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地域雇用開発助成金の申請ガイド 立地確認から支給まで

地域雇用開発助成金の対象地域、支給額、対象経費、対象労働者要件、申請の流れを令和7年度の公式資料で整理。中小企業の上乗せや創業の扱い、併給調整、必要書類の確認ポイントまでまとめます。

補助金フラッシュ 士業編集部公開日: 2026年2月11日
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目次

  • 制度の全体像
  • 対象地域の確認
  • 地域雇用開発コースの支援内容
  • 沖縄若年者雇用促進コースの支援内容
  • 申請できる事業主の要件
  • 対象労働者の要件
  • 対象経費
  • 申請の流れ
  • 特例措置
  • 申請前の準備と実務上の注意点
  • セルフチェック
  • タイムライン
  • 証憑チェック
  • よくある質問
補助金フラッシュ 事業計画

地域雇用開発助成金は、雇用機会が不足している地域などで事業所の設置や整備を行い、新たな雇用を増やす事業主に支給される助成金です。対象地域は市区町村単位で指定され、計画書を提出してから設備投資や雇い入れを進める流れが基本になります。まずは対象地域と対象労働者の定義を正しく押さえることが、申請ミスを減らす近道です。1
この記事では、令和7年度の公式一次資料に基づき、地域雇用開発コースと沖縄若年者雇用促進コースの支給要件、対象経費、手続き期限を整理し、準備に使えるチェック表も用意します。1

項目内容
制度名(正式名称)地域雇用開発助成金
対象年度/公募回令和7年度(支給要領は2025年7月1日現在)
所管/実施機関/事務局所管:厚生労働省 / 申請窓口:都道府県労働局・ハローワーク(沖縄若年者は沖縄労働局・沖縄助成金センター等)
補助上限額/補助率(類型差があれば併記)地域雇用開発コース:設置・整備費用と対象労働者増加人数に応じた定額(1年ごと最大3回)。表額は1回あたり50万円〜800万円、中小企業は初回に表額の1/2上乗せ、創業は増加2人から対象で初回は( )内額 / 沖縄若年者雇用促進コース:賃金相当額×助成率(中小企業1/3、中小企業以外1/4。優良事業主は2年目に中小企業1/2、中小企業以外1/3)。1人あたり年120万円上限
申請期間(開始/締切)随時(計画書は雇入れ前、支払・引渡し前等に提出が必要。完了届は完了日から2か月以内。第2回・第3回は支給基準日の翌日から2か月以内)
公式一次資料(PDF/Word)のリンク集地域雇用開発コース 支給申請の手引き 2025年4月現在 PDF / 地域雇用開発コース 支給要領 2025年7月1日現在 PDF / 沖縄若年者 支給申請の手引き 2025年4月 PDF / 沖縄若年者 支給要領 2025年4月1日現在 PDF
公式一次資料(対象地域)同意雇用開発促進地域一覧 2025年10月1日現在 PDF / 過疎等雇用改善地域一覧 2025年4月1日現在 PDF / 特定有人国境離島等地域一覧 PDF
公式一次資料(能登半島地震特例)能登半島地震特例 支給申請の手引き 2025年7月1日現在 PDF / 能登半島地震特例 リーフレット PDF
最終更新日2026年2月10日
免責申請可否や経費判断は、当該年度の募集要領・交付要綱等と事務局の案内で最終確認してください。

目次

  • ●制度の全体像
  • 地域の雇用拡大を後押しする助成金
  • コースと特例の違いを早めに切り分ける
  • ●対象地域の確認
  • 対象地域は市区町村単位で決まる
  • 対象地域の区分と確認資料
  • ●地域雇用開発コースの支援内容
  • 支給額の決まり方
  • 中小企業の上乗せと創業の扱い
  • 最大3回支給と支給要件判定期間
  • ●沖縄若年者雇用促進コースの支援内容
  • 支給額の計算と上限
  • 期間と優良事業主の扱い
  • ●申請できる事業主の要件
  • 地域雇用開発コースの事業主要件
  • 立地や雇用の要件を満たす順序
  • ●対象労働者の要件
  • 対象労働者の9要件
  • 地域に居住する求職者の区分
  • 対象労働者数の数え方と新規学卒者の上限
  • ●対象経費
  • 対象経費は5区分で整理する
  • 対象外になりやすい費用
  • 密接な関係者との取引に注意
  • 建物の一部に賃貸用や居住用が含まれる場合
  • 他の補助金等を使う場合の併給調整
  • ●申請の流れ
  • 全体の手順と期限
  • 第1回 完了届の提出と実地調査
  • 第2回 第3回の支給と維持要件
  • 併給できない助成金の例
  • ●特例措置
  • 地域活性化雇用創造プロジェクト参加事業主に対する特例
  • 企業版ふるさと納税寄附事業主に対する特例
  • 同意雇用開発促進地域における大規模雇用開発計画の特別措置
  • 能登半島地震特例
  • ●申請前の準備と実務上の注意点
  • つまずきやすいポイント
  • 相談前に整理しておく情報
  • ●セルフチェック
  • ●タイムライン
  • ●証憑チェック
  • ●よくある質問
地域雇用開発助成金の申請ガイド 立地確認から支給まで

