キャリアアップ助成金は、いわゆる非正規雇用の労働者を正社員へ転換したり、賃金規定を見直して処遇を改善したりした事業主に支給される助成金です。1
申請の成否は、キャリアアップ計画書の事前提出と、就業規則や賃金管理の整合でほぼ決まります。
特に正社員化コースは、転換後の賃金が転換前より3%以上増えていることなど、手順を誤ると後から修正できない要件があります。2
この記事では、令和7年度の公式一次資料を根拠に、全コースの概要と、正社員化コースを中心とした要件確認と申請の流れを整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名(正式名称) | キャリアアップ助成金 |
| 対象年度/公募回(次回予定があれば次回) | 令和7年度(通年運用。取組日と様式の版に注意) |
| 最終更新日 | 2026年2月3日 |
| 所管/実施機関/事務局 | 所管:厚生労働省/申請窓口:都道府県労働局またはハローワーク1 |
| 補助上限額/補助率(類型差があれば併記) | コース別の定額助成。例:正社員化コースは有期→正規で中小企業40万円(対象者区分で2期合計80万円の区分あり)など。賃金規定等改定コースは賃上げ率区分により1人当たり4万円〜7万円など(企業規模で差)。3 |
| 申請期間(開始/締切) | 通年。各コースの取組日の前日までにキャリアアップ計画書を提出し、取組後は原則として6か月分の賃金支払い後、支払日の翌日から2か月以内に支給申請します(コースにより例外あり)。24 |
| 公式一次資料(PDF/Word)のリンク集(募集要綱/手引き/FAQ/様式 等) | 公式ページ 令和7年度 公式ページ / 支給要領 令和7年7月1日版 PDF / パンフレット 令和7年度版 2025年4月1日 PDF / Q\&A 令和7年度版 PDF / 申請様式 令和7年7月1日以降の取組 公式ページ |
| 短時間労働者労働時間延長支援コース一次資料 | パンフレット 2025年7月1日 PDF / Q\&A PDF / リーフレット PDF |
| 免責 | 申請可否や経費判断は、当該年度の募集要領・交付要綱等と事務局の案内で最終確認してください。 |

制度の全体像
キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者など、いわゆる非正規雇用の労働者のキャリアアップを促す取組をした事業主に対して支給する制度です。1
支給の考え方は「領収書の金額を補助する」方式ではなく、「一定の取組を行い、要件を満たしたときにコースごとの定額を支給する」方式です。23
そのため、制度の読み方は、補助金よりも「取組の順番」と「対象者の定義」を優先すると失敗が減ります。
誰に支給されるか
支給を受けるのは原則として事業主です。従業員個人に直接振り込まれる制度ではありません。4
また、同じ「キャリアアップ」という言葉でも、個人向けの支援事業や研修補助と混同しやすいので、必ず厚生労働省のキャリアアップ助成金ページから一次資料を確認してください。1
令和7年度のコース構成
令和7年度の公式ページでは、正社員化、処遇改善、社会保険適用に関する支援など、複数のコースが案内されています。1
正社員化を支援するものと、賃金や制度面の処遇改善を支援するものに大別すると理解しやすくなります。3
コース選択の考え方
制度は「正社員化したい」「賃金規定を整えたい」「社会保険の適用を進めたい」など目的で分けて読むと、必要資料と手順が整理できます。13
目的から選ぶ早見表
| よくある目的 | 候補になるコース | 最初に確認する資料 |
|---|---|---|
| 有期や無期の従業員を正社員にしたい | 正社員化コース | 支給要領、リーフレット、様式ページ256 |
| 障害のある従業員の正社員化を進めたい | 障害者正社員化コース | 公式ページ、該当コース資料7 |
| 基本給を引き上げる賃金規定改定をしたい | 賃金規定等改定コース | パンフレット、支給要領、様式ページ326 |
