ハウスの建て替えやスマート農業機械の導入を検討しているものの、数百万円から数千万円にのぼる投資額がネックとなり、踏み切れない農業事業者は少なくありません。
この記事では、全国の農業事業者が申請できる設備投資向けの補助金6件と税制優遇1件を紹介します。スマート農業機械の導入から産地連携の設備整備まで、対象者・金額を制度ごとに整理しているので、自社に合う制度をすぐに確認できます(補助金検索フラッシュ掲載データ、2026年4月時点)。
農業の設備投資に使える返済不要の補助金6件と税制優遇1件
以下で紹介する制度の細かい要件については、各支援事業の募集要項でご確認ください。公募は定期的に更新されるため、最新の募集状況は公式ページでご確認ください。
スマート農業・農業支援サービス事業加速化総合対策事業(農業支援サービスの立上げ・事業拡大・流通販売体系転換支援) 1
農業支援サービスの立ち上げや事業拡大に向けて、ニーズ調査からスマート農業機械等の導入、流通販売体系の転換に必要な施設整備までを一体的に支援する事業です。令和7年度補正予算に基づく第3次公募で、単なる機械購入の補助ではなく、事業性向上のための調査・試行・設備導入をセットで支援する点が特徴的です。
複数の都道府県にわたる地域でサービスを展開する事業実施主体が対象となるため、広域で農業支援サービスを手がける事業者にとって使いやすい制度です。都道府県域のみでサービスを提供する場合は都道府県への取りまとめとなり、本公募の対象外となる点に注意が必要です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 複数の都道府県にわたる地域で農業支援サービスの立上げ・事業拡大・流通販売体系転換に取り組む事業実施主体 |
| 補助率・金額の上限 | 公式ページを確認 |
| 補助金詳細ページ | スマート農業・農業支援サービス事業加速化総合対策事業 |
生産力強化に向けた稲作経営モデル確立支援事業(新技術現地検証タイプ) 2
節水型乾田直播や再生二期作などの革新的な水稲栽培技術について、現地検証と経営効果の評価を支援する事業です。補助率は定額で、上限は3億円と大型の予算規模が確保されています。
意外と知られていないのが、単に技術を試すだけでなく、生産コスト低減に関心のある生産者や実需者を集めた情報交換会の開催まで支援対象に含まれる点です。新技術の導入と普及を同時に進めたい団体に適しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 農業に関する専門性と経営分析の経験を持つ民間団体等(民間企業、一般財団法人、協同組合、特定非営利活動法人、学校法人、任意団体等) |
| 補助率・金額の上限 | 定額、上限3億円 |
| 補助金詳細ページ | 稲作経営モデル確立支援事業(新技術現地検証タイプ) |
産地連携支援緊急対策事業 3
食品製造事業者等が産地と連携し、国産原材料の利用拡大や安定調達を図る取り組みを支援する補助金です。補助率は1/2以内、上限は最大3億円(産地支援取組のみの場合)で、下限額は100万円に設定されています。
この制度の面白いところは、新商品開発や製造ラインの変更だけでなく、種苗の提供・機械の貸与・栽培技術指導といった産地側の生産体制強化まで対象に含まれる点です。農業事業者が食品製造事業者と連携して設備を整備する場合に活用できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 食品製造事業者等や産地と連携して国産原材料の利用拡大・安定調達に取り組む事業者・団体 |
| 補助率・金額の上限 | 1/2以内、上限2億円(産地支援取組のみは3億円)。下限額100万円 |
| 補助金詳細ページ | 産地連携支援緊急対策事業 |
中山間地域所得確保推進事業 4
中山間地域の農業者等を対象に、収益性の高い農産物等の生産・販売に関する取組を総合的に支援する事業です。補助率は定額助成で、上限は500万円です。
所得確保計画の策定からマーケット調査、消費者調査、高収益作物の導入戦略検討、計画の実践までを一貫して支援する仕組みになっています。中山間地域で設備投資を検討する前段階として、まず収益性の高い作物への転換を計画したい場合に有効です。受益者数が農業者2者以上であることが要件となるため、地域の農業者同士で連携して申請する形になります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 中山間地域の農業者(2者以上)、農業者団体、市町村、地域協議会等 |
| 補助率・金額の上限 | 定額助成、上限500万円 |
| 補助金詳細ページ | 中山間地域所得確保推進事業 |
続いて紹介するのは、環境分野と連携した制度です。
グリーンイノベーション基金事業(食料・農林水産業のCO2等削減・吸収技術の開発) 5
食料・農林水産業分野におけるCO2削減・吸収技術の研究開発から社会実装までを長期的に支援する公募事業です。高機能バイオ炭等の製造実証を通じて、環境価値を持つ農産物販売の社会実装を目指します。
他の補助金と大きく異なるのは、最長10年間にわたって研究開発・実証から社会実装まで継続支援を受けられる点です。企業や大学等が対象で、脱炭素と農業を掛け合わせた中長期の取り組みに向いています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 高機能バイオ炭等の製造・保管・散布に関する実証を行う企業、大学等 |
