令和7年度補正予算の商用車等の電動化促進事業では、トラック、タクシー、バスの電動化に向けた車両導入や、車両と一体的に使う充電設備の導入が支援対象になります。環境省を中心に、国土交通省と経済産業省が連携する事業で、執行団体は車種によって分かれます。結論から言うと、申請前に確認すべきポイントは、対象車両の事前登録、車両と充電設備の申請手順の違い、交付決定前に進めてよい範囲の三つです。
この記事では、トラック、タクシー、バスに絞って、対象者、補助内容、申請期間、申請の流れ、実務上の注意点を解説します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 令和7年度補正予算 脱炭素成長型経済構造移行推進対策費補助金 商用車等の電動化促進事業 |
| 対象年度 公募回 | 令和7年度補正予算 公募 |
| 最終更新日 | 2026年5月31日 |
| 所管 実施機関 事務局 | 所管は環境省、連携は国土交通省と経済産業省。トラックは一般財団法人環境優良車普及機構、タクシーとバスは公益財団法人日本自動車輸送技術協会が執行団体です。 |
| 補助上限額 補助率 | 車両は、原則として補助対象車両一覧や事前登録された車型情報に記載される車種ごとの基準額が上限です。充電設備は、急速充電、普通充電、V2H、外部給電器、高圧受電設備などの区分ごとに補助率と上限額が定められます。 |
| 申請期間 | トラックは令和8年4月24日から令和9年1月15日まで。タクシーとバスは令和8年4月24日から令和9年1月29日までです。 |
| 公式一次資料 | 環境省公募ページ 2026年4月 公式ページ / 環境省報道発表 2026年4月 公式ページ / 国土交通省報道発表資料 2026年4月 PDF / LEVOトラック公募ページ 2026年 公式ページ / JATAタクシー バス公募ページ 2026年 公式ページ / JATA公募要領 2026年4月 PDF / JATA交付規程 2026年 PDF / JATA実施要領 2026年 PDF |
| 免責 | 申請可否や経費判断は、当該年度の募集要領・交付要綱等と事務局の案内で最終確認してください。 |
制度の全体像
何を支援する補助金か
商用車等の電動化促進事業は、電動化された商用車と、車両と一体的に導入する充電設備の導入費を支援する補助金です。対象になる車両は、トラック、タクシー、バスです。環境省の公募ページでは、建設機械も同じ事業群の対象として案内されていますが、本記事では、参照資料の対象であるトラック、タクシー、バスを中心に扱います。1
この事業の目的は、商用車の電動化によって、自動車等の運行に由来するCO2排出量を削減し、車両の価格低減やイノベーションの加速につなげることです。環境省と国土交通省の発表では、省エネ法に基づく非化石エネルギー転換目標を踏まえた中長期計画作成義務化も背景に挙げられています。2
商用車の電動化は、単に車両を買い替えるだけでは完結しません。営業所や車庫で充電する体制、運行計画、リース契約、充電口数、車両登録時期、完了実績報告などが関係します。そのため、本補助金を使う場合は、車両選定と申請書類の作成を同時に進めるのではなく、先に補助対象車両の確認と申請方法の確認を済ませる必要があります。
執行団体は車種で分かれる
本事業は、対象車種によって申請先が分かれます。トラックは一般財団法人環境優良車普及機構、タクシーとバスは公益財団法人日本自動車輸送技術協会が担当します。どちらも同じ商用車等の電動化促進事業に含まれますが、公募ページ、申請期間、申請方法、必要書類、補助対象車両の一覧が異なります。3
| 対象区分 | 執行団体 | 主な確認ページ | 申請期間 |
|---|---|---|---|
| トラック | 一般財団法人環境優良車普及機構 | 令和7年度補正予算 商用車等の電動化促進事業ページ | 令和8年4月24日から令和9年1月15日まで |
| タクシー | 公益財団法人日本自動車輸送技術協会 | 令和7年度補正予算 商用車等の電動化促進事業 タクシー バスページ | 令和8年4月24日から令和9年1月29日まで |
| バス | 公益財団法人日本自動車輸送技術協会 | 令和7年度補正予算 商用車等の電動化促進事業 タクシー バスページ | 令和8年4月24日から令和9年1月29日まで |
同じ法人がトラックとバスを導入する場合、申請先が二つに分かれる可能性があります。車両ごとに執行団体を確認し、車両の発注、登録、完了実績報告、精算払請求の締切を混同しないようにしてください。
