雇用保険の取得喪失はGビズIDでどこまで電子申請できる?手続きの流れと落とし穴

補助金フラッシュ 士業編集部

入社や退職のたびに、雇用保険の手続きでハローワークに通うのは負担です。GビズIDを使えば、雇用保険の資格取得や喪失などをe-Govから電子申請できるようになります。
結論として大事なのは、GビズIDは窓口を減らす道具であって、手続きの中身まで自動で簡単にするわけではない点です。アカウント種別の選び方、電子証明書が要る手続き、申請後の確認方法まで押さえると電子申請の運用が定着し、GビズIDは利用料金が発生しないと案内されているため試しやすいです。1 自社の手順書づくりの叩き台として使ってください。

雇用保険の取得と喪失は、GビズIDでどこまで電子申請できる?

e-Govの手続きページを見ると、上部に電子署名必要と出て驚くことがあります。ここで止まらず、同じ場所にGビズID電子署名省略可と書かれていないか確認してください。雇用保険の取得と喪失は、この表示が出る代表例です。12
この表示の有無は手続きごとに異なるため、便利さを期待して始めるほど、最初にページ上部の表示を確認することが大切で、社内チェックリストに入れると忘れにくいです。

資格取得届は、GビズIDで電子署名を省略できる

雇用保険被保険者資格取得届は、雇用した従業員が被保険者になったことを事業主が届け出る手続きで、提出時期や手続可能時間が手続情報に明記されています。1
さらに、電子署名は必要だがGビズIDでは省略できると示されているため、少なくともこの手続きでは電子証明書の準備が不要なケースがあります。1
一方で申請画面は紙の様式に近く、氏名や住所、雇用形態などを一つずつ入力する場面が多いため、窓口に行く回数は減っても入力の手間は残ります。3
入社手続きの時点で入力に必要な情報をそろえ、誰がいつ入力するかを決めておくと、電子申請のメリットが出やすくなります。

資格喪失届は、離職票の要否で手続きが分かれる

退職などで被保険者でなくなったときは、離職票の要否に応じた資格喪失届を出し、交付ありの場合は原則として雇用保険被保険者離職証明書の提出が必要です。2
離職票の交付が不要なら、離職票交付なしの資格喪失届が別に用意され、どちらもGビズIDで電子署名を省略できると表示されています。24
離職票交付ありを選ぶのは退職者が失業給付の手続きを行う見込みがある場合が中心なので、どちらを選ぶかを退職時に早めに確定させると差し戻しが減ります。24
紙で提出していたときと同じく、退職時の社内フローもセットで整えると、電子申請に切り替えても混乱が起きにくいです。

GビズIDの種類は3つ、雇用保険で迷うのはここ

GビズIDは、事業者向けの共通ログインです。アカウント種別はエントリー、プライム、メンバーの3つで、電子申請で実務に使う中心はgBizIDプライムgBizIDメンバーになります。5
エントリーは利用範囲が限られるため、雇用保険の手続きを安定して運用したいなら、代表者のプライム取得を起点に考えるのが安全です。5
ここで差が出るのは、代表者が取得して終わりにするのか、担当者に渡して日常運用まで設計するのかで、ログイン情報を共有せずに代表者が毎回操作しない運用が重要です。

まずは代表者のgBizIDプライムが起点になる

gBizIDプライムは法人代表者などのアカウントで、オンライン申請は最短即日、郵送申請は原則2週間以内が目安です。6
郵送申請では印鑑証明書の原本などが必要で、発行日から3か月以内といった条件もあるため、ここで手間が出やすいです。6
オンライン申請の必要物は公式案内にまとまっているので、次の5点をそろえたうえで申請方式を決めると迷いにくいです。7
郵送を選ぶ場合は、印鑑証明書の有効期限内に書類が届くよう、取得日と発送日を近づけると安心です。

  • 代表者のマイナンバーカード
  • SMSを受信できるスマートフォン
  • 申請に使うメールアドレス
  • 会社情報を確認できる手元資料
  • 郵送申請の場合は印鑑証明書などの書類一式

担当者はgBizIDメンバーにすると運用しやすい

gBizIDメンバーは従業員向けで、プライムなどが発行申請し本人が承諾して作成します。5
代表者アカウントを共有せずに申請でき、二段階認証の端末管理ルールまで決めておくと事故が減ります。6
退職や異動で担当者が変わる場面は、追加と権限見直しまで手順書に入れると申請が止まりにくくなります。
誰がどの案件を送ったかを追えるよう、メンバー単位で申請を分ける設計にすると、後から確認しやすくなります。

電子証明書はいつ必要で、いつ不要なのか?

