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中小企業が99.7%と言われる理由は? 企業数、従業員数、平均年収を最新公表データで読み解く

中小企業が99.7%と言われる根拠と、企業数、従業員数、平均年収の正しい読み方がわかります。最新公表データで自社の立ち位置を確かめ、賃上げや採用の判断材料にできます。

補助金フラッシュ 士業編集部公開日: 2026年2月13日
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目次

  • まず押さえたい、99.7%の内訳はどうなっている?
  • 従業員数は約7割でも、どこに雇用が集まっている?
  • 平均年収を語る前に、どの統計の数字かを揃える
  • なぜ規模で差が出るのか、付加価値で考えると整理しやすい
  • 自社の立ち位置を数字で確かめる、明日からのチェック項目
補助金フラッシュ 事業計画

物価高や人手不足の話題が続くと、中小企業はどれほど日本経済を支えているのか、賃金は上がるのかが気になります。数字を見ずに議論すると、規模感を取り違えやすいのもこのテーマです。最新の公的統計を使うと、中小企業の姿は企業数ではほぼ小規模、雇用では中小の中でも中規模寄り、賃金では規模差がはっきり見えてきます。読み終える頃には、自社の立ち位置を確認するための物差しが揃います。

目次

  • ●まず押さえたい、99.7%の内訳はどうなっている?
  • 中小企業と小規模事業者は同じではない
  • 最新公表値では企業の84.5%が小規模
  • ●従業員数は約7割でも、どこに雇用が集まっている?
  • 従業者総数と常用雇用者数の違い
  • 中小の中でも雇用の中心は小規模ではない
  • ●平均年収を語る前に、どの統計の数字かを揃える
  • 国税庁の民間給与実態統計調査は何を示す?
  • 企業規模が大きいほど平均給与が高い傾向
  • ●なぜ規模で差が出るのか、付加価値で考えると整理しやすい
  • 付加価値は人件費と利益の原資になる
  • 付加価値を伸ばす方向性は3つに絞れる
  • ●自社の立ち位置を数字で確かめる、明日からのチェック項目
  • 最初に揃えるべき比較軸
  • 社内説明では、3つの持ち帰りに圧縮する
中小企業が99.7%と言われる理由は? 企業数、従業員数、平均年収を最新公表データで読み解く

まず押さえたい、99.7%の内訳はどうなっている?

中小企業と小規模事業者は同じではない

中小企業と聞くと、従業員が数人の会社を思い浮かべる人も多いはずです。ただ、中小企業庁の集計は、中小企業基本法などの定義を参考に、業種ごとに資本金や従業員規模で区分しています。さらにその中に、従業員が特に少ない小規模事業者という区分があります1。

ここを混ぜて考えると、話が噛み合わなくなります。例えば、製造業などは従業員20人以下が小規模ですが、卸売、小売、サービス業は5人以下が小規模です1。同じ従業員15人でも、製造業なら小規模、サービス業なら小規模に当たらない可能性があります。補助金や税制などで要件を確認するときも、この区分が前提になることがあります。

もう1つ、集計対象にも注意が要ります。中小企業庁の公表は、経済センサスのデータをもとに再編加工したものですが、会社以外の法人と農林漁業は含まれていません1。そのため、別の統計や記事で見る事業者数と一致しないことがあります。出典の注記を先に確認すると、数字の食い違いで迷いにくくなります。

最新公表値では企業の84.5%が小規模

よく言われる中小企業は99%という表現は、企業数で見るとかなり近い説明です。中小企業庁の公表では、2021年6月時点の企業数は中小企業が336.5万者で99.7%でした1。ここまでは有名ですが、意外なのは内訳です。

同じ集計で、小規模事業者が285.3万者で84.5%を占めます1。企業数の話題は、実質的に小規模事業者の話になりがちです。中小企業を一枚岩として扱うと、支援策や経営の議論がすれ違う原因になります。99%というフレーズを聞いたら、小規模とそれ以外の中小に分けて考えるだけで整理しやすくなります。

もう1つ大事なのは、このデータの新しさです。経済センサスは頻繁に更新される統計ではなく、最新公表値でも時点は2021年です1。最新データと言うときは、速報性ではなく最新の公表値だと理解しておくのが安全です。次は、企業数よりも現場の実感に近い、雇用の側から見ます。

従業員数は約7割でも、どこに雇用が集まっている?