対象になる車両と充電設備
トラックの対象車両
トラックについては、BEV、PHEV、FCVのトラックが対象になります。LEVOの公募ページでは、補助対象になる車両として、あらかじめ環境省の事前登録を受けたトラックが案内されています。車両総重量2.5トン超の車両は事業用と自家用が対象になり、車両総重量2.5トン以下の車両は事業用のみが対象です。4
軽貨物EVを導入する場合は、特に注意が必要です。LEVOの案内では、補助対象の軽車両は荷物を運ぶ事業用の黒ナンバー車両であり、自家用の黄色ナンバーで登録した後に事業用へ変更した車両は補助対象外です。さらに、申請書類には、使用者の事業や車両用途を示す資料、貨物軽自動車運送事業の届出書の写しが必要になります。5
トラックの補助対象車両は、事前登録された対象車型情報の一覧で確認します。LEVOのページでは、メーカー別に対象車型情報が掲載され、基準額は実施要領により算出される額として案内されています。申請前には、車名、通称名、型式が補助対象車両情報一覧の内容と一致しているかを確認してください。6
タクシーとバスの対象車両
タクシーとバスについては、JATAの公募要領が対象車両を区分しています。タクシー等車両は、道路運送法上の旅客自動車運送事業や自家用有償旅客運送の用に供する乗車定員10人以下の車両です。バス車両は、乗車定員11人以上の車両です。7
JATAの公募要領では、対象になる自動車として、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、燃料電池自動車、水素内燃機関型自動車が挙げられています。タクシー等車両については、JATAの補助対象車両一覧表に掲載されている自動車、またはJATAのホームページに事前登録された自動車をタクシー等車両として導入する事業が対象です。バス車両は、JATAのホームページに事前登録されたバス車両を導入する事業が対象です。8
ただし、短期間の実証運行など、反復・継続した走行が見込まれない場合は補助対象になりません。導入目的が試験運行に近い場合や、営業運行として継続する計画が弱い場合は、申請前にJATAへ確認するのが安全です。
充電設備は車両と一体的に導入するものが対象
本事業の充電設備は、車両と一体的に導入されるものに限られます。環境省と国土交通省の発表でも、充電設備は車両と一体的に導入するものに限ると案内されています。9
トラックの充電設備では、申請者の敷地、事業所、営業拠点などに、トラックの充電に必要な充電設備を一体的に導入することが求められます。LEVOの案内では、車両数が充電設備等の口数以上であることが必要です。補助対象経費には、必要な工事費、設備費、業務費、事務費などが含まれますが、交付決定前に発注した充電設備や工事の経費は補助対象外です。10
タクシーとバスの充電設備について、JATAの公募要領では、急速充電器、普通充電器、V2H、外部給電器、高圧受電設備、バッテリー交換式電気自動車の運用に必要な設備が挙げられています。設置場所は申請事業者の敷地などが基本で、借地の場合は6年以上の契約や許諾が必要です。11
補助対象者と申請者
トラックで申請できる主な事業者
トラックの申請対象者は、貨物自動車運送事業者だけではありません。LEVOの案内では、自家用商用車を業務に使用する者、商用車の貸渡しを業とする者、地方公共団体、一定の子会社にトラックを貸与する者、トラックと一体的に導入される充電設備を所有する者、共同事業体なども対象に含まれます。12
| 区分 | トラックで対象になり得る申請者 |
|---|---|
| 運送事業者 | 貨物自動車運送事業者 |
| 自家用利用 | 自家用商用車を業務に使用する者。ただし車両総重量2.5トン超の車両に限ります。 |
| 貸渡し | 商用車の貸渡しを業とする者。ただし対象となる貸渡し先に貸渡しする場合に限ります。 |
| 地方公共団体 | 地方公共団体 |
| グループ内貸与 | 貨物自動車運送事業の分社等により、自らが50%を超える出資比率で設立した子会社にトラックを貸与する者 |
| 充電設備所有者 | トラックと一体的に導入される充電設備を所有する者 |
| 共同事業体 | 上記の対象者に該当する複数の者で構成されるコンソーシアム |
| その他 | 環境大臣の承認を得て執行団体が適当と認める者 |
トラックの申請では、リース会社、使用者、充電設備の所有者が分かれることがあります。共同申請の形になる場合は、誰が申請者になり、誰が車両の所有者または使用者になり、誰が補助金の経済的利益を受けるのかを整理してから書類を作成してください。