混乱しやすいのは印鑑証明書と電子証明書で、印鑑証明書は主にgBizIDプライムの郵送申請で求められる紙の証明書です。6
電子証明書はe-Govで電子署名を付けるためのデジタル証明書です。
e-Govの利用準備ページでは、社会保険の一部手続きは電子証明書が必要だと示されています。8
この違いを押さえると、準備物と手続きを切り分けやすくなります。

e-Govの表示は、手続ごとに違う

e-Govの手続きページ上部には電子署名の要否が表示され、資格取得届では電子署名必要に加えてGビズID電子署名省略可と出ます。1
この表示がある手続きは、gBizIDプライムやメンバーで申請すれば電子署名を省略できる設計です。8
表示を見ずに電子証明書を手配すると不要なコストになりかねないため、申請前チェックとして上部表示を確認する運用にします。
表示は手続きページの最上部にあるため、入力画面に進む前に一度だけ上を確認する癖を付けると見落としにくいです。

事業所設置届や各種変更届は、gBizIDだけでは足りない場合がある

雇用保険の事業所設置の届出や事業所の各種変更届出のページでは、上部に電子署名必要とだけ表示されます。910
そのため、雇用保険の手続きが全てgBizIDだけで完結するわけではありません。電子証明書を用意して電子申請に切り替えるのか、紙で提出するのかは、手続きの頻度と体制で決めるのが現実的です。
まずは自社で頻度が高い手続きについて、e-Govの各ページで表示を確認してから判断すると、後戻りが少なくなります。8

申請したのに結果が分からないを防ぐ運用

電子申請の不満で多いのが、申請結果を結局見に行く必要があるという点です。ここはe-Gov側の通知設定と、社内の保存ルールで改善できる余地があります。
また、メンテナンスや停止が発生することもあるため、締切が近い申請は余裕を持つのが基本で、入社が集中する月や年度替わりは前倒しで進めると安心です。11
結果確認を楽にするには、通知設定と保存ルールを同じ担当者が面倒を見る形にすると、運用がぶれにくくなります。

メール通知は初期設定がオフの項目がある

e-Govの利用者設定では、メール通知の初期状態として日次サマリーや案件ステータスが受信しないになっています。12
そのままだと状況変化に気づきにくく、毎回ログインして確認する運用になりがちです。
受信するに切り替えると進み具合を把握しやすくなるので、通知設定と担当者の引き継ぎルールをセットで整えると見落としが減ります。12
ただし通知だけに頼らず、週に一度は申請一覧を点検するなど最低限の確認も残すと安全です。

公文書は期限前にダウンロードして保存する

雇用保険の電子申請では、処理後に電子公文書が交付され、資格取得届では被保険者証など従業員に渡す書類も含まれます。3
手続きによっては返戻公文書があるため、手続情報で確認し、交付されたら期限前にダウンロードして社内で保存します。9
例えば社員フォルダと会社保管フォルダに二重保存し、ファイル名に手続き名と年月日を入れるだけでも探す時間が減ります。
システム停止に備え、お知らせも確認しながら社内保存までを手続きのゴールにすると安心です。11

最終的に何を決めれば、電子申請が定着するのか?

