東京都内のものづくり中小企業が医療機器分野へ参入する際は、薬機法対応や販売許可など、単独では越えにくい論点が多く出てきます。医療機器等事業化支援助成事業は、医療機器製販企業等と連携したプロジェクトに対し、医療機器等製品の開発から事業化に必要な経費を助成し、プロジェクトマネージャーが伴走します。1
令和8年度第1回では、最長5年間で上限5,000万円、助成率2/3以内という枠が示されています。1 要件や対象経費は細かく、達成目標の選び方や証憑管理のミスがあると交付に至りません。一次資料にもとづき、申請前に確認すべきポイントを実務の順番で整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名(正式名称) | 医療機器等事業化支援助成事業 |
| 対象年度/公募回 | 令和8年度第1回(第23回) |
| 最終更新日 | 2026年2月25日 |
| 所管/実施機関/事務局 | 東京都(委託)/ 公益財団法人東京都中小企業振興公社(実施・事務局) |
| 補助上限額/補助率(類型差があれば併記) | 上限5,000万円(下限500万円。開発着手支援助成事業の受領がある場合は差し引き)/ 助成率2/3以内 |
| 申請期間(開始/締切) | 申請受付(Jグランツ)令和8年4月1日〜4月14日(事前ヒアリング予約期間・実施期間は別途設定) |
| 公式一次資料(PDF/Word)のリンク集 | 公募ページ 第23回 令和8年度第1回 / 募集要項 第23回 令和8年度第1回 PDF / 申請書 第23回 令和8年度第1回 Excel / 記入例 第23回 令和8年度第1回 Excel / 代理申請同意書 Word |
| 免責 | 申請可否や経費判断は、当該年度の募集要領・交付要綱等と事務局の案内で最終確認してください。 |

制度の全体像
事業名とねらい
医療機器分野は、製品が良いだけでは販売まで進みにくい領域です。医療機器の販売には薬機法にもとづく規制があり、許可を持つ企業や医療現場との連携が重要になります。1
医療機器等事業化支援助成事業は、都内ものづくり中小企業と医療機器製販企業等が連携し、医療機器等製品の開発から事業化を行う経費の一部を助成します。あわせて、プロジェクトマネージャーが事業完了に向けたハンズオン支援を行います。1
医療機器等の範囲
本事業でいう医療機器等には、登録・認証が必要な医療機器だけでなく、医療機関で使用される非医療機器(リハビリ機器等)も含みます。1
つまり、薬機法上の医療機器に該当するかどうかが確定していない段階でも、医療機関で使われる機器として事業化を目指すテーマが対象になり得ます。どの区分に当たるかの確認は、連携先の製販企業等や専門家の見立てが重要です。
開発から事業化までの扱い
本事業は「開発から事業化」に焦点があります。一方で、助成対象期間中に販売(出荷)する予定の研究開発は対象外とされ、量産や営業開始の時期は助成期間との整合が必要です。1
申請書では達成目標として「製品の完成」または「試作品の完成」を選びます。医療機器開発で、ものづくり中小企業が申請する場合の達成目標は「試作品の完成」となります。1 達成目標によって、計上できる経費の範囲が変わるため、最初にここを確定させることが申請の起点になります。
支援内容のポイント
助成額と助成率
令和8年度第1回(第23回)の助成限度額は上限5,000万円、下限500万円です。助成率は2/3以内です。1
過去に医療機器等開発着手支援助成事業で助成金の交付を受けている場合は、5,000万円からその金額を差し引いた額が上限になります。1 既に別枠の支援を受けている場合は、交付決定通知や実績報告の状況も含めて、早めに事務局へ確認してください。
助成対象期間
助成対象期間は、交付決定日(令和8年10月1日予定)から令和13年9月30日まで最長5年です。1
この期間内に、発注・納品・支払・成果物の確認まで、事務局が求める手続きと証憑の流れを揃える必要があります。期間中に要件を満たさなくなった場合、助成金は交付されません。1
ハンズオン支援
本事業では、経費助成に加え、プロジェクトマネージャーが事業完了に向けたハンズオン支援を行います。1
