冷蔵庫の冷えが悪くなった、換気扇の音がうるさくなった——飲食店を経営していると、厨房設備の老朽化は避けられない問題です。しかし業務用設備の入れ替えには数十万円から数百万円の費用がかかり、小規模な店舗ほど投資に踏み切りにくいのが実情です。
この記事では、全国の飲食店が申請できる設備更新向けの補助金6件と税制優遇1件を紹介します。対象者・金額を制度ごとに整理しているので、自社に合う制度をすぐに確認できます(補助金検索フラッシュ掲載データ、2026年4月時点)。
飲食店の設備更新に使える返済不要の補助金6選
以下の制度は全て返済不要の補助金です。細かい要件等については、各支援事業の募集要項でご確認ください。公募は定期的に更新されるため、最新の募集状況は公式ページでご確認ください。
令和8年度食品産業省力化投資促進事業のうち飲食業労働生産性向上推進事業 1
飲食事業者の省力化投資を促進し、労働生産性の向上を図るための事業です。設備導入だけでなく、伴走支援や優良事例の横展開、飲食事業者間の情報交換会の開催まで支援対象に含まれます。
この制度の特徴は、補助上限が2,000万円と高額で、補助率が定額(全額補助)である点です。冷蔵庫や換気扇といった厨房設備の省力化に直結する投資を手厚くカバーできます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 省力化投資を通じて労働生産性を向上させたい飲食事業者 |
| 補助率・金額の上限 | 定額、上限2,000万円 |
| 補助金詳細ページ | 令和8年度食品産業省力化投資促進事業のうち飲食業労働生産性向上推進事業 |
飲食業労働生産性向上支援補助金 2
農林水産省の令和7年度補正予算に基づき、飲食業の労働生産性向上を支援する制度です。自動化・省力化に資する設備・機器・システムの導入がリース限定で対象となります。
他の補助金と大きく異なるのは、設備の導入がリース限定という点です。購入ではなくリースで調理・下処理の自動化設備や、注文・配膳・会計のデジタル化機器を導入したい場合に適しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 調理や下処理の自動化、注文・配膳・会計業務のデジタル化を進めたい飲食事業者 |
| 補助率・金額の上限 | 公式ページを確認 |
| 補助金詳細ページ | 飲食業労働生産性向上支援補助金 |
観光地・観光産業における省力化投資補助事業 3
宿泊業の人手不足解消に資する設備投資等の費用を軽減する制度です。飲食サービス業のうち、旅館業法に基づく許可を受けた宿泊事業者が対象となります。
飲食店単独では申請できませんが、宿泊施設を併設する飲食事業者にとっては注目の制度です。補助率1/2、上限3,000万円と手厚く、省力化設備の導入費用を大きく抑えられます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 旅館業法に基づく許可を受けた宿泊事業者(住宅宿泊事業や一部の風俗営業等は対象外) |
| 補助率・金額の上限 | 1/2、上限3,000万円 |
| 補助金詳細ページ | 観光地・観光産業における省力化投資補助事業 |
観光地・観光産業におけるユニバーサルツーリズム促進事業 4
宿泊施設や観光施設のユニバーサルデザイン導入を支援する制度です。高齢者・障害者・訪日外国人が安心して利用できる環境の整備が目的で、内装の改修にも活用できます。
この制度は補助率1/2、上限5,000万円と今回紹介する中でも高額です。バリアフリー対応の内装工事と合わせて厨房設備の更新を行う場合に、まとめて申請を検討できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 宿泊施設および観光施設の事業者 |
| 補助率・金額の上限 | 1/2、上限5,000万円 |
| 補助金詳細ページ | 観光地・観光産業におけるユニバーサルツーリズム促進事業 |
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 5
中小企業・小規模事業者等が生産性向上に資する革新的な新製品・新サービスの開発や生産プロセスの改善のために行う設備投資等を支援する制度です。飲食業も対象業種に含まれており、厨房の生産性を向上させる設備投資に活用できます。
意外と知られていないのが、この制度は製造業だけでなくサービス業にも幅広く対応している点です。補助率2/3、上限3,000万円で、冷蔵設備や調理機器の刷新など大規模な設備投資にも対応できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 革新的な新製品・新サービスの開発や生産プロセス改善に取り組む中小企業・小規模事業者 |
| 補助率・金額の上限 | 2/3、上限3,000万円 |
| 補助金詳細ページ | ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 |
省エネ・非化石転換補助金 6
