京都府で製造業を営む経営者にとって、老朽化した設備の更新や新たな生産ラインの導入は常に大きな判断です。特に伝統産業の現場では、後継者不足とあわせて稀少な道具や専用設備の維持が事業継続の要になっています。
この記事では、京都府の製造業が申請できる設備投資向けの返済不要の補助金6件を紹介します。伝統産業から大規模な工場立地まで幅広い制度を取り上げています(補助金検索フラッシュ掲載データ、2026年4月時点)。
対象者・補助金額を制度ごとに整理しているので、自社の規模や事業内容に合う制度をすぐに確認できます。
京都府の製造業が使える返済不要の補助金6件
以下に紹介する補助金は、いずれも返済不要の制度です。細かい要件等については各支援事業の募集要項でご確認ください。公募は定期的に更新されるため、最新の募集状況は公式ページでご確認ください。
京都産業立地戦略21特別対策事業費補助金 1
京都府内への新規立地や既存工場の増設を行う事業者に対して、設備投資と新規雇用を総合的に支援する制度です。対象は製造業だけでなく情報通信業も含まれ、企業規模も中小から大企業まで幅広く対象になります。
この制度の特徴は、補助上限が最大8億円と非常に大きい点です。府や市町村の誘致を受けた事業所が対象で、投下固定資産額や用地面積、雇用人数などの要件が業種・地域ごとに設定されています。大規模な設備投資を検討している場合に特に検討の価値があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 京都府または市町村の誘致を受け、製造業等の要件(用地面積3,000㎡かつ投下固定資産額3億円かつ府内常用雇用者5人等)を満たす企業(法人)・個人事業主 |
| 補助率・金額の上限 | 1/2、上限8億円(事業区分・認定の有無・立地地域により異なる) |
| 補助金詳細ページ | 京都産業立地戦略21特別対策事業費補助金 |
次に紹介するのは、伝統産業の生産基盤を支える制度です。
令和8年度京都府伝統産業集約化・内製化支援事業費補助金 2
材料やエネルギー価格の高騰で厳しい経営環境にある京都府の伝統産業事業者が、事業所内での生産工程の内製化や集約化のために生産設備を導入する際の費用を支援する制度です。対象経費には設備の購入費、設置費、外注加工費が含まれます。
ここが他の制度と大きく違うのは、補助率が2/3と手厚い点です。対象経費には設備の購入費や設置費に加え、外注加工費も含まれます。外注していた工程を自社内に取り込むための設備投資に活用でき、産地組合等(府内に主たる事務所を有する事業協同組合や協同組合連合会、商工組合等)の推薦を受けた伝統産業事業者が対象になります。京もの指定工芸品や京もの技術活用品の製造に関わる中小企業者であれば申請を検討できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 産地組合等(事業協同組合等)、またはその組合員・推薦を受けた伝統産業事業者(中小企業者) |
| 補助率・金額の上限 | 2/3、上限500万円 |
| 補助金詳細ページ | 令和8年度京都府伝統産業集約化・内製化支援事業費補助金 |
令和8年度京都府伝統産業生産基盤支援事業費補助金 3
京都府の伝統と文化にかかわるものづくり産業の生産基盤を支え、強化することを目的とした制度です。生産設備の新設・増設・更新・改修や、伝統的技術で用いる稀少な道具類の整備を支援します。道具類の整備は産地組合からの申請に限られます。
意外と知られていないポイントとして、存続が危惧される工程の設備更新・改修については上限が500万円に引き上げられます。通常の設備更新・新設は上限250万円ですが、後継者不足等で途絶えかねない工程を維持するための設備改修は優遇される仕組みです。京もの指定工芸品の産地組合の推薦が必要です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 京もの指定工芸品(丹後ちりめん・丹後藤布を除く)の産地組合が推薦する中小企業者、または産地組合 |
| 補助率・金額の上限 | 1/3、上限500万円(存続危惧工程の場合。通常は250万円) |
| 補助金詳細ページ | 令和8年度京都府伝統産業生産基盤支援事業費補助金 |
京もの伝統食品向け 令和8年度京都府伝統産業生産基盤支援事業費補助金 4
京つけものや京上菓子など、京もの伝統食品を製造する事業者を対象にした生産設備の整備支援制度です。食品製造に特化している点がこの制度のユニークなところです。対象経費には生産設備等の購入費、設置費に加え、知事が必要と認める経費(外注加工費等)も含まれます。
生産設備の新設・増設・更新・改修に加えて、伝統的技法で用いる稀少道具類の整備にも使えます。対象経費には設備の購入費や設置費のほか、知事が必要と認める経費として外注加工費なども含まれます。産地組合の推薦を受けた中小企業者が対象で、補助対象事業の実施後も一定期間食品製造を継続することが条件です。伝統食品の製造技術を次世代に引き継ぐうえで、設備面からの支援は重要な意味を持ちます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 京もの伝統食品(京つけもの・京上菓子)の産地組合が推薦する中小企業者、または産地組合 |