| 正規と同じ賃金規定を非正規にも適用したい | 賃金規定等共通化コース | パンフレット、支給要領32 |
| 賞与や退職金制度を導入して実際に支給したい | 賞与・退職金制度導入コース | パンフレット、支給要領32 |
| 社会保険の適用拡大に合わせて手当や労働時間延長をしたい | 社会保険適用時処遇改善コース、短時間労働者労働時間延長支援コース | 各コースの公式ページ、Q\&A、リーフレット89410 |
| この早見表は「入口」をまとめたものです。最終的なコース確定は、取組日、対象労働者の区分、企業規模をそろえた上で一次資料を突合して行ってください。26 | ||
| Q\&Aには、コース別に判断で迷いやすい点がまとめられているため、申請前の確認用として併読すると便利です。11 |
対象コースと支援内容
令和7年度は、正社員化を中心にしつつ、賃金規定改定や社会保険適用に関する支援も並行して用意されています。1
まずは全体像を表で押さえ、次に自社が使うコースの支給要件を深掘りする順序が効率的です。3
コース別の全体像
| コース | 支援の方向性 | 主な支給額の目安 | 制度上のポイント |
|---|---|---|---|
| 正社員化コース | 有期や無期などから正規雇用へ転換、または派遣先で直接雇用 | 有期→正規:中小40万円、大企業30万円(対象者区分で2期合計80万円・60万円の区分あり)/無期→正規:中小20万円、大企業15万円(同様に2期合計40万円・30万円の区分あり)32 | 対象労働者の条件が細かい。転換前後の賃金要件と計画書の事前提出が重要25 |
| 障害者正社員化コース | 障害のある有期等を正規や無期へ転換、または派遣先で直接雇用 | 支給額は障害区分や転換形態で差があるため、公式ページの支給額表で確認7 | 障害者雇用関係の要件が重なることがある。一般の正社員化コースと混同しない7 |
| 賃金規定等改定コース | 基本給の賃金規定等を改定し賃金を引上げ | 賃上げ率区分で1人当たり4万円〜7万円(大企業は2万6千円〜4万6千円)など。加算の区分あり3 | 賃金規定等の対象範囲や改定の証拠の残し方が重要3 |
| 賃金規定等共通化コース | 正規と共通の賃金規定等を新たに規定、適用 | 1事業所当たり中小60万円、大企業45万円3 | 共通化の対象と適用範囲を就業規則等で明確にする3 |
| 賞与・退職金制度導入コース | 賞与または退職金制度を導入し、実際に支給または積立 | 賞与または退職金:中小40万円、大企業30万円/両方:中小56万8千円、大企業42万6千円3 | 制度導入だけでなく、支給や積立の実績が要件になる点に注意3 |
| 社会保険適用時処遇改善コース | 社会保険の適用拡大に合わせて手当等や労働時間延長で処遇改善 | メニュー別に助成。制度ページとQ\&Aで最新の支給額区分を確認812 | 令和8年3月31日までの暫定措置の案内がある。取組日で適用コースが分かれる1 |
| 短時間労働者労働時間延長支援コース | 短時間労働者の労働時間延長と賃上げ等により社会保険の適用を後押し | 手当等支給メニューで1年目20万円、2年目20万円、3年目10万円など。労働時間延長メニューで30万円など(大企業は中小の3/4)9 | 暫定措置として開始。社会保険適用時処遇改善コースからの切替案内がある910 |
| この表は全体像の早見表です。実際の申請では、取組日、対象労働者の区分、企業規模によって様式や支給額が変わるため、必ず支給要領と様式の注意書きを突合してください。26 |
キャリアアップ計画書の作成と変更
キャリアアップ計画書は、取組の前提になる書類です。取組の前日までに提出する必要があるため、コースの候補が固まったら最初に着手してください。6
支給要領では、計画期間の考え方や、変更や中止の手続きも定めています。2
計画期間の決め方
支給要領では、キャリアアップ計画期間は3年以上5年以内で設定し、開始日は計画書の提出日以降としています。2