タクシーとバスで申請できる主な事業者
タクシーとバスの補助対象事業者は、JATAの公募要領で8区分に分かれています。タクシー等車両を事業の用に供する者、バス車両を運行の用に供する者、リースやレンタルを業とする者、学校法人や企業等、地方公共団体、共同事業体などが含まれます。13
| 区分 | タクシーとバスで対象になり得る申請者 |
|---|---|
| 運行主体 | タクシー等車両を事業の用に供する者、またはバス車両を運行の用に供する者 |
| リース レンタル | タクシー等車両のリース、またはバス車両のリースやレンタルを業とする者 |
| 委託関連 | 特定旅客自動車運送事業者に車両を貸与し、旅客運送を委託する学校法人や企業等 |
| グループ内貸与 | 旅客自動車運送事業の分社等により、自らが50%を超える出資比率で設立した子会社に車両を貸与する者 |
| 充電設備所有者 | タクシー等車両またはバス車両と一体的に導入される充電設備等を所有する者 |
| 地方公共団体 | 地方公共団体 |
| 共同事業体 | 上記の対象者に該当する複数の者で構成されるコンソーシアム |
| その他 | 大臣の承認を得てJATAが適当と認める者 |
タクシーとバスでは、車両導入に対する補助金を申請できる者は、補助対象車両の自動車検査証上の所有者に該当する者、または既に購入している場合は所有者となっている者です。リースの場合はリース事業者、レンタルの場合はレンタル業者が申請者になります。充電設備については、車両の所有者または使用者となる者で、かつ本事業で導入される車両と一体的に導入される充電設備等の所有者が申請できます。14
多排出者は追加の表明が必要
トラック、タクシー、バスのいずれでも、一定の多排出者については追加の表明が必要です。対象は、地球温暖化対策推進法に基づく算定 報告 公表制度によって公表された令和4年度CO2排出量が20万トン以上の者です。地方公共団体はこの扱いから除かれます。15
多排出者に該当する場合は、令和8年度と令和12年度の国内におけるScope1とScope2に関するCO2排出削減目標を設定し、公表することが求められます。また、令和8年度以降、毎年度の排出実績と目標達成に向けた進捗状況を、第三者による検証を経て公表する必要があります。目標を達成できない場合には、Jクレジット、JCM、その他国内のCO2排出削減に貢献する適格カーボン クレジットを調達するか、未達理由を公表する必要があります。GXリーグに参加する者は、これらの取組を実施するものとして扱われます。16
多排出者に該当するかどうかは、申請者だけでなく、リース等の場合の使用者にも影響します。JATAの必要書類では、令和4年度CO2排出量20万トン以上の事業者が申請者または使用者である場合に、表明書の提出が必要です。17
補助額と補助率の考え方
車両は車種ごとの基準額が上限になる
車両の補助額は、車種や型式ごとに定められる基準額を中心に確認します。トラックでは、LEVOの事前登録された対象車型情報の一覧で、車種ごとの基準額を確認します。タクシーとバスでは、JATAの補助対象車両一覧に記載されている基準額が補助金の上限額です。18
JATAの公募要領では、値引きがある場合の扱いも規定されています。補助対象車両一覧に記載される基準額から、車両区分や値引額に応じた金額を差し引いた額が補助金額になります。たとえば、バス車両または乗車定員9人以上のタクシー等車両では、電気自動車は値引額に2分の3を掛けた額、プラグインハイブリッド自動車、燃料電池自動車、水素内燃機関型自動車は値引額に2分の1を掛けた額を基準額から差し引きます。乗車定員8人以下のタクシー等車両では、電気自動車は値引額に4分の1、プラグインハイブリッド自動車は5分の1、燃料電池自動車と水素内燃機関型自動車は3分の1を掛けた額を差し引きます。19
この扱いは、販売店からの値引きや補助対象経費の記載と関係します。見積書、注文書、請求書、領収証の金額がどの費目に対応するかを明確にしておかないと、補助対象経費や値引額の判断で確認が増える可能性があります。
充電設備は設備区分ごとに補助率と上限が異なる
充電設備は、車両とは別に設備区分ごとの補助率と上限額を確認します。JATAの公募要領では、急速充電、普通充電、バッテリー交換式充電設備、V2H充放電設備、外部給電器、高圧受電設備 設置工事費の補助基準額が示されています。20
| 設備区分 | JATA公募要領で確認できる主な補助内容 |
