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既存建築物省エネ化推進事業の令和7年度公募を確認

既存建築物省エネ化推進事業の令和7年度公募を公式一次資料で確認。補助率や上限額、対象要件、対象経費、申請の流れ、採択の考え方、実務上の注意点まで詳しく整理しました。

補助金フラッシュ 士業編集部公開日: 2026年3月4日
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目次

  • 制度の全体像
  • 支援内容を確認する
  • 対象者と要件を確認する
  • 対象経費と対象外を見分ける
  • 申請の流れを時系列で見る
  • 審査の考え方を読む
  • 準備に使える表
  • 申請前に確認したい順番
  • よくある質問
補助金フラッシュ 事業計画

既存建築物省エネ化推進事業は、非住宅の既存建築物を省エネ改修する際に使える国土交通省所管の補助事業です。令和7年度公募では、補助率や上限額を見るだけでは足りず、外皮改修、省エネ効果、省エネ性能の表示、計測、契約時期まで一連の条件を満たす必要がありました。
さらに令和7年度は複数年度事業が可能になった一方で、省エネ性能の表示に関する費用は補助対象外へ変わっています。
公募はすでに終了しており、第2回公募は実施されていないため、次回の公募を待つ方も令和7年度の公式資料をひととおり読んでおく価値があります。12345

項目内容
制度名既存建築物省エネ化推進事業
対象年度 公募回令和7年度公募
最終更新日2026年3月2日
所管 実施機関 事務局国土交通省住宅局参事官 建築企画担当付 / 既存建築物省エネ化推進事業評価事務局
補助上限額 補助率省エネ改修工事とエネルギー使用量の計測等は補助対象費用の3分の1以内、1件あたり上限5,000万円、うち設備に要する費用は2,500万円まで。日射調整フィルムは当該費用の6分の1以内。省エネ改修と併せるバリアフリー改修は3分の1以内で、加算上限は2,500万円かつ省エネ改修に係る補助額以下。
申請期間2025年4月18日から2025年5月23日まで。消印有効。
公式一次資料リンク集公募概要 令和7年度 公式ページ / 募集要領 令和7年度 PDF / 提案募集に関するQ&A 第1回 v2 PDF / 提案申請書 記入例 第1回 PDF / 提案書作成の参考資料 2025年4月 PDF / 公募開始資料 2025年4月18日 PDF
免責申請可否や経費判断は、当該年度の募集要領・交付要綱等と事務局の案内で最終確認してください。

目次

  • ●制度の全体像
  • 令和7年度公募で確認した制度名と所管
  • 令和7年度で押さえたい変更点
  • ●支援内容を確認する
  • 補助率と上限額
  • 事業期間と複数年度の考え方
  • ●対象者と要件を確認する
  • 申請できる主体
  • 満たすべき主な要件
  • 省エネ性能の表示と第三者評価
  • ●対象経費と対象外を見分ける
  • 対象になりやすい経費
  • 対象外になりやすい例
  • 混合用途や増設の判断
  • ●申請の流れを時系列で見る
  • 提案応募までの流れ
  • 採択後から支払いまでの流れ
  • ●審査の考え方を読む
  • 優先されやすい観点
  • 令和7年度の応募件数と採択件数
  • ●準備に使える表
  • 申請前セルフチェック
  • 交付申請と完了実績報告で詰まりやすい書類
  • 証憑チェック
  • ●申請前に確認したい順番
  • 先に建物要件と計算方法を固める
  • その次に見積と資金計画を揃える
  • ●よくある質問
既存建築物省エネ化推進事業の令和7年度公募を確認

制度の全体像

令和7年度公募で確認した制度名と所管

制度の正式名称は 既存建築物省エネ化推進事業 です。所管は国土交通省住宅局参事官 建築企画担当付で、応募や問い合わせの窓口は既存建築物省エネ化推進事業評価事務局が担っています。制度の目的は、既存建築物ストックの省エネ化を進め、関連投資を活性化することにあります。令和7年度の募集要領と公募概要では、対象を 住宅以外の既存建築物 に置いており、オフィス、福祉施設、学校、店舗、銀行店舗などが想定しやすい建物です。123