医療機器分野は、技術課題だけでなく、規制対応、知財、製造移管、品質、販売体制など、複数の論点が同時並行になりやすい領域です。伴走支援を前提に、連携体の役割分担と意思決定プロセスを早い段階で固めると、途中の手戻りを減らせます。
達成目標と対象経費の関係
達成目標は、経費計上の可否に直結します。募集要項では、達成目標が「製品の完成」の場合はPMDA等相談料・審査手数料、展示会等参加費、広告費なども対象に入ります。一方で「試作品の完成」の場合は、これらが対象外になる扱いが示されています。1
最初に目標を決め、経費区分ごとに「今回の目標に入れられるか」をチェックしてから、資金計画を作るのが安全です。
| 達成目標 | 想定するゴール | 計上できる経費の範囲の考え方 |
|---|---|---|
| 製品の完成 | 販売(出荷)に必要な手続き・準備まで含めて、製品として完成させる | 開発費に加えて、PMDA等相談料・審査手数料、販路開拓費などが対象になり得る |
| 試作品の完成 | 製品化前段の試作品まで到達する | 開発費中心で組み立てる。PMDA等相談料・審査手数料、販路開拓費などは対象外になる扱いがある |
上の表は、申請時の判断を早くするための要約です。最終判断は、募集要項と申請書の提出要領で確認してください。12
対象者と連携体の要件
申請できる主体
申請者は、中小企業者(会社および個人事業主)、中小企業団体等、中小企業グループのいずれかに該当する必要があります。大企業が実質的に経営に参画していないことも要件です。2
法人の場合、令和7年3月31日以前に都内に登記していることが求められます(支店登記でも可)。個人事業主の場合は、令和7年3月31日以前に税務署へ開業届を提出していることが要件です。12
また、直近の確定申告書等の提出や、都税・住民税の納税証明書の提出が求められます。12
都内要件と実施場所
都内で実質的に事業を営み、本事業の成果を活用して都内で事業活動を行う予定であることが要件です。研究開発を実施する場所は、成果物が確認できる自社の事業所・工場等で、原則として都内(状況により首都圏内も可)とされています。2
つまり、外注や委託を活用する計画でも、助成事業としての「実施の中心」と「成果確認の場所」を説明できる形にしておく必要があります。
連携体の基本条件
本事業は連携体で進めるのが前提です。申請者を含む2社以上で構成される連携体を構築し、親会社・子会社・関連会社との連携体は不可です。連携体を構成する企業の2分の1以上が都内に事業所を有し、事業を営んでいることも要件です。1
さらに、連携体には次の2つが必要です。開発の主たる部分を担う都内ものづくり中小企業が含まれること、そして開発製品の販路開拓を行う医療機器製販企業等が含まれることです。1
会員登録の要件も明確で、連携体を構成する全てのものづくり中小企業は医療機器産業参入支援事業へ、全ての医療機器製販企業等は東京都医工連携HUB機構へ、申請時までに会員登録している必要があります。134
医療機器開発で必要になる許可証
医療機器開発の場合、クラスに応じた医療機器製造販売業許可証の写しの提出が必要です。1 申請書でも、医療機器開発の場合は許可証の写しを提出する扱いが示されています。2
| クラス | 医療機器の分類 | 申請時に提出が必要となる医療機器製造販売業許可証 |
|---|---|---|
| I | 一般医療機器 | 第一種・第二種・第三種のいずれかの製販業許可証 |
| II | 管理医療機器 | 第一種・第二種のいずれかの製販業許可証 |
| III・IV | 高度管理医療機器 | 第一種の製販業許可証 |
許可の種別や対象クラスは、連携先企業の許可の範囲とも関係します。申請書に添付する前に、連携先とクラス判断の根拠をすり合わせておくと、審査過程での確認がスムーズです。
併願や過去の助成との関係
同一テーマ・内容で、公社・国・都道府県・区市町村等から助成を受けていないことが要件です。過去に助成を受けたことがある場合も含む扱いになっています。1
同一テーマ・内容で公社が実施する助成事業へ申請していないことも要件ですが、過去に本事業やその他の事業で採択されたことがない場合は例外が設定されています。1 併願自体は可能でも、両方で採択された場合はいずれか一方を辞退する必要があります。1