|---|---|
| 急速充電 | 150kW以上、90kW以上、50kW以上、10kW以上の区分があります。機器補助率と工事補助率、工事費上限額が区分ごとに異なります。 |
| 普通充電 | ケーブル付き充電設備、コンセントスタンド、コンセントの区分があります。機器補助率は2分の1、工事補助率は1分の1です。 |
| バッテリー交換式充電設備 | 設備補助率は2分の1、工事補助率は1分の1です。機器上限額は200万円に台数を掛けた額です。 |
| V2H充放電設備 | 設備補助率は2分の1、工事補助率は1分の1です。 |
| 外部給電器 | 設備補助率は3分の1です。 |
| 高圧受電設備 設置工事費 | 設備総出力に応じた上限額が定められています。350kW以上は900万円、250kW以上は750万円、150kW以上は600万円、90kW以上は450万円、50kW以上は300万円です。 |
トラックの充電設備も、LEVOの補助対象充電設備補助率 上限額や補助対象充電設備型式一覧を確認する形になります。LEVOの案内では、充電設備等の価格と工事費の合計のうち、機構が必要と認めた額が対象となります。機器の機能や工事内容ごとに個別の上限があるため、上限額がそのまま補助されるとは限りません。21
申請期間と登録期限
トラックは令和9年1月15日まで
トラックの申請受付期間は、令和8年4月24日から令和9年1月15日までです。LEVOの公募ページでは、予算額は車両と充電設備の総額で約175億円、国庫債務負担行為は約20億円と案内されています。申請台数は原則制限なしです。22
トラックの新車新規登録期間は、令和8年2月2日から令和9年1月15日までです。補助対象になるのは新車新規登録の車両であり、補助対象車両が事前登録を受けているかの確認が必要です。23
予算の残額が2割程度に達した場合、LEVOはホームページで公表した日以降、申し込み順の審査を行わず、その日から30日後までに申し込みのあった交付申請を対象に審査する扱いを案内しています。予算残額を超える申請があった場合には、初めて申請を行う者や脱炭素先行地域に選定された地域内の事業所等に導入する者を優先して採択するなど、総合的に判断します。24
タクシーとバスは令和9年1月29日まで
タクシーとバスの申請受付期間は、令和8年4月24日から令和9年1月29日までです。タクシー等車両、タクシー バスと一体的に導入する充電設備等、バス車両、バスと一体的に導入する充電設備等のいずれも、JATAの公募要領上は同じ受付期間です。25
通常申請の対象車両は、令和8年1月13日から令和9年3月3日までに新車として新規登録する車両です。ただし、補助対象車両を購入後に実績申請する場合は、令和9年1月29日までに新車として新規登録された車両が対象です。改造車は、令和9年3月3日までに改造車の登録を完了する必要があり、申請方法は通常申請に限られます。26
充電設備等の設置、完了実績報告、新規登録車両の完了実績報告は、令和9年3月10日までに完了する必要があります。複数年度事業や国庫債務負担行為を使う場合は、別の期限が設定されます。バスで納車までに長期間を要する車両などを導入する場合は、国庫債務負担行為の対象になる可能性がありますが、対象車両や支払い年度に関する条件があるため、事前相談が重要です。27
申請方法と大まかな流れ
トラックの申請方法
トラックの申請方法は、電子メール、jGrants、郵便が案内されています。電子メールでの申請では、申請書作成時に使用したExcelデータシートと、申請書および添付書類を総括表の番号順に一つにまとめたPDFデータを提出します。郵便での申請では、令和7年度から押印不要となっていますが、すべての申請書と添付書類を総括表の番号順に並べて送付する必要があります。28
jGrantsを使う場合は、GビジネスIDの取得が必要です。LEVOの案内では、ID取得には2週間から3週間を要するため、締切間際に電子申請へ切り替える運用は避けた方がよいでしょう。29
| 段階 | トラック申請で行うこと |
|---|---|
| 交付申請 | 申請書、実施計画書、導入予定表、非化石エネルギー自動車の導入計画、事業証明などを準備して提出します。 |
| 審査と交付決定 | LEVOが書類を審査し、審査基準に適合する申請に対して交付決定通知を発出します。 |
| 車両導入と登録 | 補助対象車両を導入し、新車新規登録または軽自動車の場合は新車新規検査を行います。 |