この制度でまず押さえたいのは、単に高効率設備へ更新すれば使える補助金ではないという点です。募集要領とQ&Aでは、外皮改修を含む省エネ改修であること、改修後に一定の省エネ性能を満たすこと、表示を行うこと、エネルギー使用量の把握と管理に取り組むことなど、複数の条件をまとめて求めています。つまり、設備更新だけの補助金として読むと取り違えやすく、建物全体の改修計画として読み解く必要があります。124

また、この制度は複数年度にわたり実施されてきましたが、毎年度まったく同じ条件ではありません。令和7年度で確認できる公募概要、募集要領、Q&Aをそろえて読むと、金額だけでなく、対象経費、第三者評価、複数年度の扱いまで細かな差分があります。過去年度の解説記事や古い比較表をそのまま当てはめるより、令和7年度の一次資料で読み直した方が安全です。124

令和7年度で押さえたい変更点

令和7年度募集要領の冒頭では、前年との違いが明示されています。大きい変更点は二つです。ひとつは 複数年度にまたがる事業も応募可能 になったことです。もうひとつは 省エネルギー性能の表示に係る費用が補助対象外 へ変わったことです。第三者評価の申請費用や表示費用を前年の感覚で補助対象に入れてしまうと、見積と資金計画がずれます。25

この変更は、実務にそのまま影響します。工期が長い案件は令和7年度から組み立てやすくなりましたが、翌年度分の補助金交付まで約束されるわけではありません。反対に、省エネ性能ラベルの取得自体は制度上必要でも、その取得や申請書類作成にかかる費用は補助対象に入れにくくなりました。採算表を作る段階で、補助対象費用と自己負担費用を早めに分けておくことが欠かせません。246

支援内容を確認する

補助率と上限額

令和7年度公募の補助率は、基本的に 補助対象費用の3分の1以内 です。上限は 1件あたり5,000万円 で、そのうち 設備に要する費用は2,500万円まで という内枠があります。さらに、省エネ改修工事に併せてバリアフリー改修工事を行う場合は、その改修に係る補助額として 2,500万円を加算 できます。ただし、バリアフリー改修に係る補助額は、省エネ改修工事に係る補助額以下でなければなりません。126

注意したいのは、すべての費目が同じ掛け率ではないことです。日射調整フィルムは、工事費のうち補助対象費用を絞った上で補助率を掛ける考え方になっており、実質的には 6分の1以内 です。日射調整フィルムを窓改修の主役に見込む案件では、総額の見え方と実際の補助額に差が出やすいので、通常の窓改修と同じ感覚で見ない方がよいでしょう。24

さらに、エネルギー使用量の計測等に関する補助対象事業費には上限の考え方があります。募集要領では、計測等に係る補助対象事業費が100万円を超える場合、1事業あたり建設工事等に係る事業費の10パーセントと当該補助対象事業費のいずれか低い額としています。計測を厚く入れたい案件でも、計測系の費用だけが大きく膨らまないように整理されています。2

事業期間と複数年度の考え方

国土交通省の事業概要では、事業期間は 採択年度を含め原則2年以内 と案内されています。募集要領ではこれをもう少し詳しく書いており、複数年度にわたる事業については、あらかじめ各年度の事業計画を提出し、各年度で工事が行われ、支払いが完了した部分に対して補助を行う形です。26

この点は、資金繰りに直結します。令和7年度に採択されたからといって、次年度以降の補助額まで確定するわけではありません。次年度以降は予算の範囲内で優先的に交付する扱いであり、採択をもって翌年度分の交付を約束するものではないと募集要領に書かれています。工期が長い案件では、自己資金、融資、支払いサイトを含めた工程表を補助金とは切り分けて持っておく必要があります。2

確認項目令和7年度公募で確認できた内容
基本補助率補助対象費用の3分の1以内
補助限度額1件あたり5,000万円
設備費の内枠設備に要する費用は2,500万円まで
日射調整フィルム当該費用の6分の1以内
バリアフリー改修省エネ改修と併せて実施する場合に加算可。上限2,500万円かつ省エネ改修に係る補助額以下
複数年度事業応募可能。ただし各年度で計画承認と交付申請が必要
翌年度分の扱い予算状況によるため交付が確定するわけではない