過去に公社から助成金の交付を受けている場合、所定の報告書を期限までに提出していることが申請要件になります。1 まずは未提出がないかを社内で点検してください。
対象となる経費
経費区分の全体像
募集要項では、医療機器等製品の開発から事業化に係る経費の一部を助成する枠組みとして、原材料・副資材費、機械装置・工具器具費、委託・外注費、産業財産権出願・導入費、技術指導受入費、PMDA等相談料および審査手数料、直接人件費、販路開拓費(展示会等参加費・広告費)等が示されています。1
ただし、達成目標が「試作品の完成」の場合は、販路開拓費やPMDA等相談料・審査手数料が対象外になる扱いがあるため、経費計画は目標とセットで組み立てます。1
| 経費区分 | 内容の例 | 計画時の注意点 |
|---|---|---|
| 原材料・副資材費 | 試作・評価に必要な材料、部材 | 最終的な製品販売や量産に直結する在庫形成は対象外になり得る |
| 機械装置・工具器具費 | 開発に必要な機器、計測器、工具 | 設備が「開発に直接必要」である説明と、設置・使用場所の整合が重要 |
| 委託・外注費 | 試験、加工、設計支援、ソフト開発等の外部委託 | 成果物・検収・支払の証憑を揃え、対象期間内で完結させる |
| 産業財産権出願・導入費 | 特許出願、先行技術調査、知財導入等 | 開発内容と直接の関係が説明できる範囲に絞る |
| 技術指導受入費 | 専門家指導、技術的助言の受入 | 指導の内容、回数、成果の記録を残す |
| PMDA等相談料および審査手数料 | PMDA相談、審査手数料等 | 達成目標により対象外になる扱いがあるため、目標確定が先 |
| 直接人件費 | 開発に直接従事する人件費 | 業務日報等で従事実績を説明できる体制が必要 |
| 販路開拓費 | 展示会出展、広告出稿等 | 達成目標により対象外になる扱いがある。上限や要件も別途確認 |
この表は、区分の見取り図です。実際の計上可否は、募集要項の条件と「対象外経費」の定義で最終判断します。1
販路開拓費のポイント
販路開拓費は「展示会等参加費」と「広告費」に分かれ、達成目標が「製品の完成」の場合に対象となる考え方が示されています。展示会等参加費と広告費の助成額は、合計1,000万円が上限です。1
広告費は「医療機器として認証・登録を受ける前の出稿」であること、医療広告ガイドライン等の関係法令を遵守すること、検索サイトへのリスティング広告はYahooとGoogleに限ることなど、条件が細かく設定されています。1
| 項目 | 押さえるポイント |
|---|---|
| 展示会等参加費 | 展示会・見本市等への出展にかかる費用が中心。対象範囲と助成上限は募集要項で確認する |
| 広告費 | 出稿時期や媒体、契約形態に条件がある。医療広告ガイドライン等の法令遵守が前提 |
| 合計上限 | 展示会等参加費と広告費の助成額合計に上限があるため、開発費との配分を先に決める |
販路開拓費は「早めに使いたい」経費になりがちですが、対象期間や達成目標、対象外経費の条件と整合しないと交付対象になりません。申請段階では、出展・出稿の時期が助成対象期間と噛み合っているかを最優先で点検してください。1
対象外になりやすい経費
募集要項では、対象外となる経費の例が具体的に列挙されています。代表的なものは、開発に直接必要のないもの、量産や営業開始にかかるもの、交付決定日前に発生したもの、現金払い、クレジットカード払い、分割払い、親会社・子会社・関連会社への支払いなどです。1
加えて、試作品(試供品)を外部へ提供すること自体は可能でも、その試作品製作に係る経費は対象外になる点など、医療機器分野ならではの注意も含まれます。1
| 対象外の論点 | 具体例 | つまずきやすい理由 |
|---|---|---|
| 期間の不一致 | 交付決定日前の発注・支払、対象期間外の納品 | 時系列が崩れると証憑で否認されやすい |
| 支払方法 | 現金払い、クレジットカード払い、分割払い | 支払の実在確認と対象期間内完結が取りづらい |
| 関係会社取引 | 親会社・子会社・関連会社への支払 | 取引の独立性が担保しづらい |
| 量産・販売寄り | 量産準備、営業開始、在庫形成 | 本事業は「販売(出荷)予定」の研究開発を対象外とする考え方がある |
