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ブログ|経営・労務

中小企業の定義で迷う、常時使用する従業員の数え方はどう決める?

中小企業かどうかの判定で迷う常時使用する従業員の数え方を整理。制度ごとの違い、パート・アルバイトの扱い、50人ルール、加入後に影響が出る場面、確認に残す資料まで解説します。

補助金フラッシュ 士業編集部公開日: 2026年2月9日更新日: 2026年2月11日
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目次

  • なぜ常時使用する従業員で迷うのか?
  • パート、アルバイトはどう数える?
  • 50人、100人、300人ルールはどこで出てくる?
  • 加入後に人数が増えたらどうなる?
  • 実務で迷わないための整理手順
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制度の申請書に出てくる常時使用する従業員を、正社員の人数だと決め打ちすると、判断を誤ることがあります。実は小規模企業共済では、従業員数は加入時点の要件で、加入後に増えても共済契約は続けられます。1 ただし別の制度では、パートやアルバイトの扱いが変わり、業種ごとに上限人数も違います。
この記事では、中小企業の定義に出てくる常時使用する従業員の意味と、迷わない数え方を実務目線で整理します。社内説明や申請前の確認に、そのまま使ってください。

目次

  • ●なぜ常時使用する従業員で迷うのか?
  • 中小企業の定義は1つではない
  • 先に確認すべきなのは、定義と判定のタイミング
  • ●パート、アルバイトはどう数える?
  • 中小企業基本法の考え方は、解雇予告が必要かどうか
  • 小規模企業共済は、パート等を除外する定義になっている
  • ●50人、100人、300人ルールはどこで出てくる?
  • 労働保険事務組合へ委託できる事業主の範囲
  • 不動産業で60人がひっかかる理由と、見落としやすい例外
  • ●加入後に人数が増えたらどうなる?
  • 加入時の人数要件で、その後は契約が続く制度もある
  • ただし、手続や位置づけが変わる制度もある
  • ●実務で迷わないための整理手順
  • Step1 制度名を固定し、定義を1枚にまとめる
  • Step2 カウントの根拠を残し、社内説明できる形にする
中小企業の定義で迷う、常時使用する従業員の数え方はどう決める?

なぜ常時使用する従業員で迷うのか?

中小企業の定義は1つではない

まず押さえたいのは、中小企業の定義は制度ごとに別物だという点です。補助金、共済、税制、労働保険(労災保険と雇用保険)などで同じ言葉が出てきても、根拠法令や目的が違えば、従業員の数え方も変わります。中小企業基本法の文脈では、常時使用する従業員は労働基準法の解雇予告が必要な労働者を指す、という解釈が示されています。1 一方、小規模企業共済の加入要件では、常時使用する従業員を正社員として雇用されている方に限定し、パート従業員などは除くと明記しています。2 この違いを一度でつかむために、代表的な3つの場面を並べます。ポイントは、言葉ではなく、制度の目的と根拠資料です。

よくある場面どこを見て判定するか従業員の考え方の例判定のタイミングの例
中小企業基本法に基づく中小企業の区分中小企業庁の定義説明や公募要領解雇予告が必要な労働者として整理する考え方が示される申請時点で判定することが多い
小規模企業共済の加入資格制度の加入資格ページ正社員として雇用されている方のみを数える加入時点の要件が中心
労働保険の事務委託や特別加入労働局のリーフレットやパンフレット常時使用する労働者の人数で上限が決まる委託、加入の前提条件として使われる

制度をまたいで言葉だけをコピーすると、同じ会社でも、ある制度では中小に該当し、別の制度では該当しない、という事態が起きます。判断が割れたときは、制度名と根拠資料を見直すだけで解決することが多いです。

先に確認すべきなのは、定義と判定のタイミング

次に重要なのは、いつの人数で判定するのかです。加入や申請の時点だけを見ればよい制度もあれば、利用中に要件を満たし続ける前提の制度もあります。たとえば小規模企業共済では、従業員数は加入時点の要件で、加入後に増えても契約は継続できると書かれています。2 加入後の人数変動を気にしなくてよい点は、経験者でも見落としやすいポイントです。反対に、労働保険の事務手続を労働保険事務組合へ委託できるかどうかは、事業主の規模要件が前提になっています。3 ここまでが分かると、次に見るべきはパート、アルバイトの扱いです。

パート、アルバイトはどう数える?