この表だけで大枠はつかめますが、実際の補助額は対象費用の切り分け方で変わります。特に設備費、計測費、附帯事務費、バリアフリー改修費を同じ見積書に混在させると、後で精査が難しくなります。見積の段階から区分を分ける方が、交付申請でも完了実績報告でも説明しやすくなります。24

対象者と要件を確認する

申請できる主体

提案者になれるのは、省エネ改修工事を行う建築主等のほか、建築主と一体的または連携して工事を行うESCO事業者、リース事業者、エネルギーサービス事業者などです。グループでの提案も認められており、その場合は代表者を決めて手続きを進めます。2

ただし、提案者と補助を受ける者は原則として同一者です。特段の理由がある場合に限って、補助を受ける者でない者が事務代行者として応募する余地がありますが、採択後の交付申請時には委任状が必要です。また、同一建物の省エネ改修工事は一つの提案として応募しなければならず、同一建物で複数応募があるとすべて無効になります。提案時点で補助対象となる建物が確定していることも条件です。24

ここは見落としやすい部分です。複数の所有者や関係会社が関わる建物では、誰が補助を受ける者になるのか、誰が発注し、誰が最終的に費用を支払うのかを先に揃えないと、提案段階では進んでも交付申請で詰まりやすくなります。これは制度要件ではありませんが、実務上は、建物所有関係と発注関係を一枚の整理表にしておくと確認が早くなります。24

満たすべき主な要件

募集要領では、応募にあたって九つの要件をすべて満たす必要があります。数が多いので、金額より先に要件表で確認する方が安全です。2

要件令和7年度公募で確認できた内容
外皮改修躯体外皮の省エネ改修を行うこと。ただし高機能換気設備を設置する場合は、換気経路確保等の外皮改修で足りる
省エネ効果改修前比で建物全体20パーセント以上。外皮改修面積割合が20パーセントを超える場合は15パーセント以上
改修後性能一定の省エネルギー性能に関する基準を満たすこと
性能表示改修後の建築物の省エネルギー性能を表示すること
計測管理エネルギー使用量の実態を把握する計測を行い、継続的なエネルギー管理と省エネ活動に取り組むこと
最低事業費省エネ改修工事とバリアフリー改修工事に係る事業費の合計が500万円以上
耐震性改修後に耐震性を有すること
契約時期原則として採択後から採択年度末までに工事契約等を締結すること
情報提供事例集等への情報提供に協力すること

九つの条件はどれか一つで代替できません。Q&Aでも、特定の省エネ改修工事を行えば補助金を受けられる仕組みではなく、募集要領3.1の要件をすべて満たす事業を広く募集する形だと説明しています。設備改修だけで省エネ率が出る案件でも、外皮改修がないと応募できません。ここが他の設備更新型補助金との大きな違いです。24

なお、高機能換気設備を設置する場合は例外的な読み方があります。この場合は、換気用ダクト等を設ける躯体外皮の改修が必要ですが、断熱性能を高める躯体外皮改修までは必須ではありません。また、省エネ効果も設置する当該階単位で算定できる場合があります。換気改修を主軸にする案件では、通常の全館改修と計算の切り方が変わるため、様式の作り方を早めに確認したいところです。24

省エネ性能の表示と第三者評価

令和7年度公募では、改修後の省エネ性能を表示することが要件に入っています。Q&Aでは、第三者評価として BELSによる評価結果またはこれと同等のもの を提出する考え方が示されており、BELS以外でも、所定の省エネルギー性能であることが明確に確認できる第三者評価であれば対象になります。参考例として、省エネ基準適合認定表示マークやCASBEEの条件も案内されています。478

ここで重要なのは、表示そのものは必須でも、令和7年度ではそのための費用が補助対象外だという点です。Q&Aでは、第三者評価を受けるための申請書類等の作成費用も補助対象外だと示しています。制度上必要だから補助対象になる、という読み方はできません。要件と補助対象経費は別に確認してください。245