また、必要に応じて計画期間の延長は可能ですが、延長後の総計画期間が5年を超えない範囲で行います。2
計画期間を短くし過ぎると、賃金支払期間や制度導入の実施月が計画期間に収まらず手戻りしやすいので、取組の実施予定を月単位で並べてから期間を決めると安全です。
変更届が必要になる場面
計画期間中に計画内容を変更または中止する場合、変更届をあらかじめ提出して認定を受ける扱いがあります。2
様式ページには変更届(様式第2号)が用意されているため、転換日や改定時期が動きそうなときは、先に様式と注意書きを確認し、必要なら提出先へ相談してください。6
申請できる事業主の共通要件
キャリアアップ助成金はコースが違っても、事業主として共通で満たすべき要件があります。まずここで「入口」でつまずかないことが大切です。32
共通要件の要点
| 観点 | 確認ポイント |
|---|---|
| 雇用保険の適用 | 雇用保険適用事業所であることが前提になります(コースにより確認方法が異なるため支給要領で確認)。2 |
| キャリアアップ計画 | キャリアアップ計画書を作成し、取組の前日までに都道府県労働局へ提出します。6 |
| 書類の整備 | 労働条件、勤務状況、賃金の支払状況などを説明できるよう、就業規則や台帳類を整合させます。26 |
| この段階で曖昧な点が残る場合は、計画を出す前に管轄の労働局またはハローワークへ相談する方が安全です。16 |
対象外になりやすい事業主の例
パンフレットでは、次のような事業主は支給対象外として整理しています。ここは審査以前に入口で落ちるため、最初に確認してください。3
| 対象外になりやすい事情 | 具体例 |
|---|---|
| 労働保険料の未納 | 申請年度より前の保険年度の労働保険料を納付していない場合など3 |
| 法令違反 | 支給申請日の前日から過去1年以内に労働関係法令違反がある場合など3 |
| 特定業種 | 性風俗関連営業、接待を伴う飲食店営業など3 |
| 反社会的勢力等 | 暴力団関係、暴力主義的破壊活動を行うおそれのある団体等に関わる場合など3 |
| 倒産等 | 支給申請日または支給決定日時点で倒産している場合など3 |
| 雇用保険の要件未充足 | 支給決定時点で雇用保険適用事業所の事業主でない場合など3 |
| ここに該当しそうな場合は、コース選択以前に相談しておくことで、無駄な書類作成を避けられます。1 |
中小企業の判定
支給額は企業規模で変わることが多く、特に正社員化コースや賃金規定等改定コースで差が出ます。中小企業の範囲は業種と資本金または常時雇用する労働者数で判定します。3
| 業種 | 資本金の額または出資の総額 | 常時雇用する労働者数 |
|---|---|---|
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 常時雇用する労働者数の数え方も定義があります。判断に迷うときは、疎明書の例示様式も用意されているため、提出先で扱いを確認してください。36 |
正社員化コースの要件を深掘り
正社員化コースは「一人当たりの支給額が分かりやすい」反面、「対象労働者の定義」と「取組の順番」が細かいコースです。23
ここでは、制度の中心になりやすい正社員化コースを、支給要領の定義に沿って確認します。2
対象労働者の定義
支給要領では、対象労働者は次のイからリまでの全てに該当する必要があります。2
参照ページや古い解説で項目数や文言が違う場合は、支給要領を正として確認してください。
| 区分 | 要件 |
|---|---|
| イ | 次のいずれかに該当する者2 |
| イ(イ) | 正規雇用労働者と異なる区分の就業規則等の適用を6か月以上受ける有期雇用労働者で、次のいずれかに該当する者:a 有期雇用労働者/b 派遣労働者(派遣労働者として雇用する期間が6か月以上の有期雇用労働者)/c 無期雇用労働者/d 有期雇用労働者等のうち、人材開発支援助成金の特定訓練等を修了し、同一事業主に引き続き雇用される者2 |