制度の全体像

地域の雇用拡大を後押しする助成金

地域雇用開発助成金の中心は、対象地域に事業所を設置・整備し、ハローワーク等の紹介で対象労働者を雇い入れて雇用を増やした事業主に、設置・整備費用と雇入れ人数に応じた一定額を支給する点です。支給は最大3年間で、基本は1年ごとに最大3回の支給申請を行います。1

一方で、沖縄県で若年者の雇用を促進するコースや、能登半島地震の被災地域向けの特例など、地域事情に合わせた上乗せメニューも用意されています。自社が使えるのはどれかを先に決めると、必要な要件と書類が整理しやすくなります。123

コースと特例の違いを早めに切り分ける

同じ「地域雇用開発助成金」でも、コースや特例で支給額の計算方法や最低要件が変わります。特に、対象地域と対象労働者の定義がコースごとに細かく分かれているため、民間記事の簡略表現をそのまま当てはめると取り違えが起きやすい点に注意してください。12

区分主な対象支給額の決まり方最低の設置・整備費用最低の雇入れ人数
地域雇用開発コース同意雇用開発促進地域、過疎等雇用改善地域、特定有人国境離島等地域での雇用拡大設置・整備費用区分×対象労働者増加人数の定額(最大3回)1点20万円以上、合計300万円以上対象労働者を3人以上(創業は2人以上)
沖縄若年者雇用促進コース沖縄県で35歳未満の若年者の雇用拡大賃金相当額×助成率(6か月ごとに申請)1契約20万円以上、合計300万円以上(中小企業は100万円以上)35歳未満を3人以上
能登半島地震特例能登6市町で復旧等と雇用確保設置・整備費用区分×対象労働者増加人数の定額(最大3回)1点20万円以上、合計100万円以上2人以上増加

表は全体像の目安です。実際の要件判定は、申請書類の提出日を基準にした判定期間や、対象労働者の上限計算まで含めて確認します。123

対象地域の確認

対象地域は市区町村単位で決まる

対象地域は都道府県単位ではなく、市区町村単位で指定されています。同じ都道府県でも対象になる自治体と対象外の自治体が混在するため、まずは「事業所所在地の市区町村」が対象地域に含まれるかを確認してください。45

対象地域の一覧は、厚生労働省がPDFで公開しています。手元で探すときはPDFを開いて自治体名で検索すると、確認が早くなります。456

対象地域の区分と確認資料

地域雇用開発コースで使う対象地域は、次の3区分です。区分ごとに、対象労働者の定義が変わる点が重要です。1

対象地域の区分確認に使う一次資料更新の有無に注意する理由
同意雇用開発促進地域同意雇用開発促進地域一覧指定期間や指定自治体が見直されることがある
過疎等雇用改善地域過疎等雇用改善地域一覧指定期間や対象区域の整理が行われることがある
特定有人国境離島等地域特定有人国境離島等地域一覧島しょ等の指定一覧に基づいて判定する

確認用PDFは次のとおりです。456

地域雇用開発コースの支援内容

支給額の決まり方

地域雇用開発コースの支給額は、計画期間中に要件を満たした「設置・整備費用の区分」と「対象労働者の増加人数」に応じて定額で決まります。支給は1年ごとに最大3回で、1回目は完了届(第1回支給申請書)を提出して審査・実地調査を経たあとに支給されます。1

2025年4月1日以降に計画書を提出した場合の支給額(表の額)は次のとおりです。1

設置・整備費用対象労働者の増加人数 3人から4人対象労働者の増加人数 5人から9人対象労働者の増加人数 10人から19人対象労働者の増加人数 20人以上
300万円以上 1,000万円未満50万円(100万円)80万円(160万円)150万円(300万円)300万円(600万円)
1,000万円以上 3,000万円未満60万円(120万円)100万円(200万円)200万円(400万円)400万円(800万円)
3,000万円以上 5,000万円未満90万円(180万円)150万円(300万円)300万円(600万円)600万円(1,200万円)
5,000万円以上120万円(240万円)200万円(400万円)400万円(800万円)800万円(1,600万円)