完了時には、所定の省エネルギー性能であることの第三者評価結果等を完了実績報告書とあわせて提出する必要があります。Q&Aでは、所定の性能を満たしていない場合は補助金の交付を受けられないと案内しています。申請時点では確約の形で進められても、完了時に基準未達だと支払いまで届きません。性能評価を後工程に押し込みすぎないことが大切です。24

対象経費と対象外を見分ける

対象になりやすい経費

区分対象になりやすい内容確認しておきたい点
躯体外皮の改修屋根、外壁、天井の断熱、開口部の複層ガラスや二重サッシ、日射遮蔽など外皮改修は制度の中心。限定的な改修でも理由と妥当性の説明が必要24
設備の改修空調、換気、給湯、照明など建築設備の省エネ改修建築設備の定義に当てはまるか確認する2
計測管理計測機器の設置、計測に必要なソフト、データ取得機器など100万円超の計測費には別枠の上限考え方がある2
バリアフリー改修出入口、廊下、階段、スロープ、エレベーターなど別表の対象箇所省エネ改修と一体で実施する場合に限る24
附帯事務費旅費、賃金、需用費、役務費各工事に係る補助額の2.2パーセント以内。根拠資料が必要24
標準単価方式省エネ効果に応じた標準単価で補助額を算定する方法提案応募時に選択した方式は採択後に変更できない24

対象経費は広く見えますが、何でも工事に付随していれば認められるわけではありません。Q&Aでは、エネルギー使用量の見える化や運用改善の機器について、計測機器部分だけを切り分けられる場合に限って補助対象となり得ると説明しています。切り分けられないと、計測部分も含めて対象外です。設備と計測を一体で見積もる場合は、科目分けが重要です。4

対象外になりやすい例

対象外になりやすい内容令和7年度公募での扱い
工場、実験施設、倉庫など生産用設備を有する建築物の改修対象外。ただし同一建物内の事務所用途部分のみなら申請余地あり24
後付の家電に類するもの対象外。家庭用エアコン、壁掛け式熱交換型換気設備などが例示24
設備の新設改修前に備わっていない設備や機能を新たに設置する場合は対象外4
太陽光発電設備対象外。発電量を省エネ効果に加えることも不可24
屋上緑化と遮熱シート対象外4
第三者評価の申請書類作成費用や表示に係る費用令和7年度は対象外245
消費税額補助対象外4
重複する他補助金の対象部分同一部分の重複受給は不可。明確に切り分けた部分のみ対象になり得る24

この表で特に誤解が多いのは、新設と増設の境目です。Q&Aでは、増設の設備でも負荷対象が大幅に変わる場合は新設となり認められない一方で、既存部分の改修と一体で説明できる場合は対象になり得るとしています。学校の冷房新設のように、改修前に存在しない機能を足す案件は読み違えやすいので、メーカー仕様書だけではなく、改修前後の機能比較表を作っておくと説明しやすくなります。4

混合用途や増設の判断

工場と事務所が同一建物内に混在している場合は、事務所用途のみを申請対象にする考え方がQ&Aにあります。住宅と非住宅の複合ビルでも、非住宅部分のみで応募でき、その部分で省エネ効果の根拠を出す必要があります。つまり、建物全体が対象か対象外かを二択で考えるのではなく、用途区分を切り分けて対象部分を定義する作業が必要です。4

また、借地上の建築物も補助対象となり得ますが、取得財産の管理や処分制限を踏まえる必要があります。これは制度要件ではありませんが、実務上は、所有権、賃貸借、原状回復、更新時の設備帰属まで先に確認しておくと、採択後の契約調整が進めやすくなります。24

申請の流れを時系列で見る

提案応募までの流れ

令和7年度公募では、応募に先立って 事業登録 が必要でした。その上で、応募書類を郵送で提出します。質問や相談は原則として電子メールまたはFAXで受け付けており、電話での質問相談は受け付けていません。提出先や連絡先は評価事務局の問い合わせページにまとまっています。29