| イ(ロ) | 正規雇用労働者と異なる区分の就業規則等の適用を6か月以上受ける有期雇用労働者等で、次のいずれかに該当する者:a 過去5年間の正規雇用期間が合計1年以下で、かつ過去1年間に正規雇用されていない者/b 過去1年間に正規雇用されていない者で、次のいずれかに該当する者:i 学校卒業後、雇用保険被保険者であった期間が通算1年以下の者/ii 雇用保険被保険者となった期間がない者/iii 就業経験がない者で学校卒業後一定期間を経過している者(高等学校等卒業後3年以上、大学等卒業後2年以上)2 |
| イ(ハ) | 紹介予定派遣により、次のいずれかの雇用形態で通算2か月以上6か月未満の期間、派遣労働者として同一の事業所において業務に従事している者:a 有期雇用労働者/b 無期雇用労働者2 |
| イ(ニ) | 派遣労働者として雇用する期間が6か月以上の有期雇用労働者であって、派遣先の事業主により直接雇用される者2 |
| ロ | 正社員求人に応募し、正規雇用労働者として雇用されることが予定されている者でないこと2 |
| ハ | 転換日または直接雇用日の前日から過去3年以内に、当該事業主または関連事業主で正規雇用されていないこと2 |
| ニ | 転換等を行った事業主またはその取締役の3親等内の親族以外であること2 |
| ホ | 就労継続支援A型の事業所の利用者以外であること2 |
| ヘ | 支給申請日に、転換等後の状態が継続していること(離職していないこと)。一定の例外が定められているため詳細は支給要領で確認2 |
| ト | 支給申請日に、再度有期雇用または無期雇用への転換が予定されていないこと2 |
| チ | 転換等日から定年までの期間が1年以上であること(定年制が適用される場合)2 |
| リ | 支給対象事業主または関連事業主の事業所で定年を迎えた者でないこと2 |
| この表のうち、イの区分は「どの労働者が対象になるか」を左右し、ロ以降は「対象外の切り分け」を担います。実務では、まずイの該当性を確定し、次にロからリの除外条件を一つずつ潰す順序が安全です。2 |
対象労働者を判定する実務フロー
支給要領の条文は情報量が多いので、社内で「どの資料で何を確認するか」を先に決めると判定が速くなります。ここでの表は制度要件を言い換えたものではなく、支給要領の各項目を確認する順番を示した作業表です。2
| 確認の順番 | 見るべきポイント | 社内で確認する資料の例 |
|---|---|---|
| 1 | イのどの類型に当てはまるか | 雇用契約書、雇用開始日、派遣の有無、就業規則の適用区分 |
| 2 | ロの除外に当てはまらないか | 採用時の求人票や募集経路、採用時の雇用形態 |
| 3 | ハの除外に当てはまらないか | 過去の雇用履歴、関連事業主の範囲の整理 |
| 4 | ニからリの除外に当てはまらないか | 親族関係の確認、離職の有無、定年までの期間 |
| この順番で確認すると、早い段階で対象外が判明した場合に、就業規則改定や賃金設計をやり直す手間を減らせます。特にロとハは、採用経路や過去の雇用実績に依存するため、賃金要件の検討より先にチェックするのが現実的です。2 |
除外条件で迷いやすいところ
ロは「正社員求人への応募者」を除外する条件です。たとえば、正社員募集として採用した人を形式的に有期契約にしてから短期間で正社員化する運用は、ロの趣旨と衝突する可能性があります。対象者選定の段階で、募集区分と採用時の雇用条件をそろえて確認してください。2
ハは「過去3年以内の正規雇用歴」の除外です。関連事業主の範囲も関係するため、グループ会社や親会社がある場合は、対象者ごとに過去の在籍先を確認しておくと判断がぶれません。2
賃金要件と比較の考え方
リーフレットでは、正社員転換後6か月間の賃金を、転換前6か月間の賃金より3%以上増額する条件を示しています。5
一方で、賃金の内訳や比較に用いる賃金項目は、様式上の確認ツールや支給要領の扱いに合わせる必要があります。62