中小企業基本法の考え方は、解雇予告が必要かどうか

中小企業基本法の定義を使う場面では、常時使用する従業員は解雇予告が必要な労働者として考える、という整理がされています。1 ここで注意したいのは、パートやアルバイトを一律に除外できないことです。雇用形態の呼び名ではなく、雇用契約と勤務実態を踏まえて個別判断になる、とされています。1

実務の感覚としては、次のように考えるとブレにくいです。日雇い、短期の有期雇用、季節的業務の短期雇用、試用期間中など、労働基準法上の解雇予告の対象外に整理される働き方は、カウントから外れる可能性があります。4 例えば、1か月だけ雇う短期スタッフと、長期前提で働くパートでは、同じ呼び名でも扱いが変わり得ます。逆に言うと、パートやアルバイトでも雇用が継続する前提で働いており、解雇予告が必要な状態であれば、常時使用に入る可能性があります。

さらにややこしいのが、契約社員や派遣社員、出向者などです。京都府の資料でも、パート、アルバイト、派遣社員、契約社員、出向者は条文をもとに個別判断される、と整理されています。4 よくあるミスは、社会保険の加入者数や給与台帳の人数をそのまま転記してしまうことです。制度が求めているのは常時使用なので、判断日を決め、同じ基準で全員を並べてから数えると説明しやすくなります。

迷ったときは白黒の断定よりも、判断根拠を残して、申請先の窓口や専門家に照会できる状態を作るのが安全です。

小規模企業共済は、パート等を除外する定義になっている

同じ言葉でも、制度が変わると結論が変わる代表例が小規模企業共済です。小規模企業共済では、常時使用する従業員は正社員として雇用されている方で、パート従業員や臨時に期間を定めて雇い入れている方は除くと説明されています。2 つまりこの制度では、週何日働くかといった勤務実態で迷う前に、そもそもカウント対象が絞られています。

さらに、小規模企業共済では加入資格の目安として、製造業などは常時使用する従業員が20人以下、商業やサービス業は5人以下とされています。2 事業が複数ある場合は主たる事業の業種区分で判断するとも書かれているため、複数事業を営む場合は業種の前提から確認してください。2 ここまでで、パート、アルバイトの扱いが制度で変わることが分かりました。次は、もう一つよく出てくる人数基準である50人、100人、300人のルールを見ます。

50人、100人、300人ルールはどこで出てくる?

労働保険事務組合へ委託できる事業主の範囲

50人、100人、300人という数字は、労働保険の手続を労働保険事務組合へ委託できるかどうかの説明で登場します。労働保険事務組合は、事業主に代わって労働保険の事務手続を行う仕組みです。京都労働局のリーフレットでは、常時使用する労働者が、金融、保険、不動産、小売で50人以下、卸売とサービスで100人以下、その他で300人以下の事業主が対象とされています。3

この制度を使うと、労働保険料の申告納付などの事務負担が軽くなるほか、一定の場合に事業主や家族従事者が労災保険へ特別加入できる、と案内されています。3 人数基準が気になるのは、このメリットを使えるかどうかの分かれ目になるからです。

不動産業で60人がひっかかる理由と、見落としやすい例外

不動産業で常時使用する労働者が60人いる場合、上の基準では50人以下を超えるため、委託の対象外になります。3 ここで注意したいのは、数える対象が単に名簿上の正社員とは限らないことです。厚生労働省の特別加入(中小事業主等)のパンフレットでは、通年雇用をしていなくても、1年間に100日以上労働者を使用している場合は常時使用と取り扱う、と書かれています。5 季節波動のある事業では、見た目より人数の判定が厳しくなりやすい点に注意が必要です。

また同じパンフレットでは、工場や支店などが複数ある場合は、それぞれで使用される労働者数を合計すると説明されています。5 拠点別に見ると小さく見えても、全社合計では上限を超えるケースがあるため、集計単位も含めて確認が必要です。

加入後に人数が増えたらどうなる?