応募書類の提出方法にも細かな指定があります。募集要領では、封筒に事業登録時の応募番号を記載し、既存建築物省エネ化推進事業 応募書類在中 と明記するよう求めています。提出部数は 3部 で、正本1部と副本2部です。正本にカラー頁がある場合は副本もカラーで提出し、A4サイズ片面印刷で1部ずつクリップ留め、ホッチキスやファイル綴じは不要です。締切後の差し替えは受け付けません。2

時点やること令和7年度公募での注意点
公募開始後すぐ公募概要、募集要領、Q&Aを通読するまず要件表を作り、対象外の可能性を先に消す124
応募前半事業登録を行う応募番号が後の郵送提出で必要になる12
応募書類作成様式、計算根拠、計測内容、事業費内訳、図面等を揃える建物、改修内容、補助対象部分を確定させる210
見積確定最終決定金額または減額可能性を見込んだ概算に整理する金額未定の段階では応募できない4
提出郵送または発送日が確認できる方法で送る応募番号と応募書類在中の表示が必要。締切後差し替え不可2

この流れで詰まりやすいのは、見積未確定のまま申請書を作り始めることです。Q&Aでは、金額未定の段階では応募できず、やむを得ず概算の場合でも、詳細見積で減額の可能性があればそれを見込んだ額にするよう案内しています。見積調整の余地を残したまま強気の申請額を書いてしまうと、採択後の整合が崩れやすくなります。4

採択後から支払いまでの流れ

この制度は 提案公募 と 補助金交付 の二段階で進みます。採択された後に、別途、定められた期間内で交付申請を行わなければ補助金は交付されません。交付申請時には、設計図書、見積書、建築士による確認書類などを提出し、その内容に沿って補助対象工事と補助額が精査されます。24

契約時期も重要です。募集要領では、補助対象工事等を含む契約は 採択日以降 に締結し、当該年度中に着手するものを対象としています。採択時点ですでに着手または契約締結済みのものは対象になりません。ここを外すと、その後の工程をどれだけ整えても対象外のままです。24

完了時には、完了実績報告書のほか、所定の省エネルギー性能であることの第三者評価結果、施工前後の写真、工事契約書、領収書、振込受付書や振込明細書、通帳写しなどの支払い証明書類が必要です。バリアフリー改修を行った場合は、部位ごとの施工前後写真など実施が分かる資料も必要になります。事業完了後は、原則2年間、エネルギー消費に関する報告と効果が分かる資料の提出に協力する必要があります。24

関連会社等から調達する場合にも注意があります。補助事業者が100パーセント同一資本グループ企業、関係会社、役員親族関係のある法人などから調達を受けるときは、価格の妥当性を確保するため 3者以上の見積結果 の提出が求められます。相見積自体に一般的な制約はありませんが、関係会社調達では追加条件が付く、と理解しておくと実務で迷いにくくなります。24

審査の考え方を読む

優先されやすい観点

応募多数の場合、どの案件が優先されやすいかは募集要領とQ&Aに書かれています。優先されやすいのは、躯体外皮改修の割合が高いもの、省エネ効果が高いもの、設備改修で複数種類やエネルギー消費割合の高い設備を対象にし、改修効果が高いもの です。総合的な効果が同水準の場合は、高機能換気設備を含む提案が優先されます。さらに、公共性の高い建物等に係るプロジェクトも考慮対象です。2411

ここから逆算すると、申請書で大切なのは単なる機器更新の羅列ではありません。なぜその部位を改修するのか、改修割合は建物全体の中でどの程度か、エネルギー消費の大きい設備から優先的に手を打っているか、効果の発現時期はいつかを、数字と図面でつなげて示すことが重要です。制度上の義務ではありませんが、実務上は、建物全体のエネルギーバランスを一枚図にしておくと、様式3-1や計算根拠との整合を取りやすくなります。212

令和7年度の応募件数と採択件数

評価事務局の採択件数ページと国土交通省の公表資料によると、令和7年度は 49件応募、25件採択 でした。あわせて国土交通省は、令和7年度の 第2回公募は実施しない と公表しています。令和7年度の採択事業一覧を見ると、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、学校、図書館、銀行支店、事務所ビルなど、多様な非住宅用途が並んでいます。131411