( )内の額は創業の場合の初回支給額です。中小企業の初回支給は、上の表の額に「表額の1/2」を上乗せします。創業の場合はこの上乗せとは別ルールになり、増加人数の下限や初回額が変わります。1

中小企業の上乗せと創業の扱い

中小企業かどうかは、資本金(または出資総額)と常時雇用する労働者数で判定します。業種によって基準が違うため、申請前に自社の区分を確認してください。1

業種資本金または出資総額常時雇用する労働者数
小売業(飲食店を含む)5,000万円以下50人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
卸売業1億円以下100人以下
その他の業種3億円以下300人以下

創業として扱うには、単に新店舗を出す、支店を作る、事業主を交代する、事業拡大で新分野に進出するだけでは足りません。創業として認められるための要件は、次の7項目です。1

番号創業として認められるための要件
1新たに法人の設立または個人事業の開業を行う中小企業事業主であること
2営業譲渡、営業の賃借、営業の委託等に伴い設立された法人または個人事業主ではないこと(営業譲渡等と判断する場合がある要素として、屋号が同一、取引先が引き継がれている、商品やメニューが同一、労働者が引き継がれている、のいずれか等がある)
3創業当初から、設立した法人または個人事業の業務に専ら従事する事業主(法人の場合は代表者)であること
4創業基準日が2025年1月1日以降であること(法人は設立日、個人は開業日または雇用保険の適用事業主となった日のいずれか早い日)
5親会社、子会社または関連会社とほぼ同等の関係にある事業主が存在しないこと
6法人の代表者または個人事業主が、創業基準日から過去3年以内に法人の代表者または個人事業主であったことがないこと
7取締役会等の構成員の過半数が、他の事業主の取締役会等の構成員や元構成員でないこと

創業の要件は、申請書の記入や添付書類にも影響します。創業に該当するか迷う場合は、まず「要件2の該当有無」を事実関係で洗い出し、労働局やハローワークの案内に沿って確認してください。1

最大3回支給と支給要件判定期間

支給要件は、申請書を出すたびに「支給要件判定期間」で確認します。地域雇用開発コースでは、概ね「第1回は計画日から完了日まで」「第2回は完了日の翌日から完了日の1年後の日まで」「第3回は完了日の1年後の翌日から完了日の2年後の日まで」で判定します。1

そのため、1回目だけ要件を満たせば終わりではなく、2回目・3回目の期間中も被保険者数や対象労働者数の維持、対象労働者の定着などが支給条件になります。1

沖縄若年者雇用促進コースの支援内容

支給額の計算と上限

沖縄若年者雇用促進コースは、沖縄県内で35歳未満の対象労働者を雇い入れる場合に、賃金相当額に助成率を掛けて支給額を計算します。支給は6か月ごとに申請し、通常は最大2回、優良事業主に該当する場合は最大4回です。2

助成率は、通常(第1期・第2期)が中小企業1/3、中小企業以外1/4です。優良事業主として第3期・第4期まで支給を受ける場合は、中小企業1/2、中小企業以外1/3に変わります。2

また、支給上限は対象労働者1人あたり年120万円(1期あたり60万円)です。賃金相当額の算定は、手引きに掲載されている基準賃金額算定等級表を使います。2

区分通常の助成率(第1期・第2期)優良事業主の助成率(第3期・第4期)上限
中小企業1/31/21人あたり年120万円(1期あたり60万円)
中小企業以外1/41/31人あたり年120万円(1期あたり60万円)

期間と優良事業主の扱い

沖縄若年者雇用促進コースでは、整備費用の要件(1契約20万円以上など)や、雇い入れ人数(35歳未満を3人以上)などが定められています。計画期間の上限や、6か月ごとの申請期限もあるため、支給申請のタイミングを先にカレンダーに落とし込むことが欠かせません。2

優良事業主の判断も、対象労働者の定着状況など複数要件で判定します。優良の可否は支給額と支給期間に直接影響するため、手引きの判定要件を必ず確認してください。2

申請できる事業主の要件

地域雇用開発コースの事業主要件

地域雇用開発コースで助成金を受給するには、要件をすべて満たす必要があります。要件は大きく「雇用保険適用事業所として雇用を増やしたか」「離職や法令違反がないか」「帳簿管理と反社排除」「地域の雇用構造の改善に資するか」に分かれます。1