転換後に「思っていた賃金項目が比較対象外だった」と分かると修正が難しいため、転換前に賃金台帳の項目と要件確認ツールを突き合わせてください。6
支給額と加算の考え方
支給額は、企業規模と、対象労働者が有期か無期かなどの区分で変わります。3
また、支給要領では1期・2期の区分や、制度を新たに定めた場合の加算が示されています。2
| 場面 | 中小企業 | 大企業 |
|---|---|---|
| 有期から正規へ転換の基本額(1期) | 40万円 | 30万円 |
| 無期から正規へ転換の基本額(1期) | 20万円 | 15万円 |
| 正社員転換制度を新たに規定した場合の加算 | 20万円 | 15万円 |
| 多様な正社員制度を新たに規定し、区分に転換した場合の加算(1人当たり) | 40万円 | 30万円 |
| 支給対象期間が2期になる対象者区分や、加算の適用条件には細かな定義があります。支給額だけを先に確定せず、対象労働者区分と就業規則の改定内容が支給要領の条件に合うかを先に確認してください。23 |
申請の流れと期限
正社員化コースは、計画提出から支給申請までの順序が重要です。56
公式資料の流れをベースに、実務で迷いやすいポイントを併せて整理します。
| 段階 | やること | 期限の目安 |
|---|---|---|
| 1 | キャリアアップ計画書を作成し提出 | 取組の前日まで6 |
| 2 | 就業規則等を整備し、転換規定を明確化 | 転換実施前まで5 |
| 3 | 対象労働者を正規雇用へ転換、または派遣先で直接雇用 | 計画に沿って実施 |
| 4 | 転換後6か月分の賃金を支払う | 6か月の賃金支払が必要5 |
| 5 | 支給申請書と添付書類を提出 | 賃金支払日の翌日から2か月以内5 |
| 例えば、1月に転換し6月分まで賃金を支払った場合、支給申請は概ね8月までに行う計算になります。期限計算は支払日でずれるため、給与締日と支払日を前提に、社内カレンダーで逆算してください。5 |
処遇改善系コースの要点
処遇改善系のコースは「賃金規定の改定」「制度導入」「社会保険適用に向けた支援」など、取組の種類が幅広いのが特徴です。3
ここでは、各コースの狙いと、申請時に読み違えやすい点を中心に整理します。
賃金規定等改定コース
このコースは、基本給の賃金規定等を改定し、実際に賃金を引き上げた事業主を支援します。3
支給額は、賃上げ率の区分に応じて1人当たり4万円〜7万円(大企業は2万6千円〜4万6千円)などの差があります。3
賃金規定をどの文書で改定したか、改定後に誰に適用したかが審査の軸になるため、就業規則と賃金台帳の整合を先に固めておくことが重要です。36
賃金規定等共通化コース
正規雇用労働者と共通の賃金規定等を新たに規定し、非正規にも適用する取組を支援します。3
支給額は1事業所当たり中小60万円、大企業45万円です。3
共通化の対象と適用範囲が曖昧だと、実施状況の説明が難しくなるため、適用範囲を事前に文章化しておくと手戻りが減ります。3
賞与と退職金制度導入コース
賞与または退職金制度を導入し、実際に支給または積立を行った事業主を支援します。3
支給額は、賞与または退職金の導入で中小40万円・大企業30万円、両方導入で中小56万8千円・大企業42万6千円です。3
導入後に支給や積立の実績が必要になるため、制度導入月と支給月が計画期間内に収まるかを先に確認してください。3
社会保険適用時処遇改善コース
社会保険の適用拡大に合わせ、手当等の支給や労働時間延長で処遇を改善する取組を支援します。812
公式ページでは、令和8年3月31日までの暫定措置としての案内があるため、取組日によって利用できるコースが分かれます。18
このコースはメニューと「期」で要件が変わるため、該当メニューの資料を先に確定してから、期間と支給申請の単位を確認してください。812
短時間労働者労働時間延長支援コースを深掘り
令和7年7月1日から、短時間労働者の労働時間延長を支援するコースが案内されています。9
