融機関は単なる税金の未払いではなく、資金管理と返済能力の問題として受け止めます。つまり、滞納を隠すのではなく、完納できるか、いつまでに解消するかを説明できる状態にすることが大切です。 この記事では、納税証明書で何を見られるのか、税金滞納が融資審査にどう影響するのか、申込前に何を確認すべきかを中小企業向けに整理します。

中小企業融資の相談先はどこがいい? 日本政策金融公庫・金融機関・商工会議所・認定支援機関の使い分け
中小企業が融資を考え始めたとき、最初に迷いやすいのが相談先です。銀行に行くべきか、日本政策金融公庫に聞くべきか、商工会議所や認定支援機関に先に相談すべきかで、準備する資料も変わります。 大事なのは、相談先を一つに決めることではなく、お金を借りる相手と計画を整える相手を分けて考えることです。この記事では、創業、運転資金、制度融資、事業計画の場面ごとに、最初に相談しやすい窓口を整理します。

融資は困ってからでよいのか? 借入額・返済期間・資金使途の判断ポイント
融資を受けるか迷う場面で、最初に見たくなるのは金利や限度額です。ただ、実際に大きな差が出るのは、借りるタイミング、何に使うお金か、返済できる月額かという順番です。 融資は資金が足りなくなってから慌てて申し込むものではなく、事業を続けられる前提を数字で整えて選ぶものです。本記事では、創業前後のタイミング、借入額、返済期間、資金使途を、初めて融資を考える人にも分かるように整理します。

融資申込前の資金繰り表はどう作る? 月次資金計画で銀行に伝える基本
融資を相談するとき、決算書や試算表は用意していても、資金繰り表までは作っていない会社があります。ところが銀行が知りたいのは、過去に利益が出たかだけではありません。 大切なのは、借りた後に支払いが続き、返済も続けられるかを月ごとの現金の動きで説明できることです。資金繰り表は、融資を通すための特別な資料ではなく、経営者が自社のお金の流れを説明するための地図になります。 融資申込前に作っておきたい資金繰り表と、6カ月先を見た月次資金計画の基本を、まず一枚作るつもりで読み進めてください。

融資の返済シミュレーションは毎月の返済額だけで足りるのか?
融資を受けるとき、多くの人が最初に気にするのは毎月の返済額です。月にいくら返すのかが分からなければ、借入の判断ができないからです。 ただ、融資の返済シミュレーションで本当に見るべきなのは、返済額そのものだけではありません。返済後にも事業を続けられるだけの現金が残るかまで確認して、初めて資金繰りの判断材料になります。この記事では、毎月の返済額を試算し、その数字を資金繰りに落とし込む考え方を整理します。融資前の確認に使ってください。