計画日から完了日までに満たす必要がある主な要件は次のとおりです。1

区分要件の内容
被保険者数の増加完了日(第1回支給申請書を提出した日)の被保険者数が、計画日の前日の被保険者数を上回ること
解雇等の禁止計画日から完了日までの間に、被保険者を解雇等の事業主都合により離職させていないこと
特定受給資格者の上限計画日から完了日までの間に、特定受給資格者の数が3人を超え、かつ計画日の前日の被保険者数の6%を超えていないこと
対象労働者の雇入れ対象労働者(地域求職者)をハローワーク等の紹介により3人以上雇い入れたこと(創業は2人以上)
設置・整備費用計画日から完了日までの間に、設置・整備費用が1点あたり20万円以上で合計300万円以上であること

さらに、各支給申請に共通して満たす必要がある要件もあります。次の要件は「各支給申請日の前日から起算して1年前の日から支給申請日の前日まで」の状況などで確認します。1

区分要件の内容
法令遵守労働関係法令の違反がないこと
不正受給関与の排除不正行為で受給できない助成金の支給を受けた、または受けようとしたことによる不支給措置の対象でないこと。申請事業主の役員等に、他事業主の役員等として不正受給に関与した者がいないこと
保険料の滞納なし労働保険料を滞納していないこと
事業内容の適正風俗営業等の規制または業務の適正化等に関する法律に規定する風俗営業であるなど、設置する事業所の内容が不適切でないこと
高年齢者雇用確保措置勧告または法令に基づく適切な高年齢者就業確保措置を講じていないことで勧告を受け、是正措置を講じていない事業主でないこと
帳簿の備付と提出労働関係帳簿類と会計関係帳簿類を備え、適正に管理・記帳し、審査や実地調査の際に求めに応じて速やかに提出できること
反社排除事業主または役員等が暴力団と関わりがないこと、暴力主義的破壊活動を行っていないまたは行うおそれがある団体に属していないこと
地域雇用への資する性地域の雇用構造の改善に資する事業主であること(近年大量の離職者や解雇者を出している、社会保険加入要件を満たすのに未加入等の場合は不支給となる可能性がある)

要件は「一部だけ満たしていればよい」ものではありません。特に、完了日時点の被保険者数が増えていない場合は、雇い入れ人数が要件を満たしていても支給に至らないため、雇用保険の手続きと実際の被保険者数をセットで確認してください。1

立地や雇用の要件を満たす順序

地域雇用開発コースでつまずきやすいのは、順序の取り違えです。計画日より前に行われた設置・整備や雇い入れは算定対象にならず、工事や購入は「支払いと引渡し」、賃借は「契約期間の開始と支払い」、雇い入れは「雇い入れ」より前に計画日の指定が必要です。1

この順序は、契約日そのものよりも「支払い・引渡し・雇入れ」のタイミングに直結します。契約交渉の段階で、計画書提出と計画日の扱いを先に確認し、支払い条件や納品日が要件をまたがないように調整してください。1

対象労働者の要件

対象労働者の9要件

地域雇用開発コースでカウントできる対象労働者には、9つの要件があります。雇入れ人数の要件は「対象労働者」として認められる人数が基準になるため、採用した人数と一致しないことがあります。1

番号対象労働者の要件
1雇入れ日(移転求職者・転任者は完了日)の時点で地域に居住する求職者であること
2ハローワーク等の紹介により雇い入れられた求職者であること
3雇入れ当初から雇用保険の一般被保険者または高齢被保険者になること
4助成金受給後も継続して雇用される見込みがあること(有期契約の場合は契約更新の見込み等の条件がある)
5雇入れ後、設置・整備を行った事業所で働くこと
6過去3年間に事業主の事業所で働いたり、職場適応訓練を受けたりしていないこと
7過去1年間に関係する事業所で雇用されたことがないこと
8事業主と3親等以内の親族でないこと
9公の施設の管理を行う労働者でないこと

上の9要件に加えて、雇入れ前に紹介前面接や採用内定を出している場合など、実務上「紹介による雇入れ」と扱われないケースもあります。賃金不払いがある労働者は対象労働者にできない点も含め、採用フローと労務管理を一度見直してください。1