| 単なる調査 | 市場調査のみ、調査会社レポートの購入のみ | 開発・事業化との直接性が弱い |
| 試供品の扱い | 外部提供用の試作品製作費、最終試作品の提供 | 「成果物の確認」と「提供」の整理が必要 |
| 外国語証憑 | 外国語のみの証憑、翻訳なし | 確認のために日本語の補足が必要 |
| 使途が曖昧 | 開発に直接必要か説明できない汎用品 | 直接性の説明ができないと否認される |
この表は「よくある否認パターン」をまとめたものです。対象外の範囲は広く、判断に迷う場合は、契約前に事務局へ照会することが推奨されています。1
証憑管理の基本
経費の交付可否は、内容だけでなく証憑の揃え方で決まります。募集要項の対象外例にあるように、支払方法や関係会社取引の扱いだけで否認されることがあります。1
これは制度要件ではありませんが、実務上は「契約書(または発注書)」「見積」「納品書(または検収)」「請求書」「振込記録」を同じ案件ごとに一塊で保管し、対象期間内に完結していることを誰が見ても追える状態にしておくと安心です。達成目標に紐づく成果物(試作品、評価結果、設計資料等)も、説明資料として整理しておくと審査や現地確認に対応しやすくなります。1
申請の流れ
事前ヒアリングから申請まで
令和8年度第1回(第23回)は、事前ヒアリングの予約期間・実施期間が設定され、申請受付(Jグランツ)の期間も明確に定められています。15
申請は電子申請システムのJグランツで行い、利用にはGビズIDが必要です。567
| 手続き | 主な期間 | ポイント |
|---|---|---|
| 事前ヒアリング予約 | 令和8年2月13日〜3月23日 | 予約枠があるため、連携体が固まったら早めに日程を押さえる |
| 事前ヒアリング実施 | 令和8年2月17日〜3月31日 | 達成目標、連携体、経費の論点を先に整理して臨む |
| 申請受付(Jグランツ) | 令和8年4月1日〜4月14日 | 添付書類の形式と提出方法を申請書で確認する |
| 対面受付 | 令和8年5月13日〜5月22日 | 事務局から指摘された不備や不足を是正する |
日程は変更される場合があるため、提出直前に公募ページと募集要項で再確認してください。51
審査の流れ
募集要項では、書面審査と現地調査、面接審査という流れが示されています。1 公募ページでも、一次審査(書類・現地調査)と二次審査(面接)が案内されています。5
審査では、開発の実現性だけでなく、連携体の役割分担、都内での事業化の見通し、規制対応や販売許可を含めた事業の進め方が一体として見られます。申請書の記述と添付資料の整合が取れていないと、どこかで確認が止まります。
採択後から事業完了まで
交付決定は令和8年10月1日予定で、そこから助成対象期間が始まります。1
助成事業中は、要件を満たし続ける必要があります。要件を満たさなくなった場合は助成金が交付されません。1 発注や支払の時系列、成果物の確認、証憑の整備をプロジェクト運営の中核に置くのが重要です。
完了後の報告と成果物の扱い
募集要項では、完了年度の翌年度から5年間、事業の状況報告(企業化状況報告書等)の提出が求められる旨が示されています。1
開発成果は申請時の達成目標に沿って説明できる形で残し、事後報告に耐えるように整理してください。量産や営業開始のタイミングを助成期間とどう切り分けるかも、計画段階で詰めておくと後工程が安定します。1
実務上の注意点
会員登録と連携体づくりを前倒しする
本事業は、連携体を構成する全てのものづくり中小企業が医療機器産業参入支援事業へ、全ての医療機器製販企業等が東京都医工連携HUB機構へ、申請時までに会員登録していることが要件です。1
会員登録は申請直前に慌てると、社内手続きや情報整理で時間を取られがちです。連携先探索と同時に、会員登録の要否を確認し、担当者と期限を決めて進めると申請が詰まりにくくなります。34
GビズIDの準備
Jグランツの利用にはGビズIDが必要です。67
これは制度要件ではありませんが、GビズIDの取得・利用設定が間に合わないと、申請期間内に提出できません。社内で誰がログインし、誰が申請を確定させるか(委任の有無)まで決め、早い段階でアカウント準備を進めることが安全です。7
目標と経費の整合を先に取る