年度応募件数採択件数
令和7年度4925
令和6年度4425
令和5年度 第2回2119
令和5年度 第1回4940

この数字から分かるのは、採択率は年度や公募回でかなり動くということです。過去年度の採択率だけを見て楽観したり悲観したりするより、その年度の募集条件、予算規模、応募状況、案件の質を見た方が実態に近づきます。とくに令和7年度は、制度の変更点がある中で49件中25件採択でした。古い年度の数字を現行条件のまま流用しない方がよいでしょう。1311

準備に使える表

申請前セルフチェック

確認項目見ておく内容主な根拠資料
建物用途非住宅として扱えるか。住宅部分や工場部分を切り分ける必要があるか公募概要、Q&A14
改修の中心外皮改修を含んでいるか。高機能換気設備の特例に当てはまるか募集要領、Q&A24
省エネ率20パーセントか、外皮改修面積割合20パーセント超で15パーセントか公募概要、募集要領12
改修後性能第三者評価で所定の性能を示せるか募集要領、Q&A24
表示方法BELSなどの表示方法を決めているかQ&A、公式制度ページ478
計測方法建物全体か設備単位か、どこまで計測するか募集要領、Q&A24
最低事業費事業費合計500万円以上を満たすか公募概要、募集要領12
契約時期採択前契約になっていないか募集要領、Q&A24
他補助金重複部分を明確に切り分けられるか募集要領、Q&A24
発注関係関連会社調達に当てはまるか。3者以上見積が必要か募集要領、Q&A24

セルフチェックは、設備担当だけで終わらせない方が安全です。建築担当、設備担当、経理担当、所有者側の意思決定者が同じ表を見ながら確認できる形にすると、要件漏れと証憑漏れを同時に減らせます。これは制度要件ではありませんが、提出前の社内確認を一回で終わらせやすくなります。24

交付申請と完了実績報告で詰まりやすい書類

段階主な書類や資料確認ポイント
提案応募提案申請書、事務連絡先、事業概要、省エネ効果の計算シート、計算根拠、計測内容、事業費内訳、図面類様式ごとの整合、計算根拠、対象部分の切り分け210
交付申請設計図書、見積書、建築士による確認書類、必要に応じて宣誓書等採択内容との一致、補助対象部分の再確認、関連会社調達の見積24
完了実績報告完了実績報告書、第三者評価結果、省エネ性能ラベル写し、施工前後写真、工事契約書、領収書、振込証憑契約日、支払日、写真の対応関係、性能評価の達成24
事後報告改修前後のエネルギー使用量、月別データ、効果が分かる資料原則2年間の報告協力が必要24

提案応募の段階では、すべての交付申請資料を揃える必要はありませんが、採択後に何が必要になるかを先に知っておくと、図面や写真の撮り忘れを防げます。特に改修前写真は後から取り直せません。工事前の現況記録は、補助対象部位ごとに整理して保管しておきたいところです。24

証憑チェック

確認したい点見落としやすい理由実務上の対処
契約日が採択日以降か見積日と契約日が混ざりやすい契約書表紙と押印日を一覧化する24
補助対象部分の費用が分かれているか一式見積だと精査しにくい外皮、設備、計測、バリアフリー、附帯事務費を分ける24
消費税を除いているか総額のまま補助額を計算しがち税抜欄を申請用に別管理する4
他補助金との重複がないか同一工事に複数制度を当てたくなる部位と費用を制度ごとに分離する24
関連会社調達の見積が足りているか通常の相見積と同じだと思いやすい関係会社該当の有無を早期判定する24
写真の対応関係が明確か施工前後の位置がずれやすい部位番号を付け、同じアングルで撮る24
事後報告用データを取れるか完了後に計測方法を決めると遅い改修前1年分のデータ取得方法まで決めておく24

この表の後半は制度要件そのものではなく、提出で詰まりやすい実務上の注意点です。とくに写真と支払い証憑は、工事会社と経理部門の保管方法が分かれていると集め直しに時間がかかります。採択後ではなく、応募前からフォルダの持ち方を決めておく方が安心です。24