地域に居住する求職者の区分

「地域に居住する求職者」の定義は、対象地域の区分ごとに異なります。ここを間違えると、雇入れ人数の要件を満たせなくなるため、最初に切り分けてください。1

対象地域の区分対象になる求職者区分
同意雇用開発促進地域地域求職者(当該地域または隣接する同意雇用開発促進地域に居住する求職者)
過疎等雇用改善地域過疎等雇用改善地域求職者 / 過疎等雇用改善地域移転求職者 / 過疎等雇用改善地域転任者
特定有人国境離島等地域特定有人国境離島等地域求職者 / 特定有人国境離島等地域移転求職者 / 特定有人国境離島等地域転任者

過疎等雇用改善地域や特定有人国境離島等地域では、ハローワークの管轄区域内に居住しているか、区域外からの移転か、転任(会社の命令による転勤等)かで扱いが分かれます。対象地域そのものの該当有無と合わせて、管轄労働局での確認が必要になる場面があります。156

対象労働者数の数え方と新規学卒者の上限

対象労働者数は、雇い入れた人数そのものではなく「被保険者数の増加」によって上限が決まります。計画開始日の前日と完了日を比較して増加した被保険者の人数が、対象労働者の人数の上限になります。1

また、新規学卒者を対象労働者として算入できる人数には上限があり、対象労働者数の1/3までです。採用計画の時点で学卒枠が多い場合は、対象労働者として数えられないリスクを見込んで計画を立ててください。1

対象経費

対象経費は5区分で整理する

設置・整備費用として認められる経費は、工事費、不動産購入費、動産購入費、不動産賃借費、動産賃借費の5区分です。施設または設備は、雇用の増加に伴い必要とされる事業活動に必要なものに限られ、商品や賃貸用施設として収入が得られるもの、事業主の自宅などは対象になりません。1

区分内容の要旨
工事費事業活動に必要な建物等の新設・増設・修理等に係る工事費
不動産購入費事業活動に必要な建物等の購入費(原則として土地代は含めない)
動産購入費事業活動に必要な機械器具等の購入費(1点あたり20万円以上の扱いに注意)
不動産賃借費事業活動に必要な土地・建物等の賃借費(契約内容・期間で算定)
動産賃借費事業活動に必要な機械器具等の賃借費(リース等。算定方法が定められている)

この区分は申請書の記載と証憑の整理の軸になります。見積書や契約書の段階で、どの区分に当たるかを先に決めておくと、完了届での突合が楽になります。1

対象外になりやすい費用

A〜Eの費用に含まれていても対象外になる費用が列挙されています。次の項目に当たるものは、原則として設置・整備費用に算入できません。1

番号対象とならない費用(A〜Eに含まれていても除外)
1計画日から完了日以外に支払いが行われた費用
2消費税以外の税金(不動産取得税等)
3保険料(火災保険料等。ただし賃借費に含まれる保険料は除く)
4振込手数料等、支払いに要する費用(L/C手数料等)
5光熱水費、電話料金等(計画期間中の借料に含まれる光熱水費が明らかでない場合に限る)
6無形固定資産の取得費(特許権、実用新案権、商標権、ソフトウェア等)
7国庫補助金等の交付を受けた費用(交付金額が証明できない場合は支給決定額が減額となることがある)
8公の施設、公有地等に係る工事費、購入費または賃借費(学校、公園、図書館、博物館、道路、河川等の公共施設の管理・運営のための賃借費は対象外)
9賃貸借契約により貸付を行い賃料を得る施設または設備に係る工事費、購入費および賃借費
10フランチャイズ等の加盟料、ロイヤリティー等に係る購入費
11事業主または事業主の役員等と密接な関係にある者との取引に係る費用
12支払などの証明資料が確認できないもの
13車両(通勤車両を除く)の購入費および車両の駐車場借上費

対象外項目は、金額が大きくなりやすいものほど含まれています。設備投資を進める前に、対象外の混入がないかを見積書の段階で確認してください。1

密接な関係者との取引に注意

密接な関係にある者との取引は対象外になります。密接な関係にある者の例は、法人と個人で整理されています。1

区分密接な関係にある者の例
法人(例)代表者、代表者の配偶者、代表者の3親等以内の親族、取締役等、親会社・子会社・関連会社、計画日の前日から1年前の日から代表者と雇用関係にあった法人または個人事業主等
個人(例)個人事業主本人、配偶者、3親等以内の親族、計画日の前日から1年前の日から個人事業主と雇用関係にあった法人または個人事業主等