達成目標が「試作品の完成」か「製品の完成」かで、計上できる経費の範囲が変わります。1
計画の前半で「とりあえず全部入れる」をやると、対象外経費の除外で資金計画が崩れます。最初に目標を確定させ、開発の工程と成果物を時系列に置いたうえで経費を載せていくと、審査資料の整合も取りやすくなります。
問い合わせ前に用意しておく情報
対象外経費の判断などで事務局へ照会する際は、「何を」「いつ」「誰と契約し」「どこで使い」「成果物は何か」を一枚で説明できると回答が早くなります。1
公募ページには問い合わせ窓口が案内されています。疑問点がある場合は、契約や発注の前に相談してください。5
申請前に使えるセルフチェック
申請書には、要件を満たしていない場合は申請できない旨の確認が含まれます。2 申請準備を始める前に、最低限の条件を先に潰すと手戻りを減らせます。
| チェック観点 | 確認ポイント | 根拠 |
|---|---|---|
| 申請主体 | 中小企業者等に該当し、大企業が実質的に経営に参画していない | 2 |
| 都内要件 | 都内で実質的に事業を営み、成果を都内で活用する予定がある | 2 |
| 登記・開業 | 法人は令和7年3月31日以前の都内登記、個人は同日以前の開業届提出 | 12 |
| 連携体 | 2社以上、関連会社同士は不可、半数以上が都内事業所 | 12 |
| 連携体の役割 | 都内ものづくり中小企業が主たる開発、医療機器製販企業等が販路開拓 | 12 |
| 会員登録 | ものづくり中小企業は参入支援事業、製販企業等はHUB機構へ申請時までに登録 | 134 |
| 達成目標 | 医療機器開発で、ものづくり中小企業が申請する場合は「試作品の完成」 | 1 |
| 重複助成 | 同一テーマ・内容で他の公的助成を受けていない、要件を満たす | 12 |
| 提出体制 | Jグランツやメール等の提出方法の違いを整理できている | 52 |
| 許可証 | 医療機器開発の場合、クラスに応じた製造販売業許可証の写しを用意できる | 12 |
この表は事前点検用です。個別の例外や追加書類の要否は、申請書の提出要領と募集要項で確認してください。12
必要書類の整理
必要書類は、募集要項と申請書に沿って揃えます。申請書では、提出必須・任意・該当時のみ提出が区別され、提出方法(Jグランツやメール等)も書類ごとに示されています。2
ここでは、申請書の提出要領に出てくる主要書類を「何のために必要か」という観点で整理します。
| 書類カテゴリ | 主な書類 | 提出の意味合い |
|---|---|---|
| 申請書本体 | 申請書Excel一式(表紙は押印してPDF化、その他はExcel提出等の指示あり) | 計画の全体像、目標、資金計画、経費内訳を示す中核資料 |
| 体制・会社概要 | 申請者および連携先の会社概要・社歴、開発体制図、連携体の相関図 | 連携体の実行力と役割分担を説明する資料 |
| 開発資料 | 開発品および競合品の資料(ページ制限あり)、必要に応じた補足説明資料(任意) | テーマの妥当性、差別化、実現性を補強する資料 |
| 財務・税務 | 確定申告書の写し、登記簿謄本(原本)または開業届、納税証明書(原本) | 申請主体の実態確認、納税状況の確認 |
| 見積関連 | 見積書の写し(該当時) | 一定額以上の設備購入等で価格妥当性を確認するため |
| 許可証 | 医療機器開発の場合の医療機器製造販売業許可証の写し | 規制対応と販売体制の前提を確認するため |
提出方法は書類により異なります。申請書の「提出方法」欄と、公募ページの案内に従って、提出手段の取り違えを防いでください。52
タイムラインのひな形
日程が決まっている制度では、申請書を作る順番も成果が出ます。令和8年度第1回(第23回)のスケジュールを前提に、逆算のひな形を置きます。51
| 時期 | やること | 出来上がりの目安 |
|---|---|---|
| 事前ヒアリング予約前 | 連携体の候補選定、会員登録要否の確認、達成目標の暫定決定 | 連携体の役割分担メモ、目標の仮置き |
| 事前ヒアリングまで | 開発ロードマップ、成果物、経費区分、対象外の当たりを整理 | 質問票、概算見積、工程表のたたき台 |