| 完了実績報告 | 車検証、請求書、領収証、振込口座確認資料など、完了実績報告に必要な書類を提出します。 |
| 交付額確定と支払い | 審査後に交付額が確定し、精算払請求を経て補助金が支払われます。 |
LEVOの軽貨物EV向け案内では、交付申請書提出、書類審査、交付決定通知書受領、完了実績報告書提出、書類審査、交付額確定通知書受領、補助金支払いという流れが示されています。30
タクシーとバスの申請方法
タクシーとバスの申請は、原則としてJATA電子申請システムから行います。JATAの公募ページでは、オンライン申請は入力フォームと書類登録で構成されると案内されています。必要様式は公募ページからダウンロードし、オンラインシステムに登録します。31
JATAでは、通常申請、実績申請、複数年度申請、国庫債務負担行為を活用した申請という申請方法があります。通常申請は、補助対象車両や充電設備等を購入する前に行う申請です。実績申請は、補助対象車両を購入後に行う申請で、充電設備等には認められていません。複数年度申請は、車両導入と充電設備等の設置を別年度に行う場合の申請方法です。国庫債務負担行為を活用した申請は、条件を満たすバス車両や、当該バス車両と一体となって整備される充電設備等で使う可能性があります。32
| 申請対象 | JATAでの申請方法 |
|---|---|
| 電気自動車タクシー | 通常申請または実績申請 |
| プラグインハイブリッド自動車タクシー | 通常申請または実績申請 |
| 燃料電池自動車タクシーまたは水素内燃機関型自動車タクシー | 通常申請または実績申請 |
| 電気自動車バス | 通常申請または実績申請 |
| プラグインハイブリッド自動車バス | 通常申請または実績申請 |
| 燃料電池自動車バスまたは水素内燃機関型自動車バス | 通常申請または実績申請 |
| 改造車タクシー 改造車バス | 通常申請 |
| 充電設備等 | 通常申請 |
JATAのオンライン申請マニュアルも公表されています。申請者登録、ログイン、申請情報の入力、書類のアップロードなどの操作が必要になるため、社内の担当者だけでなく、リース会社、販売会社、工事会社の担当者ともスケジュールを共有しておくと手戻りを減らせます。33
交付決定前に進めてよい範囲
車両と充電設備で扱いが違う
この補助金で最も誤解が起きやすいのは、交付決定前に契約、発注、登録、工事をどこまで進めてよいかです。車両と充電設備で扱いが異なり、さらにトラックとタクシー バスでも資料の書き方が違います。
トラックについて、LEVOの充電設備ページでは、車両の購入については交付決定前に行ってもよい一方で、充電設備等の機器と工事は、交付決定を通知する前に発注等を行った経費が補助対象外になると案内されています。34
タクシーとバスについて、JATAの公募要領では、通常申請における車両は申請時点で契約または発注が可能ですが、交付決定日後に納車し、新規登録する申請方法です。一方、改造車は交付決定後に契約と発注となります。充電設備等も、交付決定日後に契約、発注、工事着工を行う必要があります。実績申請は車両のみが対象です。35
| 区分 | 交付決定前の扱い |
|---|---|
| トラック車両 | LEVOの案内では、車両購入は交付決定前に行ってもよい扱いです。ただし登録期間や補助対象車両の条件を満たす必要があります。 |
| トラック充電設備 | 交付決定前に発注等を行った経費は補助対象外です。 |
| タクシー バス車両の通常申請 | 申請時点で契約または発注は可能ですが、納車と新規登録は交付決定日後です。 |
| タクシー バス車両の実績申請 | 車両のみ購入後の申請が可能です。 |
| タクシー バスの改造車 | 通常申請に限られ、交付決定後に契約と発注を行います。 |
| タクシー バスの充電設備 | 通常申請に限られ、交付決定日後に契約、発注、工事着工を行います。 |
制度要件ではありませんが、実務上は、交付決定前に進めたい発注や契約がある場合、販売会社や工事会社に補助金の対象外リスクを説明し、契約書や注文書の日付を確認できる形で管理しておくと安心です。特に充電設備は、現地調査、受電容量の確認、工事見積の作成に時間がかかるため、事前準備と発注開始のタイミングを分けて管理してください。
補助金は後払いになる
本補助金は、申請すればすぐに現金が入る仕組みではありません。交付決定後に車両導入や設備導入を進め、完了実績報告を行い、交付額が確定した後に補助金が支払われます。JATAの公募要領でも、国庫債務負担行為による補助では、すべての補助事業が完了した後に補助金が交付されると記載されています。36