この判定は「知り合いだからOK」「取引実績が長いからOK」のような関係性ではなく、資本・役員・親族・雇用関係などの客観事実で判断します。見積先や売買先、賃貸人が上の例に当たらないかを、契約前に確認してください。1

建物の一部に賃貸用や居住用が含まれる場合

建物の一部が賃貸用施設の部分である場合は、その部分の費用は対象外になり、床面積比などで按分する扱いになります。賃貸用部分の比率が一定以上の場合など、按分方法にも条件があるため、建物用途の図面や面積が分かる資料を準備しておくと確認が進みます。1

また、建物内に事業主の自宅などが含まれる場合は、施設全体が対象にならない扱いになります。自宅兼店舗のように用途が混ざる計画は、早い段階で労働局・ハローワークに確認してください。1

他の補助金等を使う場合の併給調整

国庫補助金等の交付を受けた費用は、助成金の算定で調整が入ります。交付決定通知や支出実績書、確定通知等で交付金額が証明できない場合は、支給決定額が減額となることがあります。1

設置・整備に他制度を組み合わせるときは、どの費用がどの制度で賄われるのか、証明資料が何かを整理してから進めると、完了届の審査で詰まりにくくなります。1

申請の流れ

全体の手順と期限

地域雇用開発コースは、計画書を提出し、計画期間(最長18か月)の間に設置・整備と雇入れを行い、完了届(第1回支給申請書)を提出する流れです。その後、1年ごとに第2回・第3回の支給申請を行います。1

完了届は完了日から2か月以内、第2回・第3回は各支給基準日の翌日から2か月以内に提出します。提出期間を過ぎると支給対象外になるため、完了日と支給基準日を基準に逆算して準備してください。1

第1回 完了届の提出と実地調査

完了届の提出後は、書類審査に加えて原則として事業所の実地調査があります。実地調査では、設置・整備した施設や設備が存在するか、帳簿が整っているか、対象労働者が実際に勤務しているかなどが確認されます。1

実地調査で確認できないものは、経費算定の対象外になることがあります。契約書、請求書、支払記録、納品・引渡しの記録、写真、台帳など、後から再現できる資料を揃えておくことが大切です。1

第2回 第3回の支給と維持要件

第2回・第3回は、被保険者数と対象労働者数の維持、対象労働者の定着が条件になります。特に定着については、対象労働者数の1/2を超え、かつ4人以上の対象労働者・補充者が離職していないことが条件です。1

補充者の扱いには「対象労働者の雇入れ後の離職がやむを得ない事情の場合は、4か月以内に補充者を雇い入れる」などの運用があります。補充の可否は事実関係で変わるため、離職が出た時点で早めに相談してください。1

併給できない助成金の例

同時に受給できない助成金が明示されています。例えば、雇用調整助成金(休業・教育訓練・出向)、通年雇用助成金(新分野進出助成)、両立支援等助成金(事業主内保育施設コース)、人材確保等支援助成金(介護福祉機器助成コース、作業員宿舎等設置助成コース)などは併給できません。1

このほか、同一の設備に対して複数の助成金が重なる場合など、個別の併給調整が入ることがあります。設備投資が絡む助成金を複数検討している場合は、契約前に必ず併給可否を確認してください。1

特例措置

地域活性化雇用創造プロジェクト参加事業主に対する特例

地域活性化雇用創造プロジェクト参加事業主に対する特例では、対象労働者を無期雇用かつフルタイム契約で雇い入れることが要件になります。支給額の表は基本の表と同様ですが、中小企業の初回上乗せはありません。1

その代わり、雇用する対象労働者1人につき50万円が上乗せされます。上乗せは初回のみで、上限は20人です。1

企業版ふるさと納税寄附事業主に対する特例

地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の寄附を行った事業主向けの特例があります。支給額は基本の表と同様ですが、この特例の支給は原則として1事業主あたり1回です。1

また、対象外となる地域が定められており、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府は対象外です。1

同意雇用開発促進地域における大規模雇用開発計画の特別措置

同意雇用開発促進地域における大規模雇用開発計画の特別措置は、厚生労働大臣の認定を受けた大規模雇用開発計画を前提とし、雇用開発期間(最大2年間)内に50億円以上の設置費用で新たに事業所を設置し、当該地域に居住する求職者等を雇用保険被保険者として100人以上雇い入れることなどが要件です。1