| 申請受付開始前 | 申請書Excel入力、添付資料(開発品・競合資料等)作成、証憑提出物の準備 | 申請書ドラフト一式、添付資料の完成版 |
| 申請受付期間中 | Jグランツ入力・アップロード、提出方法が異なる書類の発送・対面受付の準備 | 提出完了のチェック、控えの整理 |
| 一次審査期間 | 現地調査の想定問答、成果物・設備・資料の整備 | 確認導線、社内説明資料 |
| 採択後 | 交付決定日以降の発注・検収・支払ルール整備、証憑管理の運用開始 | 案件台帳、証憑フォルダ運用 |
この表は運用の一例です。実際の準備物は連携体の構成とテーマで変わるため、事前ヒアリングで論点を早めに確定させるのが近道です。51
申請書作成に使えるテンプレ
これは制度要件ではありませんが、審査で聞かれやすい論点を漏らさないための「書く順番」のテンプレです。申請書の各欄に合わせて、文章化する前に要点を埋めておくと整合が取りやすくなります。2
| ブロック | 書く内容 | 自分に確認する質問 |
|---|---|---|
| 課題と医療現場での使われ方 | 誰の何の困りごとを解決するか、医療機関での利用場面 | 現場の導入障壁は何か |
| 製品コンセプト | 機器の概要、想定ユーザー、提供価値 | 既存品と何が違うか |
| 連携体と役割分担 | 各社の担当、成果物の受け渡し、意思決定 | 主導する会社は誰か |
| 開発工程 | 現状、技術課題、今後の工程、マイルストーン | 助成期間で達成できるか |
| 規制・品質の見通し | クラス想定、必要な許可・認証、品質や安全の確認 | 許可証や手続きの前提は揃うか |
| 知財 | 出願方針、先行技術調査、導入の必要性 | 強みを守る手段は何か |
| 事業化 | ターゲット市場、販路、価格、量産・販売の時期 | 助成期間との整合はあるか |
| 資金計画 | 経費区分ごとの積算、対象外の除外、自己負担の準備 | 対象外になり得る経費を除いたか |
テンプレは「早く書く」ためではなく、「矛盾を出さない」ために使います。特に達成目標と販路開拓費、交付決定日より前の費用が混ざっていないかは、最後にもう一度点検してください。12
よくある質問
Q1. 医療機器ではなく、医療機関で使うリハビリ機器でも対象になりますか
A. 本事業の医療機器等には、登録・認証が必須となる医療機器のほか、医療機関で使用される非医療機器(リハビリ機器等)も含まれます。1
Q2. 申請できるのは東京都内の法人だけですか
A. 会社だけでなく個人事業主も申請者になれます。法人は令和7年3月31日以前に都内に登記、個人事業主は同日以前に開業届提出が要件です。12
Q3. 連携体は何社で作ればよいですか
A. 申請者を含む2社以上の連携体が必要です。関連会社同士は不可で、構成企業の2分の1以上が都内に事業所を有する必要があります。12
Q4. 製販企業等の連携先がまだ決まっていません。単独で申請できますか
A. 本事業は連携体の構築が前提です。連携体には都内ものづくり中小企業と、販路開拓を行う医療機器製販企業等が含まれる必要があります。1
Q5. 会員登録はいつまでに必要ですか
A. 連携体を構成する全てのものづくり中小企業は医療機器産業参入支援事業へ、全ての医療機器製販企業等は東京都医工連携HUB機構へ、申請時までに会員登録している必要があります。134
Q6. 申請は紙で出せますか
A. 申請受付はJグランツで行う案内です。書類によって提出方法が異なり、対面受付が設定されているため、申請書の提出要領と公募ページの案内に従ってください。526
Q7. GビズIDは必須ですか
A. Jグランツの利用にはGビズIDが必要です。申請期限に間に合うよう、早めに準備してください。67
Q8. 達成目標はどちらを選べばよいですか
A. 申請書では「製品の完成」または「試作品の完成」を選びます。医療機器開発で、ものづくり中小企業が申請する場合の達成目標は「試作品の完成」です。1
Q9. 展示会出展や広告費は使えますか
A. 達成目標が「製品の完成」の場合に販路開拓費が対象になり得ます。展示会等参加費と広告費の助成額合計には上限があり、広告費は媒体や契約形態など条件が細かく設定されています。1
Q10. 他の補助金や助成金と同時に申請できますか