申請前に確認したい順番

先に建物要件と計算方法を固める

この制度では、見積を集める前に建物要件を判定した方が効率的です。非住宅として扱えるか、工場や住宅との混合用途ではないか、外皮改修を含められるか、高機能換気設備の特例に乗るのかを最初に決めると、省エネ率の計算範囲がぶれにくくなります。ここが曖昧なまま見積だけ先行すると、後で計算シートを作り直すことになりやすいです。124

次に、どの方式で補助額を出すかを決めます。通常の積み上げ方式でいくのか、標準単価方式を使うのかで、準備する資料の出し方が変わります。Q&Aでは、提案応募時に標準単価方式を選んだ後で、採択後に方式を変更することはできないと案内しています。方式の選択は補助額の大小だけでなく、申請作業の進め方にも影響します。24

その次に見積と資金計画を揃える

建物要件と計算方法が固まったら、見積は 補助対象区分ごと に揃えます。外皮、設備、計測、バリアフリー、附帯事務費を分けていない見積は、提案時も交付申請時も説明しにくくなります。また、令和7年度では第三者評価の申請書類作成費用が補助対象外です。見積書に混在したまま申請額へ入れないように、早い段階で自己負担部分へ移しておく方が分かりやすいでしょう。245

資金計画では、複数年度案件かどうかで考え方が変わります。複数年度案件では、年度ごとに出来高と支払いが完了した部分に補助がかかるため、工期だけでなく支払い時期も重要です。採択イコール将来年度分の入金確定ではないので、資金ショートが起きないよう、補助金がなくても回る計画を先に作っておくと判断しやすくなります。26

よくある質問

Q1. 住宅は対象になりますか。
A. 令和7年度公募で対象とされているのは、既存のオフィスビル等の 住宅以外の建築物 です。住宅と非住宅の複合ビルでも、非住宅部分のみで応募できる場合がありますが、その部分で事業要件を満たし、省エネ効果の根拠を示す必要があります。建物全体が住宅用途中心なら、この制度ではなく別制度を探した方がよい場面が多いです。124

Q2. 工場や倉庫はすべて対象外ですか。
A. 生産用設備を有する工場、実験施設、倉庫などの改修は対象外です。ただし、同一建物の中に事務所スペースがあり、その部分を事務所用途として切り分けられるなら、事務所用途のみで応募できる余地があります。この場合、省エネ率の算定も事務所用途部分だけで行います。24

Q3. 設備改修だけで応募できますか。
A. できません。Q&Aでは、九つの要件をすべて満たす必要があり、外皮改修を行うことが必須だと案内しています。設備改修だけで省エネ率が十分に出ても、この制度では要件不足です。24

Q4. 高機能換気設備を入れる場合は断熱改修がなくてもよいですか。
A. 高機能換気設備を設置する場合は、換気用ダクト等を設けるための躯体外皮改修が必要です。ただし、断熱性能を高める躯体外皮改修までは必須ではありません。通常案件と同じ外皮改修を全面的に求めているわけではないので、換気改修が主眼の案件ではこの特例を正確に読みたいところです。24

Q5. 省エネ性能の表示はBELSだけですか。
A. BELSが代表例ですが、BELSだけに限定していません。Q&Aでは、第三者評価を受け、その評価書で所定の省エネルギー性能であることが明確に確認できるものを同等のものとして扱っています。参考例として、省エネ基準適合認定表示マークやCASBEEも案内されています。478

Q6. 第三者評価の申請書類作成費用は補助対象ですか。
A. 令和7年度では補助対象外です。募集要領の変更点とQ&Aの両方で、省エネ性能の表示に係る費用が対象外になったこと、その結果として第三者評価を受けるための申請書類等の作成費用も対象外になることが確認できます。見積に含める場合は自己負担として整理してください。245

Q7. 家庭用エアコンはなぜ対象外ですか。
A. 募集要領では、後付の家電に類するものは対象外で、家庭用エアコンが例示されています。Q&Aでは、業務用エアコンは対象になり得る一方、家庭用エアコンは対象にならないと区分を示しています。機器区分が不明なときは、製造元等に確認するのが確実です。24