この特別措置の助成額は、設置・整備費用が50億円以上で雇い入れ労働者が100人以上の場合は1億円、200人以上の場合は2億円です。7

能登半島地震特例

能登半島地震特例は、能登6市町(七尾市、輪島市、珠洲市、志賀町、穴水町、能登町)において、事業所の設置・整備と雇入れを行った場合に使える特例です。計画書は令和8年3月31日までに提出する必要があります。3

設置・整備費用は1点あたり20万円以上で合計100万円以上が要件で、復旧のための修理・修繕、宿舎、通勤車両(借り上げた通勤車両)に要した費用も対象に含まれます。雇い入れは要件を満たす労働者を雇い入れ、被保険者数を2人以上増加させます。3

能登半島地震特例の支給額(表額)は次のとおりです。7

設置・整備費用対象労働者の増加人数 2人対象労働者の増加人数 3人から4人対象労働者の増加人数 5人から9人対象労働者の増加人数 10人以上
100万円以上30万円50万円80万円100万円
300万円以上60万円100万円160万円300万円
1,000万円以上80万円120万円200万円400万円
3,000万円以上120万円180万円300万円600万円
5,000万円以上160万円240万円400万円800万円

創業かつ対象労働者の増加人数が2人の場合は、上表の「3人から4人」欄の額を支給する扱いです。計画書の提出時期や対象労働者の細かな要件も定められているため、能登特例を検討する場合は、一般の地域雇用開発コースの手引きではなく、特例の手引きで要件を確認してください。73

申請前の準備と実務上の注意点

つまずきやすいポイント

制度要件として間違いが起きやすいのは、対象地域、対象労働者、計画日の順序、設置・整備費用の対象外混入の4点です。どれか1つでも外れると、支給額が減るだけでなく、支給そのものに至らないことがあります。1

これは制度要件ではありませんが、実務上は「契約書と請求書と支払記録の突合」「納品・引渡しの証拠」「雇用保険の資格取得の反映」「求人申込と紹介の記録」を最初からセットで保管すると、実地調査と追加資料対応がスムーズになります。1

相談前に整理しておく情報

労働局やハローワークへ相談する前に、次の情報を整理しておくと確認が進みます。これは制度要件ではありませんが、問い合わせの往復を減らすうえで有効です。

整理しておく情報確認の狙い
事業所所在地(市区町村)と対象地域区分対象地域に該当するか、対象労働者の定義がどれかを確定する
設置・整備の内容と金額内訳5区分のどれに当たるか、対象外費用の混入がないかを確認する
支払い予定日、納品・引渡し予定日計画日の指定が間に合うかを確認する
採用計画(人数、雇入れ予定日、雇用形態)対象労働者に該当するか、学卒枠の上限に触れないかを確認する
他制度の利用予定併給不可や併給調整の有無を確認する

セルフチェック

次の表で、申請の入口条件を一度点検してください。表の各項目は、本文で説明した一次資料の要件に対応しています。1

チェック項目確認内容確認に使う一次資料
対象地域事業所所在地の市区町村が対象地域一覧に含まれる対象地域一覧PDF
計画日の順序支払・引渡し・雇入れより前に計画日を指定できる地域雇用開発コース手引き
設置・整備費用1点20万円以上、合計300万円以上(能登特例は100万円以上)地域雇用開発コース手引き、能登特例手引き
対象労働者9要件を満たす労働者を所定人数雇い入れる地域雇用開発コース手引き
被保険者数の増加完了日時点で被保険者数が増加している地域雇用開発コース手引き
離職と法令遵守解雇等の禁止、特定受給資格者の上限、法令違反なし地域雇用開発コース手引き
併給関係併給不可の助成金に該当しない地域雇用開発コース手引き

タイムライン

地域雇用開発コースは「計画期間(最長18か月)+支給申請期間(最大3年)」という時間軸で動きます。次の表は、期限管理のための置き換えです。1

フェーズ主な行動期限の目安
計画開始計画書の提出と計画日の指定支払・引渡し・雇入れの前
計画期間設置・整備と雇入れ、被保険者数の増加を作る計画日から最長18か月
計画完了完了届(第1回支給申請)提出完了日から2か月以内
維持期間1被保険者数・対象労働者数の維持、定着完了日翌日から1年
第2回申請第2回支給申請支給基準日の翌日から2か月以内
維持期間2同上完了日の1年後翌日から2年後
第3回申請第3回支給申請支給基準日の翌日から2か月以内