省エネルギー性能の高い設備への更新・新設と、エネルギーマネジメントシステム(EMS)の導入を支援する制度です。飲食店においては、省エネ型の冷蔵庫や換気設備への更新が対象となり得ます。
ここが他の制度と大きく違う点で、省エネルギー化が主目的の制度です。中小企業の場合は補助率1/2、上限1億円と非常に手厚い支援を受けられます。老朽化した設備を省エネ型に入れ替えるタイミングで検討する価値があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 省エネルギー性能の高い設備更新・新設を行う事業者 |
| 補助率・金額の上限 | 1/2(中小企業者等の場合)、上限1億円 |
| 補助金詳細ページ | 省エネ・非化石転換補助金 |
次に紹介するのは、補助金ではなく税制優遇の制度です。
中小企業投資促進税制(機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除) 7
青色申告書を提出する中小企業者等が新品の機械装置等を取得した場合に、取得価額に応じた特別償却または税額控除を受けられる税制優遇制度です。飲食店が新品の業務用冷蔵庫や調理設備を導入する際にも適用できます。
補助金のように直接資金を受け取る仕組みではありませんが、特別償却(取得価額の30%相当額)または税額控除(取得価額の7%相当額)が認められるため、設備投資にかかる税負担を抑えることができます。税額控除の対象は資本金3,000万円以下の法人等に限られます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 青色申告書を提出する中小企業者等(資本金等・従業員数の要件あり) |
| 補助率・金額の上限 | 税額控除7%または特別償却30% |
| 補助金詳細ページ | 中小企業投資促進税制 |
申請前に確認しておきたいポイント
対象要件を確認する
まず、自社が対象者の要件を満たしているかを確認しましょう。飲食業労働生産性向上推進事業や飲食業労働生産性向上支援補助金は飲食事業者を対象としていますが、観光庁の省力化投資補助事業は旅館業法の許可が必要など、制度ごとに対象条件が大きく異なります。補助金検索フラッシュなら業種・事業規模で絞り込み、自社に合った制度を確認できます。
書類を準備する
多くの制度で事業計画書の提出が求められます。設備更新の場合は、導入する機器の見積書や省エネ効果の試算など、設備に関する具体的な資料も必要になることがあります。作成に不安がある場合は、補助金の無料サポートをご利用ください。専門家が補助金の申請をサポートします。
スケジュールを確認する
飲食業労働生産性向上推進事業は2026年4月10日、省エネ・非化石転換補助金は4月27日と、申請期限が近い制度もあります。電子申請にはGビズIDプライムアカウントが必要で、発行まで数週間かかります。早めに準備しておきましょう。GビズIDの取得方法は補助金申請が忙しい時期に慌てないためのGビズIDの先回り準備をご覧ください。
まとめ
この記事では、全国の飲食店が申請できる設備更新向けの補助金6件と税制優遇1件を紹介しました。飲食業に特化した制度から、省エネ設備への更新や税制優遇まで、設備投資に活用できる制度は複数あります。
- 飲食業労働生産性向上推進事業: 飲食事業者の省力化投資、定額・上限2,000万円
- 飲食業労働生産性向上支援補助金: 自動化・省力化設備のリース導入支援
- 観光地・観光産業における省力化投資補助事業: 宿泊事業者の省力化設備導入、1/2・上限3,000万円
- ユニバーサルツーリズム促進事業: 宿泊・観光施設のユニバーサルデザイン導入、1/2・上限5,000万円
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金: 中小企業の設備投資・新製品開発、2/3・上限3,000万円
- 省エネ・非化石転換補助金: 省エネ設備への更新・EMS導入、1/2(中小企業)・上限1億円
- 中小企業投資促進税制: 新品の機械装置等の取得時に特別償却30%または税額控除7%
制度ごとに対象条件や補助額が大きく異なるため、自社の規模や設備更新の内容に合った制度を選ぶことが重要です。気になる制度があれば、各制度の公式ページから最新の公募情報を確認してみてください。
おすすめの補助金詳細ページ:
出典・参考資料
- 1.「令和8年度食品産業省力化投資促進事業のうち飲食業労働生産性向上推進事業の再公募について」農林水産省 ↩
- 2.「公募のご案内 飲食業労働生産性向上支援補助金公募のご案内」日本能率協会コンサルティング ↩
- 3.「観光地・観光産業における省力化投資補助事業」観光庁 ↩
- 4.「観光地・観光産業におけるユニバーサルツーリズム促進事業」観光庁 ↩
- 5.「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」全国中小企業団体中央会 ↩
- 6.「省エネ・非化石転換補助金 2026年版特設サイト」環境共創イニシアチブ ↩
- 7.「No.5433 中小企業投資促進税制(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)」国税庁 ↩