Q8. 太陽光発電設備や屋上緑化は使えますか。
A. 使えません。太陽光発電設備は補助対象外で、発電量を省エネ効果に加えることもできません。屋上緑化と遮熱シートも対象外です。一方で、条件を満たす遮熱塗料や日射調整フィルムは対象になり得ますが、日射調整フィルムの補助率は通常の3分の1ではなく6分の1以内です。24

Q9. 他の補助金と併用できますか。
A. 同じ補助対象部分に重ねて受けることはできません。ただし、補助対象となる部分を明確に切り分けられる場合は、他制度の対象部分を除いた部分について本事業の対象になり得ます。工事区分と費用区分があいまいだと説明できないので、制度ごとの部位整理が必要です。24

Q10. 金額がまだ未定でも応募できますか。
A. Q&Aでは、金額未定の段階では応募できないとしています。やむを得ず概算で出す場合でも、詳細見積で減額の可能性があるなら、それを見込んだ額で申請する必要があります。採択後に大きく内容や金額が変わる前提で出すのは避けた方がよいでしょう。4

Q11. 申請前に契約してしまった工事は対象になりますか。
A. 対象になりません。募集要領では、補助対象工事等を含む契約は採択日以降に締結するものを対象としており、採択時点ですでに着手または契約締結済みのものは対象外です。見積取得と契約締結の区別を社内で明確にしておく必要があります。24

Q12. 完了後は何を報告しますか。
A. 完了実績報告書、第三者評価結果、施工前後写真、支払い証憑などの提出に加え、事業完了後は原則2年間、エネルギー消費に関する報告に協力する必要があります。Q&Aでは、気候条件や使用状況など不測の事態で応募時の省エネ効果が出ない場合は、その旨報告するよう案内しています。報告のためにも、改修前1年分と改修後の月別データの取り方を事前に決めておくと安心です。24

令和7年度公募はすでに終了していますが、この制度を理解するには令和7年度の募集要領とQ&Aを読むのがいちばん確実です。次回公募を待つ場合でも、まずは外皮改修の組み込み方、省エネ率の計算範囲、第三者評価の段取り、採択後契約のルールを社内で共有しておくと、募集開始後の動きがかなり楽になります。12411

出典・参考資料

  1. 既存建築物省エネ化推進事業 公募概要 令和7年度 公式ページ ↩

  2. 既存建築物省エネ化推進事業 募集要領 令和7年度 PDF ↩

  3. 国土交通省 建築物の省エネ改修工事の提案募集を開始します 令和7年4月18日 PDF ↩

  4. 既存建築物省エネ化推進事業 提案募集に関するQ&A 第1回 v2 PDF ↩

  5. 既存建築物省エネ化推進事業 公開情報修正のお知らせ 2025年4月23日 PDF ↩

  6. 国土交通省 令和7年度既存建築物省エネ化推進事業 事業概要 別紙 PDF ↩

  7. 国土交通省 建築物省エネ法の表示制度 公式ページ ↩

  8. 住宅性能評価 表示協会 建築物省エネルギー性能表示制度 BELS 公式ページ ↩

  9. 既存建築物省エネ化推進事業 お問い合わせ 公式ページ ↩

  10. 既存建築物省エネ化推進事業 提案申請書 記入例 第1回 PDF ↩

  11. 国土交通省 建築物の省エネ改修工事の採択プロジェクトを決定しました 令和7年9月8日 PDF ↩

  12. 既存建築物省エネ化推進事業 提案書作成の参考資料 2025年4月 PDF ↩

  13. 既存建築物省エネ化推進事業における採択件数 公式ページ ↩

  14. 令和7年度既存建築物省エネ化推進事業 採択事業一覧 PDF ↩

執筆者:補助金フラッシュ 士業編集部

補助金・助成金の活用法からAI導入、業務の生産性向上まで、中小企業の経営に役立つ情報を士業の専門家チームがわかりやすく解説します。

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執筆者
補助金フラッシュ 士業編集部
公開日: 2026年3月4日

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