証憑チェック

実地調査で確認される代表例を、証憑の種類でまとめます。これは制度要件ではありませんが、実務上の準備として有効です。1

確認されやすい項目揃えておく証憑の例不足時のリスク
設置・整備の事実契約書、注文書、納品書、検収記録、写真対象経費から除外されることがある
支払いの事実請求書、領収書、振込控、通帳写し支払が確認できず除外されることがある
対象外費用の除外見積内訳、按分根拠、用途図面按分誤りで減額されることがある
雇入れの事実求人申込、紹介状、雇用契約書、労働条件通知書対象労働者にできないことがある
雇用保険の反映資格取得の記録、被保険者数の推移被保険者数増加を満たせないことがある
帳簿類賃金台帳、出勤簿、総勘定元帳等要件不適合や追加提出の対象になり得る

よくある質問

Q1. 県全体が対象地域になっている都道府県はありますか。
A. 対象地域は市区町村単位で指定されます。都道府県名だけで判断せず、対象地域一覧PDFで事業所所在地の自治体が含まれるか確認してください。45

Q2. 計画書を出す前に契約してしまいました。申請はできますか。
A. 工事や購入は支払いと引渡し、賃借は契約期間の開始と支払い、雇入れは雇入れより前に計画日の指定が必要です。契約日だけで可否は決まりませんが、支払い等が先行している場合は算定対象になりません。1

Q3. 設置・整備費用の20万円は合算できますか。
A. 動産購入費などは「1点あたり20万円以上」が基準で、合算できません。賃借費も算定方法が定められており、契約内容に応じた計算で判断します。1

Q4. 土地の購入費は対象になりますか。
A. 不動産購入費は建物等が対象で、土地代は原則として対象外です。契約書の内訳で建物と土地が分かれているかも確認が必要です。1

Q5. 自宅兼店舗の改装は対象になりますか。
A. 事業主の自宅などが含まれる施設は対象になりません。用途が混在する場合は、計画段階で労働局・ハローワークへ確認してください。1

Q6. 対象労働者は自社サイト応募でも対象になりますか。
A. 対象労働者はハローワーク等の紹介による雇入れが要件です。紹介前に面接や採用内定があるなど、紹介による雇入れと扱われないケースもあるため採用フローを確認してください。1

Q7. 新卒採用者は対象人数に入れられますか。
A. 新規学卒者も条件を満たせば算入できますが、対象労働者数の1/3までという上限があります。採用計画で学卒比率が高い場合は注意してください。1

Q8. 1回目を受給したら2回目と3回目は自動でもらえますか。
A. 自動ではありません。第2回・第3回も支給申請が必要で、被保険者数・対象労働者数の維持や定着要件を満たす必要があります。申請期限もあります。1

Q9. 対象労働者が途中で辞めたらどうなりますか。
A. 第2回・第3回では定着要件があり、離職者の数が条件を超えると支給対象外になります。やむを得ない事情で離職した場合の補充者の扱いもあるため、離職が出た時点で早めに相談してください。1

Q10. 他の助成金と併用できますか。
A. 併給できない助成金が示されています。雇用調整助成金や通年雇用助成金の一部コースなどは併給できません。設備が重なる場合など個別の調整もあるため、契約前に確認してください。1

Q11. 能登半島地震特例はいつまで計画書を出せますか。
A. 令和8年3月31日までに計画書の提出が必要です。対象地域や対象労働者、費用要件も特例の手引きとリーフレットで確認してください。73

Q12. 沖縄若年者雇用促進コースの支給額はどう計算しますか。
A. 賃金相当額に助成率を掛けて計算し、1人あたり年120万円が上限です。助成率は中小企業1/3・中小企業以外1/4で、優良事業主は2年目に中小企業1/2・中小企業以外1/3になります。2

出典・参考資料

  1. 地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)支給申請の手引き 令和7年4月現在 PDF ↩

  2. 地域雇用開発助成金(沖縄若年者雇用促進コース)支給申請の手引き 令和7年4月 PDF ↩

  3. 地域雇用開発助成金 能登半島地震特例 リーフレット PDF ↩

  4. 同意雇用開発促進地域一覧 令和7年10月1日現在 PDF ↩

  5. 過疎等雇用改善地域一覧 令和7年4月1日現在 PDF ↩

  6. 特定有人国境離島等地域一覧 PDF ↩

  7. 地域雇用開発助成金(能登半島地震特例)支給申請の手引き 令和7年7月1日現在 PDF ↩

執筆者:補助金フラッシュ 士業編集部

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執筆者
補助金フラッシュ 士業編集部
公開日: 2026年2月11日

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