トラックの軽貨物EV向け案内でも、交付申請から補助金支払いまでの流れは、交付申請、書類審査、交付決定通知、完了実績報告、書類審査、交付額確定通知、補助金支払いです。37
資金繰り上は、車両代金や工事代金をいったん支払う前提で計画を作る必要があります。リースの場合も、補助金がリース料金に反映されていることを確認できるリース料金算定根拠明細書などが必要になるため、リース会社との調整を早めに進めてください。
必要書類と証憑管理
トラックの必要書類
トラックの交付申請では、申請内容に応じて必要書類が変わります。LEVOの交付申請書に必要な書類の案内では、車両の申請を行う場合、交付申請書、実施計画書、導入予定表、非化石エネルギー自動車に関する書類、誓約書、事業証明などの提出が案内されています。事業用車両では、トラックの場合は直近の事業報告書の写し、軽自動車の場合は貨物軽自動車運送事業経営届出書の写し、レンタカー事業者の場合は有償貸渡許可書の写しが必要です。38
| 場面 | 主な書類 |
|---|---|
| 交付申請時 | 交付申請書、実施計画書、導入予定表、非化石エネルギー自動車の導入計画、誓約書、事業証明など |
| 共同事業の場合 | 共同事業者申請書など |
| 多排出者の場合 | 表明書 |
| 抵当権を設定して車両を導入する場合 | 該当様式や環境省確認に関する資料 |
| 事業用車両の場合 | 直近の事業報告書、貨物軽自動車運送事業経営届出書、有償貸渡許可書など、事業区分に応じた資料 |
完了実績報告では、車両の登録後に、車検証関連の資料、取得財産等管理台帳、車両代金請求書、車両代金領収証、振込口座確認資料、リース契約書やリース料金算定根拠明細書などが必要になります。LEVOの完了実績報告書に必要な書類の案内では、提出資料総括表を使って申請漏れがないか確認する流れが示されています。39
タクシーとバスの必要書類
タクシーとバスでは、JATA電子申請システム上で直接入力する書類と、作成した資料をアップロードする書類があります。通常申請の車両のみ申請では、交付申請書、実施計画書、誓約書、表明書、非化石エネルギー自動車の導入計画書、申請者の事業証明、導入車両に関する契約書や見積書、リース契約の場合の資料などが必要になります。40
法人の場合は、現在事項全部証明書の写しが必要で、初回申請時に提出します。公募要領では、申請時に発行後3か月以内のものと記載されています。個人事業者の場合は、住民票の写し、または自動車運転免許証の写しを提出します。個人番号情報が記載されている場合は、その箇所を黒塗りして提出する必要があります。41
リースの場合、補助金がリース料金に反映されていることを確認できるリース料金算定根拠明細書が必要です。JATAの公募要領では、補助金の一括還元は認められていません。これは、補助金を受け取った後に単純に一括で返すのではなく、リース料金の低減として反映する必要があるという意味です。42
証憑で詰まりやすい点
トラックの軽貨物EV向け案内では、車両代金請求書と車両代金領収証の発行者と宛先が同一であること、車両を特定するための登録番号または車台番号が記載されていること、車検証に記載されている型式の記載が必要になったことが案内されています。43
また、手形、電子債権、割賦といった購入形態は、申請日までに決済されない場合、原則として補助対象になりません。クレジットカードによる支払いも原則不可ですが、頭金等がクレジットカードで支払済みの場合は、販売店からの完済証明のエビデンス提出が必要です。44
これは制度要件ではありませんが、実務上は、見積書、注文書、請求書、領収証、振込明細、車検証、リース契約書の名義をそろえる確認表を作ると、差戻しを減らしやすくなります。補助対象経費に含まれる車両本体価格やオプションと、補助対象外になる陸送費、登録諸費用、諸税、消費税などを請求書上で分けておくことも重要です。
申請前セルフチェック
まず確認する項目
申請前には、補助金の対象になるかどうかを車両、事業者、手続き、資金繰りの順に確認すると効率的です。最初に車両が補助対象一覧にあるかを確認し、次に申請者と使用者の関係を整理します。その後、契約、発注、登録、工事着工のタイミングを確認し、最後に補助金入金までの資金計画を作ります。
| 確認項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 対象車両 | トラックはLEVOの対象車型情報、タクシーとバスはJATAの補助対象車両一覧を確認します。 |