A. 同一テーマ・内容で他の公的機関の助成金を併願申請することは可能ですが、両方で採択された場合はいずれか一方を辞退する必要があります。1
Q11. 交付決定前に発注してしまった費用は対象になりますか
A. 交付決定日前に発生した経費は対象外の例として示されています。発注・契約・支払のタイミングは特に注意してください。1
Q12. 採択後に何を報告する必要がありますか
A. 募集要項では、完了年度の翌年度から5年間、企業化状況報告書等の提出が求められる旨が示されています。採択後は報告を前提に、成果物と証憑を整理してください。1
出典・参考資料
執筆者:補助金フラッシュ 士業編集部
補助金・助成金の活用法からAI導入、業務の生産性向上まで、中小企業の経営に役立つ情報を士業の専門家チームがわかりやすく解説します。
こちらもおすすめ

融資準備で法人口座と会計管理が見られる理由とは?経理体制の整え方について解説
会社を作り、店舗や仕入れの準備が進むと、次に気になるのが法人口座と融資です。ここで大切なのは、口座開設を単なる手続きとして見るのではなく、事業のお金の流れを説明できる状態にすることです。 法人口座はゴールではなく、会計管理と融資準備を同じ数字で扱う入口です。売上、仕入れ、家賃、立替金、借入返済の流れを早い段階で分けておくと、融資相談で聞かれる数字にも落ち着いて答えやすくなります。

税金滞納があると融資審査はどうなる? 納税証明書で見られる確認ポイント
融資を申し込むとき、決算書や事業計画書に目が行きがちですが、納税証明書も早い段階で確認されることがあります。税金滞納があると、金融機関は単なる税金の未払いではなく、資金管理と返済能力の問題として受け止めます。つまり、滞納を隠すのではなく、完納できるか、いつまでに解消するかを説明できる状態にすることが大切です。 この記事では、納税証明書で何を見られるのか、税金滞納が融資審査にどう影響するのか、申込前に何を確認すべきかを中小企業向けに整理します。

中小企業融資の相談先はどこがいい? 日本政策金融公庫・金融機関・商工会議所・認定支援機関の使い分け
中小企業が融資を考え始めたとき、最初に迷いやすいのが相談先です。銀行に行くべきか、日本政策金融公庫に聞くべきか、商工会議所や認定支援機関に先に相談すべきかで、準備する資料も変わります。 大事なのは、相談先を一つに決めることではなく、お金を借りる相手と計画を整える相手を分けて考えることです。この記事では、創業、運転資金、制度融資、事業計画の場面ごとに、最初に相談しやすい窓口を整理します。

融資は困ってからでよいのか? 借入額・返済期間・資金使途の判断ポイント
融資を受けるか迷う場面で、最初に見たくなるのは金利や限度額です。ただ、実際に大きな差が出るのは、借りるタイミング、何に使うお金か、返済できる月額かという順番です。 融資は資金が足りなくなってから慌てて申し込むものではなく、事業を続けられる前提を数字で整えて選ぶものです。本記事では、創業前後のタイミング、借入額、返済期間、資金使途を、初めて融資を考える人にも分かるように整理します。

融資申込前の資金繰り表はどう作る? 月次資金計画で銀行に伝える基本
融資を相談するとき、決算書や試算表は用意していても、資金繰り表までは作っていない会社があります。ところが銀行が知りたいのは、過去に利益が出たかだけではありません。 大切なのは、借りた後に支払いが続き、返済も続けられるかを月ごとの現金の動きで説明できることです。資金繰り表は、融資を通すための特別な資料ではなく、経営者が自社のお金の流れを説明するための地図になります。 融資申込前に作っておきたい資金繰り表と、6カ月先を見た月次資金計画の基本を、まず一枚作るつもりで読み進めてください。

融資の返済シミュレーションは毎月の返済額だけで足りるのか?
融資を受けるとき、多くの人が最初に気にするのは毎月の返済額です。月にいくら返すのかが分からなければ、借入の判断ができないからです。 ただ、融資の返済シミュレーションで本当に見るべきなのは、返済額そのものだけではありません。返済後にも事業を続けられるだけの現金が残るかまで確認して、初めて資金繰りの判断材料になります。この記事では、毎月の返済額を試算し、その数字を資金繰りに落とし込む考え方を整理します。融資前の確認に使ってください。