従業者総数と常用雇用者数の違い

統計によって従業員数と書かれていても、定義が違う場合があります。中小企業庁の集計では、従業者総数のほかに、常用雇用者数も出ています2。ざっくり言うと、従業者総数はその企業で働く人を広めに捉え、常用雇用者数は雇用の中心部分を捉えるイメージです。

社内説明や資料作りでは、どちらの数字を使ったかを明記するだけで誤解が減ります。例えば、家族従業者や短時間勤務の人を含めるかどうかで、現場の体感と数字がずれることがあります。採用計画や人件費の見通しでは、常用雇用者数の方が議論に合うケースもあります2。表の見出しに従業者か常用雇用者かが書かれているかを、最初に確認してください。

中小の中でも雇用の中心は小規模ではない

従業者総数で見ると、2021年6月時点で中小企業の従業者は約3,310万人で、全体の約7割です2。ここまでは直感に合うかもしれません。ただ、企業数の多数派である小規模事業者が、雇用でも多数派かというと別です。

同じ集計では、小規模事業者の従業者は約973万人で、全体の約2割でした2。言い換えると、雇用のボリュームは小規模が圧倒的というより、中小の中でも小規模以外(中規模寄り)が中心になっています。企業数だけを見て中小企業像をつくると、雇用の議論でズレが起きる理由がここにあります。採用競争が厳しいと感じる業界ほど、この分布を前提に考えると現実に近づきます。

政策や報道で中小企業向けと言われる対策が、必ずしも小規模の現場に効くとは限りません。逆に言えば、自社が小規模か、それ以外の中小かで、効く施策や打ち手が変わり得ます。次は、賃金の数字でも同じズレを起こさないために、統計の選び方から整えます。

平均年収を語る前に、どの統計の数字かを揃える

国税庁の民間給与実態統計調査は何を示す?

平均年収の話題は、給与明細の実感と統計がずれやすい領域です。国税庁の民間給与実態統計調査は、源泉徴収(給料から税金を天引きする仕組み)のデータをもとに、民間の給与所得者の給与を集計した統計です3。会社員などの給与に強い一方で、個人の所得全体を示すものではない点に注意が必要です3。

さらに、平均は分布の真ん中を表す指標ではありません。少数の高所得者がいると平均が押し上げられるため、体感より高く見えることがあります。平均年収をみんなの実感として使うより、比較の物差しとして使う方が誤解が減ります。気になるときは、同じ調査にある給与階級別の分布も一緒に見ると納得しやすいです3。

もう1つ混ざりやすいのが、給与と手取りの違いです。統計の平均給与は税引き前で、社会保険料や所得税、住民税は引かれていません3。社内で賃上げの議論をするときは、手取りの話と給与総額の話を同じ表で扱わないようにしてください。福利厚生や通勤費などの扱いも社内基準で揃えると、比較が安定します。

企業規模が大きいほど平均給与が高い傾向

この調査で、1年を通じて勤務した人の平均給与は478万円とされています3。ここでの給与は、給料・手当と賞与の合計で、税引き前の金額です3。平均年収を語るときは、まずこの定義を揃えるのが出発点になります。

同じ調査では、企業規模を資本金で分けた平均給与も公表されています。例えば、資本金2,000万円未満の企業では平均給与が403万円、資本金10億円以上の企業では673万円でした3。規模が上がるほど平均給与が高い傾向が、数字として確認できます。資本金が小さいスタートアップ(新興企業)でも給与水準が高い例はあるので、傾向として捉えるのが安全です。

ただし、これをそのまま中小企業と大企業の差と断定するのは危険です。中小企業の定義は業種で異なり、資本金だけで決まらないからです1。それでも、賃上げや採用の議論で、規模差が現実にあることを押さえておくと、目標設定が現実的になります。次は、この差がどこから生まれるかを、付加価値で整理します。

なぜ規模で差が出るのか、付加価値で考えると整理しやすい

付加価値は人件費と利益の原資になる

付加価値は、売上高そのものではありません。原材料や外注費などの中間投入を差し引いて、企業が新たに生み出した価値を指します4。国の説明でも、国内総生産(GDP)は国内で生み出された付加価値の総額として整理されています4。付加価値という言葉は難しく見えますが、売上から外部支出を引いた残りと考えると理解しやすいです。

中小企業の議論で付加価値が重要なのは、付加価値が人件費と利益の元手になるからです。中小企業白書でも、付加価値額全体の5割以上を中小企業が生み出しているとされています5。賃金や投資の余力を考えるなら、売上だけでなく付加価値を見る方が話が早くなります。売上が伸びていても外注や材料費が増えていると、賃上げ余力が増えないことがあります。