| 補助率・金額の上限 | 1/3、上限250万円 |
| 補助金詳細ページ | 京もの伝統食品向け 令和8年度京都府伝統産業生産基盤支援事業費補助金 |
ここからは、京都市内の特定エリアで利用できる産業用地に関する制度を紹介します。
らくなん進都 産業用地創出奨励金制度 5
京都市のらくなん進都地域において、営農が困難な生産緑地を産業用地(事務所・研究施設・工場)へ転換する際の費用負担を軽減する奨励金です。
設備投資そのものへの補助ではありませんが、新たに工場用地を確保したい製造業にとっては見逃せない制度です。売買の場合は売却価格の10%(上限3,000万円)、貸付の場合は固定資産税・都市計画税相当額(年間上限400万円、最長5年)が支給されます。事業指定の決定から5年以内に工事着手が必要です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | らくなん進都地域の生産緑地を産業用地へ土地利用転換(売買または貸付)する企業(法人) |
| 補助率・金額の上限 | 売買価格の10%、上限3,000万円(売買の場合)。貸付は年間上限400万円(最長5年) |
| 補助金詳細ページ | らくなん進都 産業用地創出奨励金制度 |
京都市 らくなん進都産業用地創出奨励金(ものづくり企業向け) 6
同じくらくなん進都地域で、ものづくり企業が本社機能・研究開発機能・製造拠点を整備するために産業用地を取得または賃借する際の奨励金です。地域産業の活性化と雇用創出を目的としています。
前述の奨励金が生産緑地の転換を対象とするのに対し、こちらはものづくり企業の拠点整備に焦点を当てています。法人だけでなく個人事業主も対象で、新規に産業用地を取得して製造拠点を構える場合に利用できます。土地取得費に対して売買価格の10%(上限3,000万円)が支給されます。らくなん進都地域で事業展開を検討している場合は、前述の産業用地創出奨励金とあわせて確認しておくとよいでしょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | らくなん進都地域に新規に産業用地を取得または賃借し、本社機能・研究開発機能・製造拠点を整備する法人・個人事業主 |
| 補助率・金額の上限 | 10%、上限3,000万円 |
| 補助金詳細ページ | 京都市 らくなん進都産業用地創出奨励金(ものづくり企業向け) |
申請前に確認しておきたいポイント
対象要件を確認する
まず、自社が対象者の要件を満たしているかを確認しましょう。たとえば京都産業立地戦略21は府の誘致を受けた大規模投資が前提で、伝統産業集約化・内製化支援事業費補助金は産地組合の推薦が必要です。補助金検索フラッシュなら業種・事業規模で絞り込み、自社に合った制度を確認できます。
書類を準備する
多くの制度で事業計画書の提出が求められます。伝統産業系の補助金では産地組合からの推薦書も必要になるため、組合との調整を早めに進めておきましょう。作成に不安がある場合は、補助金の無料サポートをご利用ください。専門家が補助金の申請をサポートします。
スケジュールを確認する
伝統産業生産基盤支援事業費補助金や伝統産業集約化・内製化支援事業費補助金は、申請期限が2026年5月29日と定められています。電子申請にはGビズIDプライムアカウントが必要で、発行まで数週間かかります。早めに準備しておきましょう。GビズIDの取得方法は補助金申請が忙しい時期に慌てないためのGビズIDの先回り準備をご覧ください。
まとめ
この記事では、京都府の製造業が申請できる設備投資向けの補助金6件を紹介しました。
- 京都産業立地戦略21特別対策事業費補助金: 府内への新規立地・増設を行う企業向け、上限8億円
- 令和8年度京都府伝統産業集約化・内製化支援事業費補助金: 生産工程の内製化・集約化を行う伝統産業事業者向け、上限500万円
- 令和8年度京都府伝統産業生産基盤支援事業費補助金: 伝統的ものづくり産業の設備整備向け、上限500万円(存続危惧工程の場合)
- 京もの伝統食品向け 令和8年度京都府伝統産業生産基盤支援事業費補助金: 京もの伝統食品の生産設備整備向け、上限250万円
- らくなん進都 産業用地創出奨励金制度: 生産緑地を産業用地へ転換する企業向け、上限3,000万円
- 京都市 らくなん進都産業用地創出奨励金(ものづくり企業向け): ものづくり企業の拠点整備向け、上限3,000万円
制度ごとに対象条件や補助額が大きく異なるため、自社の事業規模や投資内容に合った制度を選ぶことが重要です。気になる制度があれば、各制度の公式ページから最新の公募情報を確認してみてください。
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