社会保険の適用を進める局面では、既存の社会保険適用時処遇改善コースとの関係が混乱しやすいため、Q\&Aの案内を踏まえて進めると安全です。910
制度の位置付けと切替の考え方
Q\&Aには、このコースは暫定措置として実施しており終期は現時点で定まっていない旨が書かれています。9
また、Q\&Aでは、令和8年度以降に新たに社会保険の適用を行う場合はこのコースを利用する案内もあります。9
さらに、社会保険適用時処遇改善コースのキャリアアップ計画書を既に提出している場合は、改めてこのコースの計画書を提出しなくてもよい扱いが示されています。10
具体的な手続きは取組状況により変わるため、切替前にリーフレットとQ\&Aの該当箇所を手元に置いた上で、申請窓口へ確認してください。101
手当等支給メニューの年次要件と支給額
パンフレットでは、要件に応じて年次ごとの助成額を示しています(以下は中小企業の例で、大企業は中小の4分の3)。9
| 年次 | 要件の例 | 1人当たり助成額 |
|---|---|---|
| 1年目 | 賃金の15%以上を追加支給 | 20万円 |
| 2年目 | 賃金の15%以上を追加支給 | 20万円 |
| 3年目 | 賃金を18%以上増額 | 10万円 |
| このメニューは、年次ごとに要件が違うため、どの年次まで進めるかを計画段階で決めておくと、途中での手戻りが減ります。要件に出てくる用語の定義は、リーフレットでも示されているため、社内の賃金項目と突き合わせてから実施してください。10 |
労働時間延長メニューの支給額
労働時間延長メニューは、延長時間数や賃上げ率により支給額が異なります。パンフレットでは、中小企業の例として次の区分を示しています(大企業は中小の4分の3)。9
| 週所定労働時間の延長 | 賃上げ率の要件 | 1年目の助成額 |
|---|---|---|
| 4時間以上 | 要件なし | 30万円 |
| 3時間以上4時間未満 | 5%以上 | 30万円 |
| 2時間以上3時間未満 | 10%以上 | 30万円 |
| 1時間以上2時間未満 | 15%以上 | 30万円 |
| このメニューは、賃上げ率の要件が付く区分があるため、労働時間と賃金の両方を同時に管理する必要があります。実施前に、就業規則の所定労働時間と、賃金台帳の賃金項目を見直しておくと、後工程の整合確認が楽になります。6 |
取り違えと年度差の注意点
キャリアアップ助成金は、コース名が似ている上に、年度や改正で名称が変わることがあります。参照ページの情報が古い場合、次のような取り違えが起きやすくなります。
似た名称のコースに注意
令和7年度の公式資料では「社会保険適用時処遇改善コース」と「短時間労働者労働時間延長支援コース」を別コースとして案内しています。1
一方で、民間記事や過年度資料では旧名称が残っていることがあります。必ず公式ページのコース一覧と、取組日別の様式ページで照合してください。16
様式は取組日で版が分かれる
申請様式は「令和7年4月1日以降の取組」と「令和7年7月1日以降の取組」でページが分かれており、計画様式や支給申請様式の更新日も表示されています。613
特に令和7年7月1日以降の取組では、短時間労働者労働時間延長支援コースの様式が追加されています。6
実務では「いつ取組を実施したか」で様式が変わるため、まず取組日を確定し、該当ページからダウンロードする手順にしてください。6
申請で詰まりやすいポイント
ここからは、公式要件ではなく、実務上つまずきやすいポイントをまとめます。要件の解釈に迷う場合は、提出前に申請窓口へ確認してください。16
先に決めるべきこと
| 論点 | 先に決める理由 | 確認先の一次資料 |
|---|---|---|
| 対象コース | コースで必要書類と賃金要件が変わる | 公式ページ、支給要領、パンフレット123 |
| 取組日 | 取組日で様式の版が分かれる | 申請様式ページ613 |