とはいえ、規模だけで未来が決まるわけではありません。中小企業白書は、平均では規模が大きいほど労働生産性(1人当たりの付加価値)が高い一方で、中小企業の上位層が大企業の中央値を上回ることも示しています6。同じ規模でも、付加価値を生む設計ができている企業は賃金を上げやすい、という読み方ができます。自社の改善余地を探すときは、規模よりも付加価値の出し方に目を向けるのが近道です。

付加価値を伸ばす方向性は3つに絞れる

付加価値を増やす方法は無数に見えますが、実務では次の3つに集約できます。

  • 値付けを見直し、同じ提供物でも単価を上げる
  • 仕事の流れを整え、同じ人数でこなせる量を増やす
  • 外注や材料の使い方を見直し、中間投入を減らす

例えば、値付けの見直しは、いきなり値上げする話ではありません。納期、品質、対応範囲のどれが評価されているかを言語化し、見積書の項目を整理するだけでも、単価は変わり得ます。仕事の流れも、属人化を減らして手戻りを減らすだけで、同じ人数でも付加価値が増えることがあります。最後に、自社の立ち位置を確認するためのチェック項目を置きます。

自社の立ち位置を数字で確かめる、明日からのチェック項目

最初に揃えるべき比較軸

統計は、読むだけでは行動に直結しません。手元の数字とつなげると、意思決定に使えるようになります。次の順番で確認すると迷いにくいです。

  • 自社が中小企業、小規模事業者のどちらに当たるかを、業種の定義で確認する1
  • 従業者総数と常用雇用者数のどちらで議論するかを決める2
  • 付加価値の簡易指標として、粗利や外注費などの外部支出を月次で追える形にする4
  • 平均年収のベンチマークは、同じ統計の区分(企業規模や事業所規模)で見る3

ここまで揃うと、賃上げや採用、投資の議論が数字で噛み合います。特に社外向け資料では、出典と時点を書くだけで説得力が上がります。データは年次で更新されるものと、数年おきに更新されるものが混ざるため、時点の違いにも目を向けてください。

付加価値は、まずはシンプルに捉えて十分です。売上から仕入や材料、外注などの外部支出を引いて、残りが人件費と利益の取り分だと考えるだけでも、会話が具体的になります。次に、その残りを従業者数で割り、1人当たりの水準を追うと、賃上げ余力の議論がしやすくなります。月次が難しければ四半期でも構いません。

社内説明では、3つの持ち帰りに圧縮する

覚えておきたいポイントは3つです。企業数の99.7%は事実でも、その大半は小規模事業者です1。雇用は中小が約7割ですが、小規模が抱える雇用は約2割で、規模の見方が変わります2。そして、平均年収には規模差があるため、付加価値を増やす設計が欠かせません34。

自社の現状をこの3点で説明できれば、議論の土台が整います。数字は完璧でなくても、定義と時点を揃えるだけで意思決定の質は上がります。次にやることは、付加価値が増える仕事と増えない仕事を見分け、資源の配分を変えることです。小さく試し、数字で確かめる習慣が、賃金と利益の両立を助けます。

出典・参考資料

  1. 中小企業・小規模事業者の数(2021年6月時点)を中小企業庁が経済センサスから再編加工して公表。企業数の構成比(中小99.7%、うち小規模84.5%)と区分定義(業種別の資本金・従業者規模)を示す。中小企業庁(2023年12月13日) ↩

  2. 中小企業・大企業別に、企業数と常用雇用者数、従業者総数を掲載した集計表(2021年)。従業者総数で中小の比率が約7割、うち小規模の比率が約2割になることが読み取れる。中小企業庁(2023年12月13日) ↩

  3. 民間給与実態統計調査(令和6年分)の結果報告。1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与(478万円)や、資本金区分別・事業所規模別の平均給与などを公表している。国税庁(2025年9月) ↩

  4. GDPダッシュボードの解説。GDPは国内で生み出された付加価値の総額であり、生産・支出・分配の3つの側面から算出できることを説明している。デジタル庁(2025年12月8日更新) ↩

  5. 中小企業白書の解説ページ。業種別・企業規模別に従業者数や付加価値額の内訳を示し、全体として付加価値額の5割以上を中小企業が生み出している点を説明している。中小企業庁(2021年) ↩

  6. 企業規模別の労働生産性について、中小企業の上位層が大企業の中央値を上回り得ることなどを示し、企業規模だけで生産性が決まらない点を説明している。中小企業庁(2021年) ↩

執筆者:補助金フラッシュ 士業編集部

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執筆者
補助金フラッシュ 士業編集部
公開日: 2026年2月13日

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