| 事前登録 | 車両が事前登録済みか、型式や通称名が一致しているかを確認します。 |
| 申請者 | 所有者、使用者、リース会社、レンタル業者、充電設備所有者の関係を確認します。 |
| 登録時期 | 車両の新車新規登録日が対象期間に入るかを確認します。 |
| 交付決定前の行為 | 車両、改造車、充電設備で、契約や発注を進めてよい時点が違うことを確認します。 |
| 充電口数 | 充電設備を申請する場合、車両台数と充電口数の条件を確認します。 |
| 多排出者 | 令和4年度CO2排出量20万トン以上に該当するか確認します。 |
| 証憑 | 請求書、領収証、車検証、リース契約書、振込資料の名義と金額を確認します。 |
| 資金繰り | 補助金は原則として後払いであることを前提に、車両代金や工事費の支払い時期を確認します。 |
特に、補助対象車両の一覧に載っていない型式、軽貨物EVの黄色ナンバー登録、充電設備の交付決定前発注、リース料金への補助金反映不足は、申請前に見落としやすいポイントです。
問い合わせ前に揃える情報
事務局へ問い合わせる前には、質問内容だけでなく、車両区分、車両型式、導入予定台数、申請者と使用者の関係、登録予定日、充電設備の有無を整理してください。LEVOの公募ページでは、問い合わせは電子メールで行い、メール件名に法人名や応募予定の事業名を記載する形が案内されています。45
| 問い合わせ先 | 主な対象 | 連絡先 |
|---|---|---|
| LEVO車両担当 | トラック車両 | 03-5944-0883 |
| LEVO充電設備担当 | トラックと一体的に導入する充電設備 | 03-5341-4728 |
| JATA補助金執行グループ | タクシー バス 車両と充電設備 | 03-6836-1203 |
問い合わせでは、制度要件の確認と、個別の商談上の判断を分けて聞くことが重要です。たとえば、対象車両かどうか、登録時期が条件内か、充電設備の発注時期が適切かは事務局に確認する内容です。一方で、どの車両が自社の運行に合うか、どのリース条件が有利かは、販売会社やリース会社と検討する内容です。
採択後と完了後の注意点
財産処分制限がある
補助金で取得した車両や設備は、処分制限期間内に自由に処分できません。LEVOの軽貨物EV向け案内では、補助金を利用して導入した車両には財産の処分制限期間の使用義務が発生し、軽自動車は3年間と案内されています。処分制限期間内に、補助金の交付目的に反して使用、譲渡、交換、貸付、担保設定、廃棄などを行う場合は、事前に機構の承認が必要です。46
JATAの公募要領でも、取得財産等を法定耐用年数内に処分する場合は、事前にJATAの承認を受ける必要があると説明しています。JATAは、必要に応じて取得財産等の管理状況を調査することがあります。47
車両の入替えが多い事業者や、リース先、使用者、営業所が変わる可能性がある事業者は、申請時点で将来の変更可能性を整理しておく必要があります。JATAの公募要領では、申請時に処分制限期間内の使用者変更が予定され、計画が示される場合、財産処分の対象とならない場合があるため、事前相談を求めています。48
走行データや事業報告が必要になる
本事業は、CO2排出削減効果を目的とした補助金です。そのため、導入後も車両や設備の管理、CO2削減効果の報告が関係します。JATAの公募要領では、事業完了後、CO2削減効果について事業報告書を環境大臣に提出する必要があると説明されています。49
LEVOの軽貨物EV向け案内では、車両導入月から翌年度末まで、登録年度と翌年度の走行データ提出が必要と案内されています。50
補助金を受けた後は、車両を導入して終わりではありません。走行距離、充電状況、稼働状況、車両の保管場所、ステッカーの貼付、取得財産等管理台帳など、後から確認される可能性がある情報を残しておく必要があります。
よくある質問
Q1. この補助金はトラックだけの補助金ですか。
A. いいえ。令和7年度補正予算の商用車等の電動化促進事業では、トラック、タクシー、バスが対象です。環境省の公募ページでは建設機械も同じ事業群として案内されていますが、本記事ではトラック、タクシー、バスを中心に解説しています。51
Q2. 申請先はどこですか。
A. トラックはLEVO、タクシーとバスはJATAです。対象車種によって執行団体が異なるため、同じ会社が複数の車種を導入する場合は、車種ごとに申請先を確認してください。52
Q3. 申請期間はいつまでですか。