| 対象労働者の区分 | 正社員化コースは区分で支給額や申請期が変わる | 支給要領、パンフレット23 |
| 社内規程の整備範囲 | 就業規則等の整備が後回しだと、要件を満たせなくなる | パンフレット、申請様式ページ36 |
| この4点が固まると、計画書と社内規程の作業が一気に前へ進みます。 |
証憑チェックの考え方
助成金は「取組の事実」と「賃金支払いの事実」を説明できるかが核です。25
制度上の義務ではありませんが、次のように「どの書類で何を証明するか」を社内で整理しておくと、申請時の整合確認が速くなります。
| 証明したいこと | 代表的な根拠資料の例 | 突合のポイント |
|---|---|---|
| 取組前に計画提出したこと | 計画書の控え、受付印や受領連絡 | 提出日が取組日前であること |
| 転換規定があること | 就業規則、労働協約、改定履歴 | 改定日と施行日が取組に間に合うこと |
| 転換の事実 | 労働条件通知書、雇用契約書、辞令等 | 転換日、雇用形態、賃金が一致 |
| 賃金支払いの事実 | 賃金台帳、振込記録 | 支給対象期間の月次が欠けない |
| 賃金要件の達成 | 賃金上昇要件確認ツール等 | 転換前後の比較期間と賃金項目の一致 |
| 具体的に必要な添付書類はコースや事業所規模で変わるため、様式ページの注意書きと支給要領で最終確認してください。26 |
申請書類の入手先と注意点
令和7年7月1日以降の取組の様式ページでは、キャリアアップ計画書(様式第1号)と変更届(様式第2号)、全コース共通の支給申請書(様式第3号)や事業所確認票(様式第4号)などが並んでいます。6
同じページ内にコース別の別添様式も用意されているため、まず「共通様式」と「自社が使うコースの別添」を分けて管理すると混乱が減ります。6
また、同ページには提出した様式は返却しない旨の案内があります。提出前に控えを作り、提出後に改めて保存場所を決めておくと安心です。6
行動のためのセルフチェックと準備資材
最後に、申請可否の当たりを付けるためのセルフチェックと、準備の順番をまとめます。ここは社内共有に使えるよう、表だけで整理します。
セルフチェック
| チェック項目 | はい | いいえ |
|---|---|---|
| 取組の前日までに計画書を提出できる | 提出日を確定し控えを残す | スケジュールを組み直す6 |
| 対象労働者の雇用形態と区分を説明できる | 支給要領の定義に照らして整理する | 対象者の選定からやり直す2 |
| 就業規則等の整備が取組日に間に合う | 改定日と施行日を確認する | 規程整備を先に実施する3 |
| 賃金台帳と賃金要件の比較ができる | 比較期間と賃金項目を確定する | 賃金計算の前提を整理する5 |
| 支給申請期限を逆算できる | 支払日から2か月以内で管理する | 給与支払日を基準に再計算5 |
| チェックで「いいえ」が多い場合、先に計画提出や規程整備を進めても、後工程で止まる可能性があります。提出前に申請窓口へ相談した方が安全です。1 |
正社員化コースのタイムライン例
| 月 | 社内作業 | 対外手続き |
|---|---|---|
| 0 | 対象者とコースを確定し計画書を作成 | 計画書を提出(取組前)6 |
| 1 | 就業規則等を改定し転換を実施 | 転換日を確定 |
| 2〜7 | 転換後6か月分の賃金支払いを継続 | 賃金台帳の整合確認 |
| 8 | 支給申請書類をまとめる | 支給申請(支払日の翌日から2か月以内)5 |
| この表は代表例です。短時間労働者労働時間延長支援コースや社会保険適用時処遇改善コースは「期」など独自の考え方があるため、該当コースのリーフレットとQ\&Aで期間の区切りを確認してください。98 |
問い合わせ前にまとめておくメモ
| 項目 | 書いておく内容 |
|---|---|
| 取組の内容 | どのコースで何を実施するか |
| 取組日 | 転換日、改定日、社会保険加入日など |
| 対象労働者 | 雇用形態、有期か無期か、派遣か、雇用開始日 |
