求人を出しても応募が集まらない、せっかく採用した人材が定着しないという悩みは、業種を問わず多くの中小企業が抱えています。人手不足の解消に向けた設備投資や雇用環境の改善には費用がかかりますが、返済不要の助成金を活用できる制度があります。
この記事では、全国の中小企業が申請できる人材確保・定着支援の助成金5件を紹介します。宿泊業・建設業・運送業向けの業種特化型3件と、業種を問わず使える横断型2件を厳選しました(補助金フラッシュ掲載データ、2026年3月時点)。
人手不足対策に使える返済不要の助成金5件
ここで紹介する5件はいずれも返済不要の助成金です。前半3件は特定業種向け、後半2件は業種横断で活用できます。細かい要件等については、各支援事業の募集要項でご確認ください。公募は定期的に更新されるため、最新の募集状況は公式ページでご確認ください。
観光地・観光産業における省力化投資補助事業
宿泊業の人手不足解消に資する設備投資を支援する補助金です。上限は3,000万円、補助率は1/2で、サービス水準の向上と賃上げの実現を目的としています。
この制度の特徴は、宿泊業に特化して省力化設備の導入を支援する点です。旅館業法に基づく許可を受けた宿泊事業者が対象で、参加申込と計画申請の両方を公募期間内に完了する必要があります。チェックイン自動化や清掃ロボットなど、人手不足を技術で補う投資に活用できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 宿泊事業者(旅館業法に基づく許可を受けた者。住宅宿泊事業や一部風俗営業等は対象外) |
| 補助率・金額の上限 | 1/2、上限3,000万円 |
| 公式ページ | 観光地・観光産業における省力化投資補助事業 |
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建設事業主等に対する助成金(人材確保等支援助成金・作業員宿舎等設置助成コース)
建設業の労働環境改善を目的とした助成金です。作業員宿舎等の設置に係る経費が対象で、上限は200万円、経費助成の補助率は3/5です。
建設現場では慢性的な人手不足が課題で、特に地方の現場では宿舎の質が採用に直結します。この制度を活用して作業員宿舎の整備や労働環境の改善に取り組むことで、人材の確保と定着を図れます。賃金向上助成(3/20)も用意されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 建設事業主等で、建設労働者の雇用環境改善や技能向上に取り組む事業者 |
| 補助率・金額の上限 | 経費助成3/5、賃金向上助成3/20、上限200万円 |
| 公式ページ | 建設事業主等に対する助成金(人材確保等支援助成金) |
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令和7年度ドライバー等安全教育訓練促進助成制度
トラックドライバーや安全運転管理者等の安全教育訓練の受講を促進するための助成制度です。全日本トラック協会が指定する研修の受講料が助成されます。
運送業界は2024年問題以降、ドライバーの確保と定着が一層の経営課題になっています。Gマーク認定事業所であれば受講料が全額助成される点が大きな魅力です。特別研修の場合は受講料の7/10が助成されます。安全教育を通じて職場の安全性を高め、人材の定着につなげられます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | トラック運送事業を営む事業所で、全日本トラック協会が指定する安全教育研修を受講する事業者 |
| 補助率・金額の上限 | Gマーク認定事業所は受講料全額助成、特別研修は7/10 |
| 公式ページ | 令和7年度ドライバー等安全教育訓練促進助成制度 |
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ここからは業種を問わず活用できる制度です。
障害者雇用納付金制度
事業主間で障害者雇用に伴う経済的負担を調整し、障害者雇用調整金や報奨金などを支給して障害者の雇用促進を図る制度です。常用雇用労働者の総数に応じた申告・納付や申請手続が定められています。
人手不足の解消策として障害者雇用を検討している事業者にとって、この制度は経済的な支援になります。常用雇用労働者が100人を超える事業主は法定雇用率未達成の場合に納付金の対象となりますが、積極的に雇用している場合は調整金や報奨金を受け取れます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 常用雇用労働者の総数に応じた事業主(100人超は納付金対象、100人以下でも報奨金等の申請可) |
| 補助率・金額の上限 | 障害者雇用調整金、報奨金、各種助成金の支給 |
| 公式ページ | 障害者雇用納付金制度 |
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産業雇用安定助成金(災害特例人材確保支援コース)
令和6年能登半島地震の影響で事業活動が一時的に縮小した事業主が、在籍型出向により労働者の雇用を維持する場合に賃金の一部を助成する制度です。中小企業は4/5、その他は2/3の補助率で、出向元・出向先の合計で日額8,870円が上限です。
この制度のユニークな点は、出向元だけでなく出向先の事業主も助成の対象になることです。人手不足の事業者が出向先として受け入れれば、人材確保の手段として活用できます。出向期間は1か月以上2年以内で、終了後は元の事業所に戻ることが前提です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 出向元:石川県の指定地域に所在する事業主、出向先:全国の雇用保険適用事業所の事業主 |
| 補助率・金額の上限 | 中小企業4/5、その他2/3、上限8,870円/日(出向元・出向先の合計) |
| 公式ページ | 産業雇用安定助成金(災害特例人材確保支援コース) |
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申請前に確認しておきたいポイント
対象要件を確認する
まず、自社が対象者の要件を満たしているかを確認しましょう。省力化投資補助事業は宿泊事業者限定、建設事業主向け助成金は建設業限定と、業種特化型の制度は対象が明確に絞られています。障害者雇用納付金制度は従業員数によって申告義務の有無が変わります。補助金フラッシュなら業種・事業規模で絞り込み、自社に合った制度を確認できます。
書類を準備する
多くの制度で事業計画書や実施計画の提出が求められます。省力化投資補助事業では参加申込と計画申請の両方が必要で、建設事業主向け助成金では宿舎設置に関する具体的な計画書が必要です。作成に不安がある場合は、国が各都道府県に設置した無料相談窓口のよろず支援拠点を利用できます。具体的な進め方はよろず支援拠点で事業計画を磨く方法で解説しています。
スケジュールを確認する
省力化投資補助事業や建設事業主向け助成金など、制度ごとに申請期限が異なります。電子申請にはGビズIDプライムアカウントが必要で、発行まで数週間かかります。早めに準備しておきましょう。GビズIDの取得方法は補助金申請が忙しい時期に慌てないためのGビズIDの先回り準備をご覧ください。
まとめ
この記事では、全国の中小企業が申請できる人材確保・定着支援の助成金5件を紹介しました。
- 観光地・観光産業における省力化投資補助事業: 宿泊事業者の省力化設備導入、上限3,000万円
- 建設事業主等に対する助成金(作業員宿舎等設置助成コース): 建設業の労働環境改善、上限200万円
- ドライバー等安全教育訓練促進助成制度: トラック運送事業者の安全教育、Gマーク認定事業所は受講料全額助成
- 障害者雇用納付金制度: 障害者雇用に取り組む事業主への調整金・報奨金
- 産業雇用安定助成金(災害特例人材確保支援コース): 在籍型出向による雇用維持、上限8,870円/日
業種特化型の制度は対象が明確で申請しやすく、業種横断型の制度は幅広い事業者が活用できます。自社の業種や人材課題に合った制度を選び、各制度の公式ページから最新の公募情報を確認してみてください。
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