| 補助率・金額の上限 | 公式ページを確認 |
| 補助金詳細ページ | グリーンイノベーション基金事業(食料・農林水産業のCO2等削減・吸収技術の開発) |
中小企業投資促進税制(機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除) 6
青色申告書を提出する中小企業者等が、新品の機械装置等を取得した場合に利用できる税制優遇制度です。取得価額に応じた特別償却(30%)または税額控除(7%)を受けられます。
ここが他の制度と大きく違う点で、補助金のような申請・審査ではなく、確定申告時に適用を受ける仕組みです。農業用の機械装置を新品で導入する中小企業であれば業種を問わず活用でき、通年で利用可能なため、設備投資のタイミングを選ばないのも利点です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 青色申告書を提出する中小企業者等(税額控除は資本金3,000万円以下の法人等) |
| 補助率・金額の上限 | 特別償却: 取得価額の30%、税額控除: 取得価額の7% |
| 補助金詳細ページ | 中小企業投資促進税制 |
ウクライナ農業回復緊急支援事業 7
ウクライナの農業復興と世界の食料安全保障の確保を目的とし、日本の農林水産・食品関連企業による現地支援や事業展開を支援する補助金です。補助上限額は4,000万円です。
実現可能性調査、関係者の招へい、技術者等の現地派遣、サプライチェーン強化のいずれかまたは複数の取組が対象となります。日本の農業技術や農業機械を海外に展開したい企業にとって、調査から現地派遣までの費用を包括的にカバーできる制度です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | ウクライナにおける農業支援やサプライチェーン強化に取り組む日本の農林水産・食品関連企業 |
| 補助率・金額の上限 | 上限4,000万円 |
| 補助金詳細ページ | ウクライナ農業回復緊急支援事業 |
申請前に確認しておきたいポイント
対象要件を確認する
まず、自社が対象者の要件を満たしているかを確認しましょう。たとえばスマート農業支援サービス事業は複数都道府県にわたる事業実施主体が対象であるのに対し、中山間地域所得確保推進事業は中山間地域の農業者2者以上が要件です。中小企業投資促進税制は青色申告の中小企業者であれば幅広く利用できます。補助金検索フラッシュなら業種・事業規模で絞り込み、自社に合った制度を確認できます。
書類を準備する
多くの制度で事業計画書の提出が求められます。農業分野では設備導入後の生産量・収益見込みを具体的に示す計画が重視される傾向があります。作成に不安がある場合は、補助金の無料サポートをご利用ください。専門家が補助金の申請をサポートします。
スケジュールを確認する
産地連携支援緊急対策事業は2026年4月28日、ウクライナ農業回復緊急支援事業は2026年5月7日が締切です。電子申請にはGビズIDプライムアカウントが必要で、発行まで数週間かかります。早めに準備しておきましょう。GビズIDの取得方法は補助金申請が忙しい時期に慌てないためのGビズIDの先回り準備をご覧ください。
まとめ
この記事では、全国の農業事業者が申請できる設備投資向けの補助金6件と税制優遇1件を紹介しました。
- スマート農業・農業支援サービス事業加速化総合対策事業: スマート農業機械の導入や農業支援サービスの立上げ・事業拡大を一体的に支援
- 稲作経営モデル確立支援事業(新技術現地検証タイプ): 革新的な水稲栽培技術の現地検証を支援、上限3億円
- 産地連携支援緊急対策事業: 産地と連携した国産原材料の利用拡大・設備導入を支援、1/2以内、上限2億円(産地支援のみ3億円)
- 中山間地域所得確保推進事業: 中山間地域の農業者の所得確保計画策定・実践を支援、定額助成、上限500万円
- グリーンイノベーション基金事業: 農林水産分野のCO2削減・吸収技術の研究開発を最長10年支援
- 中小企業投資促進税制: 新品機械装置等の取得時に特別償却30%または税額控除7%を適用
- ウクライナ農業回復緊急支援事業: ウクライナでの農業支援・事業展開を支援、上限4,000万円
制度ごとに対象条件や補助額が大きく異なるため、自社の事業規模や投資計画に合った制度を選ぶことが重要です。気になる制度があれば、各制度の補助金詳細ページから最新の公募情報を確認してみてください。
おすすめの補助金詳細ページ:
出典・参考資料
- 1.「スマート農業・農業支援サービス事業加速化総合対策事業のうち農業支援サービスの立上げ・事業拡大・流通販売体系転換支援(令和7年度補正予算)の第3次公募について」農林水産省 ↩
- 2.「生産力強化に向けた稲作経営モデル確立支援事業のうち稲作の超低コスト生産確立事業のうち新技術現地検証タイプ」農林水産省 ↩
- 3.「令和7年度補正予算 持続的な食料システム確立緊急対策事業のうち 産地連携支援緊急対策事業 第1次補助金公募」農林水産省 ↩
- 4.「中山間地域所得確保推進事業」農林水産省農村振興局 ↩
- 5.「グリーンイノベーション基金事業(食料・農林水産業のCO2等削減・吸収技術の開発)」NEDO ↩
- 6.「No.5433 中小企業投資促進税制(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)」国税庁 ↩
- 7.「ウクライナ農業回復緊急支援事業」農林水産省 ↩