| 企業規模 | 中小企業判定に必要な情報 |
| 不安点 | 除外条件、賃金要件、必要書類の不足など |
| このメモがあると、労働局やハローワークでの確認が短く済み、手戻りが減ります。16 |
よくある質問
Q1. キャリアアップ助成金は従業員本人が申請できますか
A. 原則として事業主が申請し、支給を受けます。従業員本人に直接支給する制度ではありません。4
Q2. 計画書はいつまでに出す必要がありますか
A. 申請様式ページでは、キャリアアップ計画書は「キャリアアップに係る取組の前日まで」に都道府県労働局へ提出する必要があると案内しています。6
Q3. 計画期間はどのくらいにできますか
A. 支給要領ではキャリアアップ計画期間を3年以上5年以内で設定し、開始日は計画書の提出日以降です。2
Q4. 支給申請はいつまでに行いますか
A. リーフレットの流れでは、取組後に6か月分の賃金を支払った後、賃金支払日の翌日から2か月以内に支給申請する扱いです。コースごとに例外があるため、該当コースの支給要領も確認してください。52
Q5. 正社員化コースで賃金を3%以上上げる要件はありますか
A. リーフレットでは、正社員転換後6か月間の賃金を、転換前6か月間と比較して3%以上増額する条件を示しています。比較方法の細部は支給要領と確認ツールの案内に従ってください。56
Q6. 就業規則がない小規模事業所でも申請できますか
A. 申請様式ページでは、労働者が10人未満の事業所が就業規則を作成する場合の取扱いとして、労働基準監督署への届出や申立書の添付に関する注意書きがあります。事業所の状況に合わせて確認してください。6
Q7. 正社員化コースの対象労働者は何を見て判断しますか
A. 支給要領が定義の根拠です。イからリまでの全条件に該当する必要があり、イの区分には複数の類型があります。2
Q8. 社会保険適用時処遇改善コースと短時間労働者労働時間延長支援コースはどちらを使えばよいですか
A. 取組日で適用コースが分かれます。社会保険適用時処遇改善コースは令和8年3月31日までの暫定措置の案内があり、短時間労働者労働時間延長支援コースは令和7年7月1日からの開始としてQ\&Aに案内があります。まず公式ページの案内と各コースのQ\&Aで該当区分を確認してください。198
Q9. 短時間労働者労働時間延長支援コースはいつまで使えますか
A. Q\&Aには、暫定措置として実施しており終期は現時点で定まっていない旨が書かれています。9
Q10. 大企業でも申請できますか
A. コースごとに大企業向けの支給額が設定されているため、制度上は申請可能です。支給額や要件の差はパンフレットと支給要領で確認してください。32
Q11. 障害者正社員化コースは正社員化コースと同じですか
A. 別コースとして案内されています。支給額や要件の区分が異なるため、障害者正社員化コースの公式ページで確認してください。7
Q12. 申請書類は返却されますか
A. 申請様式ページでは、提出した各様式は返却しない旨を案内しています。控えを社内で保管してください。6
Q13. 申請様式はどこから入手しますか
A. 取組日ごとに様式ページが分かれています。令和7年7月1日以降の取組は専用ページからダウンロードします。613
Q14. 電子申請はできますか
A. 公式ページの「重要なお知らせ」に、各コースの電子申請導線が用意されています。運用や対象範囲はページの案内に従ってください。1
Q15. どこに相談すればよいですか
A. 申請様式ページでは、様式の書き方や支給申請の方法等が分からない場合は、最寄りの都道府県労働局またはハローワークへ問い合わせるよう案内しています。6
出典・参考資料
執筆者:補助金フラッシュ 士業編集部
補助金・助成金の活用法からAI導入、業務の生産性向上まで、中小企業の経営に役立つ情報を士業の専門家チームがわかりやすく解説します。
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