A. トラックは令和8年4月24日から令和9年1月15日までです。タクシーとバスは令和8年4月24日から令和9年1月29日までです。ただし、予算残額や受付状況によって扱いが変わる可能性があるため、執行団体の公募ページを確認してください。53
Q4. 補助対象車両一覧にない車両でも申請できますか。
A. 原則として、補助対象車両一覧や事前登録された車型情報で確認できる車両が対象です。トラックはLEVOの対象車型情報、タクシーとバスはJATAの補助対象車両一覧を確認してください。54
Q5. 軽貨物EVも対象になりますか。
A. トラック区分では、軽貨物EVも対象になり得ます。ただし、LEVOの案内では、補助対象の軽車両は荷物を運ぶ事業用の黒ナンバー車両です。黄色ナンバーで登録した後に黒ナンバーへ変更した車両は対象外です。55
Q6. 充電設備だけを申請できますか。
A. 本事業の充電設備は、車両と一体的に導入されるものに限られます。JATAの公募要領でも、充電設備等は車両と一体的に導入されるものが対象です。既存車両や本事業と関係しない設備導入を想定している場合は、対象外になる可能性があります。56
Q7. 交付決定前に発注してもよいですか。
A. 車両と充電設備で扱いが違います。トラックでは、車両購入は交付決定前に行ってもよい一方で、充電設備等の機器と工事は交付決定前に発注等を行った経費が補助対象外です。タクシーとバスでは、通常申請の車両は契約または発注が可能ですが、納車と新規登録は交付決定日後です。改造車と充電設備は交付決定日後に契約、発注、工事着工を行います。57
Q8. 補助金は先に入金されますか。
A. 先払いではありません。交付申請、交付決定、車両導入や設備導入、完了実績報告、交付額確定、精算払請求を経て支払われます。車両代金や工事代金の支払いを先に行う前提で資金繰りを計画してください。58
Q9. リースでも使えますか。
A. 使える場合があります。タクシーとバスでは、リースの場合はリース事業者が申請者になります。JATAの公募要領では、リース料金算定根拠明細書が必要で、補助金がリース料金に反映されていることを確認できる必要があります。補助金の一括還元は認められていません。59
Q10. 多排出者に該当すると申請できませんか。
A. 申請できないわけではありませんが、追加の表明が必要です。令和4年度CO2排出量が20万トン以上の者は、CO2排出削減目標の設定と公表、排出実績や進捗状況の公表、未達時のクレジット調達または未達理由の公表などが求められます。60
Q11. 申請後に車両を売却できますか。
A. 補助金で取得した車両や設備には処分制限があります。処分制限期間内に、使用、譲渡、交換、貸付、担保設定、廃棄などを行う場合は、事前承認が必要です。車両を短期間で入れ替える予定がある場合は、申請前に事務局へ相談してください。61
Q12. どの書類で不備が起きやすいですか。
A. 実務上は、対象車両の型式、車両代金請求書と領収証の名義、車台番号や登録番号の記載、リース料金への補助金反映、事業用軽貨物車の届出書、充電設備の発注日で不備が起きやすいです。公式要件としては、各執行団体の提出資料総括表や公募要領に従って確認してください。62
まとめ
商用車等の電動化促進事業は、トラック、タクシー、バスの電動化を支援する補助金です。車両と充電設備の導入費が対象になりますが、車両区分ごとに執行団体が異なります。トラックはLEVO、タクシーとバスはJATAの資料を確認してください。
最初に確認すべきなのは、補助対象車両の一覧に載っているか、申請者と所有者や使用者の関係が合っているか、登録時期と申請期間に間に合うかです。次に、交付決定前に契約や発注を進めてよい範囲を確認します。特に充電設備は、交付決定前の発注や工事着工が補助対象外につながるため、車両より慎重な管理が必要です。
補助金は原則として後払いです。交付決定を受けた後も、完了実績報告、交付額確定、精算払請求、財産管理、走行データや事業報告が続きます。申請前に、車両の選定、充電設備の見積、必要書類、資金繰り、導入後の管理体制を一つのスケジュールにまとめてから進めると、申請ミスや資金繰りの事故を減らしやすくなります。
出典・参考資料
執筆者:補助金フラッシュ 士業編集部
補助金・助成金の活用法からAI導入、業務の生産性向上まで、中小企業の経営に役立つ情報を士業の専門家チームがわかりやすく解説します。
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