加入時の人数要件で、その後は契約が続く制度もある

小規模企業共済は、ここを誤解しやすい制度です。加入要件として従業員数の上限がありつつも、常時使用する従業員の数は加入時点の人数要件で、加入後に増えて要件から外れても共済契約は続けられる、と明記されています。2 つまり、加入時点の要件を満たしていれば、事業の成長で人を増やしたからといって直ちに脱退になる、という設計ではありません。

ただし、契約を続けられることと、常時使用する従業員のカウントが不要になることは別です。補助金や別制度の申請で同じ言葉が出たときは、改めてその制度の定義へ戻る必要があります。

ただし、手続や位置づけが変わる制度もある

一方で、制度によっては人数が増えると影響が出ます。労働保険事務組合への委託や、事務組合を通じた特別加入は、小規模な事業主を想定した枠組みです。35 パンフレットには、特別加入は労働保険事務組合を通じて申請することや、事務委託を解除した場合に特別加入者としての地位が消滅することなど、制度の前提条件が示されています。5 人数だけで自己判断せず、どの条件が効いているのかを確認してから動くのが安全です。ここまでの話を、最後に実務の手順へ落とし込みます。

実務で迷わないための整理手順

Step1 制度名を固定し、定義を1枚にまとめる

最初にやるのは、申請書や案内に書かれている制度名を固定し、その制度が採用している定義を1枚にまとめることです。中小企業基本法の定義で判定するのか、小規模企業共済の加入要件で判定するのか、労働保険の制度なのかで、カウントが変わります。213 同じ会社の話をしているのに結論が割れるときは、ほぼ例外なく、ここで別の定義を混ぜています。

社内向けのメモは、難しく書く必要はありません。例えば、制度名、判断日、人数の内訳、根拠資料の4点がそろうだけで、あとから見直せます。判断日を固定すると、繁忙期の一時的な増員に引きずられにくくなります。迷った論点があれば、どの案内に戻るべきかも明確になります。

Step2 カウントの根拠を残し、社内説明できる形にする

次に、数えた人数の根拠を残します。特にパートやアルバイトがいる会社は、後から説明できる形にしておくと安心です。

  • 雇用契約書や労働条件通知書(期間の定め、試用期間の有無)
  • 勤怠記録やシフト表(継続性、年間の稼働日数の把握)
  • 賃金台帳や給与明細(在籍と勤務の実態確認)
  • 判定した日付と、人数の内訳(正社員、パート、派遣など)

制度の審査で困るのは、数が合っているかよりも、なぜその数え方をしたのかを説明できないケースです。迷いやすい働き方が混ざるほど、根拠を残す効果は大きくなります。最後に、この記事の持ち帰りを3つに絞ります。

  • 常時使用する従業員は、制度ごとに定義が違うので、まず制度名と根拠資料を固定します。
  • パート、アルバイトは一律に除外とは限らない一方、小規模企業共済のように明確に除外する制度もあります。21
  • 判定のタイミングが加入時だけか、継続要件かを確認すると、加入後に人数が増えたときの対応が見えます。23

出典・参考資料

  1. 中小企業基本法上の常時使用する従業員の解釈を示したFAQ。労働基準法第20条の解雇予告が必要な者と解し、パート等は条文をもとに個別判断と説明。中小企業庁 ↩

  2. 小規模企業共済の加入資格を説明するページ。常時使用する従業員は正社員として雇用される方で、パート等を除外し、加入後に従業員数が増えても契約は継続できると明記。中小企業基盤整備機構 ↩

  3. 労働保険事務組合制度のリーフレット。事務委託できる事業主の規模として、金融、保険、不動産、小売は50人以下等の基準を掲載。京都労働局(2020年9月) ↩

  4. 常時使用する従業員を労働基準法第20条の解雇予告が必要な者とし、同法第21条の例外や、雇用形態ごとの考え方を整理した資料。京都府 ↩

  5. 労災保険の特別加入制度(中小事業主等)を説明するパンフレット。業種別の人数基準と、通年雇用でなくても年100日以上使用なら常時使用と扱う旨などを記載。厚生労働省(令和6年4月1日現在) ↩

執筆者:補助金フラッシュ 士業編集部

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執筆者
補助金フラッシュ 士業編集部
公開日: 2026年2月9日
更新日: 2026年2月11日

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