雇用保険の電子申請は、ツールを導入するより先に、運用の前提をそろえることが重要です。特に、どの手続きがgBizIDで電子署名を省略できるか、申請後の確認をどう行うかで、体感の手間が大きく変わります。8
また、e-Govは申請の流れとして、e-Gov電子申請アプリケーションのマイページから電子申請を行うと案内しています。13
最初から全手続きを電子化しようとせず頻度が高いものから進め、申請用PCとブラウザを固定すると安定しやすく、操作環境が合っていないと固まると感じやすいので同じ手順で処理できる状態にしておきます。

入力と添付の手間を減らす考え方

入力が多いのは雇用保険に限らず、減らせるのは入力前の情報収集と表記の統一です。
入社時に必ず集める項目を一枚にまとめ、住所や氏名の表記ゆれを防ぐだけでも差し戻しのリスクが下がります。
退職時は離職票の要否を早めに確認し、必要なら離職証明書まで一気に準備します。2
e-Govの一時保存や再利用も使い、入力担当と確認担当を分けて送信前チェックを固定すると手戻りが減りやすくなります。13

次に何をすればよいかが分かる3つの行動

迷ったら、次の3つだけを順番に行うと進みやすいです。小さく始めて手順を固め、次の手続きに広げるやり方が失敗しにくいです。
このチェックは、社労士や総務の引き継ぎ資料としてもそのまま流用できます。

  • 資格取得届と資格喪失届のページで、GビズID電子署名省略可の表示を確認する12
  • 代表者がgBizIDプライムを取得し、担当者にgBizIDメンバーを発行して役割を分ける65
  • e-Govのメール通知を設定し、公文書の保存場所と担当を決める123

この3点がそろうと、窓口に行く回数を減らしつつ、申請後に迷わない形に近づきます。慣れてきたら、事業所関連の手続きが必要かどうかも見直し、必要なら電子証明書の導入も検討します。自社の状況に合わせて、まずは取得と喪失から電子申請に切り替えるのがおすすめです。

  1. 雇用保険被保険者資格取得届の手続情報ページ。電子署名が必要だがGビズIDでは省略できること、提出期限や手続可能時間が示されている。e-Gov電子申請

  2. 雇用保険被保険者資格喪失届(離職票交付あり)の手続情報ページ。GビズIDで電子署名を省略でき、離職証明書の提出が原則必要と示されている。e-Gov電子申請

  3. 雇用保険関係手続きの電子申請案内。電子申請でできる手続の例や、申請後に交付される電子公文書の扱いが説明されている。厚生労働省(2021年)

  4. 雇用保険被保険者資格喪失届(離職票交付なし)の手続情報ページ。離職票が不要な場合に限ることと、GビズIDで電子署名を省略できることが示されている。e-Gov電子申請

  5. GビズIDのクイックマニュアル。エントリー、プライム、メンバーの違いと、メンバーがプライム等から発行されることが整理されている。デジタル庁 GビズID

  6. GビズIDのFAQ。利用料金が発生しないこと、オンライン申請と郵送申請の発行目安、印鑑証明書の要件などが説明されている。デジタル庁 GビズID

  7. gBizIDプライムの法人代表者向けオンライン申請案内。マイナンバーカードとスマートフォンなど、申請に必要なものが示されている。デジタル庁 GビズID

  8. e-Gov電子申請の利用準備ページ。社会保険手続で電子証明書が必要な例や、gBizIDプライムとメンバーで電子署名を省略できる場合がある旨が示されている。e-Gov電子申請

  9. 雇用保険の事業所設置の届出の手続情報ページ。電子署名が必要と表示され、提出期限や返戻公文書の有無が示されている。e-Gov電子申請

  10. 雇用保険の事業所の各種変更届出の手続情報ページ。電子署名が必要と表示され、提出期限などが示されている。e-Gov電子申請

  11. e-Gov電子申請のお知らせ一覧。システムメンテナンスや受付停止などの告知が掲載される。e-Gov電子申請

  12. e-Gov電子申請の利用者設定ヘルプ。メール通知設定の初期状態や、通知を受けるための設定変更が説明されている。e-Gov電子申請

  13. e-Gov初心者向けの案内。電子申請はダウンロードしたe-Gov電子申請アプリケーションのマイページから行うと説明されている。e-Gov電子申請

執筆者:補助金フラッシュ 士業編集部

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